前も白、右も白、左も白。
そしておそらく後ろも白なのだろう。
一面純白の壁で覆われた部屋に彼女は、一人座っていた。いつから其処にいたのか覚えていない。そして何よりどうやってここに来たのか非常に不思議だった。扉がないのだ。でもこの場所にはなんとなく見覚えがある。懐かしいような、そして少しだけ怖いようなそんな気持ちにさせられる。目の前には、17インチのディスプレイが一つだけ置かれていた。
「こんにちは。西之園さん」
萌絵が目の前の箱に興味を示したのを見透かしたかのように画面には、女性が映し出された。その女性に萌絵は、見覚えがある、
「真賀田博士・・・」
無意識のうちに萌絵は、その天才の名前を口に出していた。頭の引き出しの一番奥の方にしまっておいたものがあふれ出す。妃真加島、真賀田研究所、デボラ、レッドマジック、ナノクラフト、ユーロパーク、ミチル・・・そして。ふと我に返った萌絵は、迅速に散らかしてしまった記憶を引き出しにしまい込む。
「これは、博士の仕業ですか?」
萌絵は、すぐに頭を切り換え臨戦モードに入った。
「そうよ、久しぶりにあなたと遊んでみたくなって・・・。ごめんなさいね。」
「お願いです、ここから出してください。今日これから洋子達と・・・。」
「大丈夫、あなたが今いる部屋には、時間がないの。だから安心してゲームができるわ。さて、本題に入りましょう。西之園さん、私の中には、他に4人の人が住んでいるのよ。今からいくつかヒントをお話しするからそれで、それぞれの人たちがいつ頃、どんな性格で現れたか当ててほしいの。さぁ、用意は、よろしくて?」