調理実演:2005年7月2日



キットでは丸ごと省略されている、船首楼の内部を作るに当たって、
最も重要な装備品であるウインドラス(錨鎖の巻き上げウインチ)を作っています。
キットの部品は全く無いので全てスクラッチになります。

実際は船首楼甲板を貼るとほとんど見えなくなってしまうものですが、
今後のこともあるので、図面と写真を元にきっちり作ります。
写真では凸の字型になった出っ張りの側が艦首側になります。

商船用のウインドラスの基本的な構造は、どの船も大体似たようなものですが、
これは蒸気を動力源とするタイプで、
後方の蒸気シリンダーから蒸気機関車のようなロッドが伸びて前方の駆動輪を回し、
歯車を介して後方のドラムを回転させて錨鎖を巻き上げます。
また、最も外側の輪はブレーキホイールになります。
写真は主要部品の位置決めの段階なので、
まだ個々のモールドは完全には付いていません。

海王丸/日本丸のウインドラスは錨鎖の巻き上げと共に、
直上の船首楼甲板中央にあるキャプスタンを連動して回転させる機能があり、
そこへ連結させるためのクラッチや歯車が前方に付いていたと資料にあります。

実際、日本丸のウインドラスにはそれらの装備が残存しているのですが、
海王丸のキャプスタンは1982年秋に電動式に換装されたため、
そこへの連結機能は不要になったはずで、
模型では撤去されたという想定としています。
(前端の軸が通っていない台座が該当する部分です)

「はずだ」と書くのは、
実物が残存しているのですからそれを見れば一目でわかることなのですが、
海王丸の船首楼内部は立入禁止区域のため、前方に回って確かめる事ができません。
何度か写真を撮りに行った時に船の関係者にその都度お願いしてみたのですが、
どなたに頼んでも立ち入りを断られました。

横浜の日本丸ではお願いすれば割と自由に見せてくれたのですが、
これは現役当時そのままに、厳格な船風が受け継がれていると思う他はありません。
もっとも、最初に書いたように完成後はほとんど見えなくなってしまうため、
ウインドラスの前方部分や船首楼の内部先端などは
日本丸で撮った写真を参考にまとめています。


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