『ベトナム戦争 マクナマラの誤謬』
 https://www.nhk.jp/p/butterfly/ts/9N81M92LXV/episode/te/Z18PZ1RJX9/
NHK映像の世紀バタフライエフェクト

 五年前にスピルバーグ監督のペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書['17]を観た際に手元にチラシのみ保有しているドキュメンタリー映画『フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白』['03]を観る機会は、いつか得られるのだろうか。と記した映画は未だ見る機会を得ていないが、思い掛けなく「映像の世紀バタフライエフェクト」でマクナマラを取り上げているものを観る機会を得た。

 数値化できるデータを自己に都合のいいように使って正当性を主張することを半世紀前は「マクナマラの誤謬」(社会学者ダニエル・ヤンケロビッチ)と呼んだようだが、今や誤謬どころか、統計利用の常套手段と化してしまっているようで、都合のいい指標のみを重視するばかりか、数値の算出方法や計算式を恣意的に操作する、殆ど「改竄」と言うべきことが、非常時(戦時)に限らぬ、たかだか政権の支持率目的でさえ行われるばかりか、それを編み出す政権幹部を厚遇する先駆けを観たように思う。それにしても、番組中で引用されたジョンソン大統領の言葉の下衆っぷりが凄かった。

 三十六年前に観た海と毒薬』['86]の映画日誌いつの頃からなのだろう、そうは言いながらも、意味より結果のほうが幅を利かせ始めたのは…。そして、その傾向は、ますます助長されてきている。それとともに、世の中が、どんどん非人間的な社会になってきている。効率性や数字が今ほど力を持った時代は、かつて存在しなかったのではないだろうか。と記した時よりも更に酷いことになっている気がしてならない。

 
by ヤマ

'23. 6. 4. NHKプラス



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