「おーい。こっちこっち。」


空港の中に辿り着くと

遅れたあたし達を美作さんが手招きしていた。

西門さんと美作さんの周りには

軽く人の輪ができつつある。

当然、みんな女の子。

F4を知らなくても

何故か自然と人が群がってくる。

それほど彼等は魅力的なんだろうと

いつものことながら思い知らされる。


さらに花沢類が近づくと

『 キャー 』 という黄色い声。

その後ろからあたしが行くと

今度は 『 えー 』 という非難めいた声。


・・・もう、慣れたわ。


とはいえ、やっぱりいい気がしないあたしをよそに

隣りの3人はそんなことお構いなしで

ズンズン先を進んで行く。

それに合わせるかのように

周りの女の子たちも歩き出す。

なっ何で?

何でみんなついてくんの?


ちょっと遅れて歩くあたしの元へ

西門さんが歩調を緩めて横へ並んだ。


『 いやーなんでー 』 とあちらこちらから聞こえるブーイング。


・・まったく・・・こっちの方が 「 いやー 」 だっつーの。


すると―――

西門さんがゲンナリしているあたしの耳元で


 「牧野。覚悟しとけよ?司の隣りはこんなもんじゃ済まないぞ?」


とニヤリと笑った。


 「 !! 」


体が硬直する。


・・・・にっ・・西門ーーーーーー!!!


せっかく花沢類のお蔭で緊張が解れて

いつものあたしに戻ったのに・・・。


気がつくと

あたしの手と足は

また一緒に動き出していた。












入国ロビーに着くと

そこにはすごい数の報道陣が待ち構えていた。


 「なにこれ?誰か有名人でもくるの?」


キョロキョロ辺りを見回すあたしに

美作さんが溜息をつきながら説明する。


 「あのな・・牧野。これはみんな司を待ってんだよ・・」


 「・・・・えぇーーーー!!!」


西門さんと美作さんは 「 「 はぁ〜 」 」 と溜息。


花沢類は 「ぷっ・・くっく・・・」 と笑いを堪えてる。


あたしって・・・

つくづく解ってないみたい。

この報道陣たちが

あのバカを待ってるなんて・・・

信じられない・・・。


―――ちょっと待って!!


こんなところで再会して

一緒にいるところの写真を撮られでもしたら・・。

この4年間で

だいぶ落ち着きを見せていた生活が・・・。

気がつくと

あたしの足は勝手にズリズリと後ろに下がっていた。


 「あ・・あたし、帰るわ」


そういって踵を返し歩き出したあたしの腕を

美作さんがガシッと掴む。


 「逃げるな、牧野。司が民間機を利用した意味がなくなる。」


 「はい?」


民間機を利用した意味?

なに・・・?

さっぱりわからない。


・・だけど嫌な予感だけはする・・・。


ジタバタするあたしをいとも簡単に連れ戻し

4人揃って入国口の脇にたどり着く。



それと同時に出口から現れた一人の人物。

眩しいほどのフラッシュが

一斉にたかれだした。

パシャ、パシャと鳴り響くシャッター音。

あまりのフラッシュに

その先の人物がまったく見えない。

眩しくたかられる光の中

だんだんと近づいてくるシルエット。




周りの報道陣から頭ひとつ分飛び出るほどの長身。


そこから見えるクルクルの頭。


大きな歩幅でしっかりと真っ直ぐ歩み寄ってくる人物。





・・・・ 道明寺 ・・・・





  ― 道明寺さん! 帰国の目的は何でしょうか? ―


  ― 道明寺さん! 4年ぶりの日本ですがお気持ちを一言!! ―


記者達の質問が乱れ飛ぶ。






スーッ


あたしの前に

真っ白なハンカチが出てきた。


 「え?」


 「牧野、顔ぐちゃぐちゃ。」


優しく微笑んだ花沢類。


 「あっ・・ありがと」


ハンカチを受け取ったあたし。


気づかなかった・・・

涙が出てたなんて。



慌てて涙をふき取ると

今度はニヤリと笑う西門さんと美作さんが

あたしの両脇に立っていた。



一瞬にして凍りつく。


なに?!

その企んだような顔は一体なに?!



後ずさりしようにも遅かった。

背後は既に2人の手によって妨げられている。


 「牧野・・・」


 「なっ・・なに・・」


 「一人で泣いてんなよ。」


 「・・・えっ?」


まっ・・まさか

西門さんも泣いてるの?

一瞬そう思ってふっと顔をあげたけど―――――

やっぱり泣いているわけがなかった!!

その反対っ!!

思いっきりニヤついてるーーーー。



 「泣くなら・・・」


 「 「 司の胸で泣け!! 」 」


そう言うなり、あたしは背中を2人に押され

つまづきそうになりながら前に飛び出した。

フラッシュが一斉に止まる。

記者達も黙った。

―――――そして

光の先の人物がハッキリと見えた。




―――道明寺!!!―――




あいつの視線が

あたしを捕らえた。


あたしの視線が

あいつを捕らえる。



足が震えているのが分かった。

目の前にいるのは間違いなく


『 道明寺 司 』


初めてあたしが幸せにしたいと思った男。

4年間待ち続けた男。

どれくらいの間

見詰め合っていたんだろう。

いつの間に

あいつはあたしの元まで辿り着いたのか。


次の瞬間

あたしは―――

なぜかあいつの腕の中にいた。


一瞬の静寂。


また一斉にたかれるフラッシュ。

――何が起こっているの?

思考が回らない。


ただ――――

あいつの懐かしいコロンの香り。

あいつのたくましい腕。


心が安らぐ。


気がつくと

周りをグルッと報道記者に囲まれていた。




  ― 道明寺さん! その女性とはお知り合いですか? ―


  ― 道明寺さん!! どういったご関係の方ですか? ―


  ― 道明寺さん!! 道明寺さん!!! ―


  ― 道明寺さん、その女性は4年前プロポーズされた方ですか? ―



ぷっ・・・プロポーズ?!


ちょっ・・ちょっと待ってよ。

反論しようとして顔を上げたあたしを

目が眩むほどのフラッシュが襲った。

なにコレ。

チカチカして前が何も見えない。

目眩がする。


フラついたあたしを

道明寺はしっかりと支えながら記者達に言った。


 「すいません。写真は遠慮して下さい。

  それと帰国理由は明日、記者会見を開きますのでその時にお答えします。」


それだけ言うと

あたしの手を取り

記者達の間をすり抜けて走り出した。


F3の元へと近づく。


あいつが軽く手を上げると

美作さんが 『 任せとけ 』 と言うかの様にウィンクを返した。


F3の前を通り過ぎるあいつとあたし。


えっ? えっ? えぇぇーーーー?!


 「ちょっと!!どこ行くのよっ!!」


あたしの必死の訴えも

あいつにはまるで聞こえていない様子。


引っ張られながらも後ろを振り返ると

今度は彼らが記者達に囲まれていた。



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あれ・・・?
思ったよりも話が長いな・・・ε- ( ̄、 ̄A) フゥー