記者達から離れ、階段を駆け下りた。
はぁはぁと息が切れる。
しばらく行くと駆け足から歩調を緩め
あいつが立ち止まった。
「牧野・・・」
振り返ったあいつがあまりにも眩しくて
『 これは夢なんじゃないか 』 とさえ思ってしまう。
手を伸ばそうとすると
パチンとはじけて消えてしまう。
そんな気がして
あたしは身動きが出来なかった。
それでも再び抱きしめられて
あいつのコロンの香りを確認する。
―― ああ夢じゃない ――
あたしの手は
勝手にあいつの背中を包んでいた。
「・・・おかえり、道明寺。」
「・・・おうっ。」
「本当に帰って来たんだね。」
「あぁ、本当に帰って来てやったぞ。」
「何それ?偉そう。オレ様!!」
「オレ様で結構。何てったって俺は道明寺財閥の跡取りだからな。」
「ふんっ・・・・あいかわ・・・んっ・・」
『 相変らずなんだから・・ 』
そう言おうとして顔を上げたと同時に唇を塞がれた。
長い長いキス。
4年間の空白を埋めるかのように
深く丁寧で優しいあいつの・・・
・・・・・・
って、苦しいっ!!!
ドンッ!!
あたしは思わず道明寺を突き飛ばした。
「てめ、何すんだよ!!」
「何すんだよって・・・ くっ苦しいのよっ!!」
「何がっ!」
「なっなっ何がって・・・うっ煩い/////」
「は?もしかしてキスがか?!
そんなに苦しかったら鼻で息すりゃーいいだろ」
「はっ鼻で?!そんな器用なことできる訳ないでしょ!」
ハタから見れば
今の今までイチャイチャしてたのに
突然始まった言い争い。
みんな興味津々で立ち止まって見てる。
もーーーうっ、恥ずかしいったらありゃしない。
あたしはあいつを置いて
ひとりズンズンと歩き出した。
「おいっ。どこ行くんだよ。」
「帰るのよっ!! 決まってるでしょ!!」
「待てよ、おいっ!!」
こんな再会になるなんて・・・
もう、自分で自分が嫌になる。
でももう後には引けなくて・・・。
歩き出したのはいいけれど
あいつの大股であっという間に追いつかれたあたし。
バツが悪くて顔も見られない。
どうしたらいいの?
「おい」
「・・・・」
「ほらっ」
そう言ってあたしの前に立ちはだかると
目の前にはあいつの手。
「わかったよ。今度はもう少し短くする。」
「えっ?」
「今度はもうちょい短いキスにしてやるって言ってんだっ!!////」
「・・・・みっ短いって!!//////」
そういう問題か?
疑問に思ったものの
今まで見たことのない
素直なあいつに思わず
「ぷっ」と噴出してしまった。
「なっ・・なんだよ。」
「・・・・ううん、何でもない。」
「ほらっ、行くぞ。」
目の前に出された大きな手。
あしたが4年間
待ち焦がれ続けた手。
そっとあいつの手に自分の手を重ねてみた。
ギュッと握られるあたしの手。
あたしも強く握り返す。
もうこの手を離したくない。
そう思っていたのは
きっとあたしだけじゃないはず。
ゆっくりと顔をあげると
真っ赤になったあいつの顔。
きっとあたしの顔も真っ赤だ。
お互い真っ赤な顔同士
クスッと笑うと
あたし達は
空港の外へと
歩き出した。
「おい。あいつらどこ行ったんだ?」
「知らない・・・・」
「俺は牧野とズラかるから、後はよろしくな・・・なんて言ってたけどよ」
「その後どうするのかまでは言ってなかったな」
「司、どうやって家まで帰る気だったんだろうね・・・」
「 「 「・・・・・・」 」 」
「まっ、何とかするだろ?子供じゃないんだからよ。」
「そうだな。司の荷物は預かったし。じゃ、俺たちも帰るか!」
「しかし報道陣に見せるために、わざわざ民間機にするとはなー。」
「まあな。でも道明寺邸じゃ報道陣は入れないわけだし。」
「司にしてみれば、牧野との事を決定付けたかった・・ってとこか?」
「バカはバカなりに・・・ってな。」
「・・・・牧野、かわいそ・・」
「いいんだよ。あれくらいすりゃ牧野も自覚が出んだろ。」
「そうそう、明日の新聞の一面、見ものだぞー」
「おいっ!! 何で俺様が電車なんかに乗らなきゃなんないんだよっ!!」
「しょうがないでしょ!! 電車賃くらいしか持ってないんだから!!」
「タクシーで行くぞっ」
「嫌よっ、お金もないのにタクシーなんか乗れないっ!!」
「ったく・・これだから庶民は!!」
「何よっ、一銭も持ってないくせに。
大体、お金も持たないで飛行機に乗るかっつーの!!」
「うるせーっ。金は・・トランクの中なんだよ!!」
「あーあーそうですかっ!!
そのトランクを西門さんたちに持っていかれたんじゃ、意味ありませんねっ!!」
「てめ・・・」
「なーによっ!!」
相変らず目を引くあたし達。
どうやら
普通の恋人のようにはいかないらしい。
まあこの男といる限り
あたしに『 普通 』なんてことは
ないのかも知れないけど。
それでも
あたしは道明寺が好きなんだ。
4年前の想いはさらに強くなって
あたしの心を支配する。
あたしがあたしでいる限り
道明寺もきっとあたしを好きでいてくれる。
自信のなかったあたしに
自信を与えてくれたもの。
それは
言い争いをしていても
決して離されることのない
あいつの手―――。
―FIN―
*あとがき*
無駄に長い話でスイマセン。
終わってみると、どうしてタイトルが【4年越しの想い】になったのかわからない・・(汗)
なんか・・・どうしてもお笑いというか
ギャーギャーする感じの方向に行ってしまうんですが・・(ノД`)
何でだろ・・・。 ←知るかっ!
F3の会話・・誰が誰かはお好きに設定してみて下さい。
この後、電車で帰るハメになった道明寺くん。
その様子も書いてみようかな・・・なんて(笑)
↑
その様子「オマケSS」