知人に誘われて、少し郊外にある結構人気のレストランに行ったときのことです。知人はそこの常連で、おじさんたちをぜひ連れて行きたいと誘ってくれたのです。
黒のスーツを着た、おじさんよりも少し年上の男性が店内を仕切っていました。もちろん知人は顔なじみでおじさんたちに紹介してくれました。
ホテルのレストランを思わせるような雰囲気を持ちながらも気さくな人柄に好感を持ちました。知人によると、この道ではかなりの力を持った人で、県外からこの店にスカウトされて来たのだそうです。
ワインや料理のサービスもとても行き届いていたのですが、一つだけ気になったことがありました。普通に立って話している時はいいのですが、ワインを注いだり料理を出したりするときに前かがみになるとネクタイがブラブラして目障りなのです。
それ以上に、ネクタイが料理に触れそうで、下手をするとソースやスープに飛び込むかもしれないと思いました。
10年よりもっと前でしょうか、トイレで用を足す前にネクタイを肩にかける仕草を何度か見ました。それからテレビのコマーシャルかドラマの1シーンかでまったく同じ動作を見かけたのです。
テレビのそんなシーンを見て真似するようになったのかどうかは知りませんが、いつの間にかネクタイピンをしない人が多くなったのです。
ネクタイピンにはおしゃれの役割がありますね。洋服と調和したしゃれたデザインのものやスポーツや楽器などを形取ったもの、さらに形状自体もいくつかあります。
もう一つの役割はネクタイを留めることだと思います。レストランで目障りだったのもネクタイを留めていなかったからです。トイレで肩にかけるのもブラブラして便器に当たるのを防ぐためでしょうか。
ネクタイピンで留めずにブラブラさせるのが流行でおしゃれなのかもしれませんが、電車やバスで座っている人に迷惑をかけているかもしれません。また職種によっては相応しくないこともあるでしょう。
流行に流されることなく、例え少数派になってもおじさんはネクタイをブラブラさせません。