風と袋と少年と

2011年3月20日

テレビも、ラジオも、新聞も、連日地震と原発の話題ばかりです。おじさんの周りでは特に被害は聞いていないのですが、被災者のことを思うと、とてもつらい気持ちになります。

そんな中で、被災者である中学生や高校生が一生懸命避難所の世話を続けていることや、「大災害の中でも日本人の秩序ある行動は素晴らしい」という外国からの声、また日本だけでなく海外からも救助活動や義援金などの援助の手が差しのべられていることに胸が熱くなります。

今日は前回の続きを書く予定でしたが、あまり良い話題ではないので止めました。数日前に感心したことがあるので、それを書きます。

「龍馬伝」で話題になった岩崎弥太郎の出身地、安芸市でのことです。 いつものように約束の時間には充分余裕持って目的地に着いたので、周囲の散策をしました。その日は風が強くて、少し歩きにくいぐらいでした。

国道を東に向いて歩いていると道路で何かが舞っています。よく見ると白い大きなゴミ袋でした。それが道路の左半分と歩道の間で直径10mくらいの円状に舞っているのです。

通行している車にも当たっていますし、歩行者にも絡みつきそうになっています。おじさんはゴミ袋に絡みつかれないように注意してそこを通り過ぎたのですが、同じ所を円状に舞っているのが面白くて時々振り返りながら見ていました。次の信号待ちで振り返った時のことです。そのゴミ袋が途中ですれ違った自転車に絡みついていたのです。

乗っていたのは高校生くらいの少年でしたが、こぐのを止めて右手でゴミ袋をつかんでいます。その様子がなぜか気になってじっと見ていました。少年は右手で袋をまとめようとしているように見えたのですが、風が強くて思うようにならなかったのか、しばらく経ってから右手で袋を持ったままハンドルを押さえて走り出しました。

おじさんは信号で右に曲がって、そのまままっすぐ歩くつもりだったのですが、少年の行動が気になって反対側の歩道を元の方向に戻りました。

少年がゴミ袋をどうするのか確かめたくて後を歩いたのですが、車道を走る車に遮られて途中で見失ってしまいました。普通だったらその場に捨てて行くと思うのですが、それをしなかったのです。また途中の道路に捨てた様子もありませんでした。

そのまま捨てていったらまた風に飛ばされて車のフロントガラスに張り付くかもしれません。そうなれば事故の可能性も出てきます。歩いている人がゴミ袋をよけようとして転ぶことがあるかもしれません。

そんなことを思うとその少年の行動がとても立派に思えました。同時に、ただ避けて通っただけの自分が恥ずかしくなりました。

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