大阪へ行く用事があったので、奈良まで足を伸ばして「正倉院展」(奈良国立博物館)と「お堂でみる阿修羅」(興福寺)へ行ってきました。二つの展覧会ともとても人気で、毎日大勢の人が来ているということは新聞等で見ていたので、行列は覚悟していました。
まずは、奈良名物の「茶がゆ」で腹ごしらえをして、正倉院展へ。もちろん並んでいました。でも結構いい感じで進んでいきます。入場までは順調でした。
ところが、入館した途端パタッと進まなくなりました。係の人が「順番はありませんから空いている所からどうぞ」と言ってくれたのですが、どこから見たらよいかわからないので、取りあえず流れについていきました。
みんな、じっくりと説明を読んで鑑賞しますから全然進みません。中にはあまりのじれったさに列から外れていく人もいました。おばさんも、「もういいや」と諦めそうになるくらいでした。でも、おばさんは背が低いので、後ろからのぞき込むということは絶対に不可能です。だから頑張って列についていきました。
1300年も前の物が色褪せずに保管されていることにとても驚きました。技術やデザインも素晴らしく、現代にでも十分通用するものだと感じました。
「阿修羅展」には、翌朝行く事にしていたのですが、混雑状態を係の人に聞くと、「前もって入場券を購入しておき、八時頃に来れば万全です。今は30分ほど入場を早めています。」と教えてくれました。その通りに実行しました。大正解でした。おばさんの後ろに並んでいたご夫婦は、早く開けてくれるということを知らなかったようで、「30分得した」と喜んでいました。
お堂に入った瞬間に感じた緊張感、荘厳さにビクッとしました。色々な角度や高さから見られるようにしてあったので、仏像の表情の変化を楽しむ事ができました。こんなにじっくりと仏像を見たの初めてかもしれません。いつまででも見ていたいとさえ思いました。
「芸術の秋」にふさわしく、全国各地で特別展や美術展等が行われていますが、行列や混雑に時間を費やした以上の満足感がなければ、いくら何十万人もの人が来ても、本当の意味での成功とは言えないのではないかと思います。
行列に並んでそんなことを考えました。