先日、車の点検で代車を借りていました。家に帰って車から降りるとシートベルトが地面に落ちたのです。落ちたと言ってもシートベルトが外れてしまって落ちたのではありません。体から外したシートベルトを手から離すと巻き取られていくのが普通の状態だと思います。それが全く巻き取られないので、差し込む金具の部分が地面に当たったのです。
それで次に乗ったときに確かめてみました。まず乗る前に、シートベルトをいっぱいに引き出した状態で手を離すとやはり巻き取られません。手で送ってやるとゆっくりと巻き取っていきます。次に車に乗ってシートベルトを装着すると、ゆっくりゆっくりとたるみが巻き取られます。
そして発進です。そのままの状態での走行は問題ないのですが、実際の運転では左右の確認で少し体を前にかがめることがよくあります。フロントピラーの影響を受けない(死角をなくす)ようにするためにはその必要性はかなり高いように思います。また、機器の操作で前かがみになることもあります。
前かがみになると当然シートベルトは引き出されます。そして体を元に戻すとシートベルトはすぐに巻き戻されるはずなのですが、この代車では巻き戻されるまでにしばらく時間がかかるのです。ということは巻き戻されるまでのしばらくの間は、体とシートベルトの間に、かなりの「たるみ」あるというです。
それですぐに担当者に電話して確かめました。それは万一の事故の時のシートベルトの作動についてです。もし衝突を感知したら、まずシートベルトが体に密着するまで巻き取り、それからロックされるのであればこの代車でも問題ないかもしれないのですが、単にその衝突時の状態でロックされるだけなら「たるみ」の分だけ体が前方の飛び出すことになります。
答えはやはり衝突した時点での状態でロックされるだけだとのことでした。今では事故を予測したら事前にシートベルトを巻き取って、体をシートに固定するような車もあるくらいですので、「たるみ」が多いとフロントガラスにぶつかってしまうなど、シートベルトの効果が激減するということでしょう。それで代車の状態を伝えると、すぐに別の代車を持ってきました。その場で最初の代車を確認して、「これはダメですね」とのことです。
実は半年前の点検でも同じ状態だったので、代車を返すときにそのことを伝えたのです。ひょっとして、その時と同じ車ではないかと思っていました。
点検が終わって受け取りに行ったときに担当者に尋ねると、最初の代車はすぐにシートベルトの巻き取り装置を交換したとのことでした。そして、やはり半年前と同じ代車だったのです。でもおじさんが不具合を指摘したことについては、対応してくれた人がうまく社内に伝えていなかったとのことで、そのことも注意をしているとのことでした。
今回のことでもう一つ気になったことがあります。少なくとも私が指摘した前回の点検からの半年間はシートベルトの効果が十分でない車に何十人かそれ以上の人が乗っていたということです。誰も気がつかなかったのでしょうか。それとも気がついていながら何も言わなかったのでしょうか。
今回のような不具合はそうそうあることではないでしょう。でも自動車が原因での重大事故も起こっていますし、欠陥によるリコールもよく耳にします。シートベルトをつけさえすれば良し、というのではなく、正しい位置にきちんと装着するのはもちろんですが、どんなに体を動かしても常に「たるみ」がないように巻き取られているかや、たまにはシートベルトを素早く引っ張ってみて、きちんとロックされるかどうかを確かめることが必要かもしれませんね。