今回の調査で使われているのは、電子調査票収集システムというようです。それを利用するメリットとして、
@ 調査事務の合理化
紙の調査票への転記や郵送作業が不要となり、
修正も簡単にできます。
A 入力漏れや誤入力の自動チェック
自動演算により数値の入力箇所が減少することや、
誤記入の自動チェック等ができます。
と書かれていましたが、「ウソをつくな!」と言いたいところです。
今回のおじさんの場合であれば、調査用紙に書き込むのに数秒ですので、封筒に入れて宛名を書いて、近くのポストに投函しに行ったとしても15分もあれば全てが終了します。これまでのように市の教育委員会に提出するのであれば、連絡用の封筒に入れて何課宛かだけを書いて校内の所定の棚に入れるだけですので、ほんの数分の作業なのです。
情報機器を利用して余分な手間を省くのは大いに賛成です。おじさんは十年以上前からそのようなシステムを考え、自分でできる範囲は改善してきました。だからこそ今回のようなシステムには疑問と不満を感じるのです。
インターネットを利用して回答するということは、メールも利用できるということです。例えばエクセルのファイルに学校名や前年度のデータ等、それぞれの学校に必要な情報を入力して回答用のファイルを作成する。そして「土佐龍馬中学校.xls」のようにその学校を特定できるファイル名を付けてメールに添付して送信する。
エクセルのファイルであれば紙の調査用紙に記入するのと同じ感覚で入力することができます。当然合計などは勝手に計算してくれます。途中で中断して、後日修正することも問題ありません。マクロを使えばデータのチェックも詳細にできます。あとは送られてきたメールに入力済みのファイルを添付して返信するだけです。
調査する側では返信されたデータをデータベース等に読み取って集計する。もちろん調査する側の操作は全て自動で行います。これぐらいの処理はおじさんでもプログラムを組むことができます。
インターネットを利用してオンラインで直接入力するというのは、メールでやりとりするよりもずっとすっきりとしていて合理的なシステムだと思えるかもしれません。でも、回答を入力するためだけにマニュアルを読んで手順を理解しなければならないというのは無駄なことではないでしょうか。
それが頻繁に行う必要のあることで、一度理解すれば続けて利用できることなら最初の手間は仕方ないでしょう。でも年に1回程度のことなら一度理解しても次の年には忘れています。しかも次の年には方法が変わっているかもしれないのです。
また今回のシステムはとても分かりにくかったのです。ブラウザにこのシステム専用のアドレスを入力すると、IDとパスワードを入力する画面が表示されます。そこに仮IDと仮パスワードを入力しても受け付けてくれません。マニュアルを見るとその下にある「仮認証入力画面へ」という文字をクリックしなければならなかったのです。それで、仮IDと仮パスワードを入力する画面に移動するという手順です。
インターネット上で会員登録するシステムと基本的には同じようなことをしていると思うのですが、会員登録の場合などはマニュアルを見なくても理解できます。そうでないと会員登録してくれないので、企業としてはより分かりやすいシステムを研究するのでしょう。
でも、今回の調査は必ずやらされるのです。言い換えれば調査する側にとっては必ずやらすことができるということです。だからどんなに面倒な手順であっても、分かりにくいマニュアルを時間をかけて読ませても、その事は問題としないのでしょう。
文部科学省の調査で学校のパソコン環境に関する調査があります。これも何年か前からオンラインで入力するようになったのですが、これは今回の調査以上に問題のある、怒りさえ覚えるようなシステムです。これについてもまた書いてみたいと思っています。
このどちらにも共通するのは、調査する側には労力の短縮や集計作業の正確さなどのメリットがあるけれども、回答する側には。余計な負担が強いられているだけだということです。
単純に考えてみます。今回の調査でおじさんは1時間以上の時間を費やしました。せいぜい10分もあれば終わるような作業にです。
おじさんが調べた範囲ではこの調査に関わったのは全国の公立小中高等学校、特別支援学校、専修学校など43117校になります。仮に今回のシステムのために各校で20分余分に費やしたとします。そうすると全体で14372時間も費やしたことになります。もしこれが30分かかっていたとしてら、21559時間にもなるのです。
1日8時間の勤務で、祝日や有給休暇を除くと1年間で約1800時間の勤務となります。つまり8人が1年間働く時間以と同じなのです。年収400万円とすると、何と3200万円のロストいうことになるのです。
とても無駄なシステムだと思うのですが、いかがでしょうか。