5年ほど前のことだったと思います。その頃の同僚から「大洲(愛媛県大洲市)に美味しいわらび餅があるそうですね」と言われたことがあります。
おばさんは大洲の出身ですし、おじさんも結婚する前から大洲に縁がありました。だから大洲のことはある程度知っているつもりだったのですが、わらび餅のことは聞いたことがなかったのです。
大洲でお菓子と言えばまず「しぐれ」です。「しぐれ」を作っている店はいくつかあり、店ごとに特徴があるのですが、わらび餅と間違えることはないはずです。新しいお菓子としては「おはなはんパイ」ですが、これも違います。ロールケーキでもありません。
大洲に帰ったときに家族や友人に聞いてみたのですが、誰もピンときません。わらび餅を作っている店を探して、ここかなと思う店のを買って帰ったのですが、とてもそんなに有名になるようなものではないと思いました。
それから大洲のわらび餅のことはすっかり忘れていたのですが、この前友人の家で飲んでいるときにまた話題になったのです。友人のお母さんが大洲のわらび餅のことを聞いて、「大洲まで買いに行ったけど売り切れていて買えなかった」と言うのです。それで、先日大洲に帰ったときに、また家族に聞いてみました。今回も誰も知らないということだったのですが、ひょっとしたら「月窓餅」のことではないかということになりました。
「月窓餅」も有名なお菓子ですが、おじさん達にはちょっと甘すぎる、高知で言えば「土佐日記」のようなお菓子だという印象を持ってました。それで、しばらく食べてなかったのです。それにわらび餅というと、固めたわらび餅を切り分けてきな粉をまぶしただけのものを思い浮かべていたので、あんの入った「月窓餅」は、わらび餅とはほど遠いものだと思っていたのです。でも「月窓餅」はわらび粉を使っているらしいということを聞いて、そうかもしれないと思ったのです。
それで帰りに量販店のコーナーで見てみると、確かにわらび粉の生地であんを包み、青大豆きな粉をまぶしていると書いてありました。それですぐに買って帰って食べてみました。
美味しいのです。甘すぎると思いこんでいたのですが、わらび粉の生地と良く調和した上品な甘さだと思いました。また青大豆きな粉が独特の味わいを作っているようにも感じました。これなら全国区で話題になってもいいなと思って「村田文福老舗」のホームページ(http://www6.ocn.ne.jp/~bunpuku/)を見てみると、平成13年にNHKの『男の食彩』で放映されたと書かれていました。
最初に書いた同僚は、この番組を見て話題にしたのですね。やっとわらび餅の謎が解けました。