先日「ユナイテッド93」を観てきました。この映画は9.11を扱った映画で、「ドキュドラマ」(ドキュメント+ドラマ)という手法で、現実に起こった事象を再構築しているということです。
2001年9月11日の朝、アメリカン11便が管制センターのレーダーから消え、ワールド・トレード・センター北棟に激突。同じようにして、ユナイテッド175便が南棟に激突。それと平行してユナイテッド93便への搭乗からハイジャックまでが描かれていきます。
さらに、アメリカン77便がペンタゴンに激突、その間に93便の乗客は電話で地上と連絡を取り、ワールド・トレード・センターの悲劇を知り、このハイジャックが自爆テロであること、自分たちの飛行機もどこかのターゲットに向かっていることを確信するのです。
「『我々で何とかしよう』。絶望の中で乗客乗員たちは、わずかな武器を手に立ち上がることを決意した。何もしなければ結果は分かっている。いま自分達にできる最大限のこと、尊い勇気をもって飛行機を取り戻すために・・・。そして、それぞれが地上にいる家族に電話で最後のメッセージを残した。『愛してるよ』・・・・・」 (パンフレットより)
乗客が操縦室に突入し、犯人から操縦桿を取り戻そうとするところで、一瞬画面が真っ暗になり
「 あの日、犠牲になった4機の内、ユナイテッド93便だけは目標に達することなく
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テロップが流れ、幕を閉じました。
普段なら、映画が終わるとすぐに何人かが立ち上がります。そしてそれにつられるかのようにほとんどの人が帰り始めます。でも、このときは違いました。いつもより遅れて3、4人が出て行ったのですが、誰も動く気配がありません。
さらに、しばらくして二人連れが出て行きました。この時もだれも後を追おうとはしなかったのです。残された30名ほどの観客は、タイトルバックが全て終わるまで誰も席を立ちませんでした。
壮大な交響曲の最後の和音が鳴り終わると同時に、「ブラボー」の声とともにわき起こる嵐のような拍手。
あるいは、最後の和音の余韻も消え、静まりきった客席の、どこからともなく始まった拍手が、大きなうねりとなってホールいっぱいに響き渡る。
そんな状況も思ってみたのですが、それとも違う、現実の悲劇に対する重苦しい気持なのか、乗客乗員の勇気と愛が生んだ感動なのか、何がそうさせたのかは分からないけれども、確かに いつもと違う空気が感じられたのです。
そして、タイトルバックの意味を問いかけられたように思われたのです。