甲子園の土

2006年8月20日

今日は高校野球の決勝戦があります。高知からの甲子園出場は最近ずっと一つの高校に絞られていました。その高校の甲子園出場選手のほぼ全員が県外からの選手ということで親しみが持てず、応援しようという気持が薄れていました。でも今年は久々に高知商業が出場するということでテレビ観戦をしました。

高知商業は初戦を突破し2回戦で敗れましたが、どちらも熱のこもった試合で久しぶりに高校野球を楽しむことができました。そのおかげで他校の試合も少し観戦しました。そこで印象に残ったのは試合後のシーンです。

それはこれまでにもずっと見てきた、敗れたチームが甲子園の土を持ち帰るシーンです。何校かのシーンを見ただけなのですが、どの選手もみな同じ大きさの同じような袋に入れていたように思いました。野球のことはよく知りませんが、仮にそれがスパイクを入れる袋だとしたら当然のことですよね。

でも、おじさんが気になったのは袋ではなくて土を入れる動作です。動作というのも適切な表現ではないかもしれませんが、どの選手も目の前の土を掻き集め、両手ですくって袋に入れる、それを何度も繰り返しているのです。

それはあたかも甲子園の敗者の作法であるかのように。そしてその作法が絶対的なものであること伝えるために何台ものカメラが密着して撮影している、そのように思えたのです。

おじさんのイメージでは、敗れた選手が甲子園の思い出に一握りの土をそっと持ち帰るというものでした。その一握りの土は小瓶に入れられ賞状とともに飾られる、あるいは机の引き出しに静かにしまわれる。どちらにしても、その小瓶には甲子園の思い出とともに野球に賭けた情熱や未来への決意など熱い思いが一杯詰まっている。

おじさんの勝手な思いこみかもしれませんが、テレビで見たシーンはそれとは全く別のもののように思えました。でも、今回一つの試合をきちんと観戦してからそのシーンを見ると 「無心に土を掻き集め袋に入れる」 そのこと自体に大きな意味があるようにも思えました。

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