最後の1個が・・・

2006年7月15日

「読みが甘かった? 行列3連チャン」からの続き

ショーケースを見て品定めをして、美味しそうなのを注文するぐらいに思っていたのですが、テレビを見てからその店が気に入り、しっかりと雑誌で研究しているおばさんは「アンブロワジーとアンブルノワを食べよう。」と決めていたのです。

アンブロワジーは菓子の世界コンクールでグランプリを受賞したケーキだそうですが、テレビで見たケーキだと説明されてもおじさんにはさっぱりイメージが浮かびません。どちらにしても、もうすぐ自分たちの番になるからそれからじっくり見てみようとおじさんは気楽に思っていたのですが、おばさんの胸には「売り切れていたら・・・」 という思いがよぎっていたのです。

11時10分頃だったと思います(行列を始めて1時間20分)。やっと店の中に入ることができました。「順にショーケースにお進み下さい。」の声に従ってショーケースの左端に立ちました。

「これがアンブロワジー、これが一番食べたかったの。」とおばさんが指さしました。その時点でアンブルノワのトレイは空になってました。売り切れたのでしょうか。他にもトレイが空のケーキが何種類かありました。

アンブロワジー、それはショーケースの一番左、おじさん達のすぐ前にありました。チョコレート色をしたプリン形の本体を、チョコレートでできているのでしょうか、薄い4枚の羽根(それとも花びらでしょうか)が包み込み、中央に小さな金箔が全体を引き立てているように見えました。そのチョコレート色が光っているのです。黒光り、でもない、とても深みのある、そして透明感のある、とにかく美しく輝いているのです。その輝きはショーケース越しに見てもとても美しく、まさにテレビで見たあの「職人のワザ」だと思いました。

しかし、そのアンブロワジーはあと3個しか残っていないのです。その時になってやっと、おじさんも「ヒョッとしたら・・・」と思ったのです。

今回最初に店に入ったのは男性です。その男性から注文できるということです。「イートインでアンブロワジーと○○。」 と言ったのです。続けてテイクアウトで他のケーキを4個注文しました。イートインも含めて6個までですので、ほとんどの人が最大の6個まで注文しているのでしょう。

その男性の注文が終わってからしばらく間があきました。その間に壁側と窓側にある焼き菓子を品定めしてもまだまだ待たなければならないほどの時間でした。注文のケーキを箱に詰めたり、イートインの飲み物を作ったりで手が足りないのでしょうか。それともイートインコーナーの席の空き具合を見て時間調整しているのでしょうか。「これなら行列が進まないわけだ」と納得しました。

アンブロワジーはあと2個になりました。一人6個までなのですが、同じケーキを2個以上は注文できないということはありません。次の女性が2個注文すればアンブロワジーはなくなってしまいます。そんなことを考えながらの待ち時間は余計長く感じられました。

いよいよ私たちの前の女性、そうです信号待ちで私たちの横を走り抜けていった女性の番になりました。「イートインでアンブロワジーを。」

やはりアンブロワジーを注文したのです。これで残りは1個。テイクアウトでアンブロワジーを注文されるとなくなってしまいます。「○○と○○と・・・」 テイクアウトで4個注文してから、「アンブルノワはないのですか。」「はい、売り切れました。」 そうです、アンブルノワはおばさんの2番目のお目当てだったケーキなのです。

「だったら、テイクアウトにもアンブロワジーを。」

〜 続く 〜

← 前    目次    TOP    次 →