もう10年以上も前のことですが、公園のようなモデルハウスがあるので行ってみようとおばさんに言われました。2人ともよく分からないまま、公園のような場所ということで弁当を持って出かけました。もちろんおじさんはビール付きです。
複数の住宅メーカーによる住宅展示場だったのでしょう。よくは覚えていないのですが、10軒くらいはあったと思います。それがモデルハウスに行った最初でした。でもちょうど休みの日で、モデルハウスの中を見ることはできませんでしたが、敷地内には入れましたのでベンチに腰掛け、ゆっくりと弁当を食べたことを覚えています。
仕事を辞める1年ほど前、ちょうど家を建てようと真剣に思い始めた頃に、職場で配られた生協のチラシが目に留まったのです。それは生協の家の無料相談会のチラシでした。生協の担当者と設計士との3者での相談会があるらしいとおばさんに伝え、行ってみようということで申込みをしました。
それまでにはいくつかの住宅展示場を廻り数十のモデルハウスは見ていたし、本なども見ながら、多少は家を建てるシステムが理解できていました。そこで現実問題として一番気になるのは予算です。坪単価二十数万円からというハウスメーカーも見て、広告上の安さのカラクリらしきものにも気がついていました。
その上で相談会に臨み「生協の家」のシステムが自分達の望むものだと感じたのです。生協に登録している業者を使うので安心できるということもありましたが、何よりも設計士と相談しながら「オンリーワンの家」を建てられるということが気に入ったのです。
住宅展示場を見て廻って廻っている時、あるモデルハウスで写真を見せられたことがあります。相手をしてくれたのは年配の男性でしたが、「他の業者の工事現場で撮影したものですが、これだけずさんな工事をしている工務店もありますよ」と言ってアルバムを開いたのです。基礎の鉄筋が細いもの、柱が短くて基礎まで届いていないもの、接合部がいい加減なものなど、完成したら見えないけれども構造上に問題のあると思われる事例が集められていました。
前に読んだリフォームに関する新聞の特集(朝日新聞 2007.10.2 わが家のミカタ 「非」劇的ビミョーアフターB プロを味方に緊張感を)では、「客との折衝は建築に詳しいとは限らない営業マンが務め、設計は別部門が行う例もある」とのこと。また「施行は下請け任せで、内輪でどこまでチェックするかは会社次第」と書かれていました。さらに「新人がいきなり設計や現場監督をやることもあり、大工の腕が悪くてもやり直せとは言えないなど、指摘は甘くなりがち」とも書いていました。
実際にどれほどそのようなリスクがあるかは知りませんが、設計については色々な思いがありましたので、直接設計士と相談できることは重要なことでした。またその特集を読む前からも施工に対しては不安もありましたので、設計士が工事の監理をしてくれることも大きな魅力でした。ただ、先の記事では「建築士に設計と監理を頼み、施工は別の工務店や大工に頼むのがベターといえそう。ただ、建築士と工務店が『なあなあ』の関係ではやはり不安が残る。」とし、さらに「両者をチェックできる存在が必要」と書かれていました。そこまでするのがベストでしょうが、設計士と工務店のなれ合いに関しては生協が間にいることが一つの保証だと思いました。
しかしこのときの相談会で「生協の家」に頼もうと決定したわけではありません。実は「生協の家」のシステムは、自分がいいなと思う設計士3名と「お見合い」(直接設計士と相談することをこう呼んでいました)をして、その上で1人に絞るということでした。その時は7名の設計士が登録されていたのでその資料を見せてもらい、まず3名を誰にするかが宿題となったのです。
つづく