議会が解散し、人々が去った後、騎士団位階者らは控えの小部屋へと移った。疲労困憊の副長を犒い、一応の解決にほっとしながらも、彼らには幾つかの疑問が残っていたのだ。
「いつからご存じでおられたのですか、カミュー様?」
詰め寄る第一隊長ローウェルは、緊張から解放されたのを素直に喜ぶ気にはなれずにいる。これまで彼を、カミューに負けず冷静なる人物として認識していたマイクロトフは、詮議を通して初めて目の当りにした人間臭さに驚きもしていた。
だが、片やカミューは男の心知らずといった呑気な仕種で小首を傾げる。
「いつから……、と言われてもね……」
そうして、やや表情を引き締めて記憶を探り始めた。
「最初に妙だと思ったのは、医師団の見解を聞いたときかな。突然死などと名付けてはいたが、たいそう不思議がっていたんだ。まるで予兆はなかったのか、と」
「予兆……」
「例えば、興奮のあまり急死するという事例も世間には稀にあるらしい」
そこで一同の目がちらとマイクロトフに向く。何かと頭に血が昇り易い男を揶揄混じりに案じたのだろう。憤慨して抗議し掛けたが、かろうじて思い止まるマイクロトフだ。それでは彼らの懸念の実行になってしまう。
「でも、これは若い世代には起きにくい症状らしいんだ。訓練自体は普段と変わりなかった訳だし、特別興奮するような理由もない。あの歳で何ら予兆なく死亡するなど怪訝に尽きる、医師たちはそう首を捻るばかりだったんだ」
健康を保証された身が、僅か一月半で死に至った原因は如何なるものか。叶うなら、医師団も入念に死因を調べ上げたいところだった筈だ。だが、遺族への配慮から腑分けが躊躇われ、結局は原因不明の突然死として片付けるしかなかったのである。
「そこへ来て、ミゲルの緘黙だ」
「おれ、……ですか?」
ぽかんと不思議そうに目を見張る部下にカミューは優しく微笑んだ。
「配下の騎士の死───普段のおまえなら、ロイスの不調を見抜けなかった自分の迂闊を責めて、それは大騒ぎしただろう」
「…………」
「でも、おまえは何も言わなかった。拘束される直前に呼んだときにも、わたしの目を見ようとしなかった。だから薄々感じていたんだ。少なくとも、おまえが彼の体調不良には気付いていたのではないか、とね」
そこでカミューは、部下たちが葬儀準備を整える間に、叙位時の診断書を作成した医師に話を聞いてみようと思い立った。
ところが、肝心の診療所が見つからない。いよいよもって訝しく思い始めたところへ、今回の告発が行われたのだ。
そこに至って腹心の男を使っての諜報が開始された。副長ランドは、ここ数日というもの城にも戻らず、医師の捜索に尽力していたのだった。
診療所を構えた医師から、果ては資格を持たずに治療の真似事をする輩まで、調査の網はロックアックスに留まらず、領内すべての村々へと及び、やがて思わぬところから情報が転がり込んできた。
十五年も前に現役を退いた医師が、ここ暫く定期的に危険な薬を入手している──。
こうした諜報活動にはランドの真価が遺憾なく発揮される。ロックアックスの裏の裏まで知り尽くし、密やかな闇に生きる連中にさえ友好と情報を与えられる穏健なる騎士。店頭には出回らず、怪しげな売人の間で遣り取りされる薬物の流れも、彼ならば思うままに掴み得ることが可能なのだ。
自らも薬学に造詣が深く、取り引きされる薬の効力を知り得たランドは、そうして終に『鍵』に辿り着いたという訳だった。
ロイスの為人を示された老人は、最初は知らぬ存ぜぬで通していた。
だが、洞察に秀でた副長の目は欺かれなかった。追求を重ね、最後に少年の死を明かしたところで老人は陥落した。観念したというよりは、短い間だったとは言え、精魂を傾けて向き合った患者の死に打ちのめされたといった様子であった。
斯くて事情こそ明らかになったものの、議会での証言は拒まれた。少年が守ろうとした秘密を衆知にするのを躊躇ったのだ。
それでもランドは根気強く説得した。上官である騎士隊長が窮地に立たされていること、そういった事情ならば、おそらくは沈黙で通すであろう若者を救えるのは老人の証言のみであると訴え続けた。
終に老医師が重い腰を上げたのは、議会当日になってからだった。
「カミュー様はいつ事情を知られたので?」
未だ釈然としない面持ちのローウェルに、カミューは軽く肩を竦めた。
「昨夜遅く、文でね」
「手の空いているものは使って良いと仰せだったのでな、非番の騎士を交替で連れ歩いていた。だから早馬を送ることが出来たのだよ。文を書いた時点では証言の確約は得られなかったが、取り敢えずは事情だけでもお知らせしようと思ってな」
懇切丁寧なランドの説明も何ら救いにはならなかったようだ。第一隊長は頬を引き攣らせたまま、愚痴めいた呻きに終始する。
「……伺っておりませんぞ。何ゆえわたしにはお教えくださらなかったのです?」
ぷるぷると拳を戦慄かせる男をすまなそうに一瞥し、カミューは嘆息した。
「書状の様子から見るに、あの御老人が証言に立ってくれるかどうか五分五分だったからね。悪戯に期待を持たせるのもどうかと思って……」
「そのような……!」
まあまあ、と珍しく宥める立場に回ったマイクロトフが苦笑混じりに言う。
「ミゲル自身の証言を引き出せれば、それに越したことはないとも考えたのだろう?」
「まあね。ローウェルの必死の様を見て、胸を痛めて白状するかと期待したんだが。こうまで口が固いとは、些かわたしも読み違えたよ」
そのために事情を明かさず、緊張の渦中に置き去りにしたのか───騎士たちは心底、第一隊長の苦悩を慰撫したい思いだった。当のミゲルは、心底バツが悪そうな面持ちで、何とか自制を保とうと努めるローウェルをちらちらと窺っている。
「こちらが事情を把握して訴えたところで、当事者の証言がなければ、結局は『信憑性に疑問あり』で片付けられてしまう。もしも医師殿の説得を果たせなかった場合は戦法を変えねばならない。だから、その際にはそうした報が届く手筈だったんだ」
でも、とカミューは苦笑する。
「御本人は来ないし、説得失敗の連絡も来ない。はらはらしたよ」
「……そうは見えなかったぞ」
知らずマイクロトフは赤騎士隊長の代弁人を勤めていた。頓着せずにカミューは続けた。
「もし証言が叶わなかったときには、ミゲルを落として、その上で手持ちの札を出すつもりだったんだ。二つの証言が重なれば議会も無視出来なくなる。そうして裁決の日延べを得られれば、改めて医師殿を説得するだけの時間が稼げるだろう?」
「ミゲルを陥落させるための切り札が、ローウェル殿に囁いたあの一言だったのだな?」
「そう。札は最大限に活かされたようだね。おまえだから出来たことだよ、ローウェル」
敬愛する騎士団長の美しい笑顔に直面しては、もはや第一隊長も黙るしかなかった。これも信頼のかたちなのだと無理矢理自身を納得させ、ローウェルは渋々ながらの礼を取る。こちらが納まったのを見て、マイクロトフは更に重ねた。
「議場に来た赤騎士は医師殿の到着を知らせる先触れだったのだな」
「……と言うか、ランドが御老人を背負って城を目指しているという急報さ。あまりにも異様な光景に、交替を申し出るのを忘れてしまったと悔いていた」
吹き出したカミューに副官も失笑を誘われる。
「ここまで来たら見届けねば、と……交替を促されたところで、他の者に医師殿を預ける気にはなれませんでしたな」
そこまで黙して聞いていたミゲルが、しょんぼりと頭を下げた。
「副長……お手間を取らせてすみませんでした」
「それは良いが、わたしがあの御老人を背負って四苦八苦していたと知れ渡るのは避けたいものだな」
「甘やかしてはなりませぬ」
何処までも寛容に過ぎる壮年の上官にローウェルは憮然とする。冷ややかな視線が年下の騎士隊長を睨み据えた。
「良いか、ミゲル。今回はランド様だったからこそ勝ち札に辿り着いてくださったようなものの、幸運が続くとは限らぬのだぞ」
「ミゲルにとっては必ずしも勝ち札ではなかったかもしれぬがな」
だが副長は、そう言って慈愛混じりに若者を見る。
「事情を知り、医師殿が約束を守ろうと努めるのを見て、おまえも同じ道を辿ろうとしているのだと察した。死してなお生き続ける部下との誓いを壊して良いものかと、一瞬だけ迷った。しかしな、ミゲル」
大きな掌が励ますようにミゲルの肩を叩いた。
「議場でカミュー様が仰せになったように、わたしも思ったのだよ。親御殿の悲しみに憎しみを重ね合わすなど、決して故人は望んでいなかった筈だとな。彼はおまえに見守られて思うまま生き抜いた。そんな最後の幸せを、親御殿も知るべきだと思ったのだ」
「幸せ……だったんでしょうか、あいつは」
弱い呟きをマイクロトフが断固として一蹴した。
「おまえが信じずにどうするのだ。そこを否定するのは、おまえが選んだ道を否定することに等しいのだぞ。議場で豪語していたではないか、叙位されたばかりであっても騎士は騎士───おれもそう思う」
そこで幾分表情を硬くしたカミューが割り込む。
「でもね、一つだけ言っておかねばならない。今回のおまえの選択は、部隊指揮官としては褒めてばかりもいられないものだ」
「団長……」
控えの間の粗末な椅子に優美に腰を下ろした赤騎士団長は、それまでの軽い調子を掻き消して、深淵なる威風に包まれた。
「指揮官は常に大局を見なければならない。一に固執して他が疎かになってはならない。これが戦時下ならどうだ? 筆頭小隊に力量の劣る、しかも病人を抱えて、果たして無事で済んだと思うかい?」
「それは……」
「騎士として死に臨みたいと願ったロイスの心は理解出来る。だが、そのために他の騎士が危険に曝されるような事態は、断じてあってはならない」
ミゲルとて部隊長としての経験は浅いのだ。部隊が万全であっても、指揮を執るには不馴れが付き纏う。そこへきて余計な意識を払わねばならない存在など、足枷以外の何ものでもない。
「おまえのつとめは部隊を最大限の力で護ることだ。より多くを護るため、捨てるものを選ばねばならない、それも位階者の責務の一つだよ」
「……分かっています」
密やかに拳を戦慄かせ、ミゲルは項垂れた。
切り捨てねばならなかった───部隊全体を思うなら。
大きな任が与えられれば危険因子にしかなり得ぬ少年。感傷じみた懇願などは非情に徹して退ける、それが部隊長としての役目だったと痛いほどに理解している。
けれど、出来なかった。
残された命を縮めてなお、騎士でありたいと願う心はミゲルも同じであったから。
仲間と並んで未来へと進み続ける、その道程にある死こそが気高く尊いものであると、ミゲル自身が思ったから。
「……ミゲル」
唇を噛み締める部下を見詰めてカミューは言った。
「我らは位階という栄誉の裏に、部下の命を負っている。護るばかりではなく、死地に向かえと命じる非情を貫かねばならないときもある」
でも、と彼は幾分表情を和らげた。
「人の生死を与る以上、冷徹に染まり切ってはならないとわたしは思う。たとえ武力や英知に優っても、どれだけ確固たる信念を持っていようと、捨てざるを得ぬものに何ら迷いや未練を抱かぬ騎士隊長など、わたしはいらない。犠牲を悼み、それでもなお屈さぬ毅き心───団長として、わたしがおまえたち隊長位階者に求める資質はそれだけだ」
「カミュー団長……」
最後に彼は、常なる穏やかな笑みを浮かべた。
「一個人に肩入れして馴れ合った、その部分では騎士隊長として減点だ。けれど、一人の騎士を誇りに殉じさせてやった点で相殺、そんなところが今回のわたしの見解かな。どうだろう?」
同意を求められたマイクロトフは即座に頷いた。
カミューが述べたのは、何も騎士隊長職にだけ通ずる資質ではない。彼らを束ねて頂点に立つ騎士団長、そこには更なる過酷が立ち塞がる。誰よりも数多の騎士の生命を負わねばならぬ身に、粛々たる決意が広がっていた。
「……おれは」
ふと、切なげな声がミゲルの口を吐いた。
「覚悟していたつもりでした。部隊を与った以上、いつかは部下と呼ぶものの死に向き合うときが来る。戦場でそれを必要とされたら、怯まず命じねばならない、と」
でも、と彼はきつく目を閉じた。
「あいつには間近に死が用意されていて、それがどうしても理不尽に思えて……せめて最後の望みくらい叶えてやりたかったんです」
「……それで良い」
副長ランドが静かに応じる。
「この先、おまえは多くの部下の死と相対すだろう。慣れてゆかねば己が潰れる。然れどミゲル、我らは騎士であり、同時に人だ。決して死に慣れ切ることなど叶わぬ」
「痛みを飲み込み、より毅い力と変じてカミュー様をお支えする、それが我ら位階者に与えられた使命だぞ」
強い口調で言い切った第一隊長を可笑しそうに眺め遣ってカミューが言った。
「とは言っても……ローウェル、おまえが狼狽するのを久々に見た気がするよ。これは『一個人に肩入れする』に相当するのかな」
すると彼は渋い顔で向き直った。
「それはあまりな御言葉ですぞ、カミュー様。例の切り札ではありませんが、わたしには此奴を隊長職に推した責任というものが───」
切々と言い募る男を、だがカミューは笑って往なす。
「いいさ、他団者でありながら居ても立ってもいられなかった男がいるくらいだしね。ミゲルに関しては、我らが総出で肩入れして何とか均衡が保たれる気がする。それが彼を騎士隊長に任じた我らの責任ということで、腹を括るとしよう」
言われた言葉の意味を吟味しているのか、ミゲルは複雑そうに思案している。一方、波乱に終始した詮議を思い返しながら深々と頷いたマイクロトフが若者に低く囁いた。
「おれはともかく、ローウェル殿には心から詫びておくべきだと思うぞ、ミゲル」
推挙した立場などとは無縁の、ただただ純粋なる顧慮から目を背け、挙げ句、『弁護は不要』と突っぱねた。さすがにまずいと感じたミゲルは、引き攣りつつも男に向き直った。
「……すみませんでした、ローウェル隊長」
恐る恐るといった顔で一礼する若者を、じろりと睨む目は薄暗い。事情を隠匿し続けた騎士団長に対する蟠りは解けても、こちらに対しては譲るつもりがないのである。
「───貴様には言いたいことが山ほどある。覚悟しておくがいい」
「はあ……」
苦笑がちにカミューが補足する。
「ついでだ、ローウェル。議場での物言いも指南してやるといい。抑えていた反動なのは分かるが、赤騎士団の品位が疑問視されたのは確実だと思うよ」
議員らへは無論のこと、敬愛する青年に対しても相当に語調を荒げたミゲルである。もはやこれ以上ないほどに身を竦め、彼は小声で陳謝した。
「重ね重ね、すみません……」
やや不穏を孕んだ、だが和やかでもある終幕を迎え、改めて一同は長い息をついた。
事の成り行きを案じているであろう第十部隊の騎士らには部隊副官が報告を果たしている頃だろう。
メイエ夫妻はロイスと同期の少年騎士に、老医師は彼の最後の鍛練相手に、それぞれ送らせた。
同じ年頃の騎士を見て夫妻の悲しみは募るだろうが、幸福だった故人の逸話でも過れば、僅かなりとも痛みは拭えるかもしれない。
老医師の取った行動は幾つかの罪にあたるが、告発自体が消えた今、不問に処すというのが議会の結論であるようだ。
老いた身で罪に問われようと悔いはないが、少年との約束を果たせなかったことだけが心残りだ───そう語った老人の覚悟に、さしもの議員らもほだされたのだろう。文書偽造や劇物の取り引きといった件には一切触れようとせぬまま、議長は解散を宣言したのだから。
すべては終わった。
ただ一人、若い騎士が失われたのを除いて、再び日常が始まるのである。
永遠の夢の中へと旅立った少年を思い、短く瞑目した後、カミューは部下たちに向き直った。
「御苦労だったね、ランド。明日は一日ゆっくり休むといい。ミゲル、おまえは心痛を与えた罰で、これからローウェルの部屋の床磨きだ。ローウェル、おまえにも休息が必要だろうから、ミゲルの仕事ぶりでも見物するといい」
公然と説教の機会を与えられた男がにんまりと若い騎士隊長を見遣る。多大なる責任を感じるミゲルは、ひたすら平身低頭で無言を貫くばかりだった。
促しに応じて三者が部屋を出ていくと、最後まで漂っていた仄かな緊張が柔らかく霧散した。マイクロトフは息をついて背もたれに沈んだ。
「それにしても、人を束ねるとは難しいものだな。おれには今回のミゲルほど、部下と深く接することが出来るかどうか……」
「位階が上がって責任が増す分、一人一人には目が届かなくなる。それはどうしようもないさ」
でもね、とカミューは笑う。
「だからわたしたちには信頼出来る『目』と『耳』が必要なんだ。我々の目が届かねば副長が、更には部隊長、部隊小隊長……常に下を見守る『目』があれば、それはわたしたちが見ているのと同じだろう?」
「そのために選んだ男を否定されるのは許せなかったか、カミュー?」
揶揄の調子で問うと、挑発的な瞳が応えた。
「当たり前だ。ただ、今回はそれだけではなかったけれどね。議場で口にしたのも、偽らざるわたしの気持ちだ」
死んだ少年が抱え続けた秘密を暴いたのは、決してミゲルを守るためばかりではなかった。
ロイスは告白によって目の当りにせねばならない両親の嘆きを恐れ、遠からず現実となる涙を恐れ、愛ゆえに沈黙を選んだ。それが慕わしい上官を危地に落とすと予見出来なかったのは子供らしい穴だったに過ぎない。
愛し子を亡くして慟哭し、恨みに縋って自身を保とうと努める夫妻を前に、カミューは確信した。これは断じて少年が望まなかった筈の事態、悲しみに悲しみを上塗りするだけの構図だと。
同時に、喜ばしくもあったのだ。
暴れ馬とすら呼ばれる破天荒な騎士ミゲルが、己を捨ててまで人の心を慮るほどに成長した姿は、彼を隊長職に任じたカミューを何よりも満足させた。
部下たちを見ても、ミゲルが絶大なる求心力で部隊を率いているのが分かる。信念、そして慈愛。伴侶たる青騎士団長同様に、これほど指揮官の器に相応しい才覚が他にあるだろうか。
───ただ、平騎士降格後も位階を望めると考えていたのには、心中で『馬鹿』と呟くしかなかったが。
「マイクロトフ、おまえも戻って副長殿に御報告するといい。ロックアックス法議会が『位階者の資質』について詮議することは今後おそらくないだろう、とね」
最後にカミューは、部外者でありながら我がことのように詮議の行方に一喜一憂していた青騎士団長に向けて、柔らかな笑みでそう締めた。
← BEFORE