日本刀の歴史 |
古刀の部
鎬造りで反りのある日本刀の姿は、直刀時代であった上古刀期を経て平安中期を過渡期とし、平安中期の中頃(10世紀末頃)に出来上がったと考えられています。これは古剣書の言う永延(987年-989年)の頃で、山城国に三条宗近(むねちか)、備前国に友成(ともなり)や正恒(まさつね)などの名工が現れて数々の名刀を作ったとされる頃ですが、これは古剣書の時代誤認であり、これら現存する在銘の日本刀を作った刀工の出現は平安後期に入ってからとなります。
一般的に上古刀は考古学の範疇(はんちゅう)とみなされますが、日本刀の姿は平安中期に突然現れたものではなく、上古刀が時代の変化にともなって変化して日本刀に至ったのです。上古刀の部でも開設しました通り、古墳時代には日本刀の原型は既に完成していたのです。
古刀の部では、どのような時代背景の中で日本刀の姿が変化していったのかを解説します。また、古刀期の日本刀を知るうえで重要な五箇伝(ごかでん)の各伝法がどのように変化していったかも解説します。なお、古刀期は600年以上もの長きに渡り、その時代時代によって日本刀の姿も変化しますので、古刀の部は各時代ごとに別ページに分けて解説します。