翻訳へもどる 再発したとき      When Cancer Returns



目 次
1.再発の知らせを受けたとき
2.なぜ、どこにガンは再発するのか
3.主体性を持つ:介護と治療
4.治療の副作用に対処する
5.あなたの気持ちへの対処
6.目標を持つ
7.家族と友人たち
8.意義を見出す
9.経験を生かす
10.用語集
11.各種問い合わせ先
12.その他の参考資料



第1章 再発の知らせを受けたとき 
(もどる)  心の奥深くでは、あなたはガンが再発するのではないかと恐れていたことでしょう。そしてあなたは今、『どうして、また、自分にこんなことが起こるのだろうか。十分な治療を行ったはずではなかったのか。』と、考えていることでしょう。
 あなたは、ショックを受け、怒り、悲しみまたは怯えていることでしょう。多くの人がこのように感じます。しかし、今のあなたは以前にはなかったものがあります。それは経験です。あなたは一度ガンを乗り越えています。あなたは期待と希望を持つことの意義をよく知っています。
 また、最初にガンが発症してから治療が向上していることを忘れないでください。新薬や新療法が治療を手助けし、または副作用の治療に役立つ可能性があります。実際に、現在、ガンは何年もかけて治療する慢性疾患であると考えられる場合が多いです。
“ガンが再発したとわかったとき、ただ呆然としました。最初、この事実を受け入れるのは辛かったのですが、2、3週間後、あらゆる治療選択肢および自分自身で出来ることに目を向け始めました。そうすることによって、ある程度、平常心を取り戻すことができました。”

“1分前までは全てが順調でしたが、主治医がガンの再発という爆弾を落としました。ほんの5分で、私の人生はまた一転しました。”
−ドロシー



第2章 なぜガンは再発するのか?

(もどる)
 “私は呆然としました。ガンは完全に消え去ったと思っていました。私は普通の生活に戻りつつありました。さらに驚いたのは、ガンが別の場所に再発していたということです。しかし、どの部位に再発したかは問題ではありませんでした。とにかくガンが消えてなくなってほしかったのです。”−ロナルド−
 ガンが再び発症することを、医師たちは再発(または再発ガン)と呼びます。あなたが知っておく必要があるのは次のことです。
 再発ガンは、最初の治療で完全に除去されなかったか、もしくは破壊されなかったガン細胞から始まります。ガン細胞のいくつかは、小さすぎて追跡調査では確認されなかった可能性があります。これは、あなたの受けた治療が間違っていたというわけではありません。また、あなたが何か間違ったことをしたというわけでもありません。つまり、単にごくわずかのガン細胞が治療に耐えて生き延びたということです。これらのガン細胞は時間をかけて腫瘍またはガンに成長したため医師がようやく発見できたのです。
 ガンが再発した場合、常に体の同じ部位に発症するわけではありません。例えば、大腸ガンの場合、肝臓に再発する可能性がありますが、それでもそのガンは大腸ガンと呼ばれます。最初に発症したガンが新たに別の部位に広がったとき、転移と呼ばれます。(下記の「ガンが再発する可能性のある部位」を参照。)
 最初に発症したガンと関係のない、完全に新しいガンが発症する可能性はありますが、頻繁に発症することはありません。再発ガンのほうが一般的です。
ガンが再発する可能性のある部位
医師は、ガンがどの部位に発症したかによって再発ガンを定義します。再発の種類は以下のとおりです。

*局所再発ガン:最初のガンと同じ部位または非常に近い部位に発症したガン。
*領域再発ガン:腫瘍が、最初にガンが発症した部位の近くのリンパ節もしくは組織で成長
           した場合。
*遠隔再発:この場合、ガンは最初に発症したガンの部位から離れた器官または組織に広
        がった(転移した)状態。

 局所再発ガンは、領域再発ガンまたは遠隔再発ガンよりも治療が簡単であると言えますが、患者によって異なる可能性もあります。治療選択肢については主治医と相談してください。



第3章 主体性持つ: ケアと治療
(もどる)
 再発ガンは、生活のいたるところに影響を及ぼす可能性があります。あなたは脱力感を覚え、自分にはなす術がないと感じるかもしれません。しかし、そのように感じる必要はありません。あなたは自分の治療や意思決定に参加することができます。自分の治療について決断をする際には、担当の医療チームやあなたの愛する人達と話し合うこともできます。このように、主体性の実感と幸福感を得る手助けとなるでしょう。

医療チームと話し合う
 “何か起きた場合に備えておきたいので、私はいつも質問をたくさんします。私を看病してくれる人たちは皆、心から私のことを思っているのだと本当に信じています。しかし、私がどんなことでも質問をしなければ、私の疑問に答えることを怠ってしまうのではないかと心配しています。” −ボニータ −

 ほとんどの人には、患者を救うために連携する医療関係者からなる治療チームがあります。この治療チームには、医師、看護師、ガン専門のソーシャルワーカー、栄養士またはその他の専門家が含まれます。人によっては、治療の選択または副作用について質問しない患者もいます。そのような人たちは、医師は質問されるのを好まないと考えていますが、そんなことはありません。医師の多くは患者に自らの治療に関わってほしいと考えています。医師たちは心配な点について患者と一緒に話し合ってほしいと思っています。

医療チームと相談する話題は次の3点です。
・ 痛みまたはその他症状:あなたが感じていることを正直に、そして率直に話しましょう。
 もし痛みがあれば医師にその旨や、痛みを感じる個所も伝えて下さい。痛みを和らげる
 方法で期待することを医師に伝えましょう。(痛みまたはその他症状に関する詳細は
 第4章を参照のこと。)

・ コミュニケーション:自分の治療について詳しく知りたいと思う人もいれば、最小限しか知
 りたくないという人もいます。ガン患者の中には、自分の家族にほとんどを決断してほしい
 と思う人もいます。あなたはどうでしょうか。

  自分が何をどれだけ知りたいか、そして自分が十分な説明を受けたのがいつであった
 か考えてみましょう。自分にとって最も無理のない選択をしてください。そして、主治医およ
 び家族に自分の希望を伝え、彼らがあなたの希望に沿ってくれるよう頼みましょう。

・ 家族の希望:中には、ガンと向き合うことが難しい家族もいるでしょう。彼らは病状がどれ
  くらい進行しているのかを知りたくありません。家族がどの程度知ることを望んでいるか
  を知り、必ず医師および看護師に伝えて下さい。これはできるだけ早い時期に伝えてお
  きましょう。家族の希望を知ることによって、あなたの愛する人たちとの摩擦または苦痛
  を避けることができます。(あなたの愛する人たちとの話し合いについての詳細は、「家
  族や友人」を参照のこと。)

(もどる) 医療チームと話し合うためのその他のアドバイス
“ノートは必要です。なぜなら、病院へ行き、医師たちが何かを言っていても、あなたは怯えているため何も耳に入らず、また家に戻っても彼らの言ったことが思い出せないからです。”                                               −ジェイク-

・ あなたが必要としていること、疑問、心配な点を率直に話して下さい。医師の説明を聞き
  返したり、説明を求めることを恥ずかしがらなくていいのです。

・ 診察の際に医師から手渡された書類および検査結果は、すべてファイルに綴じるか、
  またはノートに書いて残しておきましょう。毎回の診察には、そのファイルを持って行って
  下さい。また、診察日のことを日記などに記録してください。服用した薬および受けた検
  査を記入しておきましょう。そうすれば必要な時に自分の記録を見ることができます。
  この方法は、特に初めて新しい医師と会うときに役に立つと多くの患者は言っています。

・ 自分が何を聞きたいのかを思い出せるように、主治医と会う前に質問事項を書き留めて
  下さい。(下記の医師または看護師への治療選択肢に関する質問事項を参照のこと。)

・ 家族または友人に病院へ一緒に行ってくれるように頼んでみましょう。診察時は感情が
  不安定になる瞬間でもあり、あなたは医師の言っていることに集中することができなく
  なるかもしれません。同伴者がいれば、冷静な判断力で質問する手助けをしてくれるで
  しょう。また、他の誰かがメモを取ってくれれば負担も少なくなり、家でそれを見直すこと
  ができます。

・ 会話をテープにとってもよいか主治医に尋ねてください。

・ 結果について話をする前に着替えをしときには、医師に伝えてください。ガウンまたは
  ローブ姿では落ち着かず、医師の話に集中できないという人もいます。

治療の選択肢 
 再発ガンの治療の選択肢は多くあります。どのような治療を受けるかは、ガンの種類および以前受けた治療によってある程度決まります。また、ガンがどの部分に再発したかによっても決まります。 いかにその例をあげておきます。

・局所再発ガンで最も多い治療法は、外科手術または放射線療法でしょう。つまり、医師が
 腫瘍を除去または放射線で破壊するということです。

・遠隔再発は、化学療法、生物療法または放射線療法で治療する必要があるでしょう。
 (詳細は、NCI 小冊子Radiation Therapy and You『放射線療法とあなた』および 
 Chemotherapy and You『化学療法とあなた』を参照のこと。)

 治療のあらゆる選択肢について主治医に質問をするのは重要なことです。同様に、あなたはセカンドオピニオンを得たいと思うかもしれません。また臨床試験もひとつの選択肢であるかどうかを医師に確認したいと思うかもしれません。

セカンドオピニオンを得るべきか
 患者の中には、セカンドオピニオンを求めた場合、医師が気を悪くするのではないかと心配する人もいます。通常、医師は気を悪くしません。医師の多くはセカンドオピニオンを歓迎していますし、多くの医療保険会社はセカンドオピニオンの診療費の支払いをします。

 セカンドオピニオンを得る場合、医師は1人目の医師の治療計画に同意するかもしれませんし、あるいは別の治療法を提案することもあります。いずれも場合も、あなたはより多くの情報が得られ、自分が主体であることを感じるでしょう。自分の選択肢について検討したのだと分かっているので、あなたは自分の決断に確信が持てるでしょう。

((もどる) 臨床試験  
 より効果的にガンを治療する方法を見つけ出すための調査研究を治療の臨床試験といいます。日々、臨床研究からさまざまな治療法についての新しい情報が得られています。
 臨床試験はそれぞれ、臨床試験の参加者についての規定があります。その規定には、年齢およびガンの種類などが含まれます。また、初めに受けた治療および再発ガンの部位が指定されることもあります。
 臨床試験には恩恵もあればリスクもあります。あなたが臨床試験参加について決断を下す前に、主治医はそのことを伝える必要があります。

 臨床試験には、次のように、それぞれ異なる試験相があります。

・第1相臨床試験:安全な投与量と投与方法を調査する。

・第2相臨床試験:新薬または新療法にガンがどれくらい反応するかを確認する。

・第3相臨床試験:認可されているガン治療(標準治療)と研究者が標準治療よりも効果的
 であると思われる新療法を比較する。
 臨床試験に参加することは、あなた自身または将来ガンを発症する人たちを救うことになるでしょう。しかし、臨床試験にかかる費用が必ずしも保険制度および管理ケアプランで適用されるわけではありません。適用されるかどうかは、プランおよび臨床試験によって異なります。臨床試験についての詳細は、担当の医療チームに相談してください。
 臨床試験についての詳細は、NCIのパンフレット、If You Have Cancer: What You Should Know About Clinical Trials(ガンを発症した場合、臨床試験について知っておくべきこと)を参照のこと。

医師または看護師への治療選択肢に関する質問事項
 医師または看護師に尋ねる大切な質問を考えておきましょう。

・自分にはどのような治療が選択できるか?
・どの治療が私に提案されるのか?
・提案された治療法と今までに受けた治療との相違点は何か?
・提案された治療の成功度。なぜこの治療法が最適なのか?
・治療期間は?
・副作用があるか?あるとしたら、どれくらい続くか?
・副作用はどのように治療するか?
・入院の必要はあるか?
・臨床試験は可能か?
・臨床試験の費用の支払いは
・治療効果がない場合、どうすればいいのか?
                                                  P−10

自分の希望を伝えておく 

 ガンが再発した場合、治療の目標は変更になるかもしれませんし、最初のガンのときと同じかもしれません。しかし、自分の希望を知らせようと、ようやく行動に移す人が多いのは再発ガンの診断時です。そのことを考えるのはつらく、話し合うのはもっとつらいことですが、ガンの再発は、自分で話すことのできない状況になったときのために、自身の意思決定をするきっかけになるかもしれません。
 誰もが遺言を書き、終末期の選択肢について愛する人たちと話し合うべきです。これはあなたができる最も重要なことの一つです。また、あなたが信頼する人があなたに替わって医療上の判断ができるように、その権利を委ねてください。事前指示書と呼ばれる法的文書によってそれを行うことができます。自分で伝えることができなくなった場合に、この文書によって、あなたの愛する人および主治医に何をすべきかを伝えます。また、この事前指示書によってあなたはがどのような治療を希望するかを前もって決定することができます。この事前指示書には、尊厳死の宣言書および医療に関する永続的委任状が含まれます。
 事前指示書を準備することは諦めることとは違います。この時点でこのような決断をすることによって、いざというときも冷静でいられます。自分の意向が実践されるよう、すべてを伝えておくのです。事前指示書を準備すると将来についての不安よりが和らいで、毎日を精いっぱい過ごすことができるでしょう。
 このような話題を話し合うのはつらいですが、あなたがどうしたいのかを知ると、多くの場合、家族が安心します。さらに、家族からそういった話題を持ち出す必要がなくなりますし、あなたは心の平穏を得ることができるでしょう。愛する人たちに選択を委ねるのではなく、自分で厳しい選択をしているのです。
 事前指示書をコピーして、家族、医療チームおよび病院の診療記録部門に渡してください。そうすることによって、みんながあなたの決断を知ることになります。

法的文書についての簡単な説明

事前指示書
・尊厳死の宣言書は、自分で伝えることができない場合に自分がどのような治療を望むか
 を伝えるものです。
・医療に関する永続的委任状は、自分で医療上の判断を下すことができない場合に、その
 判断をしてもらう人を任命するものです。指名された人は、医療代理人と呼ばれます。

((もどる) 事前指示書以外の法的文書

・遺言は、あなたの財産を相続人にどのように分割するかを示すものです。(相続人は通常
 遺族ですが、他人を相続人として遺言に指名することも可能です。)
・信任状は、あなたが財務上の意思決定のできなくなった場合にその意思決定をしてくれる
 人を任命するものです。

注:このような文書を作成するために常に弁護士を立ち合わせる必要はありませんが、公証人が必要です。州ごとに法律文書に関する独自の法律があります。あなたの住む州の法律について弁護士またはソーシャルワーカーに問い合わせてください。(詳細は各種問い合わせ先を参照のこと。)
                                                  P−12



(もどる) 第4章 治療による副作用に対処する

1. 快適に過ごすための緩和ケア
2. 疼痛緩和
3. 痛みを緩和する他の方法
4. 倦怠感
5. 吐き気および嘔吐
6. 栄養
7. 睡眠障害
8. 理学療法
9. 補完・代替医療
 あなたはすでにガンの治療に伴う副作用に対処する方法をご存知かもしれません。もしそうであれば、この章は、復習のつもりで読んでください。本章では、ガン患者に役に立つ補助療法のいくつかを概説しています。
 副作用についての詳細は、NCIの小冊子、Radiation Therapy and You: A Guide to Self-Help During Cancer Treatments(放射線療法とあなた:ガン治療中の自助ガイド)およびChemotherapy and You: A Guide to Self-Help During Cancer Treatments(化学療法とあなた:ガン治療中の自助ガイド)を参照して下さい。

快適に過ごすための緩和ケア
   
 あなたには治療中および治療後に快適に過ごすためのケアを受ける権利があります。このような治療は緩和ケアと呼ばれています。緩和ケアには、ガンの症状およびガン治療による副作用の治療と予防が含まれています。また、緩和ケアには、治療中および治療後の情緒面や精神面の問題への対処も含まれます。
 緩和ケアが終末期のガン患者が快適に過ごすための方法であるととらえられていた時期もありましたが、現在では、ガンと診断された時から、医師はガンの患者全員に緩和ケアを勧めることもあります。治療中、治療後や進行期を通して、症状があれば緩和ケアを受けられた方が良いでしょう。腫瘍医であるあなたの主治医も対応してくれますが、このような問題に最も対処できるのは緩和ケアの専門家です。専門家がいるかどうか医師または看護師に問い合わせてみましょう。
                                                  P−13
 “私自身、治療に耐えることが目的なのではありません。新たにうずきや痛みを感じれば、私は必ず主治医に伝えます。主治医は、痛みの緩和に私と取り組んでくれる素晴らしい人です。”                                          −エドナ-

疼痛緩和

 ガンだからといって、すべての人に痛みがあるわけではありません。しかし、もし痛みがあるならば、痛みがあることを当然だと受け止めてはいけません。医師は、薬剤やその他の治療で痛みを緩和することができます。痛みがなくなればよく眠れるようになって、食事ももっととれるようになるでしょう。そうすれば、家族および友人と楽しく過ごしたり、あなたが楽しめることにもっと専念できたりするようになります。
 痛みについて定期的に担当の医療チームと話し合いましょう。どのような痛みか、痛みの部位、痛みの程度を伝えましょう。痛みは闘病期間を通して変化していくので、このような話し合いをもつことは重要です。寛解していたガンが再発した場合、痛みによってどこに再発したか分かる場合もあります。多くの病院では、痛みを治療する専門の医師がいます。疼痛の専門医がいるかどうか主治医に問い合わせましょう。

下記に示す全ての種類の痛みに対し治療が行われます。

・ 軽度〜中度の痛み
・ 中度〜重度の痛み
・ 一時的な激しい痛み
・ うずくような痛みや焼けるような痛み
・ 腫れによる痛み

 痛みを緩和する薬を服用するには以下のさまざまな方法があります。

・ 経口薬
・ 皮膚から(貼り薬)
・ 注射
・ 点滴(静注ポンプ)
                                                  P−15

 薬の種類および投与方法は、痛みの種類とその原因によって異なります。例えば、持続的な痛みである場合、長期にわたり一定の用量を投与する必要があるでしょう。皮膚に貼る薬剤または緩放出錠(長い時間をかけてゆっくり効果を発揮する経口薬)を使用することもあります。
 痛みを医師に説明できるように痛みの日記をつけるのもよいでしょう。日記には次のような内容を書きましょう。

・ 1日のうちのどのくらいの時間痛みを感じたか
・ 何をしているときに痛みを感じたか?
・ どのような痛みか?
・ どこに痛みを感じたのか?

 主治医もあなたに、痛みによって日常生活にどの程度支障があるか、いろいろ尋ねるかもしれません。(疼痛緩和:主治医に伝えることを参照)痛みを緩和することは、痛みに煩わされることなく日常生活に意識を向けることが可能になるということを意味します。
 詳細は、NCI小冊子のPain Control:Guide for People With Cancer and Their Families(疼痛緩和:ガン患者およびその家族のためのガイド)を参照して下さい。
                                                   P−16

(もどる) 疼痛緩和:主治医に伝えること
 痛みを医師に説明する際には、できるだけ詳細に説明しましょう。下記に医師に伝えるべきことをあげています。

・痛みを感じる部位は?痛みの部位は変わるか?
・どんな痛みか?-鈍い痛み?鋭い痛み?焼けるような痛み?
・痛みの頻度は?
・痛みはどれくらい続くか?
・1日の特定の時間(午前、午後、夜など)に痛みが発生するか?
・どうしたら痛みが緩和されるか?また悪化するか?

疼痛緩和のために強い薬剤を使用する
 ガンの患者は、多くの場合、痛みが緩和できるよう強力な薬の使用を必要とする場合があります。遠慮せずに痛みを緩和する薬を求めたり、必要であれば、用量を増やしたりすることを要求しましょう。薬はあなたができるかぎり快適二過ごせるための手助けになります。
 ガンの患者で、これらの薬に対して中毒になる人はほとんどいません。ところが、残念なことに、中毒になるのでないかという恐れから、痛み止めの薬の服用を思いとどまったり、愛する家族になるべく薬の用量増加を控えるようにすることもあります。しかし、痛みがある場合には定期的な投薬や治療を受けることで、痛みが最も緩和されます。

痛みを治療するその他の方法  
 ガンの痛みは通常、薬およびその他の療法で治療しますが、薬を使用しない治療法もあります。それらは補完代替医療(CAM)です。多くの人が下記に挙げた方法は効果があると認めていますが、その方法を試す前に担当の医療チームと相談しましょう。それが安全かつガン治療の妨げにならないことを確認してください。

・鍼治療は、小さな針を使って、体の特定の箇所を刺激する漢方の一つです。吐き気および
 痛みの緩和に効果がある場合があります。鍼治療を受ける前に、あなたのガンに安全か
 どうかを担当の医療チームに相談してください。
・イメージ法とは、景色、映像または体験を思い浮かべることにより、気分をより落ち着かせ
 たり、または体を癒す手助けをします。
・リラクゼーション法では、深呼吸および体操をして筋肉をほぐします。
・催眠療法は、気分を落ち着かせて意識を集中させた状態にします。特定の感情、考え、
 指示に精神を集中させます。
・生体自己性漁法(バイオフィードバック)は、特殊な機械によって、患者が、普段意識して
 いない(心拍など)特定の体の機能をどのようにコントロールするかを覚えさせます。
・マッサージ療法とは、体や筋肉の様々な部分をやさしく揉むことによって、気分を落ち着
 かせ幸福な気持ちにさせることです。マッサージを試す前に、医師に確認する必要があり
 ます。マッサージをすべきでないガンもあります。

 これら上記の方法は、ストレス緩和にも効果を示すでしょう。何か新しい方法を試す場合は、たとえ安全に思えても、同じように担当の医療チームに相談しましょう。これらの治療がどこで受けられるかなどの情報を担当の医療チームに問い合わせてください。詳細は、NCI小冊子のThinking About Complementary and Alternative Medicine:A Guide for People With Cancer(補完・代替医療を考えたとき:ガンの患者のためのガイド)を参照のこと。

倦怠感  

 倦怠感とは、単に疲れを感じるにとどまらない状態のことです。倦怠感とは、今までできていた些細なことさえも出来ないくらいの極度の疲労のことです。倦怠感の原因は数多くあり、ガン治療の他に、心配、ストレスおよび食生活または睡眠パターンの変化などがあります。このような症状が現われた場合、次のことが勧められます。

 次の診察の際に主治医または看護師に倦怠感があることを伝える。倦怠感に効果のある薬について尋ねてみる。

・バランス良い食事をとる。
・1日の予定を立て、重要なことだけをする。
・毎日何度か短い休憩をとって、ゆったりした気分になる。
・昼寝をする。
・他の人に手伝ってくれるように頼む。

(もどる) 吐き気および嘔吐 
 吐き気とは、胃がムカムカする状態で、嘔吐とは食べたものを吐くことです。両方ともガンの患者にみられることがある症状ですが、吐き気および嘔吐を放置することで、ひどく疲れを感じることもあります。また治療やケアが困難になる場合があります。吐き気および嘔吐を抑える薬は数多くあります。自分に最も効果のある薬はどれかを主治医に尋ねてみましょう。

 また、次のように食生活を変えることもよいでしょう。

・1日に5回から6回に分けて少量を食べましょう。
・甘いモノ、脂っこいもの、塩辛いもの、スパイスの効いたもの、または臭いのきつい食べ物
 は避けましょう。吐き気や嘔吐が悪化する場合があります。
・水分をできるだけ多くとりましょう。体が乾燥(脱水状態になる)しないようにする必要が
 あります。ブロス(肉・魚・野菜などを煮出したスープ)、アイスクリーム、水、ジュース、
 ハーブティーおよびスイカなどが良いでしょう。
                                                   P−20

栄 養 
 患者の中には、普通に食べていた食べ物を食べられなくなったり、食べ物を全く受けつけなくなったりする人もいます。物が食べられない、もしくは消化障害などの問題はありませんか。もしあれば、主治医に食事について相談してください。

医師は次の提案をするでしょう。
・特別なメニュー
・必要な栄養を摂取するその他の方法
・治療中の食事のアドバイス
・栄養士に相談する。

詳細はNCI小冊子のEating Hints for Cancer Patients(ガン患者の食事に関するアドバイス)を参照してください。

睡眠障害

 病気、痛み、ストレス、薬および入院により睡眠障害が起きる場合があります。睡眠障害には以下が含まれます。

・寝つけない
・少しの間しか眠れない
・夜中に目が覚める
・一度目が覚めると眠れない
                                                   P−21

 睡眠障害に対処するために、次にあげた方法を試してみるとよいでしょう。

・騒音を抑え、部屋を薄暗くし、部屋を暖かくまたは涼しくし、体を支えるための枕を使用
 する。
・ゆったりとした柔らかい服を着る。
・寝る前にトイレに行く。
・寝る2時間前に高タンパクの軽食をとる。(例:ピーナッツバター、チーズ、ナッツ類、薄切り
 の鶏肉または七面鳥肉)。
・カフェインを避ける(コーヒー、お茶、コーラ、ホットココア)。
・就寝時間を一定にする。
・昼寝時間は15分から30分までとする。
・睡眠障害に効果のある薬について担当の医療チームに相談する。

理学療法

 ガンの患者は時々、体のさまざま部位に痛みを感じます。気だるさや疲労を感じる人もいます。以前よりも体の凝りを感じる人もいます。そのため体を動かすのが辛くなります。このような症状がある場合、担当の医療チームからは理学療法士の指導を受けるように言われるかもしれません。理学療法士は、冷熱、マッサージ、指圧または体操を用いて、このような症状を和らげてくれます。理学療法は倦怠感を緩和し、体の機能回復に効果があるでしょう。また理学療法は体力回復やバランスを取り戻す効果があり、放射線療法による凝りやその他の副作用にも有効です。
                                                   P−22

補完・代替療法 

 補完代替療法(CAM)が有効な人もいます。CAM治療には、痛みを治療するその他の方法にあげた療法など、安全なものもあります。あなたは、ガンおよび副作用を治療するための、さまざまな食事療法、ビタミン類および漢方薬についての解説などを読んだことがあるかもしれません。新しい方法を試す前に担当の医療チームに相談しましょう。その理由は以下のとおりです。

・CAM治療の中には、その効果が証明されていないものもあり、実際に害を与える可能性
 があります。
・危険な反応も現れるかもしれません。また、CAM治療によって、医師が処方した薬を阻害
 する可能性もあります。
・「天然」の製品が安全な製品というわけではありません。

信頼のおける情報源からCAM治療の情報を得ましょう。連邦機関およびガンに関するNPO団体であれば信頼できる情報が入手できます。NCI小冊子Thinking About Complementary and Alternative Medicine: A Guide for People With Cancer(補完・代替医療を検討する:ガン患者のためのガイド)も役に立つかもしれません。



第5章 あなたの気持ちへの対応
(もどる)

1.ストレス
2.希望
3.感謝
4.不安
5.恐怖
6.悲しみとうつ
7.怒り
8.罪悪感
9.孤独感
10.拒絶
11.あなたの対処方法

 “人生が再び一変し、今起こっていること全てに苛立ちを感じずにはいられません。気が動転し怒りを感じたかと思うと、次には突然泣き出すこともあります。次に何がどうなるのか絵あたしには、全く分かりません。”                           −キャシー

 ガンが再発したとわかったとき、さまざまな感情がわき上がってきます。たとえば、恐怖や怒りであったり、拒絶であったりするかもしれません。ガンが再発したことを告げられたとき、最初にガンと診断されたときよりもずっと強く打ちのめされたような気持ちになるかもしれません。
 最初の反応に関係なく、ガン治療の再開は、あなたの心や精神に、より大きな試練となるかもしれません。いい日もあれば悪い日もあるでしょう。ですから、さまざまな感情が現われてもかまわないのです。
 これまでに経験した感情もあるかもしれませんし、その感情がより激しく現われるかもしれません。過去にこのような感情を経験していれば、今回もうまく対処できるでしょう。このような感情をもつのが初めてであり、またはその感情が、毎日を過ごすのがつらいようであれば、助けを求めてもよいでしょう。
 あなたを助けてくれる人はたくさんいます。例えば、精神治療医、ガン専門のソーシャルワーカー、その他メンタルヘルスの専門家やあなたが信仰する宗教、またはスピリチュアル・コミュニティのリーダーなどです。彼らは、あなたが自分の感情に対処できるようアドバイスする多くの方法を知っています。

ストレス  

 “ガンの再発という診断を受けて外科手術または治療をさらに受けると、人生は普通じゃなくなります。いつも心の奥底には、今度は何?その次は何?という気持ちでがありす。”

                                             −マーガレット−

 ストレスはガンに対する自然な反応です。最後には、治療、家族、仕事、お金、日々の生活など多くのことに対処することになるでしょう。時には、自分がストレスを抱えていることに気がつかないこともありますが、家族や友人はあなたの変化に気がついているかもしれません。
 気分を静めたり、リラックスしたりできれば、ストレスは緩和されるでしょう。ですからリラックスできることや楽しいことを考えるようにしましょう。深呼吸をしてみる人もいます。自然の音のテープや、音楽を聞いている人もいます。ストレスを緩和させる方法については以下を参照して下さい。

(もどる) 希 望

 “「希望を持たなければ、信じなければ。何が起きるかわからないのだから」と、自分に言い聞かせ続けています。”                                 −フィル−

 ガンが再発して、悲しんだり落ち込んだりしでいるかもしれませんが、あなたには希望を抱くだけの確かな根拠があります。科学は進歩し、ガン治療は向上しています。そのため、以前よりも多くの人がガンを克服しています。今日ではガンを患った経験を持つ約1千万の人々が生存しているのです。
 言いかえれば、ガンは医師が管理可能な病気となりつつあります。希望を持つためには、次のことを心がけてください。

・普段と同じような1日の計画を立てる。
・ガンだからという理由だけで自分のしたいことを制限しない。
・希望を持つ理由を見つける。

感 謝

 “気分の悪い日が本当に多いのですが、私はその話はしません。気分が優れないことは忘れます。よいことばかりを考えます。孫と一緒にいたり、教会へ行ったり、友人と一緒にいれば、多くの楽しい時が過ごせます。”                        −ヘレン−

 ガンの再発を「モーニングコール」と考える人もいます。彼らは生活のちょっとしたことでも楽しむことの大切さに気づくかもしれません。いままで訪れたことない場所へ行ってみたり、いったん始めたもののそのままになっている計画を再開して終わらせたり、より多くの時間を友人や家族と過ごしたり、壊れた関係を修正したりします。
 始めはたいへんかもしれませんが、人生の楽しみが見つかるでしょう。楽しいことがあったらメモしましょう。自分が楽しいと思う日常のことに目を向けてみましょう。それは、朝のコーヒーを飲んだり、ペットと一緒にすわったり、友人とおしゃべりをすることと同じくらい簡単なことでしょう。日々のちょっとした活動があなたに安らぎと喜びを与えます。
 あなたにとって、より意味のあることに取り組むこともできます。人はそれぞれに、生きがいとなるような大小さまざまな独自のことをしています。あなたにとって、それは、自分の住む街の庭園を訪れたり、教会で祈ったり、ゴルフや、好きなスポーツをすることかもしれません。どんなことでも、可能な時に、自分が楽しいと思うことをいい機会だと思って実行しましょう。

不安の種

 “何度もイライラします。今やらなければならないことがあまりにもたくさんあります。またガンの再発前から取り組んでいたことも続けなければなりません。閉店までに、どうやってお店に行こうか、犬にえさをあげたか、仕事の書類の締め切りはどうなっているのか?やるべきこと全てを考えるとパニックになります。”                         −ジン

 ガンは心身ともに負担をかけます。今あなたは非常に大きなことに向き合っており、それを思うと気が遠くなるかもしれません。痛みや痛み止めの薬は、あなたを不安にさせたり落ち込ませたりすることがあります。もし以前そのように感じたことがあれば、今回も同じように感じる可能性が高いでしょう。

不安の兆候をいくつか示しておきます。

・非常に緊張し神経質になる。
・鼓動が早くなる
・発汗が多い
・呼吸困難、または呼吸が正常に戻りにくい
・胸がいっぱいになる、または胸につかえがある。
・恐怖を感じる。

 不安を感じるのは当たり前のことですが、日常生活に支障が出るようであれば、医療チームに相談しましょう。彼らは相談先をあなたに紹介してくれるでしょう。または、効果のある薬を処方してくれるでしょう。痛みに対して薬以外の療法もあなたの不安に効果があるかもしれません。(上記を参照。)

 “明日という日には取手が2つある。不安という取手を握ることもできれば、信じるという取手をにぎることもできる。”                   −ヘンリー・ウォード・ビーチャー

恐 怖 

 “正直なところ、多くのことに恐怖を感じています。そのことを考えないようにしていても、恐怖が次々とやってきます。でも、何かを抱えているようです。いい日々を過ごしていても、恐怖は常に私の心の奥底にあり、消して現実から消うせることはありません。” −ディーナ

 恐怖を感じたり、心配したりするのは普通のことです。あなたの心配は、ガンやその治療による痛み、またその他の副作用についてかもしれません。治療の結果、外見も変わってしまうのではないかと心配しているのかもしれません。家族の面倒を見たり、請求書の支払をしたり、仕事を続けたりすることに不安を感じることもあるでしょう。また死ぬことに不安を感じることもあるかもしれません。
 未知のことに対して抱く恐怖心に対応することは容易なことではありませんが、あなたが将来起こるだろうと思われることを知れば、恐怖心が和らぐともいわれます。ガンや治療の選択肢について、より理解できるように、医療チームに質問をしましょう。また、もし遺書および法的文書に変更事項があれば、更新しておきましょう。そうすれば、それについて心配する必要はなくなるでしょう。
 恐怖感はどうしようも無いことかもしれませんが、他の人も同じように感じているのだということを忘れないでください。いつでも支援を求めることができます。

(もどる) 悲しみとうつ 

 “ずっと悲しい気持ちになります。私の元気の源は、4歳の孫と一緒にいることです。日々成長する孫を見ているのが好きで、時には、孫のことを考えるだけで気分が良くなります。”
                                               −エドムンド−

 悲しみはどんな深刻な病気に対しても正常な反応です。治療をまた受けなければならないことを考えると悲しくなるかもしれません。これから先、人生が変わっていくだろうことに悲しみを感じるかもしれません。
 気分が落ち込むことは悪いことではありません。いつも快活である必要はなく、また元気を装う必要もありません。時には自分の感情のままにまかせる自由がほしいという人も多くいますが、いやな時でも、暮らしの中で何かいいことを探すことによって元気になるという人もいます。
 うつは、あなたの生活の中で悲しみや絶望が大きくなると発症します。下記にあげたうつの兆候は、このような状況下では正常なことです。しかし、2週間以上続くようであれば、主治医に相談しましょう。うつの兆候には、身体的な問題によるものもあります。そのため、うつの兆候について主治医に伝えることは重要です。

うつの兆候

・無力または絶望的な気持ちになる。または、人生は無意味だと思うようになる。
・家族、友人、趣味または以前楽しんでいたことに興味がなくなる。
・食欲不振
・短気、不機嫌になる。
・ある考えが頭から離れない。
・長時間泣き続ける、1日に何度も泣く
・自らを傷つけるまたは自殺を考える。
・ハラハラしたりパニックに襲われ、神経過敏になる。
・睡眠障害(不眠、うなされる、睡眠が多すぎる)

怒り

 “私は神に対する信仰を持ちつづけようと葛藤してきましたが、もう大丈夫です。神が私になぜこのような試練を与えようとするのかを理解しようとすることがはじめのうちはとてもつらいことでした。”  
                                      −ボブ

 あなたは怒りや苛立ちを感じるかもしれません。「なぜわたしに」と問いかけるのは普通のことです。あなたはガンに対して、また主治医や愛する人たちに対して怒りを向けるかもしれません。信じている宗教がある場合は、神に怒りを感じるかもしれません。怒りを感じたら、何もかも大丈夫だと装う必要はないということを覚えておくといいでしょう。
 怒りの原因は何かを理解するようにしましょう。怒りは、言い表しにくい感情からきている場合もあります。恐怖、パニック、苛立ち、心配や無力感によるものかもしれません。
いつでも怒りの原因を見つめるのは簡単ではありません。しかし、原因を見つけようとすることは健全なことです。率直に怒りに対応すれば、怒りを静めることができるでしょう。また、怒りはエネルギーのかたまりであることを知るのはよいことです。体操、芸術または枕をベッドに打ちつけるなどしてこのエネルギーを発散できるでしょう。

罪悪感 

 “ずっと嫌気がさしています。母が子供の頃にしてくれたように、私の看病をしたり、私の面倒をみなければならないことを申し訳なく感じ思います。私は、母や父が何をしているのかすべて見ています。それにもかかわらず、私に出来ることはありません。両親は私の苦しむ姿を見たくないと思っていることも私にはわかっています。私はできることをしようとしていますが、両親の苦労に罪悪感を感じずにはいられません。”             −アン−

 ガンの再発を引き起こすなにかを自分がしたのではないかと考えるのも普通のことです。さまざまな理由で人は罪悪感を感じます。

・家族および友人がどう感じているのかを心配する。
・他人の健康をうらやみ、このように他人をうらやむ自分を恥ずかしく思う。
・自分のライフスタイルを責める。
・最初の治療が上手く行かなかったことに罪悪感を覚える。
・病院へ行くのが遅かったのだろうか、きちんと医師の指示にしたがわなかったのだろうか
 と心配する。

 あなたの治療がうまくいかなかったのであって、あなたが治療を誤ったわけではないことを忘れないでください。ガンが再発する人としない人がいる理由は分かりません。次のことを試してみてください。

・自分の時間やエネルギーを費やす価値のあることに関心を向ける。
・自分のせいだと思う気持ちを捨てる。
・自分自身を許す。

 これらの気持ちを愛する人たちと分かち合いたいと思うかもしれません。愛する人に心配をかけていることに罪悪感をおぼえたり、他人の重荷になっているのではないかと心配する人もいます。このような気持ちになったら、家族の多くは愛する人を看病することを誇らしく思い、またそれを特権だと考えていることを理解して、気持ちを和らげましょう。多くの人は看病することを、お互いの体験を分かち合い、親密になれる時間と考えています。また看病することで、もっと真剣に命を考え、何が一番大切なのかを見直すきっかけになるという人もいます。
 愛する人に率直に語れる気分でなければ、カウンセリングを受けたり、サポートグループに参加するとよいでしょう。自分の気持ちを誰かに話したいと思えば、医療チームに伝えましょう。

(もどる) 孤独感 

 “気遣ってくれる人は周囲にたくさんいます。しかし、それでも、誰も私のことを分かってくれる人は誰もいないと感じます。”                          −カルロス−


 支援や看病をしてくれる人がたくさんいる時でも、孤独を感じることがあるでしょう。一般的には次のような気持ちになることがあります。

・自分がこんなにもつらい目にあっていることを、誰も、愛する人や看病してくれる人さえも
 分かってくれないと感じる。
・疎外感を感じる、もしくは家族や友人はあなたのガンに対処するのに苦労していると思う。
・以前に参加していたイベントや活動に参加できないことを自覚する。

 何日かはつらく感じるかもしれませんが、あなたは一人でないことを忘れないで下さい。できるだけ普段どおりの生活を続けましょう。必要であれば、自分は1人になりたくないので訪問を歓迎する旨を人々に伝えましょう。きっと、あなたの愛する人はあなたと同じように感じているに違いありません。彼らも、あなたと話ができないと、あなたと疎遠になり淋しいと思うでしょう。

拒 絶

 今、自分に起きていることが信じられないと思うかもしれません。ガンの再発を受け入れるのは容易ではありません。すべてを受け入れるのに時間が必要と感じるのは自然なことです。ガンが再発したという現実に順応していくのには時間がかかるでしょう。しかし、これが長く続くと深刻な問題となる可能性があります。必要な治療を受けたり、治療の選択について話し合いしたりなどができなくなります。時間の経過とともに、常に他人の意見を受け入れられるようになるようにしましょう。あなたの治療について周りの人のアドバイスに耳を傾けましょう。

あなたの対処方法

 今までと同様、感情は変化します。この感情への対応のしかたを知ることで、すでに正しい方向に一歩踏み出しています。

 あなたと同じ状況の人が大勢いることを知りましょう。サポートグループに参加することでうまくやっていける人もいます。サポートグループは同じ試練に直面している人と話す場を提供してくれます。オンラインのサポートグループに参加する方がいい場合もあるでしょう。オンラインだと家からチャットできます。参加する前に必ず個人情報の問題を確認しましょう。
 サポートグループに魅力を感じなければ、ガンに関する支援の経験がある専門家も多くいます。専門家には、ガン専門のソーシャルワーカー、心理学者や精神治療医、カウンセラー、信仰する宗教やスピリチュアル・コミュニティのメンバーが含まれます。詳細は、問い合わせ先の章を参照してください。

 サポートグループについて
 あなたの住んでいる地域のがん患者のサポートグループについて聞いたことがあるかもしれません。サポートグループの人たちとは直接会ったり、電話で話をしたり、インターネットで会うこともできます。彼らはあなたの現況に対するアドバイスをくれたり、どのようにして向き合ったらいいか助言してくれたり、あなたがひとりぼっちではないことを教えてくれたりします。
 サポートグループでは、自分たちの感情や経験について話し合ったりして、同じような問題を抱えている他の人にアドバイスしあったり、手助けしたりもします。サポートグループに行って、ただ話しを聞くだけというのが好きな人もいます。サポートグループには絶対入りたくないと思っている人もいます。こういった交流が好きではない人たちもいます。
 このような外部の支援活動に参加してみたいと思っても、あなたの地域にはそんなグループがない場合は、インターネットでサポートグループを探して見ましょう。ウエブサイトのサポートグループに救われたと話すガン患者もいます。

 あなたの対処方法
 以前よりモ困難になっている事柄はあっても、普段から行っている活動を継続できるでしょう。何であれ、自分のやりたいことへの気力を蓄えることを忘れないで下さい。1日にたくさんの予定をたてないようにしましょう。また、ひとつひとつの予定は時間をずらして行いましょう。
次のページには、実際の患者が感情を克服するのに役立った方法が書かれています。このように、小さなことでも手助けになることがわかります。

〜 私の対処法 〜

・水彩画クラスを受講しています。私の水彩画はひどいですのですが、全く気にしません。
 すべてを忘れさせてくれるからです。
・マニキュアをするのが好きです。
・株式市場の動向を追い始めました。
・姪たちが電話をくれて留守番電話にメッセージや歌を残してくれます。元気になりたい
 ときにはそれを聞きます。
・飛行機モデルの製作
・フラワーアレンジメント
・ウィンドウショッピング
・ショッピング・モールでの人間ウォッチング
・映画鑑賞
・ボードゲームやトランプ
・地元でのコンサート鑑賞や観劇
・毎日できる何か新しいことを始める。昔の自分とは違うことを受け入れる。つまり、変化は
 OK。
・友人、家族、信仰する宗教のリーダーと感情について話す。
・ヨガや軽いストレッチなど運動をする。
・孫と巣箱を作る。巣箱作りは楽しかったです。道具の使い方など孫に教えるのは楽しかっ
 たです。
・バードウォッチングが好きです。双眼鏡を持ってポーチに座ります。
・映画をたくさん見ます。
・家の修理するのが好きです。
・」写真を撮りました。高価なカメラや機材は買っていません。ただ写真を始めました。
・釣りに行く
・電話をしたり読書など楽しいことをする
・愛する人たちと時を過ごす
・音楽やリラクゼーションテープを聴く
・木彫りをする
・ミステリー小説を読む
・地元の庭園や公園など戸外で時を過ごす
・ボランティアなど助けを求めている人を救う方法を探す
・植物を植える
・教会に行く
・編物、クロチェット、刺繍をする
・クロスワードパズルをする
・瞑想やリラクゼーションのための体操をする



第6章 目標をもつ
(もどる)
 “私にはまだやりたいことがたくさんある。けれども、それらすべてを完璧に行うことはできないとわかっている。 しかしだからといって、私はそれらをやめるわけではなく、これまでとはちがう方法で達成しようと思う。”                        −スーキー−

 ガンの治療には多くの時間とエネルギーを費やすことになります。病気を忘れさせてくれることを日々計画することはプラスになるでしょう。
 毎日、以下のような小さな目標を目指してください。

・運動をする
・ずっとしたかったことを終わらせる
・電話をする
・友人とランチをする
・一章分の読書をしたりパズルをする
・音楽かリラグゼーションのためのテープを聞く

(もどる)  また、ガンの多くの人々が長期的な目標を設定します。目標をもったり、何か特別なものを心待ちにしていたりすると非常に気が晴れるといいます。 それは、記念日、子供か孫の出生、結婚、卒業、または休暇であるかもしれません。 しかし、長期的な目標をもつ場合、どうやってそれを確実に達成するかについて現実的に考える必要があります。
 柔軟な姿勢が大事だということも忘れないでください。 元気が出ないのであれば目標を変えなくてはならなくなります。 ガンが新たな事態を引き起こすなら、目標を調整しなければならないかもしれません。 目標が何であれ自分が楽しめる方法で時間を過ごすようにしてください。



第7章 家族と友人たち

1.家族の話し合い
2.身近な人々
3.配偶者とパートナー
4.子供達
5.十代の子供達
6.成人した子供達
(もどる)
 “私と父との心の絆は以前よりもっと強くなってきています。私たち家族は、私のガンが再発したと告げられたあと、私たち家族は大きく変わりました。私たちはお互いの気持ちをどう語り合ったらいいか、今起こっていることや、それぞれが怖れていることを話し合ったらいいかをひとつひとつ学んでいったのです。”                   −チャールズ−

あなたの愛する人たちは、あなたのガンが再発したという知らせを受け入れるのに時間がかかるでしょう。彼らは混乱、ショック、無力感、怒りなど、自分の気持ちを整理する必要があります。
次のようなことだけで自分は気分が楽になると家族や友人に伝えましょう。

・今までどおり接してくれる。
・問題を解決しようとしなくていいので、ただ話を聞いてくれる。
・一緒に寄り添っていてくれる。
 あなたの気分を楽にすることができるとわかれば、彼らも自分の感情に対応できるでしょう。
 みんながガンの再発にうまく対応できるわけではないことを心に留めておきましょう。友人や家族は、あなたが回復しないかもしれないという思いを直視できない場合があります。あなたに何と声をかけ、何をしてあげればいいのかわからない人もいます。その結果、お互いの関係に変化が生じるかもしれませんが、それはあなたのせいではありません。関係に変化が生じるのは、彼らが自分の感情や苦痛に対応できないためだと考えられます。できれば、自分は昔の自分と全く変わっていないことを愛する人たちに気づかせてあげましょう。彼らが質問をしたり自分の気持ちを伝えたりすることは全く構わないのだということを伝えましょう。彼らがあなたのためにそこにいる、それだけで十分であることを、折りに触れて伝えてあげてください。
 自分のガンについて話したくないなら、話さなくてもいいのです。親しい人と話し合うのがつらい話題もあります。このような場合、医療チームのメンバーや訓練をうけたカウンセラーと話をすることもできます。また、共通の悩みを分かち合うことのできるサポートグループに参加するのもよいでしょう。

家族の話し合い

 何が必要なのかをお互いに伝え合うのが苦手な家族もいますし、単に仲が良くないという家族もいます。家族と話し合うことに気が進まなければ、医療チームのメンバーに助けを求めましょう。ソーシャル・ワーカーやその他専門家にお願いして家族の話し合いを設けてもらうのもよいでしょう。それによって、家族が安心して自分たちの気持ちを打ち明けられるでしょう。問題を解決し、目標を設定するために、あなたや家族が医療チーム全員と会うべき時期かもしれません。このような話題について話をするのはたいへんつらいことかもしれませんが、みんなが率直になってこの問題について話し合えば、ガンの治療はよりスムーズに進むということがいくつもの研究で示されています。

親しい人

親しい人に話すことは、多くの場合、他人に話すよりもつらいです。つらい時期に愛する人と話し合ううえでのアドバイスを以下にあげます。

(もどる) 配偶者およびパートナー

・再発する前と同じ関係を保つためにできるだけの努力をしましょう。
・じっくり話し合いましょう。話し合いをすることは、あなたや配偶者やパートナーにとって
 つらいことかもしれません。そうであれば、カウンセラーやソーシャル・ワーカーに同伴して
 もらいましょう。
・現実的な要求をしましょう。配偶者またはパートナーは、あなたのガンの再発に罪悪感を
 おぼえているかもしれません。あなたと一緒に過ごせない時間があることに罪悪感をおぼ
 えているかもしれませんし、家族の役割が変化したためストレスを感じているかもしれませ
 ん。
・時には別々に過ごしましょう。配偶者やパートナーには、彼らの所用を済ませるための時
 間が必要です。そうでなければ、疲れて、あなたをサポートできなくなるかもしれません。
 病気になる前は、24時間ずっと一緒に過ごしてきたわけではないことを今一度思い起こし
 て下さい。
・体の変化や感情の問題はあなたの性生活に影響するかもしれません。率直に、そして正
 直に話すことが大切です。このような話題について話ができない場合は、専門家に相談し
 てください。必要であれば、躊躇せずに助けやアドバイスを求めましょう。

子供達
 この時点で、子供の信頼を維持することは重要です。子供は、何か悪いことが起きている時にはそれを察することができます。そのため、ガンについてできるだけ隠しだてなく話すことが最良といえます。子供は自分たちが原因でガンが再発したのではないかと心配し、自分たちの面倒をみてくれる人がいなくなることを恐れるでしょう。また、あなたが以前のように自分たちと一緒に過ごす時間が少なくなるのではないかと心配しています。彼らがこのような気持ちになることは避けられないかもしれませんが、あなたは彼らに、そういった気持ちへの心構えをさせることができます。

 “私の病気は、病気になっていなくても教えたいと思っていた教訓を子供たちに教えるきっかけとなりました。何もかも隠そうと思って躍起にならずに、私が直面する試練を利用して、いざというときにどうやって希望を見出すのか、また、外見が変わっても中身は変わらないのだということ、物事が上手くいかなくても最善を尽くして自分を許すようにといったあとから得られる喜びの価値を子供たちに教えました。治療のおかげで、子供たちに「愛しているよ。あなたたちのそばにいるために必要なことは何でもするからね。」とはっきり言えるようになりました。”        −ウェンディ・ハーファム医学博士、When a Parent Has Cancer: A Guide to Caring for Your Children(親がガンになったとき:子供のケアのガイド)

 あなたのそばを離れなくなる子供もいれば、学校や家庭で問題を起こす子供もいます。常にコミュニケーションのとれる状態にしておきましょう。以下を実行してみてください。

・正直になる。自分は病気で、回復するために医師ががんばってくれていることを伝えま
 しょう。
・ガンになったのは彼らのせいではないことを伝えましょう。また、ガンは彼らに移ることは
 ないということもしっかり伝えましょう。
・あなたが彼らを愛していることを伝えて安心させましょう。
・彼らが自分たちの気持ちを伝えるように奨励しましょう。
・動揺したり、怒ったり、怖がったりすることがあっても大丈夫だと伝えましょう。
・明瞭で簡単な言葉で伝えましょう。子供は短い間しか集中できないため、彼らの理解でき
 る言葉を使いましょう。
・これから先も、子供たちは愛され続け、大切に育ててもらえるのだということをしっかり伝
 えましょう。
・子供たちが何かを尋ねてもかまわないことを伝えましょう。そして、それに対してできる限り
 正直に答えることを伝えましょう。事実、病気について正直に答えてもらえなかった子供は
、より怯えるようになります。身の回りの変化を理解するために、想像や恐怖といったもの
 に依存する場合があります。

10代の子供達

 幼い子供と同じことが10代の若者にも必要である場合があります。彼らは病気について真実を知る必要があります。真実を知ることによって、不要な罪悪感やストレスを避けることができます。しかし、この話題を避けようとする子もいることを十分に知っておいてください。彼らは、ガンに対応する手段として、怒りや感情をあらわにしたり、問題を起こしたりするかもしれません。ただ自分の殻に閉じこもる子もいます。

 以下を実行してみましょう。

・彼らに必要な自由な時間を与えましょう。もし、家族の支えになってほしいなら、これは特
 に大切なことです。
・ 一人、または友人といっしょに、気持ちの整理をする時間を与えてください。
・学校に行って、スポーツやその他活動に参加するべきであることを伝えましょう。

 ガンの説明をすることが困難であれば、助けを求めましょう。親友や親戚、医療関係者や信頼できるコーチや教師などが彼らの疑問に答えられるかもしれません。また、支援グループ、ソーシャル・ワーカーや医師もカウンセラーや精神科医を探す手助けをしてくれるでしょう。

“ジェットコースターです。そう、ジェットコースターに乗ったようなものです。家族全員に覚悟を決めさせました。これが、ガンになったときにあなたがするべきことです。さっきまでは物事が上手く行っていたのに、次には悪くなります。”                 −グエン−

(もどる) 成人した子供達

 ガンが再発した今、成人した子供との関係は変化するでしょう。あなたは彼らに以前よりもっと頼らなくてはならないでしょう。また、これまでずっと、助けられるよりも、助ける側でやってきたのですから、あなたから助けを求めるのはつらいかもしれません。
 成人した子供にも自身の心配事があります。彼らは自らの死について考え始めるかもしれません。親、子供、労働者として、彼らは多くの責任があるため、すべてをこなせずに罪悪感をおぼえているかもしれません。遠くに住んでいたり、他にやらなければならないことがあったりする人もいます。思うように一緒にいられないことに申し訳なく思っているかもしれません。以下のことも参考になるでしょう。

・子供たちと一緒に決断しましょう。
・ 治療の選択、今後の予定や継続したい活動などあなたにとって重要な話し合いに参加し
 てもらいましょう。
・子供たちがあなたと一緒にいられない場合には、病状に何か変化があるたびに連絡しま
 しょう。
・時間を最大限利用しましょう。自分の感情を彼らと分かち合いましょう。

 子供たちと心を通わせましょう。あなたの気持ち、目標や希望を率直に伝えると、彼らはそれに対応しやすくなるでしょう。将来、問題が浮上するのを防ぐことにもなります。親が子供のために最善を尽くしたいのと同じように、子供も親のために最善を尽くしたいと思っていることを忘れないでください。彼らは一番よい方法で、思いやりをもって、あなたに必要なことを満たしたいと思っています。子供はあなたが苦しむ姿は見たくないのです。



第8章 意義を見出す
(もどる)
 人生の中で時として、人が人生の意義を追求することは自然なことです。 そして、再発ガンを患う多くの人が、この意義を見出すことの大切さを悟り、人生の目的を理解したいと考えます。自分が経験したことをしばしば思い起こします。ある人は心の平穏や人とのきずなを求めます。 またある人は、自分自身、あるいは他人の過去の行いについて水に流して忘れようとします。宗教あるいは精神性を通して答えと強さを追求しようとする人もいます。
 精神的に豊かである、ということは、人によってさまざまな意味をもちます。 それはとても個人的なことです。すべての人に、その人自身が信じる人生の意味があります。 宗教や信条を通してそれを見出す人々もいます。 ある人々は知識を与えることによって、あるいはボランティア活動を通してそれを見出します。 またほかの人々は、違った方法で見出すでしょう。 ガンを患うということは、あなたが信じる神、未来、または生きとし生けるものとのつながりについて、考えさせられることかもしれません。 これにより心の平穏、多くの疑問、あるいはその両方がもたらされることもあるでしょう。
 あなたはすでにこういった問題を、何度も深く考えたかもしれません。 それでも、あなたにとって大切なものが何であるかを、さらに深く追求してみると、心の安らぎがみつかるかもしれません。親しい人や、信仰団体やスピリチュアル・コミュニティーの参加者、カウンセラー、または信頼できる友人たちと共に追求できるかもしれません。 あるいは、信仰の場での集会や礼拝での他の人とおしゃべりが、助けになるということを発見するかもしれません。

(もどる)  “再発と診断されたとき、私は本当に苦しみました。」 私は、なぜまたこれを経験しなければならないのかを理解することができませんでした。 自分が信心深いとは思っていたわけではありませんでしたが、祈りが私を救ってくれるということがわかりました。 「人生には目的があり、ガンはその到達までの道程のほんの一部であることを理解し始めました。”
                                                  −ビル−

 以上のことだけでなく、自分自身のために時間を費やしたいと思うかもしれませんし、あなたが経験してきたことや、ふれあってきた人についてもっと考えたいと思うかもしれません。 ある人々にとって日記をつけたり読書をしたりすることは、安らぎや意味を見出すのに役立ちます。 また、ある人々は祈りや瞑想が助けになるということを知るのです。
 ガンは価値観を変える、ということを多くの人が知るでしょう。 あなたが持っているものや日常しなければならないことが、さして重要な意味をもたなくなるかもしれません。 愛する人とより多くの時間を過ごそうとか、人助けをしようと思い立ったり、アウトドアの活動を増やしたり、何か新しいものを学ぼうと思うかもしれません。



第9章 経験を生かす
(もどる)
 “私は一度それを乗り越えました。そして、今回も、もう一度乗り越えるつもりです。こんなことがなければいいのにと願わずにいられないけれど、これが私の前に示された試練なのです。”                                            − ジャネット−
 これはあなたの人生で苦難のときであるでしょう。 特に再発したとき、ガンを受け入れるということは大変なことです。 あなたは一度病気と戦ったにもかかわらず、今、再びそれに向かい合わなくてはなりません。 しかし、今回のあなたには、より多くの経験があるのです。
 この経験からの知恵を上手く利用してください。 あなたが以前、どうやって対処したかを思い出してください。他のやり方もあったかもしれないと考えてみてください。 こうやってふり返ることにより、さらに強くなれる希望がわいてきます。 そしてその新たな強さは、毎日、そして何週間、何ヶ月も、あなたが乗り越えてゆける力となるでしょう。

“今日のことを考えなさい。明日が来れば、今日になり、そのときに考えればいいのです。”
                                    − 聖フランシス・ド・セールス −



第10章 用語集
(もどる)
Acupuncture 鍼治療
 身体上の特定の点を刺激する中国の医学治療。健康促進を目的とする。また、疾患の症状や治療の副作用を和らげるのにも用いられる。がん患者に対しては、吐き気や痛みの対処に効果がある。鍼を用いる前に、この方法があなたのガンの種類に対して悪影響がないか医療チームに確認しましょう。

Advance directives 事前指示書
 死期に際してどのような治療を望むかを事前に決定することができる法律文書。主な2種類は、生前の意思表示(Living Will)と医療に関する永続的委任状です。

Biofeedback 生体バイオフィードバック
 特定の生体機能のコントロールをするために監視する方法。たとえば心拍や血圧など。

Biological (bye-uh-LAHJ-uh-kul) therapy: 生物学的治療

 身体の免疫機能を利用するか、免疫機能を増強する治療。ガンや感染症、また他の疾患などと戦うために用いられる。またある種のがん治療の副作用を軽減するためにも用いられる。免疫療法とも呼ばれる。

Breakthrough pain 激痛 
 鎮痛薬でも抑え切れない痛みや、短時間の強い痛み。激痛は日に数回起こることがある。また、鎮痛薬を適切に服用していても起こることがある。

Cancer ガン:
 制御不能な分裂をする異常細胞による疾患。ガン細胞は近傍の組織に侵入し、血流やリンパ系を通して身体の他の部分に広がる。

Chemotherapy 化学療法
 ガン細胞を死滅させる薬による治療。

Clinical trials 臨床試験
 疾患のスクリーニング、予防、治療、疾患の診断などの新しい方法を検査するボランテアを被験者とした研究の一種。臨床研究とも呼ばれる

Complementary and alternative medicine (CAM) 補完・代替医療
 標準治療とともに、または代わりに用いられる治療で、鍼やマッサージなどがある。補完・代替治療はガンの症状や副作用を抑える効果がある。しかし、すべての補完・代替治療が安全ではない。また標準治療の代わりとなるものではない。

Diagnosis 診断
 疾患や健康状態の名前や状態を判断すること。再発ガンではガンの種類、部位、段階も含む。

Dietitian 栄養士
 栄養に関する特別な知識を持ち、食品の選択などの助言をする人。摂食を容易にする方法のアドバイスもする。

Distant cancer 遠隔ガン
 腫瘍の第一発生場所から離れた器官やリンパ節に広がった腫瘍。

Durable power of attorney for health care 医療に関する永続的委任状

 この事前指示書は人(医療代理人)を指名します。医療代理人は自分で決定ができないときに代わりに医療に関する決定をします。:
(もどる) Health care proxy 医療代理人
 事前指示書で指名した、あなたに代って医療の決定をする人。あなたが自分で選択できなくなったときに代わって医療の決定をする

Health psychologist 精神医学者
 疾患を持つ人や家族の治療をする精神医学の専門家

Hypnosis 催眠
 リラックスし注意を集中するさま。患者は特殊な感覚、考え、暗示などに集中し、治癒を促進する。催眠は医学治療と併用されると、ガンの疼痛緩和に最高の効果をあげる。

Imagery イメージ
 患者の心の中のプラスの概念に意識を集中する方法。身体を癒し心を穏やかにする。

I.V. (intravenous)  点滴

 静脈を通して薬や栄養を体内に注入する方法。
 
Living will 尊厳死の遺書
 事前指示書の一種。死期に際してどのような医療を求めるかを述べた法的文書。

Local cancer 局所ガン
 ガンが発生した器官のみに見られるガン。他の器官には広がらない。

Lymph (limf) nodes: リンパ節
 リンパ系の小さな豆のような形をした器官。リンパ系に侵入したバクテリアやガン細胞はこの結節で発見される。リンパ腺とも呼ばれる。

Massage therapyマッサージ療法
 体のリラックスや幸福感を得るために、身体の各部をこする療法。

Metastasis 転移
 身体のある部分から他の部分に広がったガン。転移した細胞は初めの腫瘍と同じものである。

Notary public 公証人
 法的文書に署名をする、裁判所から指名された立会人。

Oncologist 腫瘍医
 ガンの研究や治療の専門医。

Oncology social worker 腫瘍学ソーシャルワーカー
 ガンの患者や家族の援助をするソーシャルワーカ。
(もどる)
Palliative care 緩和医療
 重篤な、また致命的な疾患を持つ患者の生活の質の向上を図る治療。緩和治療の目的はできる限り早期に予防や治療をすること。
 ・ 疾患の症状
 ・ 治療の副作用
 ・ 疾患や治療に関する心理的、社会的、精神的な問題

 快適さの療法、支持療法、症状緩和などとも呼ばれる。

Power of attorney 委任状
 自分でできなくなた時に代わりに財政面での決定をしてくれる人を指名する。

Radiation therapy 放射線療法
 ガン細胞を殺す、高エネルギーの放射線を利用する治療。

Recurrence  再発
 ガンが発見されなかった期間がありその後戻ってきたガン。ガンが元の腫瘍の場所に戻るときと身体内のほかの部位に出現するばあいがあり、いずれも再発ガンと呼ばれる。

Recurrent cancer 再発ガン
 再発を参照

Regional cancer 局所ガン
 発生部位の近くのリンパ節や器官や組織などで成長したガン。

Relaxation techniques リラックス法
 深呼吸、筋肉の弛緩などの別の方法で、緊張緩和や痛みの緩和に用いられる。

Second opinion セカンドオピニオン
 診断を受けた後に他の医師に診察を受けること。第二の医師は検査結果を検討したり、初めの医師がしたと同じように検査をする。第二の医師は第一の医師と違う診断をするときもある。また、違う治療法を薦めるときもある。いずれの場合でもより多くの情報を得ることができる。これは治療法を決定するのに参考になる。

Specialist 専門家

 医学の特定分野の研究や経験を積んだ医師。:

Standard treatment 標準治療
 専門家により承認され、受け入れられている薬や治療法で、広く使用されているもの。

Surgery 手術
 体内に入ったり、身体を切り開いてする治療法。手術は身体の一部を切除したり修復したり、または疾患があるかどうかを確認するために用いられる。

Trust 信認状
 この法的文書により金銭や所有物を他の人の所有にする。

Tumor  腫瘍
 組織の異常な塊。

Will 遺書
 この法的文書により相続人に財産を分け与える。



第11章 各種問い合わせ先
(もどる)
《連邦施設》

米国立ガン研究所
 ガンの予防、スクリーニング、診察、治療、遺伝子学および支持療法に関する最新情報を提供します。NCIのPhysician Data Query (PDQR)データベースには、臨床試験および特定のガンに関する情報のリストがあります。

 ・ホームページ:www.cancer.gov

ガン情報サービス
 ガン、臨床試験、およびガン関連サービスに関する質問に回答し、またユーザーがNCIのウェブサイトで情報を得られるようサポートします。さらにNCIの印刷物を提供します。

 ・フリーダイヤル:1-800-4-CANCER (1-800-422-6237)
 ・TTY:1-800-332-8615
 ・ホームページ: www.cancer.gov/cis
 ・オンラインチャット:「LiveHelp」をクリックしてください。

老齢化対策局
 情報提供、支援、個人相談、サポートグループの運営、介護士のトレーニング、介護者休息サービスおよび補助サービスを行います。

 ・電話:1-202-619-0724
 ・ホームページ:www.aoa.gov

Centers for Medicare and Medicaid Services(メディケアおよびメディケイドサービスセンター)
消費者向けに患者の権利、処方薬およびメディケアやメディケイドなど健康保険に関する情報を提供します。

 ・フリーダイヤル:1-800-MEDICARE (1-800-633-4227)
 ・ホームページ:www.medicare.gov(メディケアに関する情報)またはwww.cms.hhs.gov

(その他)

雇用均等委員会
 雇用差別、米国障害者法に基づく保護および雇用主の責任に関するファクト・シートを提供します。また、雇用差別の調査にあたります。

 ・フリーダイヤル:1-800-669-4000
 ・TTY: 1-800-669-6820
 ・ホームページ:www.eeoc.gov

米国労働省
 Office of Disability Employment Policy(障害者雇用政策室)
差別、職場設備および法的権利などのさまざまな障害者の問題に関するデータ情報を提供します。

 ・フリーダイヤル:1-866-ODEP-DOL (633-7365)
 ・TTY: 1-877-889-5627
 ・ホームページ:www.dol.gov/odep/

(もどる) 《民間団体/非営利団体》 

アメリカガン協会
 National Cancer Information Center(全米ガン情報センター)
365日24時間体制で質問の回答を行います。

 ・フリーダイヤル:1-800-ACS-2345 (1-800-227-2345)
 ・ホームページ:www.cancer.org

Cancer Care
 ガン患者および彼らの愛する人たちに、サポート、情報提供、助成金および実用的な支援を無料で提供します。

 ・フリーダイヤル:1-800-813-HOPE (1-800-813-4673)
 ・ホームページ:www.cancercare.org

Kids Konnected
 親がガンである子供たち、または親をガンで亡くした子供たちに、教育および支援を行います。

 ・フリーダイヤル:1-800-899-2866
 ・ホームページ:www.kidskonnected.org

National Coalition for Cancer Survivorship
 ガン支援、雇用、財政や法的な問題、 支援運動、関連問題に関する情報を提供します。

 ・電話:1-877-NCCS YES (1-877-622-7937)
 ・ホームページ:www.canceradvocacy.org

全米雇用問題専門弁護士会
 雇用差別の訴訟経験のある弁護士を探す手伝いをします。

 ・電話:1-415-296-7629
 ・ホームページ:www.nela.org

NeedyMeds−Indigent Patient Programs(低所得患者に対するプログラム)
 製薬会社から得られる援助プログラムに関するリストを提供します。

注:通常、このようなプログラムに患者は直接申し込み出来ません。主治医、看護士またはソーシャル・ワーカーを通じて製薬会社に問い合わせてください。

 ・ホームページ:www.needymeds.com

Patient Advocate Foundation(患者支援財団)
 管理医療、保険、財政問題、雇用差別および借金問題に関する教育、法律相談および専門家の紹介を行っています。
・フリーダイヤル:1-800-532-5274
・ホームページ:www.patientadvocate.org

Wellness Community
 ガン患者やその家族に精神的および心のサポートを無料で行っています。

 ・フリーダイヤル:1-888-793-WELL (1-888-793-9355)
 ・ホームページ:www.thewellnesscommunity.org

※各種問い合わせ先の全リストは、www.cancer.govのファクト・シート
「National Organizations That Offer Services to People With Cancer and Their Families(ガンの患者およびその家族に各種サービスを提供する全米の団体)」をご覧下さい。

検索の際は「national organizations」と入力してください。
また、1-800-4-CANCER (1-800-422-6237)に電話してリストを要求してください。



第12章 その他の参考資料
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 以下のパンフレットは、無料で入手可能で、あなたの愛する人がガンの治療を受けるうえで役に立ちます。
化学療法とあなた:ガン治療中のガイド
(Chemotherapy and You: A Guide to Self-Help During Cancer Treatments)

・進行ガンに対処する:ガン治療中の自助ガイド
(Coping with Advanced Cancer: AQ Guide to Self-Help During Cancer Treatment)

・ガン患者への食事のヒント
(Eating Hints for Cancer Patients)

・ガンが発生したとき:臨床試験について知っておくこと
(If You Have Cancer: What You Should Know About Clinical Trials)

・疼痛対策:ガン患者と家族のために
(Pain Control: A Guide for People With Cancer and Their Families )

・放射線療法とあなた:ガン治療中のガイド
(Radiation Therapy and You: A Guide to Self-Help During Cancer Treatments)

・時間をかけて:ガン患者への支援
(Taking Time: Support for People With Cancer)

・補完・代替医療を考える:ガン患者辺保ガイド
(Thinking About Complementary and Alternative Medicine: A Guide for People With Cancer)

・再発したとき
(When Cancer Returns)

 これらの小冊子は米国立ガン研究所(NCI)で入手することができます。
特定の種類のガンについての詳細情報やその小冊子を入手したいときは、NCIのウェブサイトにアクセスするか、NCIのガン情報サービスに連絡して、情報スペシャリストに相談してください。

 ・電話番号:1-800-4-CANCER (1-800-422-6237)


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 米国立ガン研究所は、本書の作成および監修に大変なご協力をいただきました介護士、医療関係者および科学者のみなさまに心より感謝申し上げます。