| 翻訳へもどる | 放射線療法 | Radiation Therapy and You |
| 治療中の自己管理 |
目 次
| 感謝の言葉 | ・・・・・・１ | |
| はじめに | ・・・・・・２ | |
| １．ガン治療での放射線 | ・・・・・・５ | |
| 放射線治療とは | ・・・・・・５ | |
| 放射線治療の作用 | ・・・・・・５ | |
| 放射線治療の目的と利点 | ・・・・・・６ | |
| 放射線治療のリスク | ・・・・・・７ | |
| 放射線治療はどのように行われるか | ・・・・・・８ | |
| 誰が放射線治療をするか | ・・・・・・９ | |
| 放射線治療は高価か | ・・・・・・９ | |
| ２．外部放射線治療 何が期待できるか | ・・・・・１１ | |
| 医師はどのように治療計画を立てるか | ・・・・・１１ | |
| 治療にはどれくらいかかるか | ・・・・・１２ | |
| 治療はどのように行われるか | ・・・・・１２ | |
| 分割放射線治療とは | ・・・・・１４ | |
| 手術併用放射線とは | ・・・・・１４ | |
| 治療の副作用は | ・・・・・１５ | |
| 治療の間、何に注意したらよいか | ・・・・・１７ | |
| ３．内部放射線治療 何が期待できるか | ・・・・・２１ | |
| いつ内部放射線治療が行われるか | ・・・・・２１ | |
| 体内にどのように移植されるか | ・・・・・２２ | |
| インプラント中にどのように放射線から守るか | ・・・・・２２ | |
| 内部放射線治療の副作用は | ・・・・・２４ | |
| インプラントはどれくらいおかれるか | ・・・・・２４ | |
| インプラントがはずされると何が起こるか | ・・・・・２５ | |
| ４．副作用の管理 | ・・・・・２７ | |
| 副作用は誰にでも同じか | ・・・・・２７ | |
| 副作用は行動を制限するか | ・・・・・２８ | |
| 何が疲労を起こすのか | ・・・・・２８ | |
| 肌の問題をどのように治療するか | ・・・・・３０ | |
| 体毛の損失にはどうするか | ・・・・・３１ | |
| 血液への副作用には、どのように対処するか | ・・・・・３２ | |
| 食事は問題となるか | ・・・・・３２ | |
| 放射線療法は情緒面に影響があるか | ・・・・・３５ | |
| 頭や頸への放射線治療は、どのような副作用を起こすか | ・・・・・３５ | |
| 胸部への放射線治療は、どのような副作用を起こすか | ・・・・・３９ | |
| 乳ガンへの放射線治療は、副作用を起こすか | ・・・・・３９ | |
| 胃や腹部への放射線治療による副作用は何か | ・・・・・４０ | |
| 骨盤への放射線治療の副作用は何か | ・・・・・４３ | |
| ５、フォローアップ | ・・・・・４６ | |
| フォローアップとは何か | ・・・・・４６ | |
| フォローアップは誰がするのか | ・・・・・４６ | |
| 他にはどのような治療が必要か | ・・・・・４６ | |
| 疼痛が問題となったら | ・・・・・４７ | |
| 放射線治療後どのように自己管理をするか | ・・・・・４８ | |
| いつ医師と連絡を取ればよいか | ・・・・・４９ | |
| 職場復帰は | ・・・・・４９ | |
| 終わりに | ・・・・・５０ | |
| 資料 | ・・・・・５１ | |
| その他の参考資料 | ・・・・・５６ |
| 感謝の言葉 | ||
| 国立ガンセンターは、この出版物の開発と検討に協力していただいた多くの医療関係者と患者の皆様に感謝いたします。 Ｐ−１ |
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| はじめに この小冊子は、ガンのために放射線治療を受けている患者のためのものであり、治療の間に何が起こるかや、治療中や治療後の自己管理のための示唆について記述されたものです。ここには通常行われている外部放射線治療と内部放射線治療の二つの放射線治療について述べてあります。また、治療の一般的な効果と特殊な副作用に対処する方法についても述べられています。 この小冊子のすべてを一度に読む必要はありません。医師は、あなた自身やガンの種類によって最適な治療計画をしますので、あなたには当てはまらないところがあるかもしれません。全体を眺めて、今自分に必要だと思われるところを読み、必要に応じて他のところを読んでください。 放射線治療は、医師、病院、治療センターなどによってさまざまな方法がありますので、あなたの治療法や医師（放射線腫瘍医）の指示がここに書かれていることと異なる場合があります。あなたの懸念事項について、主治医や看護師や放射線療法士と話し合うことを心がけてください。何か他の役に立つ冊子などがあるかどうか聞いてみましょう。 この小冊子の終末に有用な章があります。 □「用語解説」の章には、太字でかかれた語の解説があります。放射線治療やガン治療 に関連した用語の意味を知ることは、疾病や治療に関係する人たちについてよりよく 理解する助けとなることでしょう。 □「ガン治療に関する更なる情報」には、ガンについてやガン患者へのサービスに関して 、国立ガンセンターからどのように更なる情報を受けることができるかについて述べてあ ります。 □「記録」と書かれたページは、医師や看護師や医療チームのメンバーにききたいと思う 質問事項などをメモしておいてください。 Ｐ−２ |
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| （もどる） | 放射線治療について □放射線治療は無痛です。 □外部放射線治療は体内から放射線を発しません。 □治療は土曜日曜を除いて毎日行われます。 □処置は数分間ですが、治療には30分くらいを見込む必要があります。 □放射線治療中は十分に休息し、栄養バランスの取れた食事を取ることが重要です。 □治療部位の皮膚は敏感になり、ヒリヒリしやすくなります。 □放射線治療の副作用は、普通は一時的であり治療を受けている部位によりさまざまで す。 Ｐ−３ Ｐ−４ |
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| 第１章 ガン治療の放射線 放射線治療とは何か 放射線治療（放射線療法、Ｘ線療法、照射などとも呼ばれる）は、透過力のある高エネルギー波のビームや、放射線と呼ばれる分子の流れによる疾患の治療法です。 何年も前に、医師たちは体の内部を見て疾患を見つける、このエネルギーの利用法を見つけました。あなたも、胸部のＸ線を取ったり、歯や骨のＸ線写真を見たことがあるとおもいます。多量のＸ線（Ｘ線検査のために多数回使用される）は、癌やそのほかの病気の治療に使用されています。 ガン治療に使われる放射線は特別な機械や放射性の物質から得られます。放射線治療機器は、腫瘍や疾患のあるからだの特定な領域に特定量の放射線を集中します。 放射線治療はどのように作用するか 高用量の放射線は細胞を殺したり、成長や分裂をさまたげます。ガン細胞はその周囲の正常な細胞より、より早く成長したり分裂したりするので、放射線治療はさまざまなガンをうまく治療することができます。正常な細胞も放射線により損傷を受けますが、ガン細胞とは違って、放射線での損傷から回復します。 正常な細胞を保護するために、医師は慎重に放射線の量を制限し、時間とともに治療をひろげていきます。また、ガンの部位に放射線を当てている間、できるだけ正常な細胞を放射線から遮断します。 Ｐ−５ 放射線治療の目的と利点 放射線治療の目的は、正常な細胞にできるだけ損傷を与えずにガン細胞を殺すことです。放射線治療は、身体のほとんどの部分の、さまざまな種類のガンの治療に使われています。実際、半数以上のガンの患者が、さまざまな形の放射線による治療をうけています。多くの患者にとって放射線がたった一つの必要な治療です。放射線治療を単独で、または他のガンの治療法との複合で受けた千人以上の人たちは、ガンから解放されています。 放射線治療は、外科手術と同じように、身体の特定の範囲にあるガン細胞に対する局部の治療です。しかし、治療効果を高めるために、化学療法や生物学的療法のように全身に対して（全身療法）放射線を当てることもあります。初期治療に付け加えたり、それが終わった後で行ったりする治療に対して、医師が“補助療法”という言葉を使うのを聞いたことがあると思います。 放射線治療は、ガンの治療としてしばしば外科手術とともに行われます。放射線は、手術の前に腫瘍を縮小するために使われます。これによりガン細胞をとり除くことを容易にし、外科医の徹底除去手術を少なくすることができます。放射線は除去しきれなかったかもしれないガン細胞の成長を止めるために手術後にも行われることもあります。放射線と手術が同時に行われることもあります。この”手術中の放射線（intraoperative radiation）“と呼ばれる処置については、この小冊子の第２章“外部放射線治療”の項でより詳しく述べられています。 場合によっては、ガンを破壊するために、手術の代わりに抗ガン剤（化学療法）とともに放射線を使うこともあります。放射線は化学療法の前やその途中で、またその後で処置されることもあります。医師は、患者のガンのタイプや部位や大きさなどに応じて慎重にこの併用療法を計画します。この化学療法の前や、その途中での放射線療法の目的は、腫瘍を縮小させ抗ガン剤の効果をあげることにあります。化学療法を完結させ、残っているかも知れないガン細胞を殺すために 放射線治療を受けることをすすめられることもあります。 Ｐ−６ ガンの治療が不可能になったときには、放射線治療は腫瘍を縮小させ、圧迫や疼痛やその他のガンの症状を和らげるために用いられることもあります。これは苦痛緩和看護とか寛解とか呼ばれます。放射線治療がこのために使われたときには、多くの患者は生活の質（ＱＯＬ）の向上を図ることができたと感じます。 放射線治療のリスク 短時間の高用量の放射線は、ガン細胞に損傷や破壊を起こしますが、正常な細胞にも損傷を与えたり死滅させたりすることもあります。この正常な細胞への放射線への効果が治療の副作用を起こします。放射線治療の副作用のほとんどはよく知られており、医師や看護師の協力で容易に処置することができます。この放射線治療の副作用や、それについてどうすれば良いかなどは、この小冊子の第4章“副作用への対処”で述べられています。 副作用のマイナスは、ガン細胞を殺すことのプラスよりも普通は少ないです。ですから医師は、プラス面―疾患の制御と症状の軽減―が、知られているマイナス面より小さくならない限り、別な治療を薦めることはありません。 Ｐ−７ 放射線治療はどのように行われるか 放射線治療は、外部、内部の二つのうちのいずれかで行われます。一つ終わった後もう一つと両方行われる人もいます。 ガンの放射線治療を受ける大部分の人は外部放射線で、それは外来患者や治療センターで受ける人たちです。外部放射線治療では高エネルギーの光線をガンとその周囲のわずかな部分の正常細胞にあてます。 外部放射線治療に使われるいろいろな機械には、皮膚の表面近くのガンの治療に向いていたり、体内の内部の深いガンに最適であったりと、それぞれわずかな違いがあります。放射線治療に使われる一般的な機械は直線加速器と呼ばれています。またある放射線機器は、高エネルギーの光線の元として、さまざまな放射性物質（コバルト60など）を使います。あなたにとってどの放射線治療機器が最適であるかを医師が選定します。外部放射線治療の詳しいことは次の章にあります。 内部放射線治療では放射線源は、体の内部におかれます。この放射線治療は近接照射法とか組織内照射とよばれます。小さな容器に封入された放射線源（たとえば、放射性ヨウ素）は、インプラントと呼ばれます。このインプラントは細い導線、プラスチックチューブ（カテーテル）、カプセル、種子などの形状をしています。インプラントは直接腫瘍の中におかれたり、体内の空洞部に置かれたりします。手術で腫瘍を取り除いた後に、まだ残っている可能性のあるガン細胞を死滅させるために、腫瘍層（腫瘍が取り出された領域）にインプラントがおかれることもあります。 別な種類の内部放射線治療は経口や注射で体内に取り込まれる非密封型放射性物質を使います。この方法が取られると、数日間病院に入院する必要があります。更なる内部放射線治療については、第3章を参照してください。 Ｐ−８ |
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誰が放射線治療をするか ガンの治療に用いられる放射線の専門医―放射線腫瘍医―が、あなたに最適な種類と用量を処方します。この小冊子で “主治医” と呼ばれる人はこの放射線腫瘍医のことです。放射線腫瘍医は、他の医師やあなたの治療にかかわっている医療従事者と密接に関係して仕事をしています。この高度な経験を積んだ健康管理チームには次のようなものもふくまれます。 ・ 放射線物理学者：機器が正常に働いているかどうか、適切な量を放出しているかを確 認する。この物理学者もあなたの治療の計画のために主治医と密接に関係します。 ・線量測量士：主治医や放射線物理学者の指示の下で仕事をし、ガンとその近くの正常 細胞組織に照射される放射線量を測定し、治療計画を進めていく。 ・放射線治療士：治療のためにあなたの位置決めをしたり放射線を発する機器を動かし たりする。 ・放射線看護師：治療の調整をしたり治療に関する知識の勉強や副作用への対処法な どを指導する。看護師は、あなたやあなたの家族が持つと思われる治療に関する疑問 にも答えてくれる。 医療チームには、他に医師助手、放射線科医、栄養士、理学療法士、ソーシャルワーカー、その他の健康管理専門家をふくんでいます。 放射線治療は高価でしょうか。 放射線によるガンの治療は高価です。それは複雑な機械と必要とし、多くの医療専門家の仕事を必要とします。放射線治療の価格は、器材の種類と必要とする処置の数によります。 たいていの健康保険は、メディケアーのパートＢも含んで、放射線治療の支払いをカバーしています。病院の事務所や診療スタッフと保険に関してや、どれくらいかかりそうかを話し合うことはよいことです。 Ｐ−９ 州によっては、メディケードプログラムが治療費を支払ってくれます。あなたがメディケードの資格があるか、放射線治療がカバーされた費用であるかを、あなたの都市の社会福祉を扱う局で訊ねることができます。 もし経済的な支援が必要であれば、病院社会福祉事務所や国立ガンセンターのガン情報サービス、1-800-4-CANCERに連絡をしてください。援助を受けられる窓口を教えてくれることでしょう。更なるガン情報に関しては、この小冊子の末尾の資料の章を参照してください。 Ｐ−１０ |
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第2章 外部放射線療法：何がおこるか 医師はどのように治療計画を立てるか 放射線治療に使われる高エネルギーの光線には、いろいろな放射線源があります。主治医はＸ線、電子線、コバルト６０ガンマー線などを選択できます。またガン治療センターによっては放射線治療にために、陽子や中性子のビームを発生する特別な器材を持っているところもあります。主治医の選択する放射線の型は、あなたのガンの種類や放射線が体のどこまで深く入らなければならないかによります。高エネルギーの放射線はさまざまなタイプのガンの処置に適用され、低エネルギーのＸ線は、ある種の皮膚疾患の処置に用いられます。 身体検査と、病歴の調査の後、医師は治療の計画を立てます。シミュレーションと呼ばれる手続きで、放射線治療士が特別なＸ線機械であなたの処置ポートや範囲を決めている間に検査台の上にじっとしていることを依頼されます。このポートは、放射線が狙いを定めるための体の正確な位置で、ガンの位置によって複数の処置ポ−トが決められる場合もあります。 シミュレーションは放射線を照射する方法の計画のために、ＣＴスキャンや他の映像の調査を必要とする場合もあります。受ける治療の種類によっては、この時点で型や、治療中に体が動かないようにする装置（固定装置）が作られることもあります。これは治療のたびに、正確に体を位置させるために使用されます。シミュレーションは３０分から２時間くらいまでかかることもあります。 放射線療法士は処置ポートに刺青や着色した永久インクの小さな点を記すことがありますが、これは放射線が、毎回同じ位置に目標を定めるために重要なことです。もしその点が消えかかってきたならば、放射線療法士にその旨を話してください。見えやすくするために濃くしてくれるでしょう。 Ｐ−11 シミュレーションが行われると、主治医は放射線物理学者や線量測定士を打ち合わせをします。病歴、研究室での検査、Ｘ線検査の結果や今まで受けたほかの治療などにより、またガンの位置や種類により、どれくらいの放射線量が必要か、そのためにどのような機械を使用すべきか、何回ぐらい治療を受ける必要があるかなどを決定します。 治療を始めると、主治医や医療チームのメンバーが治療の効果をチェックしたりあなたがどのように感じているかなどを、少なくとも週に一度検査し、治療を進めていきます。必要があれば、主治医は放射線量や、治療の回数や、残りの放射線照射の長さなどの治療計画を修正します。 看護師は、あなたの懸念や疑問にいつでも答えてくれますので、何か副作用が起こったり、普通でない症状に気づいたりしたときには必ず相談してください。 治療はどのくらいかかるか ほとんどのガンには放射線治療は、通常週５日間を６週間から７週間繰り返します。（放射線治療が苦痛緩和治療として行われるときには、治療期間は短く、２週間から３週間です。）必要な総放射線量や治療の回数などはガンの大きさ、位置、種類などや、健康状態やほかに受けている治療などによります。 毎日少しずつ放射線治療を受けるほうが、大量に数回受けるよりも、治療部位の正常な身体組織を保護することができます。週末に治療を休むことで、正常な細胞の回復が図れます。 治療の効果を最大にするためには、計画された治療をすべて受けることが重要です。治療を受けなかったり、遅らせたりすることは放射線治療の効果を減少させます。 Ｐ−１２ 治療はどのように行われるか 治療の前に、病院のガウンやローブに着替えます。着たり脱いだりすることが簡単な衣服がよいのです。 治療室内で放射線治療士は、皮膚に付けられたマークを見て、処置部が正確な位置にくるようにあなたの体をおきます。特別な椅子に腰掛けるか、治療台の上に寝ることになるでしょう。毎回の外部放射線治療では、１５分から３０分くらい治療室にいるでしょうが、放射線を受けるのはわずか１分から５分くらいです。外部放射線治療は無痛で、Ｘ線検査を受けているようです。放射線を聞くことも見ることもにおいをかぐこともありません。 放射線治療士は、正常な組織や器官を守るために特殊なシールド（遮蔽）を、機械と体の間に置きます。また、体が正確な位置から動かないように、プラスチックや石膏の型を使うかもしれません。治療の間、じっと動かないでいることが必要です。そうすれば、放射線が必要なところだけにあたり、毎回同じところを治療することができます。息を止めている必要はありません。普通に呼吸していればよいのです。 治療が始まる前に、放射線治療士は治療室から出ていきます。放射線の機械は近くのところから操作されます。あなたはテレビの画面や、制御室の窓から見守られています。一人きりに感じるかも知れませんが、治療士は制御室からあなたを見たり聞いたり又通話装置で話しかけることもできることを覚えておいでください。治療中に具合が悪くなったり、不快感を覚えたときにはすぐに治療士に伝えてください。機械はいつでもとめることができますので。 放射線治療に使われる機械は非常に大きく、さまざまな角度から治療部位を狙うために体の回りを動くので音を立てます。その大きさや動きに、初めはびっくりするでしょうが、機械は治療士によって動かされ操作されていることを忘れてはいけません。きちんと動いているかどうか常にチェックされています。治療室に関することで何か気になることがあれば治療士と話し合いましょう。 Ｐ−13 多分割放射線治療とは 放射線治療は、腫瘍の種類や位置に基づいた適用量を一日に一回治療されますが、多分割放射線治療では、適用量を小さく分割して一日に数回、通常は４〜６時間おきに行われます。主治医は、多分割治療が、一日に一度の治療と同程度か、むしろ効果的であるか、長期にわたる副作用が少なくなるかを研究しています。最近の数種類の腫瘍に対する治療の研究の発達が促進され、多分割放射線治療は、ある種のガンに対する治療法として一般的な方法となりつつあります。 手術併用放射線治療とは 手術併用放射線治療とは、手術と放射線治療を併用する治療法です。初めに、外科医はできるだけ多くの腫瘍を手術で取り除きます。手術の終了前に、癌細胞が広がってしまったかもしれない腫瘍層（腫瘍が取り除かれた領域）や、近くの領域に多量の放射線が直接照射されます。手術併用放射線治療は、外部放射線治療に加えて施術されることもあります。この併用治療は外部放射線を単独で行うよりもガン細胞に多量の放射線を照射することができます。 放射線療法の改善 放射線治療の分野の研究は、治療結果を向上する方法を探し続けています。その研究とは、腫瘍の周囲の正常な細胞を放射線の損傷から保護しながら、腫瘍に多量の放射線を照射することです。ガンの治療に放射線を使用する新しい方法が研究されており、多くは有望視されていますが、まだ広く使用されるまでにはいたっていません。放射線療法のこれらの新治療に関する、次のような用語を聞いたことがあるでしょう。 三次元等角照射治療とは、いくつかのガンセンターで使われている放射線技術です。コンピューターミュレーションで腫瘍と周囲の器官の正確な映像を作り出すので、複数の放射線ビームが治療領域の輪郭を正確に形作ることができます。放射線ビームが正確に集中するので、そばにある正常な組織は損傷されません。この技術は前立腺ガン、肺ガン、特定の脳腫瘍を処置するのに用いられています。 Ｐ−１４ 定位置放射線外科は、ガンマー線か直線加速器を使用し、特定の種類の脳腫瘍と脳血管内の形成異常の処置に使用されます。一つの処置に、正確に焦点を結ぶ複数の放射線ビームを使用し、さまざまな方向からこのガンマー線を照射し標的となる組織を狙うために、特別なヘルメットをかぶります。他の機器類は患者の頭部のヘルメットに放射線を送るための直線加速器を操作します。この治療は無痛性で、出血もなく、従来の脳手術とは異なり感染の危険もありません。 サイバーナイフは、まだ新しく、それほど普及していない脳腫瘍を処置する治療です。この装置は小型の放射線機械と、何百もの方向から小用量の放射線を照射しながら患者の頭部の周りを動くロボットアームを使用します。治療の間コンピューターは何百もの脳の画像を分析して、患者のごくわずかな動きに対しての補正をしますので、頭部を固定する型などを必要とせずに治療をすることができます。腫瘍だけが高用量の放射線を受け、正常な諸組織は損傷を受けません。 ピーコックシステムは、サイバーナイフの一種です。患者の頭部の周囲を回転しながら、小さな収束したビームを照射する機器を使用します。脳の、生命維持に必要な領域を回避しながら、腫瘍の形状や大きさに合わせて、ビームは連続的に形や大きさを変えていきます。コンピューターは放射線の強度を制御します。 プレシジョン治療は、スエーデンで最近開発された放射線外科の治療法です。従来の放射線治療よりも少ない部分へ高用量の放射線を当てる治療です。高度な治療計画システムは多くの角度から正確な照射が可能となりました。放射線治療の他の進歩と同様に、健康な組織への放射線損傷を減少させながら、腫瘍組織に高用量の放射線の照射をします。 Ｐ−１５ |
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治療の副作用は 外部放射線治療では、あなたの体は放射能に汚染はされませんので、治療期間中にほかの人といることを避ける必要はありません。抱き合ったり、キスしたり、セックスなども放射線被爆のリスクはありません。 放射線治療の副作用は治療領域に関係します。たいていの人には副作用はおこりませんが、医師や看護師は、あなたに起こる可能性のある副作用とそれの対処法について話をしてくれます。もし、治療期間中に変わった症状、たとえば席、発汗、痛みなどが現れたなら、すぐに主治医や看護師に連絡をしてください。 放射線療法の副作用は、不快ではありますが一般的には深刻なものではなく、薬物や食事で処置することができます。副作用は、治療後２週間から３週間ぐらいで無くなりますが、ある種の副作用は長期間にわたることもあります。治療期間中や治療後に起こる副作用に対処しているときに、それらに対処する方法についてのアドバイスを受けることができますので、その対処法について医師や看護師に訊ねてみましょう。 治療の全体を通して、主治医は治療の効果を定期的に観察しています。ガンの変化に関してはわからなくても、痛みや出血や、他の不快感などの減少に気づくことでしょう。治療が終わった後も更なる改善に気づくことでしょう。 主治医は、放射線が正常な細胞にわずかな損傷を与えてしまったかどうかの定期的な身体の検をすすめます。治療された部位によって、定期的に赤血球、白血球、血小板の濃度の検査を受ける必要性があります。放射線療法はさまざまな血球の濃度の減少を引き起こす可能性があります。 Ｐ−１６ 治療の間、何に注意したらよいのか 患者は放射線治療に対して独自の反応を示しますので、主治医はあなたの治療の計画を立てたり修正したりします。付け加えるならば、主治医や看護師は、あなたの独自の治療や、その起こる可能性のある副作用について、自宅で処置するための方法を指導してくれます。 放射線治療を受けている患者は、健康を守るためと治療が成功するために、特別からだに気を付ける必要があります。 Ｐ−１７ □治療を始める前に、服用しているすべての薬や、アレルギーなどがあるかどうかを主 治医に知らせてください。どんな薬でも（医師の処方でも、売薬でも）服用していること を医 師や主治医に、初めに話をしないで治療を開始してはいけません。 □放射線治療期間中に、疲労感を覚えるのは普通のことです。治療中に身体は大量の 余分なエネルギーを必要としますので、非常に疲れた感じることでしょう。休息や睡眠 が必要だと感じたら、そのたびにとってください。治療が終了しても、疲労感は４週間 〜６週間くらい続くことは普通のことです。 □優れた栄養を取ることは大切なことです。体重の減少を予防するためにバランスのよ い食事を取りましょう。食事をすることや食品に関する問題を抱えている患者には、 “副作用の管理”の章に実際的なヒントがあります。 □治療中に、ビタミンのサプリメントやハーブ製品をとる場合には、必ず事前に主治医に 確認をしましょう。 □治療部位に、ガードルやぴったりした襟などのような、きつい衣服を着ることは避けま しょう。 □処置範囲の皮膚に特別な配慮をしましょう。 ・処置領域に、石鹸、ローション、防臭剤、日焼け止め、薬剤、香水、化粧品、タルカムパ ウダー、その他のものなどを使ってもよいかどうかを主治医や看護師に確認しましょう。 ・治療部位には、寄ったりとした、柔らかな、綿の衣類を着ましょう。 ・治療部位を掻いたり、こすったり、削り洗いなどをしてはいけません。 Ｐ−１８ ・治療部位には粘着テープを使用してはいけません。包帯をする必要があれば、紙テー プを使用して、処置部位のほかで止めてください。看護師が患部に保護をしてくれます ので、ヒリヒリすることが無くなるでしょう。 ・治療部位を熱したり冷却したり（カイロや氷嚢など）してはいけません。患部を洗うには ぬるま湯を使用しましょう。 ・治療部位のひげをそるときには、シェーバーを使いましょう。しかしその前に主治医や 看護師のチェックを受けてください。シェーブロ−ションや除毛剤などを使ってはいけま せん。 ・処置部位を日焼けから守りましょう。放射線治療の直前には、日焼け止めのクリームを 使ってはいけません。できれば、外出時には（軽い衣類で）患部を覆いましょう。日焼け 止めなどを使う必要があるかどうかを主治医に確認し、使う必要があれば、予防指数 が、１５以上のものを選び、たびたび使いましょう。治療後どれくらいの間、患部の日焼 け防止をする必要があるか、主治医や看護師に確認しましょう。 □疑問があれば、主治医や看護師に聞きましょう。医師や看護師のみが、あなたの治療 やその副作用、家庭でのケアー、他の医学上の懸念などに関する適切なアドバイスを することができます。 Ｐ−１９ Ｐ−２０ |
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| （もどる） | 第３章 内部放射線治療 ： 何が起こるか いつ、内部放射線治療が行われるか 主治医が、高用量の放射線を小範囲に当てることが、ガンの治療に最適だと判断することがあります。内部放射線治療は、外部放射線治療よりも、高用量の全量の放射線を短時間で与えることができます。 内部放射線治療では、ガン細胞のできるだけ近くに放射線源を置きます。大きな放射線機器を使う代わりに、細い導線、カテーテル、またはチューブに封入された放射性金属（インプラント）が、直接患部組織にいれられます。この治療法は放射線を直接ガン細胞に集中させ、ガンの近くの正常な細胞に対する放射線損傷を減少させます。内部放射線治療に使用される放射線物質には、セシウム、イリジウム、ヨウ素、リン、パラジウムなどがあります。 内部放射線治療は、頭部や頸部、胸部、子宮、甲状腺、子宮頸、前立腺などのガンに使用されます。内部外部の両方の放射線治療をすることもあります。 この小冊子では、“内部放射線治療”は移植放射線について述べています。医療の専門家は、移植放射線治療を“近接照射治療”と呼ぶことを好みます。また、主治医や看護師が“組織内照射”とか”腔内照射“という用語を使うのを聞きかもしれません。いずれも内部放射線治療のことです。放射性のインプラントは”カプセル“とか”シーズ“と呼ばれることもあります。 Ｐ−２１ 体内にどのように移植されるか インプラントのタイプとインプラントを設置する方法は、ガンの種類と位置によります。インプラントは腫瘍の内部におかれる場合（組織内照射）、特別な器具で体内の空洞部（腔内照射）や管内（管内照射）におかれる場合、腫瘍の表面におかれる場合、腫瘍が除去された跡におかれる場合などがあります。インプラントは短時間で取り出される場合や永久におかれる場合がありますが、永久におかれても、使用される放射性物質は急速に放射性を失って、短時間で非放射性となります。 組織内照射が行われるときには、放射線源は、カテーテル内、シーズ内、カプセル内などに封入され、腫瘍内部におかれます。腔内照射の時には、放射性物質のコンテナーやアプリケーターが、子宮のような体腔内におかれます。表面近接照射治療では、放射線源は小さなホルダーに封入され腫瘍の内部や腫瘍に対峙して置かれます。管内近接照射の場合は、放射線源は、管状器官内（血管など）や気管支や食道などの管の内部に置かれます。 内部放射線も血流や体腔内に、放射性物質の溶液を注射することによってなされることもあります。この様な場合は、非封入体内放射線治療と呼ばれます。 ほとんどのタイプの移植には入院が必要になります。全身または局所の麻酔がされるので、体内に放射性物質のホルダーが入れられても痛みを感じることはありません。たいていの病院では、部屋に戻った後で放射性物質がホルダーやアプリケーターに入れられるので、他の患者やスタッフや訪問者などが放射線を浴びることはありません。 インプラントが置かれている間、他の人はどのように放射線から保護されているか インプラントの放射線源から、高エネルギーの放射線が体外に放出されることがあります。移植治療を受けている間、他の人を保護するために個室に収容します。看護師や他のスタッフは、部屋で長時間過ごすことはできませんが、必要な看護はすべて行います。必要なときには看護師を呼びますが、看護師は手早く仕事をし、ベッドのそばで話をするよりも戸口から話をすることが多くなることを覚えておいてください。非封入内部放射線治療を受けていない限り、尿や便が放射性を帯びることはほとんどありません。 インプラントが体内にあるときには訪問客にも制限があります。内部放射線治療を受けている患者のところには１８歳以下の子供や妊娠中の女性は訪問することはできません。部屋に来る前に、病院のスタッフに何か特別な指示があるか聞くように訪問客に話しておいてください。訪問客は最低でも６フィートの距離を置いて座る必要があり、放射線腫瘍医は、面会の時間制限をするでしょう。その時間は一日あたり３０分から数時間の間です。病院によっては鉛の回転遮蔽版がベッドサイドに置かれ患者と訪問客やスタッフとの間を仕切ります。 Ｐ−２３ 内部放射線治療の副作用は 組織内照射による副作用は治療されている領域によります。組織内照射治療中は痛みや病気であるなどとは感じませんが、アプリケーターがインプラントを保持しているときには不快感を感じることもあります。もし必要ならば、くつろいだり、痛みを和らげる薬を処方してくれます。インプラントが設置される間、全身麻酔を受けていたとしたら、眠気やだるさや吐き気などを感じることもありますが、これは長くは続きません。必要に応じて吐き気を抑える薬を処方してくれます。 あなたに関するどのような症状でも看護師に話をしてください。第４章の“副作用の管理”にはインプラント治療の後に起こるかもしれない問題に対処する方法についてのヒントが書かれています インプラントはどれくらいの期間おかれているのか インプラントがおかれている期間に関しては主治医が決定します。それは効果的な治療に必要な放射線量によります。治療のスケジュールは、ガンの種類や位置や、健康状態、今までに受けたガンの治療などによります。インプラントがどこにおかれているかによって、それがずれないようにベッドに横になり動かないでいる必要があるかもしれません。 一時的なインプラントには、低線量（ＬＤＲ）と高線量（ＨＤＲ）があります。低線量のインプラントは数日間置かれ、高線量のインプラントは数分後に取り除かれます。 あるガンの部位ではインプラントは永続的に置かれることがあります。もしあなたのインプラントが永久的なものであったならば、放射性が最強である数日間は他の人から離れて病院の個室にいる必要があります。インプラントは日ごとに放射性を失っていきます。家に帰ってもよいようになったころには体内の放射性は非常に弱くなっています。主治医は家でする必要がある特別な注意をすることがあります。 Ｐ−２４ インプラントがはずされると何が起こるか 一時的なインプラントを取り出すときには、たいてい麻酔は必要ありません。患者の病室内で取り外されます。インプラントがはずされてしまえば、体内には放射能がありませんので、病院のスタッフや訪問者には、あなたと一緒にいられる時間の制限はもはやありません。 退院した後、あなたの活動を制限する必要がある時には、医師はその旨を伝えますが、たいていの人は何でも好きなことをすることができます。家にいるときにちょっとした睡眠や休息が必要になるかもしれませんが、すぐに回復します。 インプラントで処置されたところは、しばらくの間痛かったりヒリヒリしたりするかもしれません。もし、特別な活動、たとえばスポーツやセックスなどによって治療部に刺激を引き起こすようなときには、それらを控えましょう。 遠隔近接照射療法 遠隔近接照射療法では、コンピューターが放射性線源を管により、腫瘍のそばに設置されたカテーテルの中に送り込みます。この処置は、閉回路ＴＶで患者を見守り、インターコムで患者と話をする治療チームによって行われます。放射能は、腫瘍にほんの数分間のこります。場合によっては何回かの遠隔処置が必要となり、その間は、カテーテルが設置されたままになります。 入院患者には、低線量（ＬＤＲ）の遠隔近接照射療法が使われ、外来患者には高線量（ＨＤＲ）遠隔近接照射療法が内部放射線治療として用いられます。高線量治療はほんの数分間です。放射性物質が体内に残されないので、患者は治療が終われば家に帰ることができます。遠隔近接照射療法は、子宮頸部、胸部、肺、すい臓、前立腺、食道などのガンの治療に用いられています。 Ｐ−25 Ｐ−26 |
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第４章 副作用の管理 副作用は誰にでも同じか 放射線療法の副作用は患者によってさまざまです。副作用がまったく無かったり穏やかだったりする人もいれば、ひどい副作用を経験する人もいます。副作用は、適用される放射線量と治療部によります。健康状態も、体がどのように放射線治療に反応するか、副作用が出るかなどに影響します。治療を始める前に医師や看護師は、発現するかも知れない副作用について、どれくらい続くか、どの程度の酷さかなどについて話し合いをします。 副作用には急性と慢性があります。急性の副作用は「初期副作用」と呼ばれることもあり、治療が始まるとすぐに発現し、治療が終わると数週間で消えてしまいます。慢性の副作用は「遅発副作用」と呼ばれ、発現するまで数ヶ月から一年かかり、永久的となります。 放射線治療での最も頻度の高い初期の副作用は、疲労感と皮膚の変化です。これは放射線によりどのような治療部位にも起こりえます。他の副作用は治療部位の特異性によります。たとえば、一時的でも永久的でも、脱毛は頭部に対する放射線治療の副作用です。治療が口、胃、腸などの場合には、食欲に変化がおこります。この章では初めに一般的な副作用について述べ、その後、体の特異な領域の副作用について述べてあります。 幸いにも、たいていの副作用は時間とともに去ります。また、不快感を和らげる方法もあります。特に厳しい副作用が起こっている場合には、主治医は処置の中断を指示したり、他の方法に変えたりします。 どんな副作用でも、主治医や看護師や放射線治療士に話してください。そうすれば、問題に対処する方法や副作用が起こることを少なくする方法などについて教えてくれます。ここに述べられている情報は副作用を対処する方法の指針としてお勧めはしますが、健康管理チームと話し合うことの代わりにはなりえません。 Ｐ−27 副作用は行動を制限しますか 必ずしも行動を制限することはありません。それは、どのような副作用で、どのくらい厳しいかによります。ほとんどの患者は放射線治療中でも仕事ができ、食事の準備ができ、いつもの余暇を楽しんでいますが、一部には普段よりも多くの休息を必要とするので、同様なことができない人もいます。あまり疲れを感じない程度にいつもの楽しみを続けましょう。 治療部位をヒリヒリさせるような行動は制限されますが、たいていの場合性交渉は可能です。放射線療法がいつもより疲労を感じさせるので、身体的欲求が低下することもあります。しかし、たいていの患者にとってこれは一時的な感覚です。（この章の後半の“性交渉”の項を参照。） 何が疲労を引き起こすか 疲れやエネルギーが少ないと感じる疲労は、ガン患者が訴える一番多い症状です。本当の原因は必ずしもわかっているとはいえません。ガンそのものによるものか治療によるものなのか、また、血球数の減少や、睡眠不足、痛み、食欲不振などから生じる可能性もあります。 たいていの人は放射線治療後数週間後から疲れを感じ始めます。放射線治療の間、身体は回復のために多量のエネルギーを消費します。また、病気に関連したストレスや治療に通うための通院、正常な細胞への放射線の影響などで疲れることでしょう。しかし、治療が終われば、脱力感や疲労は次第に なくなっていきます。 放射線治療の間はあまり多くの事をし過ぎないようにしましょう。もし、疲れを感じたら行動を制限し、自由時間を休息に当てましょう。自分でもっとも重要だと思われることをするようにしてエネルギーを節約しましょう。普段していたことをすべてしようとは思わないことです。夜ぐっすり眠り、また一日の計画を立てて、必要なときに休めるように時間を作りましょう。一時に長く休むよりも、短時間の数多くの休息のほうが効果があります。 Ｐ−28 散歩のような軽い運動が疲労対策には効果のあることがあります。医師や看護師に、治療期間中にどの程度の運動をしたらよいか聞いてみましょう。支援グループの他のガン患者と話をすることも、疲労の対処に役立つこともあります。 常勤の仕事をしているときには、普通のスケジュールをこなしたいと思うかもしれませんが、放射線治療を受けているときには休みを取る人もいるし、勤務時間を短縮する人もいます。この治療期間中にどうしたいのか雇用者と率直に話し合いましょう。パートタイムの勤務や、一部を自宅ですることができるかも知れません。主治医や放射線治療部に平日の勤務時間に関する治療計画のことで相談してみましょう。 働いていてもいなくても、家族や友人に日々の雑用や、買い物子供の面倒、家事、運転などの手伝いをお願いすることはよいことです。隣近所の人も自分の買い物のついでに食料品などを運んでくれるかもしれません。また、エネルギーの節約のために、治療の送り迎えの運転を誰かにお願いすることもできるでしょう。 Ｐ−２９ 肌の問題をどのように治療するか 治療領域の肌がまるで日焼けややけどのように赤くなったりヒリヒリすることがあります。治療開始の２，３週間後に肌が乾いていることもあります。主治医や看護師に肌のかゆみや不快感を和らげる方法についてたづねてみましょう。 ある放射線治療によっては、肌が折り重なっている部分で「湿った状態」になるときがあります。この肌が湿っているところガ非常に痛いときがあります。これが起こったときには主治医や看護師に相談することが重要です。この部分の処置の仕方や感染症からの予防の方法を教えてくれるでしょう。皮膚治療のほかのヒントは外部放射線治療の章に延べてあります。 放射線治療を受けている間は治療部位の皮膚をやさしく保護しておく必要があります。 以下のヒントが役に立つでしょう。 ・治療部位の皮膚をヒリヒリさせないようにしましょう。 ・肌を洗うときには、ぬるま湯とマイルドソープを使い、軽くたたくように拭きましょう。 ・患部をぴったり覆うような衣服を避けましょう。 ・治療部位をこすったり、こすり洗いをしたり、掻いたりしてはいけません。 ・電気布団や氷嚢のような熱いものや冷たいものを患部に当ててはいけません。 ・肌に刺激を与えない治療用の製品を医師や看護師に聞いてみましょう。主治医や看護 師の承認なしには、治療中や治療後数週間は治療部位の肌に、パウダー類、クリーム 香水、脱臭液、ボディオイル、軟膏、ローション、家庭薬、などを使用していけません。 ・治療の２時間以内には、スキンローションを使用しないでください。 Ｐ−30 ・治療中は患部の肌を日光に当てないようにしましょう。日なたに２〜３分以上いるような 場合は、注意が必要です。日光を防ぐ衣服（つば広の帽子や長袖のシャツなど）を着、 日よけを使用しましょう。主治医や看護師に日焼け止めローションの使用についてきい てみましょう。処置が終わった後、どれくらいの間、日光に対する保護をしなければなら ないかについても、主治医や看護師にアドバイスを受けましょう。 放射線治療による皮膚の大部分の反応は、治療終了後２〜３週間で無くなります。場合によっては、前より幾分黒ずんだまま残り、日焼けに対して敏感になることがあります。 体毛の損失にはどうするか 放射線治療は脱毛、ー脱毛症として知られているー、を引き起こすことがありますが、これは治療部位のみに起こることです。たとえば、臀部に放射線治療を受けているときには頭部の体毛損失は起こりません。頭部への放射線治療は頭髪の一部または全部の損失を起こすことがあります。しかし、治療が終われば体毛は元のように生えてきます。治療後に生えてくる体毛の量は、どのような放射線治療をどの程度受けたかによります。生まれ変わった体毛はわずかに感触が違ったり色が違ったりすることがあります。他の治療たとえば化学療法などでも、後で生えてくる体毛に影響を与えることがあります。 頭髪が失われ頭皮が柔らかいとしても、帽子やターバンやスカーフで頭を覆っておくことはよいことです。日光に照らされたり、寒い屋外などにいるときには頭の保護のための帽子やスカーフを使用しましょう。もし、かつらや付け毛を使うときには頭皮をヒリヒリさせない裏地を選びましょう。ガンの治療のためのヘアーピースのコストは、所得の控除ができるし、また保険でまかなえるかも知れません。もしかつらを買うつもりがあり、色やスタイルを自分自身の毛と合わせたいのであれば、治療の初期段階であつらえてください。 Ｐ−３１ 血液への副作用には、どのように対処するか 放射線治療は、白血球と血小板の低レベルをひきおこすことがあります。これらの血球は通常体を感染から守り、また出血をふせぐ作用をします。もし骨髄の広範囲に治療を受けた場合には、赤血球数の減少も起こることがあります。血球の検査でこのような副作用が起こっていることがわかったなら、治療を受けることが可能なまでに血球数が増加するまで、治療を停止します。そのため主治医は定期的に血球数の検査をし、必要に応じて治療計画を変更します。 |
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| （もどる） | 食事は問題となるか 放射線治療は、食欲不振を起こし、摂食、消化、食物の吸収などに影響を与えることがあります。しかし、ダメージを受けた組織が復旧することを助けるためにできるだけ十分に食べましょう。放射線治療の間、週に１〜２ポンド程度の体重の減少があるのは珍しいことではありません。体重をチェックするために毎週測定がなされます。 バランスの取れた食品をとることは重要なことです。食べる量を少なくして、食べる回数を多くすることや、さまざまな食品を食べることが大切であることに気づくでしょう。主治医や看護師は、あなたが特別食をとる必要があるかどうかを判定してくれ、栄養士は体重を維持するためのヒントを与えてくれるでしょう。 短期間の食に関する問題に対処することは、思っているほど難かしくはありません。食事の問題を持つ患者への食品のガイドやレシピの本はたくさんあります。ＮＣＩの小冊子“ガン患者の食事のヒント”には、食物をたくさん食べなくてもカロリーやタンパク質を十分にとる方法が述べられています。また食事を楽しむ方法についても書かれています。そこにあげられているレシピは家族全員にも良いし、低塩食などの特別に注意を必要とする人にも使用可能です。（この小冊子の入手に関しては、巻末の“その他の参考資料”を参照） 噛んだり飲み込んだりに痛みを感じるのであれば、主治医が粉末食や流動補助食品を紹介してくれるでしょう。これらの食品はドラッグストアーやスーパーマーケットで入手でき、さまざまな味のものがそろっています。単独で食べてもおいしいし、裏ごしした果物やミルクセーキにしてもおいし食べられます。これらの代用補助食品のレシピの小冊子を作っている会社もあり、栄養摂取に役に立ちます。看護師や栄養士や薬剤師に詳しく聞いてみましょう。 Ｐ−３２ 治療の間は食物に対する関心が薄れることがあります。治療からくる疲労は食欲を失わせます。病気や治療のストレスからや、治療による味覚の変化により食事をしたくない人もいます。お腹がすいていなくてもタンパク質やカロリーの摂取量を高く保っておくことは重要なことです。食事をよく取る人は、ガンや治療の副作用によい対処ができるということがわかっています。食欲を増進する薬を利用することもできます。主治医や看護師に訊ねてみましょう。 下記のリストは、食べたくなったときに、少ない食欲を増強し、最大限に引き出す方法のヒントです。 ・食事の時間でなくても、お腹がすいたら食べましょう。 ・決まった３度の食事よりも、数回に分けた少量の食事をしましょう。 ・柔らかな照明、静かな音楽、明るい色のテーブルの調度品、食事を楽しくするものなど は何でも用いましょう。 Ｐ−33 ・新しいレシピを試したりして、食事に変化を与えましょう。食事中に仲間と楽しむことが 好きなら、家族や友人と一緒に食事をしましょう。ラジオやテレビを見ることも良いこと でしょう。 ・食欲増進のために、食事中にワインやビールを飲んでも良いかどうか、主治医や看護 師に聞いてみましょう。アルコールは、治療の副作用を悪化させることがあるので許可 されないこともあることを記憶にとどめておきましょう。頭部、頸部、食道を含む上部胸 部領域のガンに放射線治療を受けている場合によくおこります。 ・お腹がすいたときにすぐ食べられる簡単な食事を冷蔵庫に用意しておきましょう。 ・誰かが代わりに調理をしてくれるときには、任せましょう。何を食べたいかを恥ずかしが らずにいいましょう。 ・食べたくなったときの用意に、栄養価のあるスナックを、いつも自分のそばにおいてお きましょう。 ・一人住まいであるなら、食事を配達してくれる“ミールズ オン ホィールズ”（食事宅配） を利用したいかもしれません。主治医や看護師、ソシャルワーカー、地域の社会福祉 協会などに宅配のことを聞いてみましょう。たいていの大きな町にはこのサービスがあ ります。 もし、食事を少量しか食べられないのであれば、一食分のカロリーを増加する方法があります。 ・バターやマーガリンを加える。 ・缶詰のクリームスープを溶くときに、牛乳を使うか水と半々で使いましょう。 ・間食にエッグノックやミルクセーキ、流動補助食などを取りましょう。 ・好きな野菜にクリームソースやとろけるチーズなどをかけましょう。 固形物を食べたくないときでも、大量の液体を取ることは可能です。もし、固形物を取りたくないときには、粉ミルク、ヨーグルト、蜂蜜、液体補助食品などで栄養豊かな飲み物を作り飲みましょう。 Ｐ−３４ |
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| （もどる） | 放射線療法は情緒面に影響があるか ガンの治療を受けているほとんどの人が、治療期間中にさまざまなところで情緒的な動揺を感じているといっています。不安感、うつ状、恐れ、怒り、イライラ、孤独感、無力感などを感じることは珍しいことではありません。放射線治療は、治療そのものが情緒面に影響を与えるのではなく、疲労感やホルモンバランスの変化などにより間接的に感情に影響を与えます。 親友、家族、牧師、看護師、ソーシャルワーカー、心安い心理学者などと話をすることはこの感情の不安定感に有効となります。また主治医や看護師に、くつろぎや穏やかさを感じるメディテーションやリラクゼーションについて訊ねてみるのも良いでしょう。 全国的支援プログラムは、ガン患者が同じような問題や悩みを持っている人たちとの会合を支援しています。患者がそれらの感情の問題を話し合ったりお互い励ましあったりすることができるように心の架け橋となる支援グループを作った医療センターもあります。 ガンに罹ったことに対する感情面の問題の対処に有効な、本やテープやビデオもあります。ＮＣＩの小冊子“Taking Time”(時間をかけて)はこれに対処するための良い情報源となるでしょう。（この小冊子の入手に関しては、巻末の”その他の参考資料“を参照してください。） ガン情報サービス（1-800-4-CANCER）には、あなたの地域の、情緒面の支援に関する書物や他の資料の案内をしています。 頭や首への放射線治療は、どのような副作用を起こすか 頭や首に放射線治療を受けている人は、口内に赤みやヒリヒリ、腫れ物などを生じることがあります。これは口の渇きや唾液の濃縮、嚥下困難、味覚の変化、吐き気、などを生じます。これらの症状により食事が取れないようにはならないようにしましょう。 頭や首への治療中に生じるほかの問題は、食欲を減退させ栄養摂取に影響を及ぼす味覚の損失や耳垢が硬くなることによる耳痛です。 Ｐ−３５ 皮膚の肌触りの変化と同じく顎の下の皮膚の膨張や下垂が見られます。下顎が硬くなったと感じ、治療前ほど口をあけることができなくなるかもしれません。下顎の運動はこれを緩和してくれるでしょう。どんな副作用でも、主治医や看護師に話をしてどうすればよいかアドバイスを受けましょう。 頭や首に放射線治療を受けているのであれば、特に歯や歯肉、口、のどなどに気を付ける必要があります。この領域への治療の副作用は、普通、口内の痛みや乾燥を引き起こします。 以下は口の問題に対処するいくつかのヒントです。 ・香辛料やザラザラした食品、たとえば生野菜、クラッカー、ナッツ類などを避けましょう。 ・酸性の食品や飲み物は口やのどに刺激を与えます。 ・喫煙、噛み煙草、アルコール類を避けましょう。 ・虫歯の恐れがあるので、砂糖含有の食品を避けましょう。 ・歯科医や主治医から指示された方法で、口や歯を清潔に保ちましょう。 ・アルコールフリーの口内洗浄液を使いましょう。市販の洗浄液は、口内を乾燥させるア ルコールを含んでいます。 口腔ケアー 頭部や頸部のガンの放射線治療は、歯に空洞を生じる可能性を増大させます。問題を予防するように計画された口腔ケアーは治療の重要な部分となっています。放射線治療を開始する前に歯科医や放射線腫瘍医などに相談をして、歯と口腔の完璧な検査をしておきましょう。 歯科医は、口腔と歯のケアーのために放射線治療の期間中にたびたび検診に来るようにすすめるでしょう。これは虫歯のリスクを減らし、また口腔の組織の痛みなどの問題に対処するとても良い方法です。放射線治療を受けている間、歯科医の指示に従うことは大切なことです。 Ｐ−３６ 歯科医は次のようなアドバイスをするでしょう。 ・一日に少なくとも４回（毎食後と就寝前）柔らかいブラシで完璧にはと歯ぐきを磨きましょ う。 ・研磨剤を含まないフッ素化合物入りの歯磨きを使いましょう。 ・病気になる前にいつも歯垢磨きをしていたならば、毎日優しく歯垢磨きをしましょう。ワ ックスのかかった、切れ目の入っていないデンタルフロストを使いましょう。 ・塩と重曹を溶かした溶液で、静かに数多く口をすすぎましょう。特にブラシ後はよくすす ぎましょう。茶さじ１／２の塩と茶さじ１／２の重曹を大きなコップのぬるま湯にとかし、 水ですすいだ後に使いましょう。 ・歯科医の処方に従って定期的にフッ素を塗布しましょう。 歯科医師は、あなたに適した塩と重曹のうがい液の作り方やフッ素の塗布の方法を教えてくれます。正しい口腔ケアーを書いた処方箋をくれるでしょう。治療後も口腔の乾燥が続くようであれば、治療中に進められた口腔のケアーを続ける必要があります。歯科医の指示を放射線看護師と共通理解しておきましょう。 口腔とのどの問題に対処する 口腔やのどの痛みは外部放射線治療の第２週目か第３週目にあらわれ、治療終了後１ヶ月前後できえてしまいます。口腔が乾くので、この期間中に嚥下の問題が起こります。主治医や歯科医が、口腔の不快上場に対処する薬を処方してくれ、放射線治療期間中と治療後のほかの口腔の問題に対処する方法を指示してくれます。義歯を使っている場合、放射線治療が歯ぐきを肥大させてしまうと、合わなくなってしまいます。ですから、放射線治療が終わるまで義歯の使用をやめておく必要があります。つまり、義歯の不具合により歯肉炎などが起こると感染症に罹ることがあり、また直りにくいですから。 Ｐ−３７ 唾液腺がいつもより唾液の生産が少なくなるので、口腔を乾燥させることになります。残念なことに治療が終わった後でも、口渇は問題として残ることがあります。この副作用を抑えるために薬が処方されます。また冷たい飲み物を取ることも有効です。多くの放射線治療者は、炭酸飲料を飲むことが口渇の軽減に良いと言っていますが、水が一番良いでしょう。朝、大きな水筒に氷と水をいれ日中持って歩けば、いつでも飲むことができるでしょう。夜、ベッドサイドにグラス入りの冷たい水を置いておくことも良いでしょう。甘味料抜きのキャンデーやガムなども同様に役立ちますが、これらを取りすぎると下痢を起こすこともあるので注意しましょう。タバコやアルコールも口内の組織を乾燥させたり、ヒリヒリさせたりしますので避けましょう。食事を容易にするので、食品を肉汁やソースに浸しましょう。これらの方法が十分でなければ、代用の唾液か唾液の生産を増加させる薬について歯科医師、放射線腫瘍医、看護師に尋ねましょう。人工唾液や唾液の生産を増大する薬は入手可能です。 |
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食事のヒント 嚥下に困難や痛みを感じることがあります。また、何かがのどに詰まったように感じることもあるという人もいます。口やのどの痛みや乾燥も、食事を難しくします。この小冊子の “食事の問題”の章はこの問題に役に立ちますが、以下のヒントも食事を快適にしてくれるでしょう。 ・おいしくて食べやすいものを選ぶ。 ・液体を加えて食品の組成を替えたり、ソースや肉汁を使って食品を柔らかくする。 ・スパイスを利かせた食品や乾燥したザラザラなもの、たとえばクラッカーのようなものを 避ける。 ・食事の量を少な目にして、いつもより回数多くたべる。 ・食品を一口サイズに小さく切る。 ・のどの痛みを軽減する飲み薬を医師に処方してもらえば、食べたり飲み込んだりが、容 易になる。 Ｐ−３８ ・固体より嚥下が容易な流動補助食品について、医師に聞いてみる。この食品から体重 の減少を防ぐ十分なカロリーを摂取できる。 ・肺ガンの治療を受けている場合は、粘液や他の分泌物を薄く適度に保っておくことは 重要なことであり、それには液体を十分にとることが必要。 ・なじみの食べ物がおいしく感じなくなったら、新しい食品や調理法を試してみる。 このほかのヒントは、ＮＣＩの小冊子“ガン患者への食事のヒント”を参照してください。 |
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| 胸部への放射線治療はどんな副作用を引き起こすか 胸部への放射線治療はさまざまな変化を引き起こします。たとえば、嚥下が困難になったり、痛みを伴ったりします。また、熱が出たり咳をしたりもします。また痰の量や色が変わっていることもあります。息切れは普通見られます。このような症状ガでたら、必ず医療チームに知らせてください。主治医や看護師は数多くの放射線患者の中にこのような症状が起こるのを知っており、またその対処法も知っていることを覚えておいてください。 乳ガンへの放射線治療には副作用があるか もっとも多く見られる乳ガンへの放射線治療の副作用は、疲労と皮膚の変化です。しかし、ほかの副作用もあります。もし肩がこるときには、腕が自由に動かすことができるように、エクササイズについて主治医や看護師に尋ねてみましょう。胸部や乳頭部の痛みなども含めて、治療された領域での流体の蓄積によるむくみや、皮膚が赤くなったり黒ずんだりします。黒ずみが無くなるまでには６ヶ月くらいかかるが、他の副作用はだいたい４〜６週間で消えていきます。 もし、乳ガンで乳腺腫瘤摘出や、乳房切除手術後の放射線治療を受けているのであれば、外出などにはブラを使用しないほうが良いでしょう。もしこれが不快ならばアンダーワイヤーのない柔らかな綿のブラを使いましょう。これは治療領域での肌の刺激を少なくする良い方法です。 Ｐ−３９ 乳腺腫瘤摘出手術後の放射線治療は、処置された胸部に異なる変化を生ずることがあります。これらの副作用は少なくとも治療後１年間の長期にわたることがあります。日焼けがシミとなっていくように肌の赤みはわずかに黒い痕を残します。胸部の肌の孔は、拡大し目立つようになるかも知れません。また胸の皮膚の感受性が増したり、感覚が鈍くなったりする人もいます。皮膚や胸部の脂肪層が、放射線治療の後厚くなったり硬くなったりすることもあり、液体の滞留により胸が大きくなったり手術傷が形成されるために小さくなったりの変化もします。でも、たいていの人は、大きさの変化はほとんどありません。 乳腺腫瘤摘出治療での放射線治療計画には、治療部周辺に一時的に放射性物質を埋め込むことがあります。外部放射線治療が完了した１〜２週間後、短期間の入院でこれらの物質が移植されます。この移植片は乳房の圧迫や締め付けられるような感覚を起こすことがあります。これが取り除かれた後も外部放射線療法を受けたときと同じような感覚が残ることがあります。そのときには主治医や看護師に相談してください。 乳ガンの放射線治療により生ずるたいていの変化は、治療終了後１０〜１２ヶ月してからわかります。たまに、抹消血管拡張といわれる小さな赤い斑点が現れます。これは血管が拡張した領域で、時間とともになくなっていきます。この後に、胸のサイズ、形、見栄え、きめなどに新しい変化が現れたら、すぐに主治医に連絡してください。 |
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胃や腹部への放射線治療による副作用は何か 胃や腹部への放射線治療を受けると、胃の具合が悪くなったり吐き気や下痢などを起こすことがあります。これらの症状にたいし、主治医は薬を処方してくれるでしょう。しかし、主治医や看護師の検査を受けないうちにはこれらに対する薬を勝手に服用してはいけません。 Ｐ−４０ 吐き気の手当て 胃や腹部への放射線治療後、２〜３時間吐き気を感じることは珍しいことではありません。一部の患者は、空腹でこの治療を受けた場合には、この吐き気を感じることが少ないことがあると言い、他の人は治療の１〜２時間前に軽食を摂ると良いといいます。治療後１〜２時間待って食事をすると吐き気が起こることが少なくなるかもしれません。この吐き気が続くようならば、主治医に薬（吐き気を予防する制吐剤）を処方してもらいましょう。制吐剤が処方されたら、治療の１時間前か主治医や看護師の指示に従って服用しましょう。たとえ時々吐き気が起こっても、飲む必要はありません。 毎回治療前に胃の具合がおかしくなるのであれば、ガン治療についての懸念や心配がそれを引き起こしていることがあります。トーストやクラッカーとりんごジュースのような口当たりの良い軽食を摂ってみましょう。治療前の不安が解消されることでしょう。本を読んだり手紙を書いたりクロスワードパズルなども効果があります。 胃の不具合に関するヒントがここにあります。 ・主治医や看護師、栄養士などの指示による特別食を摂りましょう。 ・少量ずつ食べましょう。 ・回数多く食べ、ゆっくりと飲んだり食べたりしましょう。 ・揚げ物や脂肪の多い食物を避けましょう。 ・食事と食事の間に冷たい液体を摂りましょう。 ・香りの穏やかな食事を、室温かそれ以下の温度で摂りましょう。 激しい吐き気や嘔吐が起こるときには、澄んだ液体（肉汁や澄んだジュースなど）や何も付けていないトーストやゼラチンなどの、口当たりの良く消化の良い食品を摂って見ましょう。 Ｐ−４１ 下痢に対してはどうするか 下痢は、腹部や骨盤に放射線治療を受けてから３〜４週間で起こります。放射線治療を始める前に、繊維質の少ない食品を取ることで下痢を予防することができます。生の果物や野菜、豆類、キャベツ、全粒パン、穀類などを避けましょう。主治医や看護師が食事の変更や抗下痢剤の処方や、この問題のための特別な指示を与えてくれるでしょう。これらの変更で効果が無かったときには主治医や看護師に相談しましょう。以下の食事の変更が効果があるかもしれません。 ・下痢が始まるか、そのような感じがしたら、澄んだ流動食（水、薄めの紅茶、りんごジュ ース、濾した肉汁、ゼラチンなど）を摂ってみましょう。 ・主治医や看護師に下痢を悪化させない食品についてたづねてみましょう。薄い紅茶や 濾した肉汁はよく指示される食品です。 ・高繊維質のものや生の果物や野菜のように痙攣やゲップを起こすようなもの、コーヒー やカフェインを含んでいるほかの飲み物、豆類、キャベツ、全粒のパンや穀類、甘味類 、香辛料の強いものなどを避けましょう。 ・量を少なくして食べる回数を増やしましょう。 ・牛乳や乳製品が消化器系を刺激するのであれば、乳糖フリーの製品を摂りましょう。 放射線治療が終わった後２週間は低脂肪で低繊維、乳糖フリーの食事を続け、次第に 他のものを取り入れていきましょう。低繊維食品、たとえば米飯、バナナ、アップルソー ス、マッシュポテト、低脂肪カッテージチーズ、何も付けないトーストなどから始めると良 いでしょう。 ・食事には下痢で失うことがあるカリウムを含んだ食品（バナナ、ポテと、アンズ）を必ず 取り入れましょう。 Ｐ−４２ 胃や腹部に放射線治療を受けている患者にとって、食事計画は大変重要なものです。できる限り栄養価の高い食品を食事や軽食に取り入れるようにすれば、十分なカロリーと不可欠な栄養物を取ることができます。吐き気や嘔吐や下痢は治療が終われば消えてしまうことを覚えておきましょう。 |
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| （もどる） | 骨盤への放射線治療による副作用は何か 骨盤（臀部との間）のいずれかの部分に放射線治療を受けているなら、すでに消化に関する問題を抱えていることでしょう。不快感や頻尿などを生ずる膀胱の刺激があるかもしれません。液体を多量に飲むことによりこの不快感から逃れられることもありまが、カフェインや炭酸入りの飲み物は避けましょう。主治医もこの問題を軽減する薬を処方してくれるでしょう。性や生殖機能に対する放射線治療の影響は、どの器官が放射線治療の領域にあるかによります。一般的な副作用は、治療後は無くなりますが、あるものは長期間残ったり、永久に残ったりします。治療を始める前に、発現可能性のある副作用や、その持続期間について医師に尋ねましょう。骨盤領域に放射線治療を受けている女性は、その放射線量により、生理が止まったり、膣のかゆみ、灼熱感、乾燥などの更年期症状を呈する場合があります。これらの症状について主治医や看護師に話をしましょう。その処置を指示してくれます。 生殖に対する影響 放射線治療が生殖力に及ぼす影響については、まだ研究中です。あなたが出産可能年齢であるのなら、産児制限と生殖力に関する事柄について主治医とよく話し合いをすることが大切です。とくに妊娠初期の３ヶ月には放射線治療が胎児に影響を与える可能性が高いので、放射線治療を受けている間は妊娠しないようにしましょう。もし、治療開始前にすでに妊娠していたなら、必ず主治医に話しをしましょう。そうすれば、可能なら胎児が放射線から保護されるでしょう。 Ｐ−４３ 精巣を含む領域への放射線治療は精子の数と活性能力を減少させます。しかし、これは受胎が起こらないということではありません。放射線治療を受けている間の妊娠を予防するための方法について主治医や看護師に尋ねてみましょう。生殖力に関して何か懸念がある場合は必ず主治医と話し合いをしてください。たとえば、ガン治療が終わった後で子供がほしいと思うのであれば、生殖力の減少を気にするでしょう。そんなときには、主治医が治療前に精子バンクの利用などに関する情報の入手法を教えてくれるでしょう。 性的な関係 ほとんどの放射線治療では、男性も女性も性行為の能力の変化は感じることはありません。しかし、男女どちらも性行為への欲求が減少することがあります。これは放射線治療によるよりもガンに罹っているというストレスに起因することのほうが多いです。しかし、放射線治療が終わると性行為への意欲も戻ってきます。 骨盤への放射線治療の間は、性行為を避けるように指示される人もいますし、行為に不快感や痛みを伴う人もいます。治療終了後、数週間以内にこのような症状は消えるでしょう。膣の萎縮が放射線治療の副作用としておこるときは、主治医や看護師が穏やかに膣の組織を広げる拡張器の使用方法の説明をしてくれるでしょう。 ガン治療中や治療後の性行為に関する懸念があるときには、主治医や看護師に相談しましょう。有用な冊子についても聞いてみましょう。 Ｐ−４４ Ｐ−４５ |
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| （もどる） | 第５章 フォローアップ フォローアップとは何か 放射線治療が終わったら、定期的に主治医を訪問し治療の結果をチェックすることは、放射線治療の副作用や疾患の再発の徴候を検出するのに大変重要なことです。これらの検査の期間中に主治医はあなたを検査し、病理検査やＸ線検査をすることもあります。放射線腫瘍医も治療終了後のフォローアップのためにあなたを診察し、主治医とともにフォローアップのプランを作ります。 フォローアップには更なるガン治療やリハビリテーションやカウンセリングなどが含まれます。放射線治療後、自分自身の健康管理をすることも、もちろん重要なことです。 だれがフォローアップケアーをするか 大部分の患者は引き続いての定期的な診察のために放射線治療医のところへ行きます。他には最初の医師や外科医や腫瘍医のところに行く人もいます。フォローアップケアーをする医師は、治療されたガンの種類や受けた治療、今後必要とするかもしれない治療によりよりさまざまです。 他にどのような治療が必要か 患者一人ひとりが違うようにフォローアップケアーはさまざまです。主治医は必要とする治療やその予定を立てますが、それらの検査や治療について訊ねることをためらってはいけません。自分自身の健康管理をするために必要なことのすべてを知っておきましょう。 Ｐ−４６ 放射線治療を終えた後に、医師に尋ねておくべきことを以下に記しておきました。 ・ 検査にどれくらい来なければならないか。 ・ どうして、またＸ線やＣＴスキャン、血液などの検査を受けなくてはならないのか。それ で何がわかるのか。 ・ 化学療法や手術また他の治療が必要か。 ・ いつ、またどうしてガンが完治したとわかるのか。 ・ 再発の可能性はどれくらいか。 ・ 普段の生活に、いつ戻れるのか。仕事は。性交渉は、スポーツは。 ・ 直射日光を避けるとか、感染症の人を避けるとか、何か特別に注意することがあるか・ 特別食が必要か。 ・ 運動が必要か。 ・ 人工器官（義肢など）を使えるか。 ・ 整形手術を受けられるか。どれくらいでそれが可能か。 主治医に訊ねたい事柄を書きとめておくことは良いことです。この冊子の後ろの“ノート”のページに質問事項を書き込み、診察を受けるときに持っていきましょう。また、家族の誰かと一緒に診察をうけることも、医師の言うことを覚えておくためには良い方法です。 疼痛が問題となったら 放射線の副作用による不快感がおこるとしても、放射線治療は痛みを伴いません。しかし、放射線が寛解（Ｐ−９参照）のために使われるときには、いくらかの不快感や痛みが残ることもあります。ガンの疼痛への対処には、援助が必要なときがあります。穏やかな痛みの時には店頭販売の鎮痛薬で十分なときもあります。しかし、放射線治療をされた部分の疼痛を和らげるために電気座布団や温湿布などを使用してはいけないことを記憶にとどめて置いてください。 Ｐ−４７ もし痛みが激しいのなら、主治医に鎮痛剤の処方や他の方法を聞いて見ましょう。できるだけ具体的に痛みを述べましょう。（０を痛みがないとき、１０を我慢できない痛みとして、０〜１０で強さを測る、どこが痛いか、ズキズキする、突き刺すような、焼け付くような、連続的か断続するか、何が痛みを和らげたり強くするか、）そうすれば最適な治療が受けられるでしょう。もし痛みが解決できなければ、主治医に疼痛専門家を紹介してもらいましょう。 恐れや心配が疼痛をより酷くすることがあるので、リラックス法を取り入れてみることも良いでしょう。催眠、生体フィードバック、鍼灸などの方法がある種のガンの疼痛にやくだつことがありますが、これらの代替補完医療に関しては、現在受けている治療に干渉することがありますので、主治医や看護師に必ず相談しましょう。また、他の治療にも有害なこともあります。 “疼痛管理のＱ＆Ａ：ガン患者と家族のためのガイド”は、ガンの疼痛管理の一層の理解に役に立つ小冊子です。（この小冊子の入手に関しては、この小冊子の後ろの“その他のガン情報“を参照してください。） 放射線治療のあとどのように自己管理をすればよいか 放射線治療を受けた患者は、治療が終わっても、しばらくの間は治療中にしていた特別の配慮を続けなければなりません。たとえば治療が終わっても数週間は、肌の問題が残っていることでしょう。肌への刺激の徴候が消えるまで、治療領域の肌をやさしく取り扱いましょう。タトウが、処置領域の表示に使われたとすればこれは永久的なので洗っての落ちませんから、これをこすり落とそうとしてはいけません。治療終了後の肌の心配事については、看護師が疑問に答えてくれ、対処してくれるでしょう。 治療が終わっても、ちゃんとした皮膚が回復し、再生するまで、さらに休養が必要です。必要なときには仮眠をし、夜はぐっすりねむるようにしましょう。健康を取り戻すのには時間がかかりますから、段階的に正常な活動になるように予定を立てましょう。 Ｐ−４８ もし情緒面や社会的な支援が必要だと感じたら、支援グループや他のあなたの気持ちや心配事を話し合える方法を主治医や看護師やソーシャルワーカーに尋ねましょう。 いつ医師と連絡を取ればよいか ガンの治療後には、さらに自分の体に気を付けて、毎日毎日の小さな変化にも注意をしましょう。主治医は何か変わった症状が出ていないかを気にしています。もし以下のような事があったら、すぐに医師に知らせましょう。 ・ 痛みが去らない。特に同じところが痛む。 ・ 新しいこぶや変ったこぶ、隆起、膨張など。 ・ 吐き気、嘔吐、下痢、食欲不振。 ・ 異常な体重の減少。 ・ 熱が去らない、咳が止まらない。 ・ 変った発疹、挫傷、出血。 ・ 何か気になること。 ・ 主治医や看護師に言われた異常な徴候。 職場復帰は 放射線治療は、治療時間が短いのでほとんどの人が働き続けることができます。もし仕事を中断していたら、始めたいと思ったときいつでも仕事に戻ることができます。しかし、仕事が何か重いものを持ち上げたり、重労働を必要とするときには体が回復するまで仕事の責任を変ってもらいましょう。職場復帰が医師の承諾を必要とするかどうか、雇用主に確かめましょう。 職場復帰ができるのであれば、仕事に対する権利や健康保険のことを知っておくことは大切なことです。もし雇用問題について疑問があるならば、ガン情報サービス（ＣＩＳ）に連絡を取りましょう。ＣＩＳのスタッフが、ガン生存者がよく直面する雇用や保険の問題に関して相談に乗ってくれる地域の機関を探してくれるでしょう。 Ｐ−４９ |
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| （もどる） | 終わりに この小冊子の情報が、放射線治療がどのようにガンの治療に使われているかの理解に役立つことを願います。治療を受けるときに何がおこるかを知っていれば、不安を感じることはないでしょう。疑問やもっと情報をほしいと思ったときにはいつでも、看護師や医師や医療チームの人たちに話をすることを忘れないでください。 Ｐ−５０ |