2006/12/18 NCI News NCI NEWS | ||
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最近の臨床試験によれば、食品中の脂肪分の減少は、乳がんの再発のリスクを減少させる可能性があることがわかった。 |
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WINS(女性による栄養の研究)によれば、食事に含まれる脂肪分の摂取を控えた早期乳ガンの治療を受けた閉経後の女性は、乳ガンの再発や、第二の乳ガン発現のリスクを低下させる可能性のあることがわかった。 WINSは、食事の改善が、早期乳ガンの通常の治療を受けている女性の乳ガン発現率を改善することを示す初の大規模な無作為試験である。 国立衛生研究所の一部門であるNCIの研究結果は、2006年12月20日のNCIジャーナルにNCIの研究者による記事として発表された。この報告は試験データーの中間解析によるものである。 WINSの研究は、食事中の脂肪分の減少が乳がんの再発リスクの低下に効果があるかというテストに応募した、乳がんと診断された女性のグループにより行われた。 2006年の初頭に、低脂肪食品の乳ガンリスクに及ぼす効果を調べたWHIは、浸潤乳ガンの発症率に関して低脂肪食品が穏やかな効果があることを示した。 食品の脂肪と乳ガンとの関係は不明であるとしながらも、「健康な生活習慣―脂肪摂取の控えと運動―がリスクを低下させ長期的な治療効果の向上をもたらすことに有効であるという証拠が確実に蓄積されている。」とNCIの主任研究員ジョン・E博士はいっている。 WINSは、早期乳ガンの治療を受けた女性を、1994年から2001年までの間に2437名登録した。年齢48歳から79歳の女性は、低脂肪食群と通常食の対象群とに無作為に割り振られた。 本研究の初めに、両群は同量のカロリー、一日に57gの脂肪または一日の摂取カロリーの約30%に当たる脂肪分、を摂取した。観察の一年目の終わりには食事介入群は脂肪摂取を一日当たり約24g減少させ、対象群は5g減少させた。この二群間の差はテストの全期間を通して維持された。テストの5年目に介入群の女性は、対象群の女性に比べ、平均6ポンドの体重減少を示した。さらに3年間の追跡調査が現在予定されている。 |
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調査の中間に当たる5年目に、乳ガンの再発または新しいガンの発生は、低脂肪食群の女性で9.8%、標準食群の女性で12.4%であった。これは低脂肪食群の女性の、再発の相対リスクの24%減に値する。最大のリスク低下―42%−は腫瘍がホルモンのエストロゲンの存在に反応を示さなかった低脂肪食の女性にあらわれた。エストロゲンに反応を示した女性のリスク低下は15%であった。エストロゲンに反応を示さない乳癌は陰性エストロゲン受容体とよばれ、通常ER陽性の疾患より発現率が低い。 「低下は、脂肪摂取とエストロゲン濃度の関係によりER陽性の疾患を持つ女性に予見さていたが、ER陰性に対する効果は、もし検証されれば、乳ガンとその徴候に関する驚くべき潜在的な重要性を持つ観察でありまた可能性の高い研究の新しい入り口のである。」とNCIの栄養化学研究グループのチーフであるジョン・ミルナー博士が言っている。さらに、「更なる確認が必要ではあるが、低脂肪食は他の健康に関する効果、−適度な体重の減少−などをもたらすであろう。」「WHIとWINSのいずれの研究においても、リスクの減少を検出するのに、4年かかっているので、これは即効的でないことは明らかである。」「また、一部の女性は、食事の脂肪摂取量の減少によるよりもさらに多くの効果を他の事で得ていることも明らかではあるが、人の遺伝子が食事の脂肪摂取量の減少による身体内の変化にうまく調和するようになっているのだろう。」と述べ、脂肪の減少は、ガンの発現に影響を与える可能性のあるさまざまな食事形態の一つであることも強調した。 |
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関連論説 アンC.M. NCIのティエボ博士は、二つの研究群の間の、自己申告も含めて、食事と処置のアンバランスによるさまざまな調査の限界に関してのべた。大きな生活様式の変化を伴うこのような臨床試験の運営管理の難しさを意識しながら、WINSは将来の展望に非常に重要な結果を生んだと結論した。 |
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本研究のための資金は、ほとんどがNCIがん予防部門から提供されている。 補助的な研究の資金提供は、乳ガン研究基金とアメリカがん研究所から提供されている。 |
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*Chlebowski RT, Blackburn GL, Thomson CA, Nixon DW, Shapiro A, Hoy MK, et al. Dietary fat reduction and breast cancer outcome: interim efficacy results from the Women's Intervention Nutrition Study (WINS). J Natl Cancer Inst 2006; Vol. 98, No. 24, pp 1767-1776. **Thiebaut ACM, Schatzkin A, Ballard-Barbash R, Kipnis V. Dietary Fat and Breast Cancer: Contributions from a Survival Trial. J Natl Cancer Inst 2006; Vol. 98, No. 24, pp 1753-1754. |