MD Anderson の治験の手引き |
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治験とは何か 治験とは人に関する研究で、その主な目的は疾病の予防、診断、処置のよりよい方法を発見することです。治験は長期にわたる、注意深い研究のひとつです。治験に参加する患者は、信頼の置ける研究所や動物実験などで、すでに研究された薬や治療を受けます。 また、治験に参加する患者は、すべてボランテアであり、いつでも受けている治験をやめることができます。 |
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なぜ治験が重要なのか 治験は、ガンの新しい治療を探すために重要です。現在行われている標準的なガン治療−承認され、広く医学の専門家に使われている治療−は、これまでの治験での成果によっています。 |
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(もどる) | 治験は誰によって行われるのか 主任研究員:主任研究員−通常は医師-は、治験の計画、開発、管理に責任があります。データーを評価し、実施医師を援助し、検査を運営します。(患者は、掛かりつけの医師が主任研究員でなければ、従来どうり診察を受けることができます。) 研究看護師:研究看護師は、治験の期間中患者の看護の指示と調整をします。研究看護師は治験への参加の仕方を教え、治験が、いかに行われるか十分に知らせ、副作用について知らせ、治験のデーターの処理を補助します。研究看護師は、治験中の患者が疑問を感じたときにその取り扱いをします。 病院看護師:病院看護師は治験に参加していたとしても一般的な患者の看護をします。病院看護師は、医師が患者を見回るときに同行します。病院看護師は患者の健康管理チームの一員です。いろいろな疑問を投げかけることができます。 |
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治験の形式 |
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治験には、いろいろなタイプがあります。 予防治験:健康な人がいかにガンにかからないようにするか。ガンにかかる率の高いひとが、ガンにならないようにする治験です。 |
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早期検診・早期発見:初期段階のガンを発見する方法の研究 診断:ガンがあるときの、早いより良い診断の方法。身体のどの部位にガンがあるか、どれくらいの大きさのガンか、他の部位への転移があるかどうか、など 生活のレベル・援助:患者とその加速および看護者の、快適で質の高い生活の向上など |
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治験の段階とは 動物実験や研究所でのテストで、治療法の効果が実証されると、治験に移されます。薬や装置、治療方法などが治験に移されると、以下のよう名段階を踏んでいきます。 第1段階:新治療法の安全性の決定 第2段階:新治療法が、特定の種類のガンに効果があるかの決定 第3段階:新治療法が従来の方法よりもすぐれているかどうかのテスト 第4段階:患者に適用された新治療法に関する情報の収集 |
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(もどる) | 第1段階:安全性の決定 第1段階の目的は患者に、深刻な影響を及ぼす副作用を与えることの無い、最良の新薬の使用法を探すことです。第1段階のテスト期間中、研究者は。経口が良いか静脈に直接が良いかなど、新薬を処置する最良の方法も合わせて研究します。 第1段階を通して、研究者はガンに対して新薬がどのような効果をもたらすのか観察します。この試験が人に対して初めてのテストなので、このテストの目的は、新薬をどのような方法で安全に処法するか、ガンに効果が有るか無いかなどを見つけることです。 第1段階では通常15人から30人くらいで行われます。この第1段階には、通常の治療法では効果の無かった人や、ほかの効果のある治療を受けていない人が被験者として選ばれます。 第1段階の被験者は、コホート(被験者の小集団)に分けられます。通常3人位です。最初のグループは少量の新薬を処方されます。研究者は、新薬のレベルを測るために被験者の血液や尿素採取します。深刻な副作用が生じなければ、次のコホートが同じ新薬を少し増量して処方されます。同様にして、多様な副作用が発生するか、最適な処方量が見出されるまで段々に増加してコホートに処方されます。 この処置が第1段階の目的を達成すると、第2段階に進みます。 |
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第2段階:新治療が効果が有るかどうか 第2段階の主目的は、新治療法が目的の種類のガンにいかに効果が有るかをテストすることです。だい2段階では100人以下の患者が被験者になります。第2段階の被験者は、化学療法や生化学療法、外科手術、放射線療法などを受けたか、それ以上の治療法を必要としている人です。 ガンにいかに治療法が効果的であるかを評価するために、医師は、第1段階の治験では発生しなかった副作用が、第2段階の被験者に発生するかもしれないので、副作用を引き続き観察することを付け加えておきます。 新治療がある割合の被験者に効果が上がったと見られるとき、第3段階に進むに十分であるか検討します。 |
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第3段階:従来の治療法よりも効果的であるかどうか 第3段階の目的は、従来の治療法と新治療法を比較することです。新治療法が従来の方法に比べて、優れているか、同等か、または劣っているかを追跡します。 第3段階の治験は国内または世界中の患者100人から1000人を対象にして行われます。通常、第3段階に応募した被験者は2つまたはそれ以上の研究グループに所属する同等のチャンスがあります。治験には2つのグループがあります。 ・ 通常の処置を受けるグループ; これは指標グループです ・ テストされてきた新治療を受けるグループ; これは調査または研究グループです |
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無作為化: どのように被験者がグループ化されるか 被験者のグループ化の課程を無作為化といいます。無作為化は、治験の偏向を排除します。(人が選定したり、処置に関連しないほかの要因により生ずる偏向は、治験研究の結果を変えてしまいます。) 被験者も医師も、患者が指標グループに属するか調査グループに属するかは選定できません。どちらのグループに属していても、被験者は、最高の従来の療法か、研究者が従来の方法よりも良いと信じている新治療法のいずれかを受けることになります。 一次盲検と二次盲検 一次盲検とは被験者が自分が指標グループか調査グループかどちらのグループに属しているかを知らない研究です。二次盲検とは、被験者も研究者もどの被験者がどちらに属しているかを知らない検査です。(これらの情報は記録され、必要に応じてファイルさえている)これらの方法は研究者の偏向を防ぐことになります。 |
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(もどる) | 被験者は治験の最中にプラセボ(効果の無い薬)を受けることがありますか。 ガン治験の被験者は、常に従来の最良の療法か、従来の療法より良いか同等と信じられている新療法のどちらかを受けます。 プラセボは薬のように見える何かではありますが、薬では有りません。ガン治験者は特殊な状況下では無作為治験でもプラセボを受けることがあります。プラセボが使われる場合は、指標グループに対して、標準治療とプラセボを処方、つまり標準治療と、標準治療と新薬を処方したものを比較します。 FDAの承認 米国FDAの役割は、新治療が人に対して使用することが安全で効果的であることを確認することです。研究者は治験の結果をFDAに報告し、その情報を元にFDAは新薬や治療法を承認します。その後、それは一般の人への使用が可能になりそれが標準治療となっていきます。 |
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第4段階:新治療法の更なる情報の発見 第4段階の治験は、第1段階、第2段階、第3段階の治験に比べ一般に知られていません。第4段階は、すでにFDAで承認されている薬や治療法についての研究です。第4段階の目的はいかに安全に効果的に薬や治療法が効力を継続するかという研究です。 |
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MD Anderson の患者保護について 治験を行うとき、MDアンダーソンの最重要な課題は患者の保護ということです。MDアンダーソンは、十分に検討された行程と献身的な評価チーム(IRB)と慎重なインフォームドコンセントにより患者を保護します。 |
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治験のプロトコル プロトコルとは治験で何が行われるか、またなぜ行われるかということに関する詳細な計画書です。そこには、何人くらいの人が治験に参加するか、どのような医学的なテストがどのくらい行われるかや、治療法や観察計画などが記されています。研究者はMD AndersonのIRBで承認されたこのプロトコルに沿って行います。 |
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評価機関(IRB)とは MD Andersonには4つの評価機関があります。IRBは医師、看護師、科学者、歯科医師、牧師、社会科学者、弁護士、そして患者の共同体であり、治験の被験者の保護に責任を持ち、さらに治験が連邦法に違反しないように監視します。 治験の実施が承認される前に、IRBはプロトコルが信頼の置ける科学的根拠に基づいたものかどうかを検討し、それを承認をします。IRBは、プロトコルが患者に過度の危害を生じないことを保障します。 治験が開始された後、IRBは少なくとも1年に一度治験を観察し、もし安全面での疑念が生じたときは治験を停止させます。また、新治療法が従来の芳醇治療法よりも効果的であることが明白になったときは、早期に治験を停止させます。それにより多くの治験の被験者は寄りよい治療法を受けることができるようになります。 FDAはIRBの記録や、スタッフ、設備などを5年ごとに監査し指導します。また、FDAはいつでもMD Andersonにきて治験に関係するどのようなことでも検査することができます。 |
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(もどる) | インフォームドコンセント手続き インフォームドコンセントとは、医師が治験に参加することに関する意見を述べる手続きをさします。この手続きにより特定の治験に関することを学んでいくので、治験に参加するかどうかの判断を下せるようになります。インフォームドコンセント手続きは、治験への参加に合意する前に治験計画を理解できるので、治験に参加しようとする患者を守ることになります。 治験チームの研究者や看護師はインフォームドコンセントの詳細を患者と一緒に検討します。ここには特定の治験の目的、行程、危険性、有益性などが説明されています。 項目や考え方などで理解できないところはわかるまで質問できます。家族や友人が一緒にミーティングに参加し、説明を聞いたり、質問をしたり、答えをメモしたりすることは心強いことです。テープレコーダーを持ってくることは説明を後ほど聞き返すことができるので、患者に持参することを勧める医者もいます。 インフォームドコンセント手続きは、治験に参加するかどうかを考える時間を与えてくれます。 |
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インフォームドコンセントに含まれる事項 インフォームドコンセントの内容はさまざまですが、次の内容は必須事項です、 ・ 治験をする理由(研究者は何を知りたいのか) ・ 治験に参加する条件 ・ 研究されている治療法として何が知られているのか ・ 考えられる危険性と有益性(わかっている範囲での) ・ ほかの取りうる治療法 ・ 治験の種類(無作為、1次盲検、1次盲検、など) ・ 検査のタイプ、検査の回数、医師の回診頻度 ・ 治験の費用の支払い責任 ・ 治験の結果、患者が他の治療をしなければならなくなた時の治療費の支払い責任 ・ 利害関係の確認書 ・ 被験者のプライバシー保護の確認書 ・ 治験は自由意志であること、およびいつでも治験を中止できることの確認書 ・ 将来生じるかもしれない疑問に対する情報提供 |
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治験の承認 すべての内容を理解し、何が期待されているかを理解し、治験に参加しようと決めると、患者と、主任研究員(または看護師、プロトコルに参加している場合)、立会人でインフォームドコンセントの書類に署名し、日付を記して3枚のコピーを作成します。1枚を患者が保管し、もう1枚は医療記録として保管し、後1枚は主任研究員のファイルとなります。 インフォームドコンセント手続きは一度サインされても終わったわけでは有りません。治験の最中に新たな有益性や、危険性、副作用などが判明したとき、医師はすべての被験者にそれを知らせなければなりません。治験中は疑問が生じたらいつでもそれを聞くことができます。 |
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(もどる) | 治験の終了後、情報とその結果はどうなるのか 被験者は身分を保護するためにナンバーやコードが与えられます。治験の結果が公表されるときには被験者の名前は使用されません。研究チームは、治験の主催者が治療の承認を受けるためにFDAに資料を提出することを補助するために、検査情報に接触することがあります。 関係した治験の何か発表されたのかを知りたいときには医師に確認することができます。雑誌の名前、発表された日付、発表者、研究題目などを確認することができます。資料室のスタッフが記事のコピーをしてくれます。 |
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誰がMD Anderson の治験の主催者なのか MD Andersonの治験の多くは国立ガンセンター(NCI)です。製薬会社も主催者となります。これらの会社は、自己の薬や治療用具などの承認をFDAから受け、一般に使用できるようにするために、それらが安全で効果的であることを示さなければならないのです。MD AndersonやそのほかのNPO法人が治験の主催者になることもあります。 MD Andersonの治験を調べるには MD Andersonの運営する治験を調べるにはいろいろな方法があります。 ・ かかりつけ医師に尋ねる ・ MD Andersonの資料センターに連絡する ・ MD Andersonの資料センターを訪ねる ・ ウェブサイトを見る(http//www.anderson.org 治験のページ) 治験の詳細リストはP15にあります。 MD Andersonの治験の適格者かどうかを知るには それぞれの治験に適格者基準があります。適格者基準は患者が治験に参加する前に 適合しなければならない適格基準です。適格基準は下記の要件を含みます。 ・ 年齢と性別 ・ ガンの種類 ・ ガンの段階(大きさ) ・ 受けていなければならない、または受けていてはいけない以前の処置 ・ 処置を受けてからの期間 ・ 検査機関の結果 ・ 飲んでいる薬 ・ 他の医学的状態 ・ ほかのガンの罹患暦 ・ それぞれの治験に特有の条件 条件に合致していると思われる治験があったなら、条件を満足しているか医師に相談する か、治験主任研究員または治験看護師に連絡してください。 |
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治験への参加を決める前の検討事項 |
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有益性と危険性 治験はそれぞれ異なっておりそれぞれ独自の有益性と危険性があります。以下は治験に参加したときの有益性です。 ・ 治療法の選択肢が広がる ・ 新薬や新治療法が効果的であれば、最初にその恩恵を受けることができる ・ 将来におけるがん患者を救うことができる ・ 治験の主催者がガン治療やテストの費用を支払うこともある (治験に参加する前に誰が治験の費用を支払うのか、医師や治験看護師に確認してください) 危険性 ・ 標準治療よりも副作用が強いかもしれない ・ 予期しなかった副作用が発生することもある ・ 新治療法が必ずしも従来の治療法より良い効果をあげるか、同程度かわからない ・ 標準治療のように、新治療が他の人と同じように効果を発揮するとは限らない ・ 保険会社が、治験療法やテストの費用の支払いを拒否するかもしれない(治験参加に 同意する前に、誰が支払いをする義務が有るか医師や治験看護師に確認しておいてく ださい) ・ MD Andersonでテストや療法のすべてを受けなくてはならないかもしれない どこに住んでいるかによりますが、時間と交通費の支出が増加します。 医療保障患者には、政府主催の第2段階、第3段階の治験中の、治験ではない費用(通常の費用)の支払いも医療保障でまかなうこともあります。保険会社の中には、治験中の通常の費用を支払うところもあります。 患者は、治験主催者や保険会社が保障していない支払いをする義務があります。ですから、治験への参加を決める前に費用の支払い責任がどこにあるか確認をしておく必要があります。特に保険会社がどの部分の支払いをするかを確認する必要があります。 |
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(もどる) | 治験に関する質問 治験に参加するかどうかは、患者自身が決めることです。それはあなたの選択ですから必要のあることは十分に聞いておくことが必要です。さらに、疑問が解決されるまでどんどん質問することです。以下は治験に関してよく質問を受ける事柄です。 |
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治療に関する質問 ・ 予測はどうか(ガンについて何が起こりうるか、医師が予測することです。回復の可能性、 ガンの進行予測、罹患している期間など) ・ 治療の選択肢は ・ 標準治療による場合の結果 ・ 治験の何段階か ・ 治験の目的は ・ 研究者は、なぜこの新治療法が効果的であると考えるのか。以前にテストされたのか、 この治療に関して公開されたことがあるのか。もしあるなら誰によって公開されたか。 ・ この治験による影響は ・ 短期、または長期における危険性や副作用などの可能性 ・ 標準治療と比較して、この治験の危険性や副作用、有益性などの予測 ・ 治療の頻度と治療の期間はどれくらいか ・ 誰が看護をしてくれるのか ・ 問題や疑問や自己が起きたときに、担当してくれるのは誰か ・ どれくらいの期間治験をうけてい無くてはならないか ・ 治験終了後の援助があるのか |
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受診に関する質問 ・ すべての処置やテスト、手続きなどにMD Andersonに来なければならないのか ・ どれくらいの頻度でこなければならないのか。標準治療と比べてどうなのか ・ どこで治療を受けるのか ・ 事前治療を含めて、それぞれの治療の予約はどれくらい継続するのか ・ 治験に参加するには何をしなければならないのか ・ 追加治療やその旅費などの支払い責任があるのか 感情や人間関係に関する質問 ・ 日常生活に治験はどのような影響があるか ・ 治験中のほかの人との接触ができるのか ・ 必要になったとき生活補助サービスを紹介してくれるのか |
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(もどる) | 意思決定に関する援助 医師や看護師との疑問点の解決の話し合いの後は、しばらく考える時間を取りますので、自由に考えることができます。治験への参加を決めるのに考慮する点です。 ・ できるだけたくさんの知識を得る |
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(もどる) |
医師や看護師と話しをする |
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