翻訳へ戻る  愛する人が進行性ガンにかかったとき                            :介護者への支援 When Someone You Love Has Advanced Cancer: Support for Caregivers

    目 次

概要
進行性ガン闘病中の支援
医療チームとの共同
支援を受けること
事前の準備
家族や友人と話す
自分自身のケアー
見返り
介護者の権利
防備録
死が近づいたサイン
資料



この本にはあなた自身や、あなたの知りたいことについて書かれています。

 誰かの世話をすることによって得られた一つのものは、何が重要かということを本当に早く学んだことです。またそれは私がずっと続けていく勉強です。
                                               モ−リーン


 介護をしている人たちが「もっと早くに知っていればよかった」と思うことをいろいろと聞きました。それらをこの小冊子に集めてみました。これらのことは簡単なことに見えますが、それをすることは必ずしも簡単ではありません。
 あなたのためになる事であれば、どんなことでもこの小冊子を活用してください。始めから終わりまで読んでもかまわないし、必要なところだけ読んでもかまいません。二人として同じ人はいないのですから、あなたに適することであっても他の人には適していないかも知れません。また、後になって、必要な章が見つかるかもしれません。また、今は、ほかの小冊子(下記参照)のほうが参考になるかもしれません。



(TOPへ) 使用されている用語

 あなたが介護している人を示すために「愛されている人」とか「患者」とかの用語を用います。また、読みやすくするために、ガン患者を「彼」「彼女」という代名詞で呼ぶこともあります。


 ウエブサイトから得られる介護者のためのほかのNCI小冊子には、次のようなものがあります。

・前向きにシリーズ:愛する人がガン治療を終えたとき
   Facing Forward : When Someone You Love Has Completed Cancer Treatment

・愛する人がガンの治療を受けているとき
   When Someone You Love Is Being Treated for Cancer

・ 若者のガンシリーズ:両親のためのハンドブック
   Young People With Cancer::A Handbook for Parents

・ 両親がカンにかかったとき:10代のためのガイド
   When Your Parent Has Cancer:A Guide For Teens

・ 兄弟がガンになったとき:10代のためのガイド
   When Your Brother or Sister Has Cancer::A Guide for Teens




 概要

 この小冊子は私のためのもの?

 介護者とは誰か



(TOPへ) この小冊子は私のためのもの?

 あなたの愛する人が、もはや治療の効果がない進行性ガンであると告げられたとき、この小冊子はあなたのためにあります。あなたが直面している問題や疑問に対するさまざまなことに答えています。
 これまであなたは、おそらく愛する人の寛解や回復を望んでガン治療を行ってきたことと思います。医療チームがもはやこれらの可能性がないと告げても、治療や将来についての新しい選択肢がまだあります。
 回復への治療法を変えることは難しいことでしょう。あなたができることと、愛する人の時間を、特別なものにすることのできることに集中しましょう。きっとあなたは愛する人に残された人生を、満足のいくものにしてあげたいと思っていることでしょう。多くの介護者は、この時間が介護者にとって人生の特別な意味と感情を与えてくれたといいます。
 よりよい介護者になるためのさまざまな出版物があります。しかし、この小冊子の目的はあなた自身をあなたの必要とすることについて書かれています。



介護者とは誰か

 愛する誰かの世話をしていることが、自然なことであって、自分がそう思っていなくても、ガンの治療の間、愛する人の世話をしているのであれば、「介護者」と呼ばれます。
 介護者にはさまざまなタイプがあります。家族であったり、友人であったり、また状況もさまざまで、さまざまな異なった方法があり、これが最良というものはありません。
 介護とは診察のような日々の活動を手伝ったり、食事の準備をも意味します。また、電話で治療や何かのサービスをすれば、遠距離での介護です。また、感情や精神的なサポートをも意味します。また、この時期に起こる多くの感情の問題などに対して支援することもあります。話しあったり、聞いてあげたり、そばにいてあげることも、もっとも重要なことになります。
 この時期の介護者に大切なことは、自分自身のニーズや感情を表さないことです。ガン患者や、介護のさまざまな事柄に集中することです。これは、短期間なら可能ですが、長期間にわたると困難なことになりますし、自分自身の健康にも良くありません。自分自身の世話ができなければ、他の人のせわなどはできません。自分自身の世話をすることは誰にとっても重要なことです。



進行性ガン闘病中の支援

(TOPへ)   一緒に決定をする
  愛する人の希望を理解する
  緩和ケアー
  緩和放射線治療、緩和化学療法、緩和手術
  ホスピスケアー
  ホスピスケアーで何を期待するか
  在宅医療



「夫は長い間、ガンと戦っていました。ガンが進行している今、夫のニーズや私のニーズが変化してきました。新しい状況に直面しています。それはとても困難な・・・」 ベラ


 新しい決断が必要なときです。治療の変更が必要なとき、いやすでに治療の変更が行われているのかも知れませんが、これらの決定をするのは今までになく重い負担となるでしょう。これらの選択は、多くの悲しみ、怒り、底知れぬものへの恐れなどの感情と共にあり、また後どれくらい生きられるのかという疑問と共にあります。
 これらのことについて話すことは絶望することのように思われますが、けして絶望を意味するものではありません。他の選択肢があるときには、うまく対処ができるものです。厳しい状況を何とかするための情報を持つことはとても有用なことです。治療法が変わったとしても、あなたの友人や家族は、医療チームから良好な医療やサポートを受けることができるのです。


一緒に決定をする

 「多くの可能性を検討することができないと感じるので、たくさんの情報を得ようとしない人たちがいることを知っています。しかしあなたがすべてのことを知ることなく最良の決定すぉ本当に下すことができるとは思いません。すべての選択肢を知るために、多くの質問をしましょう。」   ベス

 長期であれ短期であれ、これまで介護をしてきたことでしょう。おそらく、次のような治療の選択に関係してきたことだろうと思います。
 この選択とは以下のようなことを含みます。

 ・ 治療の目的
 ・ ホスピスケアーをいつ始めるか
 ・ 財政的な決定
 ・ 家族からの援助を得る方法


 進行性ガンに対処するには、その治療のためにさまざまな目的があります。さらに強力な治療を求めたり、代替療法や自然に任せたりすることもあります。しかし「ガンの治療のすべての可能性を試したか。もっと他の治療法はないのか。」と疑問を感じることでしょう。できる限りのすべてのことをしたいと思うことは自然なことですが、これらの感情が、愛する人にとって是となるか否となるかを検討しなければなりません。


 「治癒が病気よりも悪いかどうかを本当に考えなければいけません。治療後の生活の質とは何かを考えなければなりません。たった6ヶ月の延命が2ヶ月の闘病よりも良いものかどうか。」 ダン

質問事項

 ・ 他の治療法を試みることによる望みうるメリットは何か
 ・ この治療は、副作用を緩和したり、ガンの成長を遅らせたりするか
 ・ 今までの治療法を続けている間に、新しい治療法が開発される可能性があるか
 ・ 治療の副作用とマイナス部分は何か どれくらいの可能栄があるか
 ・ 利点は欠点を上まわっているか

(戻る)  これらの質問は、患者が治療を続けるべきか、他の治療を開始すべきかを判断する助けとなります。これを一緒に行うことは最高の仕事です。これはあなた自身とあなたの介護する人とのニーズを理解する助けになります。
 将来何がおこるかを医療チームに訪ねることは重要なことであり、あなたと患者がどれくらいの情報を医療チームからほしいのかを明確にしておくことも重要なことです。



愛する人の希望を理解する

 「私のような人は、すべてのことを知っていたいと思っています。びっくりしたくないのです。でも、夫は何も知りたくないと思っています。これが私たちの間の問題なのです。」 シレール


 多くの家族にとって、あなたの愛する人が治療法の決定に関与することは、とても大切なことです。しかし、ある家族にとっては、多くの決定を、患者が知る知らないに係わらす、介護者がすることが普通となっています。また、患者は介護者がすべての決定をすることを望んでいる場合もあります。

 これは、さまざまな理由から大変困難なことです。

 ・ あなた自身のストレスが、その決定を困難にする。
 ・ あなたの進めたい考えが、他の人と異なることがある。
 ・ 患者が新しいことを取り入れることができなくなっている。
 ・ 患者の信条が、家族と違っている。
 ・ 医療介護チームの考えが、あなたやあなたの愛する人の考えと違っている。


 多くの家族にとって、あなたの愛する人が治療法の決定に関与することはとても大切なことです。しかし、ある家族にとっては、多くの決定を、患者が知る知らないに係わらす、介護者がすることが普通となっています。また、患者は介護者がすべての決定をすることを望んでいる場合もあります。

 あなたの愛する人のために、決断をしなければならないときがやってきます。決断する前に、患者にこれをどのようにしたいかという意思表示があることは、とても大切なことです。つまり、決定に関する若干の責任を軽くしてくれるからです。(たとえば、あなたは、どのようなことをしてでも、愛する人を生かしておきたいと思っているとき、愛する人はもう生命維持装置のお世話にはなりたくないと思っているかもしれません。)バランスよく事実を見極めるようにしましょう。



緩和ケアー

(戻る)  すべての患者には、治療全体を通して、快適さと生活の質を保つ権利があります。この種の治療は緩和ケアー(Palliative care)と呼ばれます。これにはガンの症状や、治療に起因する副作用の治療や、予防もふくまれます。快適さとはガンの治療中や、治療後の感情的な問題や、精神的な問題に対する援助を受けることも意味します。患者はガン治療に集中したいために、そのような問題を医師に話をしないことがあります。それでも、患者は緩和ケアーによって生活の質を改善していくことができます。
 かつては、緩和ケアーは、癌で死にそうな人のための治療とみなされていました。現在は、すべてのガン患者に、ガンと診断されたときからこの治療を開始します。緩和ケアーは、治療、生存、進行性、治療の効果が見られなくなったときなどの、それぞれの段階に応じて処置されます。医療チームもこの治療をすることができますが、緩和治療専門家は、これらの諸問題に対処できる最良の人たちです。
 あなたの愛する人が治療を受けられる専門家がいるかどうか、医師や看護師に尋ねてみましょう。

 「患者や家族が、化学療法や他の強力な治療の選択をしないことをきめたときには、健康管理チームから支援や快適さの治療や援助を受けられる選択肢があることを教える必要があります。」 ヨシュア 腫瘍学者


治療の選択

 愛する人の治療のためにはさまざまな選択肢があります。これは、ガンの種類や患者の治療の目的によります。

それには、以下のような方法があります。

 ・ 臨床試験
 ・ 緩和のための放射線治療、化学療法、手術
 ・ ホスピスケアー
 ・ 在宅医療


 たいていの人は複数の選択肢を選びます。
利用できる治療のリスクや有益性を検討すると同時に、愛する人自身の生死に関する考え方を決断の基礎におかなければなりません。そのために必要なすべての問題を解決しましょう。もし、愛する人がより積極的な治療を求めないとしても、それが急速な悪化と死を招くということを必ずしも意味しません。また、苦痛緩和ケアーを受けることをやめるということではありません。医療チームは治療の選択肢に関する情報やアドバイスを提供してくれるでしょう。

臨床試験

 臨床試験とは、ガンを治療するより良い方法を見出そうとする研究です。
研究者は、毎日、臨床試験からさまざまな治療に関することを学んでいます。
 愛する人が選択できる可能性のある臨床試験は、かかっているガンの種類によりきまります。またこれまでに、どのような治療を受けたかにもよります。それぞれの臨床試験には参加することに関する規則があります。この規則には、患者の年齢や健康状態、ガンの種類などが含まれています。
 臨床試験には、利点と欠点があります。主治医や検査医は、どのような決定でもなされる前に、これらについてすべてのことを説明しなければなりません。
 臨床試験に参加するということは、愛する人を助けることができ、さらに将来ガンに罹るほかの人を助けることができます。しかし、保健や医療計画が経費を必ずしもカバーするとは限りません。計画や研究内容によりカバーする範囲が異なります。このカバーの範囲に関して知るために医療チームと話し合いをしましょう。


 臨床試験の詳細に関しては、NCIの小冊子「ガンに罹ったら、臨床試験について知っておくこと」を参照してください。

(If You Have Cancer: What You Should Know About Clinical Trials.)



緩和放射線治療、緩和化学療法、緩和手術

(戻る)  緩和放射線治療や緩和化学療法は、痛みや症状を和らげることができます。この方法では、ガンの進行を遅らせることができなくても生活の質を向上させることができます。これらの治療は、ガン腫を取り出したり縮小させたりするために行われることもあります。また、ガン腫の広がりを遅らせるためになされることもあります。緩和手術は疼痛や他の症状の緩和に用いられることがあります。

 詳細に関しては、NCIの小冊子「化学療法とあなた」や「放射線治療とあなた」を参照してください。


ホスピスケアー

 「私は、ホスピスの看護師について十分に説明することができません。まだ、常に看護師を必要としているわけではありません。でも、必要とするときにはいつでもそばにいてくれます。何かできることがあるかどうか訪れてくれたり電話をしてくれます。看護師は、快適な生活をするための大きな支えでした。」 ゲイル

 あなたや愛する人に、ガンの治療がもはや利点が見出せなくなったとき、ホスピスケアーは一つの選択肢となります。ホスピスを選択することは、あなたがあきらめたということではありません。単に治療の目的が異なったことを意味するものです。望みを捨てることではなく望むものを変えるということです。
 ホスピスの目的は、症状をできる限り抑えて、快適な生活ができるようにして、患者が毎日を充実して生きられるようにすることです。ホスピスの医師や看護師や牧師、ソシャルワーカーやボランテアたちは十分に経験を積んでおり、患者や家族の感情の問題、社会的問題、精神的な問題に献身的に相談にのり、また医学的な症状にも対処してくれます。
 多くの人は、ホスピスが数週間以上のサポートを提供してくれることを知りません。そのため多くの介護者は、ホスピスを早めに調べることをしなかったと言っています。後になって、専門家の治療と、そこで得られたことに驚き、ホスピスを治療過程の早期から取り入れていればよかったと思っています。症状の抑制は、生活の質の向上のみではなく、より長生きできることにも効果を示します。どのような処置とサービスが提供されるのか、考慮中のホスピスに相談しましょう。さらに愛する人の保険会社に何が保険適用されるのか相談しましょう。
 医師が患者のガンのタイプとステージにより、平均的に6ヶ月を超えて生存することが難しいと判断したときに、普通は、ホスピスサービスを受けることになります。ホスピスケアーがその患者にとって良いかどうかを確認するために、周期的なチェックがされます。

(戻る)  ホスピスのサービスには以下のようなことが含まれます。

・ 医師の治療(患者が担当の医師を雇うこともあります)
・ 看護
・ 医療用品や器材の提供
・ ガン関連の症状や疼痛を緩和するための薬品
・ 短期入院治療
・ 家事や家庭の健康管理サポート
・ 愛する人の看護からあなたに休みを与える一時中断サービス((RES-pit)
・ カウンセリング
・ 社会福祉サービス
・ 精神的な援助
・ 死別(悲しみ)に対するカウンセリングとサポート
・ ボランティア・サービス



ホスピスケアーで何を期待するか

(戻る) 「ホスピスケアーについてもっとよく知っていたらと思います。たいていの人は初めには何がなんだかわからないのですから。」 ブルース

 ホスピスケアーは、専門家が治療のガイドをすることができる自宅や、特別な施設や、病院や、また療養所などで受けることができます。また、介護援助者、ソシャルワーカー、牧師などの派遣や、必要に応じてアドバイスをする、24時間対応の看護師などもいます。さらに家族が愛する人を介護することを援助するボランティアもいます。ホスピスは、自宅で化学緩和治療をすることもありますが、ガンの治療はしません。しかし、必要に応じて短期の入院治療を必要とする問題には対処します。例えば、肺炎や膀胱感染などにかかった場合です。
 メディケアーやメディケード、また、たいていの民間保険会社はホスピスサービスをカバーしています。これらのカバーしていない部分や、経済的な問題により。多くのホスピスでは無料で治療を提供しています。

 ホスピスに関する更なる情報に関しては、国立ホスピス及び緩和治療サービス機構
(National Hospice and palliative Care Organization)へ連絡してください。

電話 1-800-658-8898

また地域でのホスピスを探すには次のウエブサイトを見てください。
ウエブサイト www.nhpco.org



在宅医療

(戻る)  在宅医療は、ガン自身を治療するもので、症状のみを治療するものではありません。これは病院よりもむしろ自宅で治療することを望む人のためのものです。


 患者が在宅医療を受ける場合には、以下のことがなされます。

・ 症状の管理
・ 治療のモニター
・ 理学的またその他の治療
・ 医療機器の提供

 在宅治療の費用の支払に関しては、保険会社と相談をしてください。医師の指示があるときには、メディケアーやメディケード、また民間保険会社は、在宅医療の費用をカバーすることがあります。しかし、若干の規則がありますので、在宅医療についてもっとよく知るために、ソシャルワーカーや医療管理チームと話し合いをしてください。


 未来は誰にもわからない
 
 愛する人が、後どれくらい生きられるかを知りたいと思うことは、普通のことです。また、将来起こることに備えておきたいのは当然のことです。特定の準備や計画と同様に、感情的にも備えておきたいと思うことでしょう。
 しかし、誰がどれくらい生きられるかを予測することは正確にはできません。
医師は、ガンの種類や治療、過去の疾患やさまざまな要因を考慮して愛する人の余命を話してくれるでしょう。しかし、それはあくまでも推定であることを考慮に入れてください。患者の一人ひとりは異なるのですから。
 医師の予測期間より長期に生きる人もいれば、短期の人もいます。また、感染症や他の合併症により状況が変化します。主治医は、愛する人の状態をもっとも良く知っている人ですが、その医師でさえはっきりした答えを知ることができません。
医師としても、誰かがどれくらい生きられるか予測することは、うれしいことではありません。
 実際、私たちの誰も、いつ死亡するかについてはわかりません。
予想外のことは毎日起こっています。
私たちにできる最上のことは、今日一日を充実して生きることです。



医療チームとの共同

(TOPへ)   疼痛についてたずねる
  他の変化についてたずねる
  医療チームとの打ち合わせに関する一般的なヒント


 
 状況がかなり変化しているとき、いろいろな質問をし続けることは大切なことです。介護者の中には、早期にはかなり多くの情報を得ることができたのに、後期にはそれほどでもなくなってしまったと感じる人がいます。さまざまな治療や処置の選択に関するわからない事柄はストレスを感じさせます。
 あなたや愛する人が医療チームと同席することはとても大切なことです。将来の進んでいく段階や何が期待できるかなどを話し合う必要があります。恐ろしいことを聞くことになるかも知れませんが、介護士の中には、それらの選択肢について十分に聞くことにより安心することができたという人もいます。それらに関して前もって計画をすることができたからです。
 ガン患者の中には、すべてを知っておきたいという人もいれば、介護者に決定を委ねている人もいます。これらの差は文化の差であったり個人的なことであったりします。患者、家族、そしてあなたは、誰が医療チームとの話し合いの初期段階の担当となるかを決めておかなければなりません。

疼痛についてたずねる

(戻る)  「医師として困難なことは、すべてのことを知りたいと思う患者と、患者にはすべてのことは話してほしくない介護者がいることです。現実は、患者が自分の体を知っている・・・何が進行しているか知っているということです。すべての人が真実を知っているのに、お互いそれを他の人には隠しておこうとするような状況によくであいます。」
                                       ニコル  腫瘍学者



 介護者は、愛する人が疼痛に悩まされていることを心配しています。そのような疼痛を緩和している人は人生を楽しむことが可能となっています。疼痛が緩和されないときは、隔絶感、眠れない、以前たのしんでいた日常の活動などに集中することができないなどの変化に気付くことでしょう。
 あなたの愛する人は、疼痛や不快感に悩まされる必要は少しもありません。感の治療には激痛がつきものと思っている人がいますが、そんなことはありません。疼痛は治療の全体を通して緩和されることができます。そのカギとなるものは、痛みや他の症状について医療チームを定期的に話し合いをすることです。疼痛緩和の専門家がチーム内にいるかどうかをたずねましょう。
 医療チームは疼痛のレベルについてたづねますが、それはあなたしだいであり、感じているどのような痛みについても隠さずに話しましょう。ガン患者の中には疼痛について医療チームと話したがらない人がいます。それは、不満を言っているように思われたり、疼痛はガンが進行していることを意味するものと思ったりするからです。また、痛みはこらえなければならないものと思ったり、痛みがあることに慣れてしまい痛み無しで生きていくことを忘れてしまったりするからです。
 患者が素直に話をするように働きかけたり話しかける大切なときとなります。医師に対して、痛みが日ごろどのように影響を及ぼしているか、隠さずに話をしましょう。服用している鎮痛薬について満足しているかどうかを話すことは、一度ではすまないことでしょう。介護者の中には、あまりにも多くの鎮痛薬が与えられることを危惧する人もいますが、その恐れについて医師と話をすることは、大切なことです。
 愛する人をできるだけ快適に保つ方法について医療チームと話しあいましょう。ホスピスチームがいれば、一緒に入ってもらいましょう。鎮痛薬はいろいろあります。作用しなかったり、不快の副作用がある場合は、調合を変えたり薬剤を変え足りできます。
 患者が必要とするときには、より強い作用の鎮痛薬や服用量を増加することを恐れてはいけません。ガン患者にとっては中毒は問題になりません。できるだけ快適な状態を保つことのほうが、より重要なことです。



 
(戻る) 愛する人の食事

 愛する人に食事を勧めることは良いことですが、強制はしないようにしましょう。良い健康状態を維持するためには、食事は大切なことですが、進行性ガンになると食欲がなくなってしまいます。また、体が以前ほど食物を必要としなくなってしまいます。また、3回の食事をするよりも、少ない量を数多くに分けて食べるほうが容易となる人もいます。
 愛する人に食事を勧めることが、健康を保つには良い方法であると思っても、それを強要してはいけません。身体内ではさまざまな変化が進行していますので、いつ食べるかをきめるのは、患者に任せましょう。何が必要かは体が知っていると信じましょう。もし、患者が十分に食べていなかったり、適切な食事をしていないと思うのであれば、医師や看護師に相談してみましょう。



他の変化についてたずねる

「ステロイドがどのような作用をするか、誰も教えてくれませんでした。突然に気分が変化してしまったのです。理由もなしに、私に怒ったのです。看護師は、これらの薬を服用すると一般的にこのような状態になるといいましたが、私がそれをどうして知りうることができたのでしょうか。」   ― パット


 治療が進んでいくに従い、ガン患者にはさまざまな変化が起こります。副作用のせいだったり、治療によったり、ガンそのものによったりします。また、他の薬剤によったりもします。これらの変化をすぐに知ることができたらと願う介護者もいます。何がおこるかを予測できたらと思います。


変化は以下のようなところに起こります。

 ・ 外観
 ・ 人格や気分
 ・ 記憶
 ・ 睡眠
 ・ 食欲や食べ物の好み


(戻る)  あなたの介護している人に、これらの変化が起こったり起こらなかったりします。しかし、そのような変化に気付いていてもいなくても、そのようなことが起こったときに何をしたら良いのか医師に尋ねておきましょう。そうすれば、このような変化が普通のことであることを知っておけるし、それについて準備しておくことができます。
 愛する人を失った介護者のなかには、死の徴候がわかればという人がいます。そうすれば、恐れや心配が少なくて済んだといいます。
 もっとも良く見られる徴候に関しては、「死が近づいたサイン」という項にまとめてあります。

 「ずっと前のことですが、お母さんがうつ病になったことを思い出しました。それは病気のせいだと思っていました。でも、それは薬のせいだったのでした。もしそのときにそれを知っていたならば、もっと良い何かができたでしょうに・・」 −ティア



医療チームとの打ち合わせに関する一般的なヒント


 患者と一緒に診療に行っているのであれば、医療チームとを話し合うときの一般的なヒントが以下にあります。

 ・ 予約を取る前に質問事項のリストを作りましょう。
 ・ ノートをとりましょう、また、テープレコーダーに録音しても良いか、医師に尋ねま   しょう。
 ・ 後で聞きたいことが出たときのために、電話番号を聞いておきましょう。
 ・ すべての資料や試験結果のファイルやノートを保存しておきましょう。
   診察や打ち合わせのときに持って行きましょう。
 ・ 訪問時のすべてについて日記や記録をつけましょう。
   受けた検査や薬剤のリストを作りましょう。
 ・ どんな副作用や症状の変化でも記録しておきましょう。
   いつ、どこに起こったかも記録しましょう。
 ・ 緊急時には何をすればよいか知っておきましょう。
   誰に電話するか、どうすれば連絡が取れるか、どこに行けばよいか、なども含   みます。

あなたの権利について

(戻る)  ・いつでも治療を拒否することができます。
 ・いくつかの州では、医師には、効果がないと思う強度の治療を止める権利があり  ます。
 ・ 愛する人が入院しているとき、患者の要望があなたや病院のスタッフに明確に   伝わっていることを確認しましょう。これが患者のカルテにのってないときがあり  ます。



支援を受けること

(TOPへ)   あなたのできることと限界を知りましょう
  支援を受けることが重要であること
  他の人は、どのように支援してくれるか
  誰が支援してくれるか
  「いいえ」という人に対して
  遠隔地からの介護




あなたのできる事と限界を知りましょう

 「誰かが何かを申し出たときに、それをしてもらうにはさまざまなことを知っておきましょう。あなたが何をして欲しいかを良く話しましょう。なぜなら、彼らはそれを知らないからです。援助してもらうには、自分の誇りの一部を捨てることも必要です。」
                                           ―リーン



 愛する人に進行性ガンが認められたなら、あなたは新しい試練や懸念に立ち向かう必要があります。もし、この疾患が長く続くようであれば、これらの問題はあなたをより疲弊させることでしょう。介護者の中には、振り返ってみると、あまりにも多くのことを引き受けてしまったという人もいます。また、すぐに仕事を分け合ったり、援助を求めたりすればよかったとも言います。できる事とできないことを正直に見極めましょう。何が自分の得意とするところか、何をしなければならないのか、どの様な仕事を分け合い、何を共同ですることができるかなどです。他の人ができることは任せましょう。
 多くの人が協力をしたいと思っていることでしょうが、あなたが何を必要としているか、また援助して欲しいと思っているかどうかはわかりません。
 ガンが進行するにつれて、他の人から受ける支援が変化していくことでしょう。

(戻る) たとえば、

 ・ 前に援助してくれた人が、今は援助してくれない
 ・ 前に援助してあげた人が、今は別な援助をして欲しいと思っている
 ・ 前には援助してくれなかった人が、援助してくれるようになる
 ・ 以前には援助してくれなかった機関が、援助をしてくれる



支援を受けることが重要であること

 「私は、介護の中心となっていました。初めは、協会や友人たちなどから感情的なサポートを受けていました。しかし、時間と共に離れていってしまいました。私は信じられないほどのストレスをうけました。」    −マリオン

 援助が一番必要なときに多くの人はそれを望んでいないことがあります。規則正しい社会生活や世間から隔絶されるかも知れませんし、援助を求めることが大変な仕事であると思っているかもしれません。介護者の中には「たいていの人は最初は援助をするが時間がたつに従い引いていってしまう」と言う人もいます。
 ほかの人からの援助を受け入れることは、必ずしも容易なことではありません。困難なことが起こると離れてしまう人たちもいます。「こんなことは自分でできる。」と考えている人もいますが、愛する人が治療を続けていくうちに、物事がだんだん困難になっていくのです。予定を変更して、新しい仕事を引き受ける必要が出てくることがあります。
 多くの介護者は「もう、本当に仕事がありすぎる」といいますが、それらができなくなるところまで仕事を引っ張ってしまうのです。簡単に考えれば、あなたが今でも援助を必要としていることを、ほかの人に思い出させれば良いのです。


 あなた自身が援助を受けるということは、あなたの愛する人や他の友達や家族を助けることになることをおぼえておきましょう。

(戻る)  ・ あなたが良い健康状態でいられる
 ・ あなたがしていることについて、愛する人が気がとがめることが少なくなる
 ・ あなたの持ち合わせていない技術や時間を与えてくれる
 ・ 援助してくれる仲間を持つことは、あなたの家族のお世話をする一つの方法
  です。
 ・ いくつかの仕事から解放されれば、あなたのできることに集中できるということ
  です。


 友人、信頼できる仲間、カウンセラーなどと話し合いをしましょう。そうすれば、あなたの考えや気持ちを整理することができるでしょう。また他の援助を受けることができる方法を見出す助けにもなるでしょう。


「私はあまりにも多くのことを引き受けすぎていました。みんなは、私が考えていた以上に私を援助してくれようとしていたのでした。」    −レーニ



訪問客とバランスと保つこと

 以前より頻繁に電話をかけてくれたり、見舞いに来てくれる人がいることでしょう。多くの介護者は、「気にかけていることを示すことで、自分が満足しているように思う」と言っています。もちろんそれらの愛や援助には大変感謝していることでしょうが、自分自身の自由な時間が欲しいと思うときもあるでしょう。自分自身や家族のための時間が欲しいと思うことは、自然なことです。

以下は時間を作る方法です

 ・ 留守番電話を使う
 ・ 交代で電話に出る。2〜3時間交代で家族や友人に電話番をしてもらう
 ・ 患者が休息中というサインを、家や病院のドアーにかけておく。
   メッセージを残したい人のために部屋にノートを置いておく
 ・ 自分の用事をしている間、友人に訪問客の接待をしてもらう
 ・ どこか他のところへ行ってしまう


他の人は、どのように支援してくれるか

 多くの人があなたに援助をしたいと思っていますが、あなたが何を必要としているのか、どの様にしたら良いのかわからないことがあります。第一歩を踏み出しましょう。あなたが必要とすることや、一番助けになるものを求めましょう。

例えば以下のようなものです。

(戻る)  ・ 料理、清掃、買い物、庭仕事、育児、老人の世話など家庭の雑用など
 ・ あなたの気持ちをわかってもらうための会話
 ・ 病院への送り迎え
 ・ 学校や行事などへの送り迎え
 ・ 処方薬の受け取り
 ・ 必要な情報を調べてもらう
 ・ 愛する人の最新情報を得るために情報を伝えてもらう



誰が支援してくれるか


「私を助けてくれるだろうと思っていた人は、助けてくれませんでした。まさかこの人がと思っていた人が『何をすれば良いの。』と言ってくれました」
                                         − アントワン


(戻る)  仕事を手伝ってくれそうな人を思い浮かべてみましょう。友人や家族のほかに、あなたや、あなた愛する人が知っている人たちやグループを思い出してみましょう。例えば近所の人たち、仕事の仲間、信頼できるメンバーなどです。病院やガンセンターは、提供できるサービスを教えてくれたり、有用な機関のリストを教えてくれたりもします。ソーシャルワーカーもサポートサービスを紹介してくれます。


「いいえ」という人に対して


 一部には、支援をしてくれない人もいます。これはあなたを傷つけたり憤りを感じさせたりします。それが、あなたが期待していた人たちだったときには特にそう感じます。なぜ助けてくれないのかと思うことでしょうが、それにはいろいろな理由があります。

 例えば、
 ・ 自分自身の問題に対処している。または、十分な時間的余裕がない。
 ・ ガンを怖がったり、以前、がん患者から受けた苦い経験があり、二度と同じ目に
  あいたくない。
 ・ 誰かが奮闘しているときには、距離を置いておくことが一番良いと思っている。
 ・ 状況がどれほど困難なのかをしらないか、具体的に援助を求められない限り、
  援助が必要とは思わない。
 ・ 「気にかけている」ということを知らせる方法がわからないので、無関心だと感じ
  る。


(戻る)  もし「いいえ」という人がいたのなら、あなたが必要としていることについて説明したり、何をして欲しいか直接話して見ましょう。またはお願いしましょう。でも、人間関係が大切な場合には、あなたがどのように感じているかを話をする必要が有ります。そうすれば、憤慨したり、ストレスがたまったりすることを防ぐことができます。このような感情は長い間、人間関係のしこりとなりますから。


遠隔地からの介護


 「兄の状態は悪化しています。先日、酷い症状が起こりました。彼はコロラドにいるし、私はジョージアにいます。できるときには電話しようと思っていますが、どんな状況になっているのかわからないのでイライラします。のけ者にされていると思いたくないのです。」  − デオンドラ


(戻る)  ガンに罹っている愛する人から離れていることは本当につらいものです。介護に関して常に一歩遅れているように感じるものです。それでも、たとえ遠くに離れていても、支援をし、介護の采配を振るうことはできるのです。1時間以上はなれている人たちは、電話や電子メールを使っています。しかし、この方法で患者のニーズを満足させるには限界があります。急変が起きたときには、愛する人のもとに駆けつけることはわかっていても、そのほかの状況では、電話で済むことなのか、そこにいる必要があるのかを判断することは難しいこともあります。


仲間を見出すこと

 多くの介護者は、患者への有料介護と無料介護の両方を探すことは大切だといいます。近所の人たちの中に支援ネットワークを作ってみましょう。これは、日中でも夜中でも連絡でき、また危機に際して頼れる人でなければなりません。また常に、愛する人を気にかけてくれる人でなければなりません。
 ボランティア訪問や成人介護施設や食事宅配サービスなども調べてみましょう。愛する人の地域の電話帳のコピーを用意しておくことで、必要なことにすばやく連絡することもできます。ホワイトページやイエローページのオンラインを調べておくことも役に立ちます。
非常事態のために、医療チームにあなたの連絡先を教えておくことも必要なことです。


その他のヒント

(戻る)  ・ 近くの家族や友人に毎日の様子をメールで知らせてくれるよう頼みましょう。
  また、愛する人の状態やニーズを共有するためにウェブサイトを作るのも良い
  でしょう。
 ・ 電子やコンピューターの専門家に、関係者と連絡を取り合うほかの方法に関し
  て相談してみましょう。ビデオやインターネットの技術は毎日のように更新されて
  います。
 ・ 航空会社やバス会社が、患者や家族のための特別なサービスをしていないか
  旅行代理店に相談してみましょう。病院のソーシャルワーカーが患者や家族の
  ための支援をしてくれる民間パイロットや会社を知っているかも知れません。
 ・ 愛する人のもとに移動するのであれば、飛行機や運転に要する時間を計ってお
  きましょう。そうすれば帰りに休息する時間をとることができるでしょう。多くの遠
  隔地介護者は、患者を訪問後、十分な休息を取る暇がないといいます。
 ・ 長距離電話の料金を安くするために、ディスカウントストアーからテレフォンカー
  ドを購入することを考えましょう。また、長距離電話料金や、携帯電話料金の契
  約を見直して、料金を減額できるか検討してみましょう。



(TOPへ) 事前の準備


 金銭問題
 仕事の問題への対処
 生活様式を見直す
 生前指示書
 他の法的文書
 他の準備




 愛する人のガンによって起こる悲しみ、怒り、生活様式の変化に対する心配などを感じるのは自然なことです。あなたの仕事や経済問題に影響を及ぼす重大な決定をすることになるかもしれません。これらの問題に対処する方法を見出すことで、少しは安らぎを感じるかも知れません。

金銭問題

 「私はお金のために働いているのではありません。社会に対する貢献のためにはたらいているのです。もし、その貢献がないのであれば、私たちはすべてを失うでしょう。」                                    ― フィリップ


 ガン患者とその家族が直面する金銭問題はきわめて現実的です。疾患の治療中あなたは他の選択肢を考える時間やエネルギーを見出すことが難しいことを知るでしょう。それでも、あなたの家族の財政を健全に維持することは重要なことです。
 病院の支払のために、あなたや愛する人が病院会計カウンセラーに相談することがあるかもしれません。そうすれば毎月の支払計画を考えたり、割引料金の提供を受けることができるかもしれません。また、特定経費の支払いの確認のために、保険会社に相談することもできるでしょう。


利用可能なものに関する詳しい情報は、資源の章を参照してください。

 またNCIのウェブwww.cancer.gov,で、財政的援助(financial assistance)を検索することで、NCIファクトシート「ガン患者のための財政的援助」(Financial Assistance for Cancer Care)を見つけることができます。

また、フリーダイヤル 1-800-4-CANCER (1-800-422-6237) で、無料のコピーを入手することができます。


仕事の問題への対処


 「病院で寝ずに8日間仕事をし、帰ってきてその翌日に仕事に行くことがしょっちゅうでした。それは本当に疲れます。」                   −ベッツイ


 生活を続ける最良な要因の一つは、仕事と介護や援助とのバランスをとることです。介護によるストレスは、さまざまなことであなたの仕事に影響を与えます。

例えば

 ・ 同僚を混乱させたり、一緒に仕事をしたくなくなるような気分のイラつき
 ・ 仕事を混乱させたり生産性を落としたりする
 ・ 遅刻したり、ストレスのために病欠したりする
 ・ 配偶者が働くことができない場合に、あなたが家族のためのたった一人の働き
  手であることのプレッシャー
 ・ 定年が近づいても働き続けなければならないというプレッシャー


(戻る)  愛する人の疾患に関する あなたの会社の規約や方針をチェックしてみることは良いことです。従業員のためのサポートプログラムがあるかもしれません。多くの会社には職場カウンセラーによる従業員のための支援プログラムがあります。一部の会社には、老人医療制度や、そのほかの従業員への支援プログラムを用意しています。有給療養休暇や、長期療養休暇制度のある会社もあります。
 もしこのような制度がない場合でも、個人的に何か配慮をしてもらえることもあります。例えばフレックスタイムや、同僚との交代制、勤務時間の調整、在宅勤務などです。
 家庭療養休業法が適用できることもあります。これが適用される会社は、資格のある従業員に対しては、深刻な健康状態にある家族のケアーのために、12ヶ月間で、12週間の無給の休暇を与えなければなりません。

 詳細はwww.dol.gov/esa/whd/fmla/ の資料(Resources section.)の項を参照してください。



生活様式を見直す 

 愛する人が1人暮らしをしなければならないか、誰かと同居したらよいかは、よくきかれる質問です。これをきめるための良い質問事項があります。

 ・ 愛する人はどのような介護が必要か
 ・ 1人暮らしには危険が伴うか
 ・ どれくらいの頻度で介護が必要か

 もちろん、愛する人がどのように感じるかも考慮する必要があります。

 おそらく次のようなことを心配しているでしょう。

 ・ 自立心を失うこと
 ・ 弱弱しく見えたり他の負担になっているように見えること
 ・ 医療施設や他のタイプの療養施設に入ること

(戻る)  アドバイスが医療チームから得られるときには、生活様式の変化を見直すことは容易なことです。ソーシャルワーカー、訪問看護師、高齢者介護士、などからそれらに関してのアドバイスを受けることができます。



生前指示書

 まだ何も準備していない場合は、患者の希望について早めに話し合いを始めることは大切なことです。患者が、何を希望するか自分で医療チームに話ができなくなるときが来ます。医師や家族に決定をゆだねるほうを好む人もいますが、患者の希望を知っておいてもらうほうがより良いことです。愛する人がどのような治療を求めているかを話し合いましょう。よく知っているほど、準備も良くできるものです。

 ・ 生前指示書 患者が自分で話をすることができなくなったときに何をして欲しい
  か医師に指示をする法律文書です。この書類は患者がどのような処置をして欲
  しいかを事前に決めておいたことです。尊厳死の希望と委任状などを含むことも
  あります。
 ・ リビングウィル(尊厳死の希望) 自分の意思を伝えることができなくなったとき
  に患者がどのような医療を望むかを記した書類
 ・ 医療代理委任状 患者が自分の意思を表示できないときに代わりに医療方法
  の決定をする代理人を定めたもの。この代理人は健康管理代理人と呼ばれ、
  患者が安心して医療の決定や遺言などの実行を任せられる人でなければなりま
  せん。

 生前指示書を準備することは、希望を無くすことではありません。決定をするということは患者を保護するということです。こうすれば患者の意思を知り、それを続けていくことができます。こうすれは、あなたと患者との両方の心配を少なくし、毎日を充実して生きることができるようになります。
 これらの書類の作成には、必ずしも弁護士が必要ではありませんが、公証人を必要とするかも知れません。各州によって、リビングウィルや医療代理委任状に関する独自の規則があります。重要な部分で異なることがあり、ある州で有効でも他の州では無効となることもあります。弁護士やソーシャルワーカーに相談するか、州政府のウエブサイトを参照してください。

(戻る)  あなたと愛する人との間に意見の相違があることもあります。あなたの考えを伝えなければなりませんが、最終的には愛する人の選択になります。お互いの考えの一致が見られないときには、信頼できる仲間や、ガンに対処している人たちや、ホスピスの専門家などに相談をしてみましょう。



他の法的文書


 以下は生前指示書以外の法律文書です

 ・ 遺言状 金銭や資産をどのように相続人で配分するかを指示したもの
 ・ 委任状 患者の資産を管理する人を指名したもの
 ・ 代理人 患者が自分でできなくなったときに、財政的な決定をする代理人を
        指名したもの



他の準備


 慎重な計画は、愛する人が死亡したときにあなたの向き合う財政的、法律的、感情的な諸問題の負担を軽減してくれます。これらの問題を提起することはなかなか難しいことですが、先に行っておくことで後ほど起こる問題を回避することができます。
 これらの問題を提起することはあまり愉快なことではないでしょうし、家族はこの様な問題について話したくないかもしれません。いずれにしても医療チームに相談してみましょう。愛する人や家族が、これらの問題について早めに相談することの重要性を話してくれるでしょう。

(戻る)  ・ 保健問題を明確にする
  患者が新しい治療を受けるかホスピスに入院するかをきめるときには保険会
  社に連絡をしましょう。たいていの保険会社はホスピス費用の支払をカバーし
  ています。また、1週間に数度の訪問看護や訪問介護の費用もカバーしていま
  すが、前もって相談しておけば、後で支払いに関する問題を起すことがなくなり
  ます。
 ・ 書類を整理する
  患者の記録、保険証書、書類、指示書などを整理しておけば、友人や家族の役
  に立ちます。患者は正しい処置を取ったことの確認に銀行を呼ぶかもしれませ
  ん。
 ・ 葬儀について話す
  追悼式を計画する人もいるでしょうし、伝統的な方法を好む人もいるでしょう。
  あなたと愛する人が一緒に葬式や追悼式を計画するかもしれません。そうすれ
  ば、患者の要求に応じて、患者の個性にあった式典を計画することができるでし
  ょう。

愛する人の書類を整理するときのチェックリスト

(戻る)  ・ 愛する人自身で書類を集めることができないときには、それがどこにあるかとい
  うリストを作ってもらいましょう。
 ・ 耐火金庫にしまうか弁護士に書類を預けましょう。
 ・ 愛する人が重要書類を貸金庫に預けてある場合は、信頼できる家族や友人が
  それをあけることができることを確認しましょう。
 ・ もちろん法律的には元本が必要ですが、家族にコピーを渡しておきましょう。

 個人的書類に関してはこの小冊子の
備忘録の章を参照してください。
家族が必要となると思われる書類のガイドとして参考にすることができます。




家族や友人と話す


(戻る)   進行性ガンが認められるあなたの愛する人と話す
  困難な問題を取り上げる
  子供達と話す
  パートナーとガンについて話をする
  他の家族や友人と話をする




「兄は自分の処置について何も決めたくないと思っています。すべてを私たちに任せきりにして何も耳にしたくないのです。私たちは医師と一緒に、すべての選択肢を調べできる限りの最善を尽くそうと思っています。」 ヘレン


 深刻な問題について話すことは決して容易なことではありません。不確かな将来や愛する人に訪れてくる死に直面することは難しいことです。たいていの人はそれについて話をすることを嫌がったり、何を言ったらよいかがわからないのです。でも、あなたは多くの問題について、それはガンの重大性、将来への準備、恐れや死、終末期の願いなどを含んでいますが、愛する人や他の人と話をする必要が有るのです。
 オープンに話をする家族もありますが、そうでない家族もあります。話し合いには正しい方法とか間違った方法とかはありません。しかし調査によれば、徹底的に話し合う家族のほうが、受ける治療や決定についてよい結果を得ていることを示しています。


 進行性ガンが認められたあなたの愛する人と話す。


(戻る)  あなたや愛する人の両方とも、人生の終焉に関して同じように、さまざまな考えや恐れをもっていることでしょう。お互いがそれを隠していることは、自然なことですが、死について話し合うことによって誰かを殺してしまうわけではありませんし、それを話さずにいても長生きをさせるわけでもありません。
 あなたや愛する人には、長生きしたり予想外の回復が得られたりする可能性が残っています。でも現在起こっていることや、将来のことについては不確かであるということについて話し合うことは良いことであり、真実から遠ざかっていることは健全なことではありません。重要な問題を先送りすると解決が困難になるだけです。お互いが同じようなことを考えていたり、全く別のことを考えていたりしますが、それらをおもてに現すことが大切なことです。お互いの懸念について話し合うことは、関係している人すべてを癒すことになります。
 誰かと心を通じ合う最良の方法は、よく聴くことであり、これはあなたが、その人のためにそこにいることを示す、主要な方法のうちの一つです。また、あなたがすることができるもっとも有益なことの一つで、愛する人が何かを話したいと思うときの、大切な支えとなります。それは、彼の人生やガンについてのことです。それを、自分自身の方法で自分の考えや恐怖を処理していかなければならないのです。その問題について考え、もう一度話す気があるか聞いて見ましょう。もしかしたら他の人と話したいのかも知れませんから。


 困難な問題を取り上げる


 「オードリーが診断を受けてから、みんなその問題を避けていました。誰も本当に終焉のことについて話したくなかったのです。彼女のガンが進んだ今、本当に選択肢がなくなってしまいました。残された日々を彼女がどのように過したいのかを話し合わなければなりません。私たちの家族にとって、これは世界でもっとも困難な問題なのです。」    ロバート


(戻る)  困難な問題を取り上げてみましょう。たとえば愛する人は異なった処置をしてみようと思ったり、他の医師の診察を受けてみたいと思っているかもしれないし、また、自立心を失ったり、弱弱しく見えたり、あなたの負担になったりすることなどを心配しているかもしれません。
 覚えておきたいことは、あなたの愛する人には残りの自分の人生を送る方法を選択する権利があるということです。たとえあなたにその選択について断固とした意見があるとしても、決定するのは本人だということです。


 
 困難な問題を取り上げるいくつかのヒントがあります。

 ・どのように切り出すか前もって練習しましょう。
 ・静かな時間を見つけましょう。そして話しても良いか尋ねましょう。
 ・目的が何かをはっきりさせましょう。どのような結論が欲しいかです。
 ・心から話しましょう。
 ・愛する人が話をする時間を取りましょう。妨げずによく聴きましょう。
 ・一つの話が終わっても、何かを決めようとしてはいけません。
 ・「はい。」あなたが了承する必要は必ずしもありません。


「ジョンに話したいことはたくさんありましたが、どういってよいかまったくわからなかったのです。それで、看護師さんがある日の夕方に、家族全員がジョンの部屋で話し合う機会を作ってくれたのです。そこで私たちがいかにジョンを愛しているかを話すことができました。ジョンと一緒の時間を持つことが皆にとって本当に多くのことを意味しました。」 スージー


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