翻訳へもどる | 臨床試験
Clinical Trials : Questions and Answers |
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Q & A 1・臨床試験とは何か、なぜ重要なのか 2.臨床試験の種類には何があるか 4.参加者はどのように保護されるか 5.適確基準は何か、またなぜそれが必要か 6.インフォームドコンセントとは何か 8.どのように臨床試験は行われるか 9.臨床試験に参加する利点は何か 10.臨床試験に参加することによるリスクは何か 12.臨床試験に参加する前に医療関係者にする質問 13.臨床試験が終わったらどうなるか 14.どこで臨床試験に関する詳細情報を得ることができるか 15.関連出版物 |
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キーポイント ・ 臨床試験は新しい医療の方法が人々にどれくらいの効果があるかを調べる研究。 ・ すべての臨床試験にはプロトコルがある。それは、本研究で何が行われるか、どのように 行われるか、研究の各部分はなぜ必要かを記述したもの。 ・ インフォームドコンセントは、臨床試験に臨むかどうかをきめるために、試験に関する重 要な事実を伝える手続き。 |
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(もどる) | 1・臨床試験とは何か、なぜ重要なのか 臨床試験は新しい医療の方法が人々にどれくらいの効果がるかを調べる研究です。それぞれの研究は科学的な質問に答え、疾患の予防、選別、診断、治療などのよりよい方法を見出そうとするものです。癌の臨床試験医参加する人は、ガンの知識や対処法の進歩に貢献する機会を持つことになります。また、専門家による最新の治療を受けられます。 |
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2.臨床試験の種類には何があるか 臨床試験には数種類あります ・ 予防試験は、医師が特定のガンの発現リスクを低下させる可能性があると思われる新し い対処法、たとえば薬物、ビタミン、他の補助食品をテストします。ほとんどの予防試験は ガンに罹ったことのない健康な人に対して行われます。ガンに罹ったことがあり、再発や、 新しい種類のガンの発現リスクを低下させたいと思う人に対する試験も行われます。 ・ 選別(スクリーニング)試験は、がんを早期に発見する方法の試験です。ガンが疾患とな る前に発見することが、疾患により死亡する率を低下させるかどうかをテストします。これ にはガンの症状を呈していない人が関与します。 ・ 診断試験は、ガンをより正確に同定するテストや方法に関して研究します。 ・ 治療試験は、ガンの患者に対して行われます。試験は、新しい治療法や標準治療の新 しい施術法に関する、特異的な質問に答えたり、効果を評価します。この試験は新薬、 ワクチン、新しい手術法や放射線療法、それらの新しい組み合わせなどさまざまなテスト をします。 ・ 生活の質の向上(QOL)(または支持療法と呼ばれる)試験は、ガン患者とガン生存者と の生活の質と快適さを向上する方法に関してテストします。この試験では吐き気、嘔吐、 不眠、うつ、その他の治療の副作用を呈している人の症状の緩和の方法などもテストし ます。 ・ 遺伝子研究は、他の臨床試験の一部となることもあります。試験の遺伝学の意味合いは 、遺伝子の構造が、検出、診断、治療への反応などにどのように影響しているかを見出す ことにあります。 集団や家族関係に基づく遺伝子の研究は従来のガンの臨床試験とは異なっています。この研究において、研究者は、家族や大集団の組織や血液のサンプル注目し、ガンに関係した遺伝子の変化を発見しようとします。研究内容によって参加者はガンを持たない人やガンに罹っている人になります。この試験の目的は、ガンの発現に対する遺伝子の役割を研究することです。 |
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3.略 |
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4.参加者はどのように保護されるか 人に対する研究は、厳しい科学的および倫理的な原理に従って実施されます。すべての臨床試験には試験を実施するいわば処方箋に当たる、プロトコルや実施計画があります。この計画には研究で何がなされるか。どのように行われるか、それぞれの部分がなぜ必要かが記述されています。この試験に関与しているすべての医師や研究センターが同じプロトコルを用います。 連邦により資金提供されるか、FDAの承認を必要とする新薬や医療機器の臨床試験は、内部倫理委員会(IRB)により検討され、承認を受けなければなりません。ほとんどの機関では、資金提供には無関係にすべての臨床試験が地域倫理委員会の検討と承認を義務付けています。医師、研究者、地域のリーダー、地域のほかのメンバーで構成されるこの委員会は本研究が公正実施され、参加者に害が及ばないことを確認するためにプロトコルをチェックします。IRBも試験が開始されたらどのくらいの頻度で見直しをする必要があるかを決定します。この見直ごとに、IRBは本臨床試験が初めの計画のとおりに実施してよいか、それとも変更が必要かを決定します。研究者がプロトコルに従っていなかったり、参加者に予想外の危害を生じさせているように見える場合には、IRBは臨床試験をとめることができます。試験への新しい介入が、試験を広範囲に利用できるという明確な根拠がある場合にも IRBは臨床試験をとめることができます。 NIHの援助による臨床試験は安全な監視とその記録が必要とされます。いくつかの臨床試験、特に第3相の臨床試験には安全監視記録委員会(DSMB)がおかれます。DSMBは統計学者、医師、患者用語団体からなる独立した委員会です。DSMBは、参加している患者のリスクが最小になるよう、記録が完全になるように監視し、安全に対する懸念が生じたり、試験の目的が達成されたりしたときには試験を止めることができます。 |
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5.適確基準は何か、またなぜそれが必要か それぞれのプロトコルには、本件急に参加できるかできないかのガイドラインがあります。このガイドラインは適確基準とよばれ、すべての参加者に共通の特性をのべています。この基準は研究ごとにことなり、年齢、性別、病歴、普段の健康状態などの要素があります。ほとんどの治療試験のための適確基準には患者のガンに特定の種類や段階を指定します。 同様な特徴を持つ参加者を募集することは、試験の結果が研究の目的に合うことを確実にするために、他の因子を排除できることになります。このように、適確基準は研究者が正確な、意味を持つ結果を得るために必要なことです。また、この適確基準は子斧試験に参加することにより状態を悪化させるかもしれない参加者のリスクを最小にします。 |
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6.インフォームドコンセントとは何か インフォームドコンセントは、希望者が本試験への参加の当否を決定するために、臨床試験に関する重要な事項を説明するプロセスです。この情報には、本試験の目的、本試験に用いられるテストや他の処置、予想されるリスクと利点などの詳細が含まれています。医師や看護師の説明に加えて、この試験のへの参加の書面による同意書を渡されます。本試験への参加希望者はこのインフォームドコンセントの書類にサインすることをもとめられます。しかし、この同意書にサインをしても、研究に必ず参加しなければならないということではありません。参加者は、研究の開始前、試験期間中、追跡調査期間中などのいつでも本研究を経の参加を取りやめることができます。 インフォームドコンセントのプロセスは、試験の全期間にわたり継続され、新しい利点やリスク、副作用などが発見されたときには、参加者に知らせなければなりません。そのときにも、参加者がさらに本研究を継続するのであれば新しい同意書にサインを求められます。 |
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7.略 |
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(もどる) | 8.どのように臨床試験は行われるか 臨床試験は、相と呼ばれる一連の段階によりおこなわれます。NCIの総合ガン情報データーベースのPDQのリストにある治療の臨床試験は、常に相により分類されています。しかし、スクリ−ニング、予防、診断、生活の質の向上(QOL)は必ずしも、相があるとはかぎりません。また、遺伝子研究試験は通常相を持ちません。 |
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第1相 第1相は人に対する新しい試みを検査する第1段階です。この研究により、研究者は適切な服用量、新薬の投与方法(経口、静脈注射、筋肉注射、など)、投与頻度などを評価し、どのような有害な副作用があるかにも気をつけます。第1相試験は、通常少数の参加者でごくわずかのところで行われます。新しい治療や、技術は少しずつ増加されます。副作用の許容できる範囲内の最大の投与量の決定は、次のテストでおこなわれます。 第2相 第2相は、新薬や方法の安全性やその効果の研究をし。それが人体にどのような影響を与えるか評価します。第2相の研究は特定のガンに対して行われ、100人以下の参加者でおこなわれます。 第3相 第3相は、新薬や新手法(標準治療の新しい適用法も含む)を、従来の標準治療と比較することです。参加者は、標準群と新群に、コンピューターなどにより無作為に割り当てられます。この無作為化(ランダム化)と呼ばれる方法により、偏りをなくし、人為的な選別や他の因子が、試験の結果に影響を与えないようになります。ほとんどの場合、第3相試験は、第1相、第2相の試験で良好な結果を得たものだけがおこなわれます。この第3相試験は大規模な人数により行われます。 第4相 第4相試験は、治療の長期にわたる安全性と効果を評価するために行われます。これはこの治療法が標準治療と承認された後でおこなわれます。数百から数千の人たちが第4相試験に参加します。本試験は、第1相、第2相、第3相の試験に比べて、行われることは少ないです。 臨床試験に参加する人は研究チームと共同します。チームのメンバーは医師、看護師、ソシャルワーカー、栄養士、また他の医療の専門家などです。健康管理チームは、治療、参加者の健康状態の観察などをし、研究に関する特別な指導をします。試験結果ができるだけ信頼性を高められるように、参加者が研究チームの指示に従うことは重要なことです。この指示内容には、日記の記載、アンケートへの回答なども含みます。また、研究チームは試験終了後も参加者と連絡を取り合うこともあります。 |
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(もどる) | 9.臨床試験に参加する利点は何か 臨床試験に参加する利点には以下のようなものがあります。 ・ 臨床試験以外では受けることのできない、有望な新しい手法が受けられる。 ・ 研究される手法は標準治療よりも効果的である可能性が高い。 ・ 参加者は医師や研究チームから定期的なきめの細かい治療を受けられる。 ・ 参加者は研究中の最新治療の第一番目の受益者となるかも知れない。 ・ この研究の結果は将来他の人を助けることとなる。 |
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10.臨床試験に参加することによるリスクは何か 臨床試験に参加するリスクには以下のようなものがあります。 ・ 研究の新薬や処置は、比較される標準治療よりも必ずしも良いとはいえない。 ・ 新しい処置には、医師が予想しなかった標準治療よりも悪い副作用や、危険がある可能 性を否定できない。 ・ 無作為試験の参加者は自分で受ける治療法を選択できない。 ・ 医療保険や試験の提供者がすべての費用の支払いをするとは限らない。 ・ 参加者は臨床試験参加中に頻繁に診察を受けに来る必要があるかもしれない。 |
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11.略 |
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(もどる) | 12.臨床試験に参加する前に医療関係者にする質問 臨床試験に参加する前に、疑問点を解消しておくことは重要なことです。医師や看護師に尋ねる質問の例をしめしておきます。 |
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研究について ・ 本研究の目的は何か。 ・ なぜこの研究の処置が従来の処置よりも効果的だと思うか。以前にテストされたか。 ・ 誰が本研究を提供しているのか。 ・ 誰が本研究を検討し、承認したか。 ・ 研究者と他のスタッフの医療資格と経験は何か。 ・ 試験結果と参加者の安全性はどのように監視されるか。 ・ 本研究はどれくらいの期間かかるのか。 ・ 結果はどのように知らされるのか リスクと利点について ・ 予想される短期的な利点は何か。 ・ 予想される長期的な利点は何か ・ 予想される短期的リスク(副作用など)は何か。 ・ 予想される長期的なリスクは何か ・ 他にどんな治療法があるのか。 ・ 他の治療法と比較して、予想されるこの治療の利点とリスクはどうか。 参加と治療 ・ この研究中にどのような治療、医学検査、処置を受けるのか。治療、検査、処置はどれ くらい受けるのか。 ・ 治療や検査、処置には痛みを伴うのか。その場合、どのように緩和されるのか。 ・ 本研究の結果は、本研究外の試験とどのように比較されるのか。 ・ 臨床試験中、常用の薬を飲んでいても良いのか。 ・ どこで試験のための医療を受けるか。入院するのか。その場合の期間はどれくらいか。 ・ 誰が参加者を担当するのか。主治医に診察を受けにいくことができるのか。 ・ 試験期間はどれくらいか。フォローアップケアがあるか。 個人的な問題 ・ 本研究への参加は日常生活に影響があるか。 ・ 参加者とその家族はどのような支援を受けられるのか。 ・ 参加希望者は、すでに研究に参加している人と話ができるか。 費用の問題 ・ 参加者が治療、検査、そのほかの経費を負担しなければならないのか。そのときは、 最大どれくらいの費用がかるのか。 ・ 費用負担をしてくれる保険は何か。 ・ 誰が、保険会社や健康局からの質問への回答を援助してくれるか。 |
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13.臨床試験が終わったらどうなるか 臨床試験が終わると、研究者は試験中に集められたデーターを検証し、結果の意味と次なる試験についての決定をします。第1相および第2相の試験の後、研究者は次の段階に移行するか、試験の安全性や効果に疑問があるので試験を取りやめるかなどの決定をします。第3相試験が終わると、試験結果が医学的に重要性を持つかどうかを検討します。 臨床試験の結果は、査読の学術雑誌に掲載されます。査読は、報告書が公開される前にその分析と結論が正確であるかどうかを専門家が検討するプロセスです。結果が特に重要な場合には、公開する前に、メディアに特集されたり、学会、患者支援団体などにより討論されたりします。新しい手法が臨床試験で安全かつ有効であると証明されると標準治療となる可能性が高くなります。(標準治療とは現在承認され、一般に用いられている手法) 国立医学図書館のウエブサイトは、臨床試験の結果を探すためのリンクを提供しています。それには、公開されたものも未公開のものも含まれています。 インターネット上では、http://www.nlm.nih.gov/services/ctresults.htmlのサイトに情報があります。 |
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14.どこで臨床試験に関する詳細情報を得ることができるか 問−3で述べられていることのほかに、臨床試験への参加に関心のある人は、医療チームに相談し更なる情報を得ることが必要です。臨床試験に関する情報は、NCIのガン情報サービス(CIS)からも得ることができます。CISの情報専門家は、進行中の臨床試験に関する詳細な情報を提供するためにPDQを使用しています。 PDQにはアメリカとヨーロッパの病院や医療センターでNCIの補助で行われるすべての臨床試験や研究も含んでいます。 もちろん臨床試験を自分で探すことも可能です。 NCIのウエブサイト(http://www.cancer.gov/clinicaltrials)の、臨床試験のページには臨床試験の情報とPDQへのリンクがあります。もう一つの情報源はNIHの臨床試験のサイト(Clinical Trials gov)です。Clinical Trials govは、NIH,その他の連邦機関、製薬業界が支援する、ガンやそのほかの広範囲にわたる疾患の臨床試験がリストされています。このサイトはインターネット上でhttp://clinicaltrials.gov で見ることができます。 15.関連情報 NCI 出版物 (http://www.cancer.gov/publications のサイトにあります) ・National Cancer Institute Fact Sheet 1.2, The National Cancer Institute Cancer Centers Program ・National Cancer Institute Fact Sheet 1.3, Community Clinical Oncology Program: Questions and Answers ・National Cancer Institute Fact Sheet 1.4, NCI’s Clinical Trials Cooperative Group Program ・National Cancer Institute Fact Sheet 1.13, TRICARE Beneficiaries Can Enter Clinical Trials for Cancer Prevention and Treatment Through a Department of Defense and National Cancer Institute Agreement ・National Cancer Institute Fact Sheet 1.17, The NCI/VA Agreement on Clinical Trials: Questions and Answers ・National Cancer Institute Fact Sheet 1.22, Cancer Clinical Trials at the National Institutes of Health Clinical Center: Questions and Answers ・National Cancer Institute Fact Sheet 8.14, More Choices in Cancer Care: Information for Beneficiaries on Medicare Coverage of Cancer Clinical Trials ・Taking Part in Clinical Trials: What Cancer Patients Need To Know ・Taking Part in Clinical Trials: Cancer Prevention Studies National Cancer Institute (NCI) Resources Cancer Information Service (toll-free) Telephone: 1-800-4-CANCER (1-800-422-6237) TTY: 1-800-332-8615 Online NCI’s Web site: http://www.cancer.gov LiveHelp, NCI’s live online assistance: https://cissecure.nci.nih.gov/livehelp/welcome.asp |
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(もどる) | May 19 2006 |