翻訳へもどる 化学療法 Chemotherapy and You

              目 次

 この小冊子について ・・・・・・1
1.化学療法とは ・・・・・・2
2.化学治療中はどうなりますか ・・・・・・8
3.副作用に対処する ・・・・・15
4.化学治療中の食事 ・・・・・47
5.必要な援助を受ける ・・・・・49
6.補完医療 ・・・・・53
7.化学治療の費用 ・・・・・57
8.NCI情報 ・・・・・60
9.用語集 ・・・・・62


(もどる) 第1章 化学療法とは
  化学療法とは何か
  化学療法の効果は
  化学療法は何ができるか
  化学療法は他の治療と一緒に用いられるか
  どんな薬が使われるか
  臨床試験とは
  主治医にたずねること


(もどる) 化学療法とは何か

 化学療法とは、ガン細胞を破壊する薬剤によるガン治療のことです。これらの薬剤は、よく「抗ガン剤」と呼ばれています。


化学療法の効果は?
 正常な細胞は一定の規則に従って成長し、死亡します。ガンが発生する時、体の中の異常な細胞は、無秩序に分裂し続け、多くの細胞を作り続けます。抗ガン剤は、ガン細胞が成長したり増殖したりするのを阻止することによって、ガン細胞を破壊します。健康な細胞、特に分裂の速い細胞も害されます。健康な細胞が害されることによって副作用が引き起こされます。これらの正常な細胞は通常、化学療法後に自己修復します。
 単独で用いるよりも一緒に用いた方がよい薬もあるので、2種類、またはそれ以上の薬が、よく同時に投与されます。これは複合化学療法と呼ばれています。

 ガンを治療するのに、他のタイプの薬が使われることもあります。体のホルモン類への影響を抑制する特定の薬です。または、医師は生物学的療法を用いるかもしれません。生物学的療法とは、ガンに対する自分自身の体の免疫系を高める物質による処置です。あなたの体は、通常、ガンや他の疾患と戦うために、これらの免疫物質を少量作ります。これらの物質は、研究所で作ることができ、そしてガン細胞を破壊するため、または体の腫瘍に対する反応を変化させるために患者に投与されます。それは、化学療法によって破壊された細胞を修復したり、再生するのを援助します。


化学療法は何をしますか?

 ガンのタイプと進行程度に応じて、化学療法は異なる目的に用いられます。

・ガンを治療するために用います。ガン細胞がなくなったと思われたときにガンの治療が終わっ たと考えられます。
・ガンを抑制するために用います。ガンの成長を遅らせ、そして、腫瘍原発巣から体の他の部分 へ散っていったかもしれないガン細胞を殺し、ガンが広がらないようにします。
・ガンによって生じるかもしれない症状を緩和するために用います。痛みなどの症状を和らげる ことにより、患者がより快適に生活するのを援助することができます。


化学療法は他の治療と一緒に用いられますか?

 化学療法は、患者が受ける唯一の治療となるときもあります。しかし、多くの場合、化学療法は、手術、放射線療法、そして生化学的療法とともに用いられます。

・ 手術や放射線療法の前に腫瘍を縮小します。これは新アジュバント療法と呼ばれています。
・ 手術や放射線療法の後、残っているかもしれないガン細胞を破壊するのを助けます。これは
  アジュバント化学療法と呼ばれています。
・ 放射線療法と生化学的療法の効果をよくします。
・ 再発、あるいは腫瘍原発巣から、体の他の部分へ広がるかもしれないガンを破壊します。


どんな薬が投与されますか?
 多くの異なったタイプのガンに対して使われる化学療法薬もあれば、1種類か2種類のガンに対して使われる化学療法薬もあります。主治医は下記に基づいた治療計画を薦めます。

・ どのような種類のガンに罹っているか。
・ 体のどの部分にガンが見つかったか。
・ 正常な体の機能へのガンの影響。
・ あなたの全体的な健康。


(もどる) 臨床試験とは何ですか?

 臨床試験は、ガン治療研究または探索研究とも呼ばれ、人間のガンに対する新しい治療をテストします。臨床試験は、新薬、手術または放射線療法への新しいアプローチ、治療の新しい組合せ、または遺伝子治療のような新しい方法といった多くの種類の治療法を試験します。臨床試験の目的は、ガン治療のより良い方法を見つけ、ガン患者の助けになることです。臨床試験には異なる種類があり、第1相、第2相、第3相試験と呼ばれています。それぞれの段階は、ながく慎重なガン研究過程の最終的な段階の1つです。治療選択肢として臨床試験について主治医に尋ねてもよいかもしれません。


臨床試験の利点には、以下のことがあります:


・ 臨床試験は、高品質のガン治療を提供します。
・ 新しい治療アプローチが成果があると証明され、そしてそれを受けているなら、あなたは最初
  の有益な人のひとりになるかもしれません。
・ 臨床試験と他の治療選択との賛否に目を向けることによって、あなたの人生に影響を及ぼす
  決定での積極的な役割を引き受けます。
・ 他の人に役立ち、ガン治療を向上させる機会があります。


可能性のある短所:

・ 検討中の新しい治療は、標準的な治療よりも常に良い、あるいは同等ということではありませ
  ん。
・ たとえ新しい治療に利点があるとしても、あなたには作用しないかもしれません。
・ 臨床試験において、あなたが試験されている新しい治療の代わりに、標準的治療をするよう
  に無作為に割り当てられるなら、
・  新しいアプローチほど効果的でないかもしれません。
・  健康保険と医療管理者が、臨床試験において患者の治療費を必ずしも負担するというわけ
  ではありません。

 臨床試験に参加することを決める前に、以下のような重要な点を確認しましょう。

・ 起こりうる短期間、長期間の危険性、副作用、そして利点。
・ 臨床試験は日常生活にどのような影響を及ぼすことがあるか?
・ 治療、試験、あるいは他の請求の料金を負担しなければならないか?

 国立ガン研究所(NCI)の小冊子、「臨床試験への参加:ガン患者が知る必要があること」は、あなたが主治医に尋ねたいと思う質問をリストアップしています。そして、臨床試験についてあなたが持つ質問の多くに答えます。あなたの権利と保護についても情報を与えます。たとえば、『あなたはいつでも臨床試験をやめて結構です。』などです。
 あなたは1-800-4-CANCER (1-800-422-6237)で、NCIのガン情報サービスに電話をかけることによって小冊子を注文することができます。

主治医に尋ねる質問

化学療法について

・ なぜ、化学療法が必要なのですか?
・ 化学療法の利点は何ですか?
・ 化学療法の危険性は何ですか?
・ 私のようなガンの種類のために、他に考えられる治療方法はありますか?
・ 私のようなガンの種類のための、標準的な治療は何ですか?
・ 私のようなガンの種類のために、臨床試験はありますか?

あなたの治療について


・ 何度くらい治療を受けますか?
・ どんな薬を飲みますか?
・ どのように薬を投与されますか?
・ どこで治療を受けられますか?
・ どれくらいの期間、各々の処置は続きますか?

副作用について


・ 化学療法で起こりうる副作用は何ですか?いつ副作用は起こりそうですか?
・ どんな副作用が私のようなガンの種類に関連がありそうですか?
・ 必ず連絡しなければならない副作用はありますか?
・ 副作用を軽減するために、何をすることができますか?


(もどる) 第2章 化学療法の間、何がおこりますか

 ガン患者の人のなかには、自分の状態と治療についてあらゆる情報を知っていたいという人もいますし、一方では、一般的な情報だけで良いという人もいます。どのくらいの情報がほしいかは、あなたが決めることです。しかし、化学療法を受けているあらゆる人が知っておかなければならないことがあります。
 このリストはほんのきっかけです。主治医や看護士、薬剤師などに、いつでも気兼ねなくいくらでも聞いてください。もし答えが良く分からないなら、分かるまで聞きましょう。ガンについて、または治療について「バカな」質問なんてありえないことを覚えておいてください。あなたが知りたい答えを確実に得るために、医師への予約の前に質問リストを作成すると、役に立つでしょう。リストを残しておいて、心に浮かんだ新しい質問をメモする人もいます。


どこで化学療法を受けますか

 化学療法は自宅、診療室、クリニック、病院の外来部門、あるいは病院の「入院患者」としてなど、さまざまな場所で、受けることができます。あなたがどこで化学療法を受けるかは、どのような薬を投与されるか、あなたの加入している保険、そして時には自分の希望や主治医の希望などによります。大部分の患者は「外来患者」として入院をせずに治療を受けます。しかし、薬の効果をきちんと観察し、またどんな変化にでも対応できるように、化学療法を始めるときには、短期間入院する必要があることもあります。


どのくらいの頻度で、どのくらいの期間、化学療法を受けますか

 どのくらいの頻度で、どのくらいの期間、化学療法を受けるかは、以下によります。
・ 罹っているガンの種類
・ 治療の目標
・ 使用する薬
・ 化学療法に対しての反応

 毎日、毎週、あるいは毎月治療を受けるとしても、たいていの場合、治療期間と休薬期間を交互に取り化学療法を受けます。休薬期間は健康的な新しい細胞を作り、体力を回復する機会を体に与えます。あなたの医療チームに、どのくらいの期間、どのくらいの頻度で治療をうけることになりそうかを尋ねて下さい。
 治療予定をきちんと守ることは、薬が正しく作用するために非常に重要です。治療予定は、休日や他の理由のために変更されるかもしれませんが、もし、あなたが治療の予定を飛ばしたり、薬の服用を忘れたなら、主治医と連絡を取って下さい。


(もどる)

化学療法はどのように行なわれますか

 化学療法は点滴(静脈を通して)、経口、注射を通して(皮下注射)、皮膚に塗るなどさまざまな方法でおこなわれます。

静脈を通して(点滴、あるいは点滴による治療)
  化学療法は、たいてい静脈への点滴(IV)によって行なわれます。通常、治療の開始時に細
 い針を手あるいは腕の下部の静脈に挿され、そして治療終了後、取り外されます。点滴が始
 まって、もし、針が刺されたあたりに、冷たさや、ほてるような熱さ、あるいは何か違和感を感じ
 たら主治医か看護士に言って下さい。また、点滴中や点滴後に起こる、痛み、ほてり、皮膚の
 赤みや、腫れ、あるいは不快症状なども連絡して下さい。

 化学療法はカテーテル、ポートやポンプを用いた静脈注射によっても行われます。

・カテーテル
  カテーテルは、体の太い静脈中に、必要とする間残しておく、柔らかくて細い柔軟なチューブ
 です。何回も点滴治療を受ける必要がある患者は、治療のたびに針を刺す必要が無くなるの
 でカテーテルを付けています。カテーテルを通して薬を投与することもできますし、血液サンプ
 ルを採取することもできます。カテーテルがポート(皮下に埋められた小さな丸いプラスチック
 か金属の円盤)につながれていることもあります。ポートは必要なときに設置されます。ポンプ
 はカテーテルやポートに注入する薬の速度を調節するために使われます。ポンプには2種類
 あります。外付けポンプは体の外側におかれます。ポンプを使用している間、人が動き回れる
 ように、ほとんどのポンプは持ち歩けます。内蔵ポンプは手術の間、体の中、通常皮下に設置
 されます。ポンプには、患者が普通の行動ができるように、少量の薬を内蔵しています。人々
 は日常生活を送ることができます。カテーテル、ポート、ポンプは、適切に維持管理され、それ
 に注意をしていれば痛みが起こることはありません。

 カテーテルは太い静脈、たいていは胸に設置され、中心静脈カテーテルと呼ばれています。
 末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)は腕の静脈に挿入されます。カテーテルは動脈や、
 体のほかの場所にも設置されることがあります。たとえば、

  ・
クモ膜下腔内:髄液に薬を届けます。
  ・
腔内(IC)カテーテル:腹部、骨盤、あるいは胸に設置されます。

・口から(経口)
 薬は錠剤、カプセル、または液状で投与されます。他の薬と同じように、薬を飲み込みます。

・注射によって
 薬を投与するために針と注射器を使い以下のような方法で行います。
 ・筋肉内に、IM(筋肉の中に)
 ・皮下に、SQ、SC(皮膚の下に)
 ・病巣内に、IL(直接皮膚のガン領域に)

・局所的に
 薬を皮膚表面に塗ります。


化学療法期間中、どのように感じますか

 化学療法を受けている大半の人は、疲れやすいと感じます。しかし、たいていの人は活動的な生活を送り続けるのに問題はありません。人により、また治療により異なるので、あなたにどのように作用するかは一概には言えません。あなたの気分の良さは、普段の健康状態、罹っているガンのタイプと範囲、そしてあなたが投与されている薬の種類などにより影響を受けます。
 たとえば、吐き気や嘔吐を止める薬の影響で疲れているなら、治療の行き帰りに送ってくれる人がいて欲しいでしょう。化学治療後、早ければ1日後に、そして数日間、特に疲労感があるかもしれません。いつ休めるかということは、あなたの治療日をきめるのに役立に立つでしょう。もしあなたに小さなお子さんがいるなら、治療日や翌日に、手助けしてくれる誰かがいる時に治療の予定を立てたいでしょう。いつ疲労や他の副作用が起こりそうか、主治医に尋ねましょう。
 化学療法を受けている間、たいていの人は仕事を続けることができます。しかし、もし化学療法によって非常に疲れを感じたり、他の副作用があれば、しばらくの間、仕事の予定を変える必要があるかもしれません。あなたの希望について、雇い主と話をしましょう。パートタイムとして働くことができるかもしれませんし、また短時間の仮眠をとる場所を用意してもらえるかもしれません。自宅で仕事の一部をすることもできるかもしれません。
 米国連邦および州の法律によっては、雇い主はあなたの治療の必要に応じて柔軟な対応をとる必要があることもあります。仕事に関する保護について、ソーシャルワーカーまたは米国連邦議会か州の代表に確かめて下さい。米国国立癌研究所出版の「ガン治療後の生活」にも、仕事関連の事柄に関する情報があります。


化学療法を受けている間、他の薬を飲むことができますか

 薬の中には、化学療法の妨げになったり、化学療法に反応したりするものあります。治療を始める前に、主治医にあなたが飲んでいるすべての薬のリストを渡してください。リストには以下のことを入れて下さい。

・ 薬の名前
・ 服用量
・ 服用している理由
・ 服用回数

 ビタミン剤、下剤、アレルギーの薬、消化剤、風邪薬、アスピリン、イブプロフェン、あるいはそれ以外の痛み止め、そしてミネラルやハーブサプリメントなど、すべての市販医薬品(一般医薬品)について、主治医に話すことを忘れないで下さい。もし、これらの医薬品のどれかの服用を止めなければならないのであれば、化学療法を始める前に主治医はあなたに注意をしてくれます。治療が始まった後で、新しい薬を飲む場合でも、既に飲んでいる薬を止める場合でも、必ず主治医に確認するようにして下さい。


化学療法の効果は、どうしてわかりますか

 主治医と看護士は化学療法が効いているかどうか確かめるために、いくつかの方法を用います。あなたは頻繁に、検査を受けるでしょう。検査結果や経過について、いつでも気兼ねなく主治医に尋ねましょう。
 検査や調査は化学療法がどのように効いているか、多くのことを示すことができます。しかし、副作用では、治療の効果はほとんどわかりません。副作用がないなら薬は効いていない、あるなら薬は効いていると思うことがありますが、副作用は人によって、また薬によって様々ですから、薬が効いているかいないかのしるしにはなりません。


副作用について尋ねる質問


・ 短期間の副作用は何ですか?
・ 長期間にわたる副作用は何ですか?
・ どれくらいの酷さですか?
・ どのくらい副作用は続きますか?
・ 副作用を楽にするか、少なくするために、どうすればいいですか?
・ どんなときに医師や看護士に副作用について電話をしなければなりませんか?
・ 副作用に対処している間、気分をよくするためにどうすればいいですか?


医療スタッフと連絡を取ることについて

 どのように、就業時間後に医療専門家と連絡が取れますか?そして、いつ、電話をすればいいですか?


(もどる) 主治医と話すためのヒント

 これらのヒントは、あなたが主治医との話で知る情報を確実にしてくれるでしょう。

・あなたが主治医と話しをする時、友人家族をや、同席させましょう。そうすれば、主治医が言
 うことを理解するのを助け、後であなたの忘れてしまったたことを思い出させてくれるでしょう。
・あなたのガンと治療法について、利用可能な印刷された資料を求めてください。
・また、同席者は、あなたの診察の間、ノートを取ってくれるでしょう。
・あなたがメモをするのに時間がかかるのであれば、主治医にゆっくり話してもらうように頼んで
 ください。
・診察の間、テープレコーダーを使ってよいかどうかについても尋ねてみましょう。診察が終わっ
 た後、テープからノートをとってく ださい。そうすれば、いつでも繰り返して内容を確認すること
 ができます。



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第3章 副作用への対処


何が副作用を引き起こしますか?

 ガン細胞は正常細胞と比べて、より速く成長し分裂することがあるので、多くの抗ガン剤は増殖する細胞を殺すようにつくられています。しかし、正常で健康な細胞のなかにも速く増殖する細胞があるので、化学療法はこれらの正常な細胞にも影響を及ぼします。正常細胞のこの損傷によって、副作用が起こります。最も影響を受けそうな成長の速い正常細胞は、骨髄で形成される血球細胞、消化管(口腔、胃、腸、食道)の細胞、生殖系(生殖器)、そして毛嚢です。抗ガン剤のなかには、不可欠な臓器、たとえば、心臓、腎臓、膀胱、肺、そして神経系に影響を及ぼすことがあるかもしれません。
 これらの副作用は起こらないかもしれないし、あるい起こってもほんの少しかもしれません。あなたに起こるかもしれない副作用の種類と、どのくらい副作用がひどいかということは、あなたが受ける化学療法の種類と投与量、そしてあなたの身体がどのように反応するかによります。化学療法を始める前に、主治医は、あなたが受ける予定の薬剤によって起こるかもしれない副作用について話します。治療を始める前に、あなたは同意書にサインするように求められます。あなたは、投与される薬と、それらによって起こる副作用などを含めて、治療について全ての事実を同意書にサインをする前にしらされます。

どのくらい副作用は続きますか?
 化学療法が終わると正常細胞は自然に回復するので、副作用は治療終了後徐々になくなっていきます。そして健康な細胞が正常に増殖する機会が訪れます。副作用を乗り越えるために要する時間は、あなたの全体的な健康状態、受けている化学療法の種類といった多くのことに依存します。
 大部分の人には、化学療法の長期に渡る重大な問題はありません。しかし、化学療法が心臓、肺、神経、腎臓、生殖器、ほかの器官などに永久の変化、または損害を引き起こす場合もあり得ます。そして化学療法の種類によっては、第二のガンのように、何年後かに現れるかもしれません。あなたが受けている治療から生じる重大で長期に渡るどんな結果の可能性についても主治医に尋ねて下さい。(しかし、あなたの心配事と、ガンの差し迫った兆しとを比較検討することを忘れないで下さい。)
 化学療法によって稀に生じる重大な副作用だけでなく、一般的な副作用も予防し、治療することに大きな進歩がなされました。多くの新薬と新しい治療法は、体の健康な細胞に与える害はこれまでより少なく、効果的にガンを破壊します。
 化学療法の副作用は不快です。しかし、治療によるガンを破壊する能力と比較して評価しなければなりません。吐き気のような副作用は薬で防ぐこともできます。化学療法を受けている人々は、受けている治療時間の長さと、抱えている副作用に時々落胆します。もし、それがあなたに起こるなら、主治医や看護士に話して下さい。彼らは副作用を楽にする対処方法や軽減方法を提案することができるでしょう。

 次に、化学療法の一般的な副作用への対処法をあげておきます。


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疲 労
 疲労、疲れを感じることや活力を失うことは、ガン患者の多くが訴える症状です。その正確な原因はよくわかっていません。おそらく、疾患、化学療法、放射線療法、手術、血球数減少、睡眠不足、疼痛、ストレス、食欲不振、などのさまざまな要因によるものでしょう。
 ガンによる疲労は、日常生活による疲労とは別物と感じられます。化学療法による疲労は急激に現れます。ガン患者はそれを、活力の全喪失、言い古された言葉で言うと、くたくた、へとへと、めろめろなどと表現します。休息はこの助けにはなりませんし、誰もが同じように感じるわけではありません。
 ほかの人が疲労を感じているときに、なんとも感じないかもしれませんし、疲労感がほかの人ほど長く続かないかもしれません。疲労が続くのは一日かもしれないし、1週間かも、1月かもしれません。しかし、腫瘍が治療に反応するにつれてだんだんとなくなっていきます。

どのように疲労に対処するか

・ 一日の計画を立てましょう。そうすれば休息の時間が生まれます。
・ 長い睡眠時間よりも、短い仮眠や休息をとりましょう。
・ 重要なことをするために、エネルギーを節約しましょう。
・ 楽しいことでも、より簡単な方法やより短い時間にしましょう。
・ できれば、少しの散歩をするか軽い運動をしましょう。これが疲労を軽減してくれます。
・ エネルギーの節約と、疲労への対処法を医療補助者に話しましょう。
・ 瞑想、祈り、ヨガ、イメージ導入、明視化などの活動をして見ましょう。(補完医療の項を参照)
 これらは疲労の回復に効果があります。
・ できるだけ食べ、たくさん飲みましょう。でも、一度に少量づつ食べましょう。
・ 支援グループに加わりましょう。感情を共有することで疲労の負担を軽減しますし、ほかの人
 がどのように疲労に対処しているかを知ることができます。医療補助者は地域の支援グルー
 プに連絡を取ってくれます。
・ カフェインやアルコールの量を制限しましょう。
・ いつも自分でしていたことを手伝ってもらいましょう。
・ 毎日、どう感じたか日記をつけましょう。これは日常活動の予定に役立ちます。
・ エネルギーレベルのどのような変化についても、主治医や看護士に話しましょう。


吐き気と嘔吐

 化学療法を受けている間、患者の多くは吐き気や嘔吐が起こるのを恐れています。しかし、新薬によりこれらの副作用がもう普通には発生しないようになり、また起こっても軽いものになりました。これらの制吐薬や抗嘔気薬は、ほとんどの患者の吐き気や嘔吐を予防したり、軽減したりすることができます。薬の効果は人によって異なり、効果を出すために、2種類以上の薬が必要な場合もあります。あきらめないでください。最も効果のある薬が見つかるまで、主治医や看護士と一緒に頑張ってください。吐き気が強かったり、一日以上嘔吐が続いたり、嘔吐がひどくて液体を飲むことができなかったりするときには、必ず主治医や看護士に話をしてください。

 吐き気や嘔吐がある場合、どうしたらよいでしょうか

・ 食事と一緒ではなく、少なくとも食前または食後1時間で液体をとりましょう。少量を頻繁に取り
 ましょう。
・ ゆっくり食べたりのんだりしましょう。
・ 一日に三度の食事ではなく、一日を通して少しずつ食べましょう。
・ 冷たいものや、室温程度の暖かさの食事をすると、強い匂いに悩まされずにすみます。
・ 消化が良くなるように良く噛みましょう。
・ 朝、吐き気が起こるのであれば、シリアル、トースト、クラッカーなどの乾燥した食品を起きる前
 に食べましょう。(口内やのどに腫れ物があったり、唾液の不足があるときにはいけません。)
・ りんごジュースやグレープジュースのような冷たく、澄んだ、甘味のない果物のジュースや、炭
 酸が抜けたジンジヤーエールのような、軽い色付けのカフェインのないソーダを飲みましょう。
・ ミントや酸味のあるキャンデーをなめましょう。(口内やのどに腫れ物があるときには、酸味の
 あるキャンデーはよしましょう。)
・ 調理をしたくなくなる日に備えて、事前に食事を作り冷凍しておきましょう。
・ ゆったりとした衣服を着ましょう。
・ 吐き気を感じたら、深いゆっくりとした呼吸をしましょう。
・ 友人や家族と音楽を聴いたり、映画を見たり、TVショーを見たりして気晴らしをしましょう。
・ リラックスしましょう。(補完医療の項を参照)
・ 料理の匂いや煙や香水など、不快に感じるにおいを避けましょう。
・ 甘味、揚げ物、脂肪の多い食事を避けましょう。
・ 食後2時間は休みましょう。しかし横にはならないでください。
・ 化学療法中に吐き気がある場合は、治療の2〜3時間前から食事を控えてください。
・ 治療のまえに軽い食事をしましょう。


疼 痛

 化学療法の薬剤は、疼痛という副作用を起こす場合があります。薬剤は、神経に損傷を与え、指先やつま先に灼熱感、しびれ、ヒリヒリやずきずきする痛みを起こします。口内に腫れ物を生じたり、頭痛や筋肉痛、胃痛を生ずる薬剤もあります。
 すべてのガン患者や化学療法を受けている人が、ガンの症状やその治療から痛みをうけるわけではありません。しかし、もしそれがあるならば、それを軽減してもらえます。その第一段階は主治医や看護士、薬剤師に痛みについて話をすることです。その人たちは、あなたの痛みについて、詳細をできる限り知っておく必要があります。友人や家族に痛みについて話しておくことも必要です。あなたが疲れすぎたり、痛みがひどくて自分で言うことができないときに、代わりに介護者に痛みについて話をしてくれるでしょう。

次のことを説明してください。

・ どこが痛いか
・ どのような痛みか  鋭い、鈍い、ズキズキする、ずっと続く、など
・ 痛みの強さは
・ どれくらい続くか
・ どうすれば痛みが少なくなるか、またひどくなるか
・ 疼痛に対してどんな薬を使っているか、それがどのくらいの効果があるか

 疼痛尺度を使うと、どのような痛みを感じているかを表現することが容易になります。痛みの程度に0〜10の段階をつけてください。痛みがまったくないときを0として、数字が大きくなるにつれて痛みがひどくなることをあらわします。10は、最悪の状態を表します。0〜5や0〜100など自分の疼痛尺度を使うこともできます。どの疼痛尺度を使用しているか、まわりの人に教えておき、常に同じものを使うようにしましょう。 たとえば「痛みは、0〜10の尺度の7です」というようにです。

 疼痛管理の目的は、予防できるものは予防し、できないものは処置するということです。このために、

・ 持続的、または慢性的な疼痛がある場合は、規則的(時間的)に疼痛薬を服用してください。
・ 服用の予定を飛ばしてはいけません。痛みを感じるまで放置しておくと処置が難しくなります。
・ 疼痛薬を服用するときに、一緒にリラックス運動をしてください。これは緊張をほぐし、不安を  鎮め、痛みを抑える効果があります。
・ 持続的、または慢性的な痛みがあり、常に薬で痛みを抑えている場合は、激痛を感じることが あります。これは、痛みを抑えているとき、激しい痛みが短時間発生するものです。もしこれが 起こったなら医師の処方による非持続的な薬を使用してください。痛みがひどくなるまで放置  しておいてはいけません。そうすると、処置がより困難になります。

 痛みを治療するさまざまな薬や方法があります。医師は、できるだけ快適な状態に保つために必要な情報や方法を探してくれます。あなたに痛みがあり、医師になすすべがなくなってしまったら、疼痛専門家を紹介してもらうか、医師に疼痛専門家に相談してくれるように頼みましょう。疼痛専門家は腫瘍内科医、麻酔科医、神経科医、ほかの医師、看護士、薬剤師などです。


体毛の損失

 体毛の損失(脱毛)は化学療法の一般的な副作用ですが、すべての薬で体毛の損失が起こるわけではありません。主治医は、使用している薬で体毛の損失が起こるかもしれないというかもしれません。体毛の損失が起こると、毛が薄くなったりすべて抜け落ちてしまったりします。体毛の損失は頭や顔、手、足、わきの下、性器部など身体のすべての部分で起こります。体毛は、化学療法が終わると普通は生え戻りますし、治療中でも戻り始める人もいます。また、体毛の色や感じが変わってしまうこともあります。
 体毛の損失はすぐに起こるとは限りません。最初の治療から数週間後だったり数回の治療後だったりします。多くの人が、髪が抜ける前よりも頭が敏感になったといっています。体毛は段階的に抜け落ちたり塊で抜け落ちたりします。生えている体毛はつやを失い、乾燥してきます。

化学療法の間、頭髪や体毛をどう手当てしたらよいでしょうか

・ マイルドなシャンプーを使う。
・ やわらかいヘアーブラシを使う。
・ 髪を乾かすときは低い温度でする。
・ 髪を短くカットする。ショートスタイルは髪を厚く、豊かな感じに見せます。抜け毛がおきたとき にその処理が簡単になります。
・ 頭髪がなくなってしまったら、頭を太陽から保護するために、日よけ、日焼け止め、帽子、スカ ーフなどを使用しましょう。
・ 髪のセットにローラーブラシの使用はよしましょう。
・ 髪を染めたり、パーマやカール伸ばしはよしましょう。

 髪の大部分やすべてを失った人は、ターバンやスカーフ、帽子、かつら、部分かつらなどを使用しています。また何もしない人もいます。外出先か、友人や家族と一緒に家の中にいるかなどによって、いずれかにする人もいます。選択に良いとか悪いとかはありません。どちらでも自分でよいほうを選べばよいのです。

頭のカバーをするほうを選ぶなら
・ かつらや部分かつらは、髪を失う前に用意しましょう。そうすれば今までの髪型や色合いに合
 わせることができます。ガン患者専門店でかつらや部分かつらを購入することができます。ま 
 た、家まで出張してくれる店や、カタログ通販でも、かつらや部分かつらを購入できます。
・ かつらや部分かつらを購入せずに、借りることもできます。病院の看護士や社会福祉部で、地
 域の無料のかつらについて調べてみてください
・ 顔かたちに合わせてカットや形を変えてくれる美容室やお店にかつらを持っていきましょう。
・ ガン治療のための部分かつらなどの、費用をカバーしている医療保険もあります。また、所得
 控除にもなります。保険証券を調べて、主治医に処方箋をかいてもらうことを忘れないでくださ
 い。

 頭や顔、体から体毛を失うことは受け入れがたいことです。憤りや憂鬱を感じるのは普通でありあたりまえなことです。しかし、これは一時的な副作用であることも忘れないでください。あなたの気持ちについて話すことは支えになります。できれば同じような経験を持つ人と思いを共有しましょう。

貧 血


 化学療法は赤血球を作る骨髄の能力を減退させます。赤血球は体のすべての部分に酸素を運んでいます。もし赤血球が減少すると、体組織は働きをするのに必要な十分な酸素を得ることができなくなります。この状態を貧血と呼びます。貧血は息切れ、虚弱さ、疲れを感じさせます。もし次のようなことがありましたら、主治医に相談しましょう。

・ 疲労(よわよわしく、疲れたと感じる)
・ めまいや気が遠くなるような感じ
・ 息切れ
・ 心臓がドキドキしたり鼓動が早くなったり

 治療中、医師は血球数のチェックを頻繁にします。また医師は赤血球の成長を促す薬を処方することもあります。もし貧血が時々起こるようならば主治医に相談しましょう。赤血球数があまりにも減少したときには、体内の赤血球を増加させるために輸血やエリトロポイエチンという薬を使用する必要もあります

貧血時にすること(“疲労”の項を参照)
・ 十分な休息をとる。夜は十分に睡眠をとり、できれば昼寝をすること。
・ 活動を制限する。必須なことか最重要なことのみ行う。
・ 必要なとき援助を求める。家族や友人に、子供の世話や買い物、家事、運転などを代わっても
 らう。
・ 調和の取れた食事を摂る。(“化学療法中の良い食事”の項を参照)
・ 座っているときには、ゆっくりと立ち上がる。横になっているときは、まず座り、それから立ち上
 がる。これがめまいを防ぎます。


(もどる) 中枢神経の問題

 化学療法は、中枢神経系(脳)の特定の機能に干渉して、疲労、錯乱、憂鬱などの症状を引き起こします。これらの感覚は、化学療法の薬の服用量が減少したり治療が終了したりすればなくなります。もしこれらの症状が起きたときには主治医に相談しましょう。


感 染

 化学療法は感染症を起こしやすくします。これは抗ガン剤が骨髄に作用して白血球を作ることを妨害するからです。白血球はさまざまな感染症と戦います。化学療法中、主治医は血球数のチェックを頻繁に行います。白血球数が非常に少ないときに、短時間で白血球の回復をする薬があります。これらの薬はコロニー刺激因子(CSF)と呼ばれています。白血球数の増加は危険な感染症のリスクを大幅に減少します。
 感染症の多くは、皮膚や口内、腸、生殖管で普通に見られるバクテリアに起因します。原因のわからない感染症もありますので、どのような予防をしても感染症にかかる可能性はあります。でも以下のようなことができます。

感染症の予防に役に立つこと
・ 頻繁に手洗いをしましょう。食事の前、トイレのあと、動物に触った後などは必ず洗いましょう。
・ 穏やかに、しかし完全に、お尻の周りを洗いましょう。もしお尻がかゆくなったり、痔疾があった
 りしたら、主治医や看護士に相談しましょう。浣腸や座薬を用いるときには医師の診察を受け
 ましょう。(“便秘”の項を参照)
・ 風邪、インフルエンザ、はしか、または水疱瘡などにかかっている人に近づかないようにしまし
 ょう。
・ 人ごみを避けましょう。たとえば、店や劇場が込み合っているときの、買い物や映画鑑賞など
 です。
・ 水疱瘡の生ワクチンや経口のポリオワクチンなどの接種を受けた子供たちに近づかないよう
 にしましょう。低血球数の人に接触感染をする危険性があります。何か疑問があれば、主治医
 や地域の保健所に相談しましょう。
・ 爪の甘皮を切ったり裂いたりしないようにしましょう。
・ ハサミや針、ナイフなどの使用中に切ったり、傷をつけたりしないようにしましょう。
・ 肌を剃ったりきったりしないように、かみそりの代わりに電動のシェーバーを使いましょう。
・ 口内の清掃をしましょう。(口、歯茎、のどの問題“の項参照)
・ 吹き出物をつぶしたり掻いたりしないようにしましょう。
・ 毎日、暖かい(熱くない)風呂やシャワーにはいるか、スポンジバス(濡れタオルで体を拭く)を
 使いましょう。軽くたたくように体を拭きましょう。強くこすってはいけません。
・ 肌が乾燥したり割れたりしたら、ローションやオイルで肌を柔らかくしていやしましょう。
・ 温水や石鹸、消毒液などで、傷や切屑を、癒されるまで、毎日清潔に保ちましょう。
・ 動物の排泄所や排泄物、鳥かご、水槽などに触れないようにしましょう。
・ よどんだ水、たとえば鳥の水浴び場、花瓶、加湿器などをさけましょう。
・ 庭仕事や子供の排泄の始末をするときには、保護手袋をしましょう。
・ 主治医の診察を受けることなしに、インフルエンザや肺炎など、どのような予防注射でも受け
 てはいけません。
・ 魚、海産物、肉、卵などの生ものを食べてはいけません。

感染の症状
 以下の症状がありましたら、直ちに主治医の診察をうけてください。
・ 体温が38℃を超えたとき
・ 冷え。特に悪寒や戦慄を感じたとき
・ 発汗
・ おなかがゆるく感じたとき
・ 頻尿や、排尿時の焼けるような感じ
・ ひどいせきやのどの痛み
・ ふだんと異なる下り物やかゆみ
・ 特に、傷口、腫れ物、オストミー、吹き出物、肛門周り、カテーテルの周囲などに、赤み、腫れ、圧痛などを感じたとき
・ 副鼻腔の痛みや圧迫
・ 口唇や皮膚の水泡
・ 口腔の腫れ物


血液凝固の問題

 抗ガン剤は骨髄の血小板を作る能力に作用することがあります。血小板は血液を凝固して出血を止める作用があります。血液中に十分な血小板がなければ、怪我をしなくとも、いつもより出血や、青なじみができやすくなります。

 次のようなことがあったら主治医の診察を受けてください。

・ 予想外の青なじみ
・ 皮膚下の小さな赤斑点
・ 赤やピンク色の尿
・ 黒か血液の混じった便
・ 歯茎や鼻からの出血
・ 新しいか、いつもより長く続く膣出血
・ 頭痛や視力の変化
・ 腕や足の熱い感覚


低血小板レベル時の諸問題の回避法

・ 一般の店頭販売薬品を含めて、ビタミン剤、ハーブ療法などをする前に必ず主治医や看護士
 の診察を受ける。これらの多くはアスピリンを含んでおり、それは血小板に影響を与えます。
・ アルコール類を飲む前に主治医の診察を受ける。
・ 鼻をかむときには、静かにティッシュにかむ。
・ ハサミ、針、ナイフやほかの道具を使うときには、切ったり刺したりしないように細心の注意を
 する。
・ アイロンや調理をするときには、やけどしないように注意をする。
・ 怪我をするかもしれないスポーツや活動を避ける。
・ 性交渉を避けたほうが良いか医師に確認する。
・ カミソリの代わりに電動シェーバーを使う。


口、歯ぐき、のどの問題

 ガン治療中の口腔の良好な維持は重要です。抗ガン剤の中には、口やのどに口内炎や粘膜炎と呼ばれる腫れ物を生じることがあります。抗ガン剤は、また、組織を乾燥させ刺激したり、出血を引き起こしたりすこともあります。化学療法を開始してから、食事がよく取れない人は、この口の腫れ物によることが多いのです。
 痛みを伴うことにくわえて、口内の腫れ物は口内に存在する細菌によって引き起こされるものです。化学療法中は、治療することが難しく、また深刻な問題を引き起こしかねないので、感染症を防ぐために各処置をとる必要があります。

口内、歯ぐき、のどを健康に保つため

・ 化学療法を開始する5〜6週間前に、主治医と、歯科医師の診察を受けることの相談をしまし
 ょう。歯を掃除してもらい、虫歯、歯肉膿傷、歯肉炎、義歯の不具合などさまざまな問題を処置
 しておきましょう。化学療法の間、歯を磨く最良の方法について歯科医師に教えてもらいましょ
 う。化学療法は虫歯を発生しやすくしますので、歯の腐食を防ぐために、歯科医師はフッ素化
 合物のリンスやゲルを毎日使用するようにすすめるでしょう。
・ 毎食後、歯と歯ぐきを磨きましょう。やわらかい歯ブラシを使い、やさしく磨きましょう。強く磨く
 とやわらかい口内の組織を傷つけてしまいます。もし歯ぐきが敏感であれば、適切な歯ブラシ
 や歯磨きを、主治医、看護士、歯科医師などに紹介してもらいましょう。食後や就寝前に暖か
 い塩水で口をすすぎましょう。
・ 使用後、歯ブラシをよく洗い、乾燥したところに保管しましょう。
・ どんなに少量でも、アルコールを含んでいるうがい薬は使用しないようにしましょう。刺激が少
 ないか、薬用のうがい薬を主治医や看護士に聞いて見ましょう。たとえば、炭酸水素ナトリウ
 ム(重曹)を使用したうがい薬は、刺激がありません。


 もし口内に腫れ物ができたら、主治医や看護士に相談しましょう。腫れ物の治療に薬が必要かもしれません。もし、腫れ物が痛みを伴ったり、食事に障害があったりしたときには、以下のことを試してみてください。

口内の腫れ物に対処するには

・ 腫れ物に直接塗り、痛みを和らげる薬があるか、または薬を処方してもらえるか医師に相談
 する。
・ 室温程度か、冷たい食品をとる。暖かかったり熱かったりする食品は敏感な口やのどに刺激
 を与えます。
・ 冷たい、痛みを和らげる食品を食べる。たとえば、アイスクリーム、ミルクセーキ、ベビーフード
、柔らかい果物(バナナ、アップルソース)、マッシュポテト、オートミール、半熟卵かスクランブル
 エッグ、ヨーグルト、カッテージチーズ、マカロニチーズ、カスタード、プデイング、ゼラチンなど。
 また、より口当たりを滑らかにし、食べやすくするために食品をブレンダーで裏ごしすることも 
 良いでしょう。
・ 酸性の食品やジュースを避ける。たとえば、トマトや柑橘類(オレンジ、グレープフルーツ、レモ
 ン);辛いもの塩辛いもの;生野菜、グラノーラ、ポップコーン、トーストなどの、ざらざらした、ま
 た大粒の食品。

口内の乾燥に対処するには
・ 口の中を湿らせるために人工唾液製品を使うべきか主治医に聞いてみましょう。
・ 十分な液体を飲みましょう。
・ 氷塊、アイスキャンデー、甘味のない飴などをなめても良いか主治医にたずねましょう。砂糖
 抜きのチューインガムをかむことも良いでしょう。(ソルビトールは、サトウ抜きの多くの食品に
 含まれている代替甘味料ですが、多くの人に下痢を起こしています。もし、下痢が問題となる
 ようでしたら、サトウ抜きの食品を購入する前にラベルをチェックし、ソルビトールの摂取をひか
 えましょう。)
・ 乾燥した食品に、バター、マーガリン、肉汁、ソース、だし汁などをつけて湿らせましょう。
・ パリパリした乾燥した食べものを、刺激の少ない液体に冷やしましょう。
・ やわらかい裏ごしした食品を食べましょう。
・ 唇が乾くときには、バルサム剤かワセリンを塗りましょう。
・ いつでも水が飲めるように水筒を持ちましょう。


(もどる) 下 痢

 化学療法が腸の内壁の細胞に影響を与えると、下痢(水様のまたはゆるい便)が発生します。もし下痢が24時間続くようであれば、またケイレンを伴うのであれば、医師の診察を受けてください。重症の場合、下痢を止める薬を処方してくれます。下痢が続く場合、失った水分と栄養分とを補給するために点滴が必要となります。通常これは外来で処方されるので入院の必要はありません。主治医の診断なしに下痢用の市販薬を使用しないでください。

下痢に対処する方法

・ 十分な液体を飲む。これは下痢で失った液体を補給します。刺激のない澄んだ液体、たとえ
 ば、水、透明なだし汁、ゲーターレードのようなスポーツドリンク、ジンジャーエールなどが最良
 です。これらの飲料がのどの渇きをましたり、吐き気を催すようであれば、水で薄めましょう。
 ゆっくりとのみましょう。飲料の温度は室温にしましょう。炭酸飲料は、ガスを抜きましょう。
・ 三度の食事時ではなく、一日を通して少しずつ食べましょう。
・ 主治医が言わなくても、カリウムの多い食品を食べましょう。下痢はこの重要なミネラル分を体
 内から失わせます。バナナ、オレンジ、ジャガイモ、桃、アプリコット、などはカリウムの良い供 
 給源です。
・ 腸に休息を与えるために、流動食をとったほうがが良いか主治医に聞いてみましょう。流動食
 は必要なミネラル分のすべてを供給するわけではないので、3〜5日以上続けてはいけません
・ 繊維質の少ない食事をしましょう。低繊維質の食品には、白パン、白米、麺類、クリーム状の
 シリアル、完熟バナナ、缶詰や調理された皮なしの果物、カテージチズ、酵母無しのヨーグルト
、卵、皮なしのマッシュポテトや焼いたポテト、裏ごしの野菜、鶏肉、皮なしの七面鳥、魚などが
 あります。
・ 高繊維質の食品を避けましょう。高繊維質食品は下痢や痙攣を引き起こします。高繊維質の
 食品には、全粒パン、全粒シリアル、生野菜、豆、ナッツ、種子、ポップコーン、新鮮な果物、ド
 ライフルーツなどがあります。
・ 熱かったり、冷たすぎる水分を避けましょう。下痢を悪化させます。
・ カフェイン、アルコール、甘味を含んだコーヒーや紅茶を避けましょう。また、揚げもの、脂っこ
 いもの、刺激の強いものも避けましょう。これらは刺激があり、下痢や痙攣を引き起こします。
・ もし下痢を悪化させるのであれば、ミルクやミルク製品を避けましょう。アイスクリームも含まれ
 ます。


便 秘

 ある腫の抗ガン剤、鎮痛剤、またほかの薬でも便秘が起こります。運動不足や食品に十分な水分や繊維質が含まれていないときにも起こります。もし一日か二日便が出ないようでしたら、医師の診察を受けてください。緩下剤や便軟化剤を処方してくれるでしょう。医師の診察なしにこれらの薬を使用しないでください、特に白血球数や血小板数が減少しているときにはです。

 便秘に対処する方法

・ 便をやわらかくするために、十分な水分を取りましょう。もし口内に腫瘍がなければ暖かい、ま
 たは熱い液体を飲みましょう。水も含みます。水は効果が大です。
・ 食物繊維質を増やしても良いかどうか医師に相談しましょう。(高繊維質の食品が良くないガ
 ンや副作用があります。)高繊維質の食品には、ふすま、全粒パン、全粒シリアル、生または
 調理した野菜、新鮮な果物、乾燥果物、ナッツ、ポップコーンなどがあります。
・ 毎日運動をしましょう。散歩に行ったり、メニューのある運動に挑戦しましょう。自分にあった運
 動量や種類について、主治医に相談しましょう。


神経と筋肉への影響


 抗ガン剤は神経系に影響を与えることがあります。このひとつの例は、手や足に、刺痛、灼熱感、よわよわしさ、痺れ、疼痛などを感じる抹消神経疾患です。また、筋肉に作用してよわよわしさ、疲労感、痛みなどを感じさせる薬もあります。
 これらの、神経や筋肉への副作用は面倒ではありますが、あまり深刻なものではありません。しかし、ほかの原因による神経や筋肉の症状の場合、治療を要する深刻な場合があります。どんな神経や筋肉の症状でも、医師に相談する必要があります。たいていの場合、これらの症状は、治療終了一年後くらいで回復します。

 神経や筋肉の症状には次のようなものがあります。
・ 刺痛
・ 灼熱感
・ 手足の虚弱感や麻痺
・ 歩行時の痛み
・ 筋肉の虚弱、痛み、疲労感、うずき
・ 平衡感覚の喪失
・ 不器用さ
・ ものをつまみ上げたり、ボタンをかけるときの困難さ
・ ぐらつきやふるえ
・ 歩行の困難
・ 下顎の痛み
・ 聴覚障害
・ 胃痛
・ 便秘

 神経と筋肉の問題へ対処する方法

・ 指が麻痺しているときに、鋭いもの、熱いもの、そのほか危険なものを握ることに注意をする。
・ 平衡感覚や筋肉の力が影響を受けているときには、階段の上り下りには手すりを使いゆっくり と歩き、落ちるのを防ぎましょう。またバスタブ内にバスマットを敷いたり、シャワーを使いましょ う。
・ 常にゴム底の靴を履きましょう。(できれば)
・ 主治医に鎮痛薬をもらいましょう。


皮膚や爪への影響

 化学療法中は、赤み、発疹、かゆみ、皮膚の剥離、乾燥、挫瘡、太陽光線への敏感さを増す、などのちょっとした皮膚の問題が生じることがあります。抗ガン剤には、静脈内に与えられたとき、血管に沿って黒く皮膚を変化させることがあります。特に肌の黒い人に見られます。これらの部分を覆うのにメーキャップをする人もいますが、多数の血管が影響を受けたときにはメーキャップにはとても時間がかかります。この黒ずみは治療終了後2〜3ヶ月で消えてしまいます。
 また爪も、黒ずんだり、黄色くなったり、もろくなったり、割れたりします。また、たてに線が入ったり、帯が入ったりします。これらの問題はそれほど深刻ではなく、必要なときには自分自身で手当てすることができます。静脈(IV)に与えられた薬は、血管外に漏れたときには、深刻で永久的な損傷を皮膚に与えます。もし点滴(IV)を受けたときに、灼熱感や痛みを感じたなら、直ちに主治医や看護士に連絡しましょう。これらの症状は、いつでも問題があるということではありませんが、いつでも早急に検査する必要があります。どんなちょっとした症状でも、主治医に話をすることをためらってはいけません。

 症状の中には、すぐに処置を必要とするアレルギーによる反応の場合があります。次のような症状が出たら、すぐに主治医や看護士に連絡しましょう。

・ 突然な、または深刻なかゆみを生ずる。
・ 肌に発疹やジンマシンが起こる
・ ゼイゼイしたり、ほかの呼吸困難を生ずる。


皮膚や爪の問題へ対処する方法

ざ瘡
・ 顔を清潔に乾燥させておく
・ 市販のクリームや石鹸を使用するときには、主治医や看護士に相談する。

かゆみと乾燥
・ でんぷんをパウダーとして使いましょう。
・ 乾燥を防ぐために、短時間のシャワーやスポンジバス(濡れタオルで体を拭く)などを使いまし
 ょう。長時間や熱い風呂は避けましょう。加湿用石鹸を使いましょう。
・ 肌に潤いのあるうちにクリームやローションを使いましょう。
・ アルコールを含んでいる香水、コロン、アフターシェーブローションの使用を避けましょう。
・ かゆみを鎮めるために、コロイドのオートミルバスやジフェンヒドラミンを使いましょう。

爪の問題
・ ドラッグストアーで爪強化剤を購入できます。これは皮膚や爪に損傷を与えることがあるので  気をつけてください。
・ 皿洗い、庭仕事、家の周りの仕事などをするときには、保護の手袋をしましょう。
・ 赤みや痛み、小爪の付近の変化などがあったら主治医に連絡しましょう。

日光過敏
・ 特に、午前10時から午後4時までの、太陽光線の強いときに直射日光に当たることを避けまし
 ょう。
・ 太陽光線からの損傷を防ぐために、指数(SFP)15以上の皮膚保護剤とともに日よけローショ
 ンを使用しましょう。酸化亜鉛のような市販製品は完全に太陽光線を遮断します。
・ 日光保護剤とともに、リップバルサム剤を使いましょう。
・ 太陽光線を防ぐために、長袖の綿のシャツ、ズボン、つばの広い帽子を用いましょう。(特に、
 脱毛をおこしているときには)
・ 肌の黒い人は、化学療法中は太陽光線から身を守りましょう。


(もどる) 放射線リコール

 放射線治療を受けた人の中には、化学療法中に「放射線リコール」を発症する人もいます。抗ガン剤の投与中またはすぐ後に放射線治療を受けた皮膚が赤く変化します。(薄赤色の陰から非常に明るい色までさまざまです。)皮膚に水泡ができたり皮が剥けたりもします。この反応は数時間から数日間続くこともあります。放射線リコールの反応がおこったら主治医や看護士に連絡してください。

次のようなことでかゆみやヒリヒリ感を和らげることができます。
・ 影響を受けた箇所に冷湿布をする。
・ 柔らかな、ちくちくしない素材を着る。乳腺摘出手術の後に放射線治療を受けた女性は綿の 
 ブラが快適であるといっています。


腎臓と膀胱への影響

 抗ガン剤の中には膀胱を刺激したり、膀胱や腎臓に一時的、または永久的な損傷を与えるものがあります。もしこの種の抗ガン剤を使用しているときには、医師は24時間の尿のサンプルを採集します。化学療法を始める前に、腎臓の機能を調べるために血液サンプルを採取する場合もあります。抗ガン剤の中には尿の色を変えたり(オレンジ、赤、緑、黄色など)強い匂いや、薬のようなにおいを24時間から72時間発するものもあります。使用中の薬がこれらの症状を起こすかどうか、医師に確認してください。
 尿の流れを良くするように、十分な水分を取り、問題を防ぎましょう。腎臓や膀胱に影響を与える薬を使用しているときには非常に重要なことです。水、ジュース、ソフトドリンク、だし汁、アイスクリーム、スープ、アイスキャンデー、ゼラチンなどは水分とみなされます。

次のような症状があったら医師に相談してください。
・ 排尿時に痛みやヒリヒリ感がある。
・ 頻尿感がある。
・ 排尿できない。
・ 突然トイレに行きたくなる。(切迫感)
・ 赤い尿や血尿がでる。
・ 熱がある。
・ さむけ、特に震えるようなさむけがする。


インフルエンザに似た症状

 化学療法を受けた人の中には、数時間ないし数日間インフルエンザにかかったように感じる人もいます。これは、とくに化学療法と生物学療法を併用して受けている人に見られます。インフルエンザに似た症状とは、筋肉や関節の痛み、頭痛、疲労感、吐き気、微熱(通常38℃以下)、悪寒、食欲不振などが、1日から3日間くらい続くことです。これらの症状は、感染やガン自体から生じることもあります。インフルエンザに似た症状があったら主治医に相談してください。

むくみ
 化学療法を受けている間、体が水分を滞留させることがあります。治療によるホルモンの変化によることもあれば、薬により引き起こされたり、ガンによることもあります。もし、顔、手、足、腹部のふくらみや腫れに気づいたら主治医や看護士に相談してください。食卓塩や塩分の強い食品を避けましょう。もし問題が深刻なときには体が余分な水分を排出できるように利尿薬を処方してくれます。

性器官への影響

 化学療法は、常にということではありませんが、男性、女性ともに生殖器(男性の睾丸、女性の膣や卵巣)や性機能に影響を与えることがあります。この副作用は、使用される薬の種類、患者の年齢、健康状態などに左右されます。

男性
 化学療法薬は、精子細胞数を減少させ、その活動能力を低下させます。これらの変化により、一時的にまたは永久的に不妊症となる場合があります。不妊症とは、子供をもうける男性の能力に影響を与えるもので、性行為をする能力に影響を与えるものではありません。ほかの影響の可能性としては、勃起機能や持続に関する問題や、出生児の先天的欠陥を生ずる染色体の損傷などです。

何ができるか
・ 治療を開始する前に精子保存(将来のために精子を冷凍する手続き)の可能性について主治
 医と相談してください。もし不妊症が問題となるならばですが、精子保存の費用も尋ねてくださ
 い。
・ 化学治療の間は避妊をしてください。どのくらいの期間避妊をしなければならないか主治医に
 相談してください。
・ 最後に治療を受けてから48時間以内の性交にはコンドームを使用してください。化学療法に
 よっては精子に影響を与えているかもしれませんから。
・ 化学療法が子供をもうける能力に影響を与えるかどうか主治医に聞いて見ましょう。もし影響
 があるようでしたら、それが一時的なものか永久なものかを。

女性
 卵巣への影響:抗ガン剤は卵巣に影響を与え、それが作り出すホルモンの量を減少させてしまうことがあります。化学療法中生理不順になったり、まったく無くなってしまう女性もいます。関係する副作用は、一時的であったり永久的であったりします。

・ 不妊。卵巣の損傷は不妊症(妊娠できなくなる)を引き起こすことがあります。この不妊症は一
 時的な場合と永久的な場合があります。不妊症が起こるか否か、またその期間はさまざまな
 要因によります。薬の種類、その量、女性の年齢などです。
・ 更年期障害。女性の年齢や薬の種類や量により化学療法中に更年期障害を受けることもあり
 ます。化学療法中には更年期障害に似た症状、たとえば、膣の組織のほてりや乾燥などを
 引き起こすこともあります。このような組織の変化は性行為を不快なものにし、膀胱や膣の感
 染症にかかりやすくしてしまいます。どのような感染症でも直ちに治療してください。(“感染症 ”の項を参照)更年期障害は一時的なものも永久的なものもあります。


ほてりに対して
・ レイヤーを着ましょう。
・ カフェインやアルコールを避けましょう。
・ 運動しましょう
・ 瞑想やリラックス法をしましょう。


膣の病徴をなくし感染症を予防する
・ 性行為時には、水またはミネラルの膣用潤滑剤を使いましょう。
・ 膣の乾燥を止める製品があります。膣用のゲルを薬剤師に聞いてください。
・ 油性のゼリーの使用を避けましょう。油性のものは皮膚から取り除きにくく、感染症にかかりや
 すくなります。
・ 綿の下着を着ましょう。ストッキングは通気性の良い綿の裏地のものにしましょう。
・ ぴったりしたズボンやショーツは避けましょう。
・ 感染症予防のための膣用のクリームや座薬を主治医に処方してもらいましょう。
・ 性交時に痛みが続くようでしたら、膣拡張薬を処方してもらいましょう。


妊 娠

 もちろん、化学療法中でも妊娠は可能ですが、抗ガン剤によっては、先天性の障害を引き起こす可能性があるので、すすめられません。医師は妊娠可能な女性、10代から更年期の終わりの女性まで、に治療が終わるまで、コンドーム、避妊クリーム、ダイヤフラム、避妊用ピルなどで、避妊するように勧めています。避妊ピルは乳ガンなどの患者には適切ではありません。これらの避妊用具について主治医に尋ねてみましょう。
 もし、ガンが発見される前に妊娠していたとすれば、出産後まで化学療法を先のばしにすることもできます。もしすぐさま治療を開始しなければならないとすれば、化学療法の胎児に対する影響を検討しなければなりません。


性欲について

 化学療法中の性に対する感じ方や態度は、人によってさまざまです。パートナーにより親しみを覚え、性行為への欲求がたかまる人もいれば、性的欲求やそのエネルギーにほとんど変化のみられない人もいます。また、ガンにかかっていることと化学療法を受けるという肉体的、精神的ストレスで性への興味が低下する人もいます。

これらのストレスは、以下のようなものがあります。

・ 外見の変化に対する不安
・ 健康や家族、金銭に対する不安
・ 疲労やホルモンの変化など治療の副作用

 パートナーの心配や恐れも、また性的関係に影響を与えます。肉体的な愛情行為はガンにかかっている人に悪い影響を与えるのではないかと心配するパートナーもいます。また、ガンが移ったり薬の影響を受けるのではないかと恐れる人もいます。あなたもパートナーも、性に関する不安があれば、気兼ねをせずに、主治医や看護士やソシアルワーカー、また、必要な情報や安心を与えてくれるカウンセラーに相談しましょう。
 またお互いの感情を分かち合う努力をしましょう。もし性やガンについて話をすることが難しければ、もっとオープンに話をする手助けをしてくれるカウンセラーに相談してみましょう。援助してくれる人たちは、精神科医、心理学者、ソシャルワーカー、結婚相談員、性療法士、また聖職者です。
 化学療法を始める前の性関係が良好なものであれば、治療を受けている間でも肉体的な愛情表現に喜びを見出すこともでき、治療中の愛情表現に変化を持つこともできるでしょう。抱きしめたり、触れ合ったりすることがより重要なことになるでしょう。化学療法を始める前に本物であったものは、いつまでも本物であることを忘れないでください。愛情の表現には正しきものなどありません。二人で自分たちに喜びを与えてくれるものを探しましょう。


(もどる) 第4章 化学療法中の良い食事

 化学療法を受けている間に、良い食事を取ることはとても大切なことです。良い食事を取るということは、体が必要としている栄養素をすべて含んだバランスの良い食品を選択するということです。良い食事をするということは、また、体重を維持する高カロリーな食品やガン治療で傷ついた皮膚の再生に必要な高タンパク質の食品をとるということです。良い食事を取っている人は、副作用にも対処しやすく、まだ感染症にもかかりにくくなります。また健康な皮膚をより早く再生することもできます。

食べたい気分になれないとき
 ある日、食べたくなくなることがあるかもしれません。落ち込んだり、疲れていたりすると食欲をなくします(“必要な支援を受ける”の項を参照)。また、吐き気や口やのどの障害などの副作用が食事を取ることを難しくしたり、痛みを生じたりします(“口、唇、のどの問題”の項を参照)。長期間食事が困難なときには、食事ができるようになるまでの間、主治医は点滴をしてくれるでしょう。

 食欲不振が問題となったときには、次のヒントを試して見ましょう。

・ 一日に4回から6回に分けて、小分けした食事やスナックをとりましょう。毎日、定期的な三度
 の食事をする必要はありません。
・ スナック類を手近なところに置けば、いつでも好きなときに食べることができます。
・ 固形物を食べたくなくても、飲料を飲みましょう。ジュースやスープや、ほかのこのような液体
 は重要なカロリーや栄養物を補給してくれます。
・ 新しい食品や調理法で、変化をつけましょう。
・ できれば、食事の前に散歩をしましょう。これは空腹感を得ることができます。
・ あなたの食事の習慣を変えてみましょう。たとえば、ほかの場所で食事をするとかです。
・ 友達や家族と一緒に食事をしましょう。一人の時にはラジオを聴いたりテレビを見たりしましょ
 う。
・ 補助即品について、主治医や看護士にたずねましょう。
・ 栄養士に必要な栄養素についてたずねましょう。

 NCIの小冊子“ガン患者の食事のヒント:治療前、治療中、治療後”には、食事を取りやすくしかも楽しくする方法について、より多くのヒントが書かれています。また、ガンの治療中に良い食事を取り、たくさんのたんぱく質とカロリーを摂る方法についてもかかれてれています。この小冊子については、看護士に問い合わせるか、ガン情報サービス 1-800-4-CANCER(1-800-422-6237)に連絡してください。

アルコール類は飲んでも良いか
 少量のアルコールは、気分をリラックスさせ、食欲を増進します。その反面、アルコールは薬の作用を妨害したり、副作用を悪化させることもあります。そのため、化学療法中はアルコール類を控えたり、完全にやめたりする人もいます。治療中に、ビール、ワイン、その他のアルコール類を飲んでもよいか、またその量はどれくらいまで良いのか、主治医に相談してください。

ビタミンやミネラルをより多く摂取したほうが良いか
 健康な食事からは普通、必要十分なビタミンやミネラルをとることができます。ビタミンやミネラルのサプリメントをとる前に、主治医や看護士、栄養士、薬剤師などに相談しましょう。過剰なビタミンやミネラルの摂取はそれらの不足と同じくらいの危険性があります。必要なものを探しましょう。


(もどる) 第5章 必要な支援を得る

 ガンのような化学療法は、人の生活に大きな変化をもたらします。化学療法は、ガンの治療をする反面、全身の健康に影響を与え、ストレスを生じたり、日々の生活に影響をあたえ、人間関係をゆがめます。化学療法中に、涙したり、心配したり、落ち込んだりする人がいることは珍しいことではありません。
 これらの感情は正常なことですが、心を乱すものです。しかし、化学療法の身体的な副作用に対処法があるように、これらの心に対する副作用にも対処法はあります。

どのように支援を受けることができるか
 さまざまな支援を受けることができますが、ここに最重要なことのいくつかをあげておきます。

医師、看護士、その他医療従事者。
 ガン治療に疑問や心配があるときには、医療チームに相談しましょう。心配事や落ち込みや、その他感情的な変化や身体的な変化について話をしましょう。

専門家への相談。
 あなたの感情のあらわし方や理解、また感情へ対処などを支援してくれるさまざまな相談員がいます。落胆しているときには専門家の支援を求めましょう。失望、無益感、罪悪感、生きるに値しない生活感などは、うつ病の徴候です。好みとニーズによって、精神科医、心理学者、ソシャルワーカー、性療法士、または聖職者のメンバーと話し合ってください。また、このうつ病を治療する薬もあります。たいていのガンセンターには、精神科医、心理学者、ソシャルワーカー、などによるガン患者のための“心理腫瘍学”のプログラムがあります。主治医や看護士やソシャルワーカーが誰にあったらよいか教えてくれます。

友人や家族。
 友人や家族と話をすることは、とても気分が良くなるものです。ほかの誰にもできない方法で慰めてくれたり、安心させてくれます。しかし、あなたを援助してくれる人たちを援助しなければならないこともあります。あなたを援助しようと大勢が一緒にかけつけてくれるようなとき、あなたが最初に行動を起こさなくてはならないのです。

友人や家族に援助を求めること。
 多くの人はガンを理解していず、ガンを恐れたり、何をして良いかわからずに離れていくこともあります。また、間違ったことをいって混乱させてしまうことを心配するひともいます。あなたのガンについて、治療について、必要なことについて、またあなたの感情について、オープンに話しをし、理解してもらう必要があります。オープンに話すことで、ガンについての誤った理解を訂正することができます。また、愛情がはっきりと伝われば、“たった一つの正しい言うべき事柄“など無いということを伝えることができます。いったん正直に話をすることができるということを知れば、より打ち解けて援助を差し伸べることができるでしょう。援助を受け入れることは初めは難しいかもしれません。でも援助を受け入れれば、援助者の無力感を少なくすることができます。ある意味では、援助者があなたの病気を援助することを援助することになります。

 国立ガンセンターの小冊子“Taking Time” (癌に対処する)には、ガン患者、その家族と友人がお互いに交流を持つためのアドバイスがかかれています。この小冊子については、看護士に問い合わせるか、ガン情報サービスセンター 1-800-4-CANCER(1-800-422-6237)へ連絡してください。

支援グループ。
 支援グループは同じ経験を現在持っていたり、過去に経験した人たちからなりたっています。ガン患者は、ほかの人には話したくない自分の思いや感情をグループのメンバーと共有し合えることがわかります。またガンとともに生きるための重要な実践的な情報も提供してくれます。研究によれば、支援グループは感情の問題の援助だけではなく、実際にガンからの回復の援助にも役にたっています。
 支援は、年齢、性別、ガンの種類、などの良く似た人との一対一の関係からも受けることができます。このような人が得られるプログラムもあります。また、ホットラインで電話で話しをすることもできます。また、後日、同様に援助を求めている人に対して援助できるようになります。
 支援のプログラム、カウンセリングアドバイス、経済的援助、治療の往復の交通手段、近隣組織も含めたガンに関する情報、地域の医療提供者、治療を受けている病院やクリニックや医療センターなどに関する情報源。公立図書館、病院の付属図書館などで、図書館員が、図書検索により本や記事を探してくれるでしょう。国立ガンセンターの情報サービス(1-800-4-CANCER)も優れた情報源であり刊行物の発行元です。


日常生活を楽しくする方法

・ 友人や家族と感情を共有する。
・ 面白い映画を見る。
・ ほかの人を援助する。
・ 音楽を聴く。
・ 新しい趣味を始めたり技術の習得をする。
・ できれば、運動をする。
・ 興味の起こることをする。



(もどる) 第6章 補完治療

 ガンにかかっている人は、さまざまな補完医療をためします。これらの治療は、心、身体、精神に関することを主にしています。これらは内科治療に代わるものではなくそれを補完するものです。それはガンやガンの治療によるストレスを減少し、副作用を少なくし、幸福感を増加させます。さらに、自分をコントロールできていると感じさせます。それは自分で自分をコントロールすることです。
 ここにいくつかの利用可能な治療法をあげておきます。ほかにも、芸術療法、ユーモア療法、日誌療法、レイキ療法、音楽療法、ペット療法、などさまざまなものがあります。これらの療法を受ける場合、特に肺に問題があるときには、その前に主治医に相談してください。ソシャルワーカー、心理学者、看護士などがこれらの療法について教えてくれるでしょう。またこれらの療法に関して本を読んだり、テープを聴いたり、ビデオを見たり、することもできます。

バイオフィードバック
 バイオフィードバックを練習することで、心拍数、血圧、筋肉の緊張などの身体機能のコントロールをすることができるようになります。機械があなたの身体反応のサインを検知し、音や光の点滅などで知らせてくれます。また、体がリラックスしたときにそれを教えてくれます。最終的に、機械に頼らずに自分のリラックス状態をコントロールできるようになります。主治医、看護士、ソシャルワーカーなどが、このバイオフィードバックを教えてくれる人を紹介してくれるでしょう。

ディストラクション
 ディストラクションは、心のなかから心配や不快感を取り除くために使われる療法です。友人や親戚の人たちと話したり、テレビを見たり、ラジオを聴いたり、読書や映画に行ったり、針仕事やパズルなどの指先の仕事をしたり、モデルを作ったり絵を描いたりすることなどは自分自身の気晴らしになることです。多くのガンセンターには音楽や芸術創作の治療法があり、ガンの治療を受けている間にとても役にたっています。看護士やソシャルワーク部門で、近くの可能なものを尋ねて下さい。

催眠
 催眠は不快感や不安を減少させる、非常に深いリラックス状態に意識をおきます。資格のある人に催眠をかけてもらうか、自己催眠を覚えることもできます。もし、さらに知りたいならば、医師や看護士、ソシャルワーカーに技術をマスターした人を紹介してもらいましょう。

想像療法
 想像療法は、全感覚を使う白昼夢の方法です。通常は眼を閉じた状態で行います。初めにゆっくりと呼吸をして、リラックスします。まず、体の中のどこかに形作られる、白い軽い癒しのエネルギーの球体をイメージします。エネルギーの球体が見えたら、呼吸するごとに球体を、痛みや緊張、はき気のような不快感を感じるところに吹き付けます。息を吐いたら、空気が球体とともに痛みや不快感を体から取り去っていく場面を想像します。(自然に呼吸します。吹き飛ばすのではありません。)はいたり、吸ったりするたびに球体が離れたり近づいたりする様子を想像します。緊張感や不快感を取り去るたびに球体がどんどん大きくなっていくのが見えるでしょう。想像療法を終わるにはゆっくりと3つ数え、深呼吸して、眼を開き、こう言います。“私はリラックスして目覚める”

マッサージ療法
 触れることによって癒すというアイデアは、古来からの方法です。中国のマッサージに関する記述は3000年前にさかのぼります。マッサージの技術には押すだけでなく、筋肉をたたいたりもんだりする技術もあります。資格のある治療師がするべき療法です。治療を始める前に、主治医と相談してください。

瞑想と祈り
 瞑想はエネルギーと思念を特別なものに集中させるリラックス法です。これは心と体が、ガン治療でストレスを感じているときに非常に有効です。たとえば、何度も何度も繰り返して言葉を言ったり、絵のような何かを見つめたりします。また別の方法では、思念や感覚、イメージを、心から流れ出させます。高い精神力を信じている患者には、祈りの言葉はガンの隅々にまで、力強さ、快適さと活力を与えます。一人で祈っても、家族や友人と一緒でも、また宗教的なグループのメンバーと一緒でも、祈りの言葉は力になります。聖職者や精神的な助言者は、日常生活としての祈りを指導してくれます。

筋肉の緊張と弛緩
 静かな部屋に横たわります。ゆっくりと深呼吸します。息を吸い込むときに、どこかの筋肉を緊張させます。たとえば眼を閉じる、眉をひそめる、歯を食いしばる、握りこぶしを作る、手や足に力を入れるなどです。1秒間か2秒間息を止め、筋肉の緊張を続けます。次に息を吐き、緊張をとき体を完全にリラックスさせます。ほかの筋肉で繰り返します。
 高度なリラックス法と呼ばれる方法をとることもできます。片方の足のつま先から始めて、上のほうまで、片方の足のすべての筋肉の緊張と弛緩を繰り返します。次に同じことを別な足で行います。頭皮をも含め全身の筋肉の緊張と弛緩をくりかえします。筋肉を緊張させているときは息を止め、弛緩するときは息を吐くことを忘れないでください。

身体運動
 運動は痛みを和らげ、弱った筋肉を強化し、バランスを回復し、憂鬱と疲労を減少させます。主治医からの許可をもらったのち、一日に二回、5〜10分のウォーキングを始め、自己の能力に合わせてだんだん増やしていきます。

リズム呼吸
 楽な姿勢をとり、すべての筋肉をリラックスさせます。眼を開けたときには遠くのものを見つめます。眼を閉じたときには、穏やかな場面を想像するか、心を空にして、呼吸に集中します。
 鼻からゆっくりと息を吸ったりはいたりします、“すって1,2、はいて 1,2”と一定のリズムをとることも良いでしょう。リラックスして、息を吐いたときには手足の力を抜きます。
 これを数秒間から10分程度まで行います。終わるときには、ゆっくりと静かに3までかぞえます。

視覚化
 視覚化は想像療法に似ています。視覚化ではガンと戦う内面の様子を創造します。化学療法を受けている人の中には、ガン細胞をロケットが吹き飛ばしていたり、ガン細胞と戦うよろいを着た騎士の姿を想像する人もいます。また、白血球や薬がガン細胞を攻撃しているイメージを持つ人もいます。

ヨガ
 必要なものは、静かで快適な部屋で、呼吸法やストレッチ、瞑想などを毎日練習します。ヨガを練習するには、ヨガ教室に入り、本や、テープやビデオなどで復習します。地域のヨガ教室に関して、ソシャルワーカーや心理学者、精神科医などに尋ねましょう。


(もどる) 第7章 化学療法の費用

 化学療法の費用は、使用する薬の種類と服用量、期間と頻度、治療を家でするかクリニックか病院か、などによりさまざまです。たいていの医療保健はさまざまな化学療法の少なくとも一部をカバーしています。また、化学療法の費用や、交通手段の費用を援助してくれる組織もあります。この組織について看護士やソシャルワーカーに尋ねてください。
 下記に留意しておくことにより、後日費用の支払いを受けるときのトラブルを回避することができます。


自分の保険について何を知っているか

■ 加入している保険の利点は何か
・ どんな治療/手当てに支払いがなされるか
・ プライマリーケアー提供者(かかりつけ)がいるか。保険のカバーは特定の認定医療提供者
 のみか。
・ 毎年の検査に適用されるのか、または病院での治療のみカバーされるのか。
・ 保険適用外の治療の場合の利点は。

■ 保険適用の規則はなにか
・ プライマリーケアー提供者からの紹介状が必要か。
・ 書面にした紹介状が必要か。
・ 専門医に行く、治療や検査を受ける、医療機器や理学療法サービスを受ける、救急室や病院
 に行くなどの前に、保険会社の事前の承認が必要か。
・ 血液検査やスミア試験などの検査には、指定の研究施設に行く必要があるか。

■ 治療の度に定額自己負担金を支払わなければならないか。

■ 保険の支払が開始される前に、医療費(自己負担分)を支払わなければならないか。

■ 医療費の保険適用に総額、または年額の制限があるか。

■ 保険指定の薬局があるか。

■ 検査や処置などは、入院でも外来でも適用されるか。


臨床試験費用の最大の適用を受ける

 たいていの臨床試験(治療研究)は、一部を無料にしています。しかし保険会社によっては、新治療が研究中であると、適用外になることもあります。もし、臨床試験を受けていたり、受けることを考慮していれば、以下のことで、主治医が協力してくれるでしょう。

■ ほかの臨床試験を受けている患者について、医師に尋ねましょう。保険が適用されたか。常
  に問題となることがあったか。

■ 保険会社に提出する書類に関して、主治医に相談しましょう。医師の説明がなかったら、適 
  用外になったかもしれない治療を、保険の適用可能とすることがたびたびあります。

■ 自分の保険証券をしらべ、何が適用になるかを確認しましょう。適用になる“治療試験”があ
  るかどうか調べてみましょう。


保険会社から最大の適用を受けるために

■ 治療を開始する前に保険証券を入手し、適用範囲に何があるか正確に確認しましょう。

■ すべての支払いや、請求に関するものを保管しておく。

■ 保険適用の費用に関する請求を保管しておく。

■ 必要なら、請求などに関する保管を依頼しましょう。友人や家族ができないときには、ソシャ
  ルワーカーに依頼しましょう。保険関係資料のファイルをしてくれる会社や地域の組織もあり
  ます。
■ もし、請求が却下されたら、それを保管して、却下の理由を尋ねましょう。その請求が保険の
  適用範囲に入っていることを、保険会社に対して医師から説明してもらいましょう。再度却下  された場合は、保険会社の控訴手続きを検討しましょう。


 保険会社は、包括保険ではなく、ケースバイケースで新治療を取り扱っています。常に適用範囲の治療について調べておきましょう。しかし、患者の中には問い合わせたことによって、逆に適用範囲からはずされたという人もいます。看護士やソシャルワーカーに、代わりに保険適用に関して、保険会社に問い合わせていただいたほうが良いかもしれません。
 州によっては、特定の治療に対してメディケード(医療扶助)を受けられることもあります。市や国立の社会福祉事業所に連絡し、メディケードの適用が受けられるか、治療を受ける化学療法がその補助の範囲に入っているか調べてみましょう。

 化学療法費の支払いに関する、更なる情報に関しては、ガン情報サービス 1-800-4-CANCER(1-800-422-6237)へ連絡し、“前向きに生きる”シリーズの“ガン生存者へのガイド”の小冊子について尋ねてください。)



(もどる) 第8章 国立ガンセンター情報サービス

 自分自身や、家族、医師のために、更なる情報が必要となったとき、次の国立ガンセンター(NCI)のサービスが役立つでしょう。

電話
 癌情報サービス (CIS)
 正確な、最新の癌の情報を、患者、家族、医療従事専門家、一般へ提供します。情報の専門家が、最新の科学情報をわかりやすい言葉に直し、英語、スペイン語、TTYで提供します。
 フリーダイヤル:1-800-4-CANCER (1-800-422-6237)
 TTY(難聴者向け):1-800-332-8615

インターネット
 http://cancer.gov
 NCIのウェブサイトで研究所とそのプログラム、ガン情報、治験の案内をしています。

FAX
 ガン治療、テスト、予防、医療支援を含めたNCIの情報について。
 サービス内容に関しては 301-402-5874にFAXで連絡し、録音された指示に従ってください。


(もどる) 第9章 用語集

この用語集は、“化学療法とあなた”で用いられている用語の意味を解説したものです。また、この中には使われてはいませんが、化学療法に関連する用語で、医師や看護士が使っている用語についても解説してあります。

Alopecia: 脱毛
 体毛を失うこと

Anemia: 貧血、虚血
 赤血球の損失。貧血の症状は、疲労感、虚弱感、嘆息など

Antiemetic: 補助薬
 吐き気やむかつきを防いだり鎮めたりするする薬剤

Biological therapy: 生物学療法
 感染や疾病に対抗する免疫系の能力を刺激したり回復させたりする療法。免疫療法とも言う。

Blood cell count: 血球数
 血液サンプル中の、赤血球、白血球、血小板の数。また全血数(CBC)とも呼ばれる。

Bone Marrow: 骨髄
 血液細胞が生成される骨の内部のスポンジ状の部分。

Cancer: ガン
 異常細胞が勝手に成長する、100を超える疾患の一般的な呼び方。悪性の腫瘍。

Catheter: カテーテル
 細い柔軟な管で、その中を通して液体を体の中に入れたり、抜いたりする。

Central venous catheter: 中央静脈カテーテル
 特別に細い、柔軟な管で、大きな血管内に置かれる。必要な限り血管内に設置されており、液体を供給したり、排出したりする。

Chemo therapy: 化学療法
 ガン治療のために薬剤を使う療法。

Chromosome: 染色体
 糸状体で、細胞内の核や中心部にあり、遺伝情報であるDNAを持っている。

Clinical Trials: 治験
 新しい治療法の試験研究。治験はボランテアにより実施され、ガンの次のような目的に集中して行われる。ガンの予防、ガンの治療、ガン患者の生活の質の向上。

Colony-stimulating factors: 群活性因子
 血液細胞の生産を刺激する物質。群活性因子による治療は、化学療法や、放射線療法の影響からの、造血組織の回復をうながします。これは、顆粒白血球群活性因子と顆粒大食細胞活性因子をふくみます。

Combination chemotherapy: 複合化学療法
 1種以上の薬剤を使用するガン治療。

Diuretics: 利尿剤
 体から余分な水分や塩分を排出するために使用される薬剤。

Gastrointestinal: 胃腸
 口、食道、胃、腸を含む消化する管。

Hormones: ホルモン
 体内の内分泌線で生成される物質。ホルモンは血流中に直接分泌され、体の細胞や器官の成長を刺激したり、抑制したりするのに特別な効果を与える。

Infusion: 点滴
 ゆっくりとした、または時間をかけた薬や液体の、静脈への供給。

Injection: 注射
 円筒と針を用い、体に液体や薬を注入する。Shotともよばれる。

Intra-arterial (IA): 動脈内

Intracavitary (IC): 腔内
 空腔内または空間へ、特別に腹部、骨盤、胸部。

Intraresional (IL):
皮膚のガンにかかった範囲の内部へ

Intramuscular (IM):
筋肉内へ

Intrathecal (IT): 脊髄液の中へ

Intravenous (IV): 血管内へ

Malignant: ガン様な腫瘍の表現 (悪性)

Mucositis: 粘性の(粘膜炎)

Palliative care: 緩和ケアー
 癌による症状を、治療ではなく和らげる処置。緩和ケアーは、快適に生きる援助をします。

Peripheral neuropathy: 抹消神経障害
 手や足に起こる麻痺、うずき、焦熱感や虚弱感などの神経系の状態。特定の抗ガン剤により生ずる。

Per os (PO): 口から、経口の

Platelets: 血小板、出血を止める血液細胞。

Port: 門
 小さなプラスチックまたは金属製の容器で、外科的に皮膚下に置かれ、静脈カテーテルに接続される。血液や液体は、特別な針を用いてこの門を通して出入する。

Radiation therapy: 放射線療法
 放射線(高エネルギー線)を利用したガン治療。

Red blood cell: 赤血球
 全身の組織に酸素を供給する細胞。

Remission: 寛解
 ガンの一時的な、または永久的な徴候の消滅。

Stomatitis: 口内の表面の炎症

Subcutaneous (SQ or SC): 皮下の

Tumor: 腫瘍
 細胞または組織の異常な成長。腫瘍には良性(癌性でない)と悪性(癌性)がある。

White blood cells (WBC): 白血球
 感染と戦う血液細胞
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