翻訳へ戻る ガン治療の代替医療 Q&A Questions and Answers About Complementary and Alternative Medicine in Cancer Treatment



   目 次

1. 補完代替医療とは何か
2. 補完代替療法は広く用いられているか
3. CAMはどのように評価されるか
4. 最適症例計画とは何か
5. NCIとNCCAMは補完代替治療の臨床試験を支援しているか
6. 患者が、補完代替療法を受けたり、受けることを考慮するときに、しなければならないこと
7. 補完代替医療はいつ考慮したらよいか。医療関係者にどのような質問をしたら良いか
8. 連邦機関はCAM療法に関してどのような詳細情報を提供できるか

   参考文献





1. 補完代替医療とは何か

(もどる)  国立代替医療センター(NCCAM)によって定義されているように、補完代替医療は多様な医学的、健康管理的な診療や製品のグループであって、現時点では従来の治療の一部とは考えられていないものです。
 補完医療は、従来の治療と共に使われますが、代替医療は従来の治療の代わりに使われます。従来の治療法とは、MD(医師)やDO(整骨医)理学療法士、心理学者、看護師を含む保健医療の専門家の資格を取ったものにより行われる治療です。
 従来の治療法とは、逆療法、ウエスタン、主流、一般的な医学、バイオ治療などをふくみます。従来の治療法を行っているものの一部は、CAMの治療も行っています。(1)
 この概論では、一般に行われているCAM治療の用い方、CAMがどのように評価されているか、更なる情報をどのように得ることができるかなどに関する、よくある質問に答えています。




2. 補完代替療法は広く用いられているか

(もどる)  CAM使用に関する研究の結果には異なるものがあります。1998年11月11日に米国医師会ジャーナル誌(2)に発表された大規模な調査によれば、一般大衆のCAM使用は1990年の33.8%から1997年の42.1%への増加を示していましたが、1999年の国民健康調査のデーターの分析によれば、アメリカの成人(18歳以上)の28.9%のみが、過去に少なくとも一つのCAMを使用したこと示していました。これらの結果は2002年のメディカルケア誌(3)に発表されました。
 ガン患者によるCAMの使用の調査は小さい集団で行われました。学術誌CANCERの2002年2月号(4)に発表された調査は、前立腺ガンを有する46例の患者のうち37%ががん治療の一部としてひとつ以上のCAM療法を使用していると報告しました。これらの治療はハーブ療法とビタミン、特別な食事などでした。
 異なる種類のガン患者に関するCAM使用のより規模の大きい調査は、クリニカルオンコロジー誌(5)の2007年7月号で発表されました。この研究によれば453人のガン患者のうち69%がガン治療の一部として、少なくともひとつのCAM治療を行っていたことが明らかになりました。
 ガン患者のCAM使用に関する更なる情報は、2002年12月に発行されたオンコロジー誌(6)のセミナーに見出すことができます。




3. CAMはどのように評価されるか

 従来の療法を評価するために用いられるものと同じ方法が、CAM療法を評価するのに適用されることは重要なことです。国立ガンセンター(NCI)とNCCAMは、医療センターでガンのCAM治療を評価するために多くの臨床試験(研究)を支援しています。
 ガン治療への従来のアプローチは、通常多数の患者による臨床試験を含む科学的な手続きによって、その方法の安全性と効果について研究されます。補完代替医療に関する安全性と効果に関してはあまり知られていませんが、ある種のCAMは厳密な評価を受けています。単に代替療法であると思われていたCAM治療が『ガンの治療』としての位置を見出しましたが、治癒法としてではなく、患者の気分をよくしたり回復を早めたりする補助療法としてでした。
 その一つの例は鍼治療です。1997年のNCIのコンセンサス会議(7)のパネリストによれば、針治療は、『化学療法の副作用の吐気と嘔吐や手術による痛みの緩和に効果的であったことがわかった』と報告された。対照的に若干の手法、たとえばレイエトリルの使用は、研究の結果、効果がなくむしろ有害な可能性のあることがわかりました。




4. 最適症例計画とは何か
(もどる)  NCIの最適症例計画は、1991年に始まった実際に使われているCAM治療に関する研究ですが、現在審査されているところです。このプログラムは、NCIのガン補完代替治療室(OCCAM)により指導されています。ガンの代替治療を提供する健康管理専門家は患者医療記録と、関連した資料をOCCAMに提出します。OCCAMは資料の詳細な調査を行い、NCIの研究を保障する治療のフォローアップ法の開発を行います。




5. NCIとNCCAMは補完代替治療の臨床試験を支援しているか

NCIとNCCAMはガンの補完代替治療の研究のためのさまざまな臨床試験を従来から支援したり、共同支援をしています。これらの臨床試験のいくつかは、従来の治療法と代替医療を比較し、また他の臨床試験では従来の治療に加えて使用される補完治療の効果を研究しています。
 現在の臨床試験は以下のようなものです。

・ 進行性結腸直腸ガンの症状を緩和する鍼治療
・ 手術によって除去できない非小細胞肺ガンの患者に対するサメ軟骨を含む場合と含まな い場合の放射線治療と多剤併用化学治療の併用
・ 咽頭摘出患者(咽頭の全部又は一部を摘出する手術を受けた患者)の高圧酸素療法
・ ガン関連の疲労緩和のマッサージ治療
・ すい臓ガンの治療のための化学療法と特別食を加えた膵酵素療法の比較
・ 固形腫瘍(肉腫、ガン腫、リンパ腫など)の治療のためのヤドリギエキスと化学療法

 これらの臨床試験や、他の臨床試験への参加に興味がある患者は、医師に相談してください。

 臨床試験は、以下を検索することにより見出すことができます。

NCIのPDQ臨床試験データー:これは、ガンのタイプ、臨床試験のタイプ、地理的条件、試験の提供者、薬品名などで検索することができます。
またNICのガン情報サービスからも調べることができます。

 電話 1-800-4-CANCER(1-800-422-6237)
 TTY 1-800-332-8615

NCCAMの臨床試験ホームページ:
 NCCAM臨床試験ウエブページ http://nccam.nih.gov/clinicaltrials/

OCCAMの臨床試験ホームページ:
 NCIのPDQ臨床試験ダーターベースへリンク
  http://www.cancer.gov/cam/clinicaltrials_intro.html




6. ガン患者が、補完代替療法を受けたり、受けることを考慮するときに、しなければならないこと

(もどる)  補完代替医療を用いているか、考慮している患者はそれを決定する前に、それに関して現在治療を行っている医師や看護師と話し合いをしてください。補完代替医療が、標準治療と共に用いられると、治療の妨げになったり、あるいは有害となることもあります。
 補完代替療法が主張していることに対して、科学的な裏付けがあるかどうかも含めた情報を提供できるようになると大変に良いことです。
 この情報に関する若干の資料は、問8にあります。




7. 補完代替医療はいつ考慮したらよいか
   医療関係者にどのような質問をしたら良いか


・ この治療法にはどのような利点がありますか。
・ この治療法に関する欠点は何でしょうか。
・ 知られている利点は、欠点を上回りますか。
・ どのような副作用が予想されますか
・ 従来の治療の妨げになりますか。
・ この治療は臨床試験の一部ですか。もしそうなら、試験の後援者は誰ですか。
・ 治療には保険が適用されますか。

CAM療法と治療医の評価等の更なる情報は、NCCAMから入手できます

  ウエブ:http://nccam.nih.gov/




8. 連邦機関はCAM療法に関してどのような詳細情報を提供できるか

(もどる)  ガン患者や家族、医療関係者は以下の政府機関の資料から、CAM療法に関する情報を入手することができます。

 NCCAM

・ NCCAMはCAMに関する科学的な研究を指導する連邦の機関です。NCCAMは、厳密な科
 学的な観点から補完代替医療を調査し、CAM研究者を指導し、一般者や専門家に信頼に
 値する情報を公開することを目的としています。
・ NCCAM情報センターは、データー票、出版物、連邦の科学的及び医学的なデーターベー
 ス上の検索を含み、NCCAM及びCAMの情報を提供します。

   出版物には、以下のものがあります。

  補完代替医療を考えるとき:
    Are You Considering Using Complementary and Alternative Medicine (CAM)?

  補完代替医療と治療施設の選択
    Selecting a Complementary and Alternative Medicine (CAM) Practitioner

  補完代替医療の経費的な問題
    Consumer Financial Issues in Complementary and Alternative Medicine

・ 情報センターは医学的な助言、治療法のアドバイス、治療施設の紹介などは行いません。


 NCCAM情報センター

 Gaithersburg, MD 20898-7923 私書箱7923 

 米国内フリーダイアル 1−88−644−6226
 海外 301−519−3153
 TTY 1−866−464−3615
 FAX 1−888−644−6226

 電子メール  info@nccam.nih.gov

 ウエブサイト http://nccam.nih.gov


 OCCAM

 NCIのOCCAMは、補完代替医療の分野でNCIの活動をうけもっており、ガンに対するCAMの研究を支援し、NCIのウエブサイトで医療従事者と一般に向けてガン関連のCAMに関する情報を提供しています。

 NCIガン情報サービス
  米国居住者は無料でNCIのガン情報サービスを受けることができます。

   フリーダイヤル:1-800-4-CANCER(1-800-422-6237)
           月曜日~金曜日 9:00am〜16:30pm

   TTY (聴覚障害者用) 1−800−332−8615

   経験を積んだ専門家が相談に答えます。


(もどる)  PDQ(医師のための情報)

  NCIのPDQ総合ガン情報データーベースには、ガンの治療におけるCAMの使用に関する最新情報に関する詳細検討の概要報告が、含まれています。概要報告には特異療法に関する背景の情報、開発に関する歴史、既往症に関する研究、科学及び治療に関する用語の解説などが含まれています。

 この概要報告はNCIのウエブサイトから入手できます。


 アメリカ食品医薬品局(FDA)

 FDAは、薬品と治療装置に関する安全性と効果性に関する基準の管理をしています。
FDAは、栄養補助食品に関する情報も、消費者に対してさまざまな刊行物の公開もしています。

 アメリカ食品医薬品局(FDA)
 5600 Fishers Lane Rockville, MD 20857

 電話 1−888−463−6322(フリーダイヤル)

  ウエブサイト http://www.fda.gov

  健康補助食品に関するウエブサイト 
           http://www.cfsan.fda.gov/~dms/supplmnt.html


 連邦取引委員会(FTC)

  FTCは、消費者保護法を施行し、消費者向けの刊行物を出版しています。また、不正な標榜に関する情報の収集も行います。

 連邦取引委員会消費者センター

  CRC-240 Washington, DC 20580
  電話 1-877-FTC-HELP (1−877−382−4357)(フリーダイヤル)
  TTY 202−326−2502

  ウエブサイト http://www.ftc.gov


 PubMed上の CAM

 PubMedのCAMは、インターネットでアクセス可能なデーターベースですが、NCCAMとNIH(アメリカ健康局)、アメリカ医学図書館(NLM)の共同により開発されました。これには、学術誌に発表された(1966年から現在まで)CAMの論文の科学的に精読された記事の引用を含んでいます。
 これらは医学情報提供システムデーターベースの1100万以上の学術論文や、医学研究者や病院関係者、及び一般大衆にとって重要となる生命科学誌をも含む、NLMのシステムの一部です。
 PubMed上のCAMは論文の全文を提供する、公開されたウエブサイトへのリンクも含んでいます。




(もどる)  参考文献

(1)White JD: Complementary, alternative, and unproven methods of cancer treatment. In: DeVita VT Jr, Hellman S, Rosenberg SA, eds.: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 6th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2001, pp 3147-57.

(2)Eisenberg DM, Davis RB, Ettner SL, et al.: Trends in alternative medicine use in the United States, 1990-1997: results of a follow-up national survey. JAMA 280 (18): 1569-75, 1998.
[PUBMED Abstract]

(3)Ni H, Simile C, Hardy AM: Utilization of complementary and alternative medicine by United States adults: results from the 1999 national health interview survey. Med Care 40 (4): 353-8, 2002.
[PUBMED Abstract]

(4)Kao GD, Devine P: Use of complementary health practices by prostate carcinoma patients undergoing radiation therapy. Cancer 88 (3): 615-9, 2000.
[PUBMED Abstract]

(5)Richardson MA, Sanders T, Palmer JL, et al.: Complementary/alternative medicine use in a comprehensive cancer center and the implications for oncology. J Clin Oncol 18 (13): 2505-14, 2000.
[PUBMED Abstract]

(6)Richardson MA, Straus SE: Complementary and alternative medicine: opportunities and challenges for cancer management and research. Semin Oncol 29 (6): 531-45, 2002.
[PUBMED Abstract]

(7)NIH Consensus Conference. Acupuncture. JAMA 280 (17): 1518-24, 1998. [PUBMED Abstract]


10/05/2005 Updated