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THE NEW GARY BURTON QUARTET
最新のアメリカのジャズが色気と潤いに欠けて無機質な匂いのするジャズになったのはいつからのことだろう?
"GUIDED TOUR"
GARY BURTON(vib), JULIAN LAGE(g), SCOTT COLLEY(b),
ANTONIO SANCHEZ(ds)
2013年5月リリース スタジオ録音 (MACK AVENUE : MAC 1074)
普段からヴァイブのアルバムをあまり聴かない。ヴァイブを聴くなら、ピアノってなってしまう。
ネットでもかなり評判になっているGARY BURTONの新譜を購入してみた。ジャケットには"THE NEW GARY BURTON
QUARTET"と書いてあるが、どのカルテットに対して"NEW"なのかよく分からない。
古い話で恐縮だが、1967年にBURTONは同じ楽器編成によるカルテット・アルバム"DUSTER"(JAZZ批評 74.)をリリースしているが、46年も前のアルバムと比較したわけでもあるまい。
本アルバムはベースにSCOTT COLLEY、ドラムスにANTONIO SANCHEZを起用している。この二人は"NEW AMERICAN
TRIO"と銘打ったENRICO PIERANUNZIの2009年録音のピアノ・トリオ・アルバム"PERMUTATION"(JAZZ批評 746.)に参加しているが、イタリア人のPIERANUNZIと相性が良かったとは言えないだろう。
そのPIERANUNZIはこの9月に来日予定があるが、既にCOLLEYとSANCHEZを見限ったのか、BRAD MEHLDAUのオリジナル・トリオの二人、ベースのLARRY
GRENADIERとドラムスのJEFF BALLARDが参加する予定だ。(こちらは面白そう!)
話が脱線してしまった。ギターには最近とみに話題の多いJULIAN LAGEが参加している。
①"CAMINOS" 頭の中でこねくり回したようなテーマ。最近のアメリカのジャズの傾向が凝縮したような曲だ。全然、口ずさめないし面白くない。
②"THE LOOKOUT" この曲も幾何学模様の無機質な感じだ。これもつまらない演奏だ。
③"JANE FONDA CALLED AGAIN"
④"JACKALOPE" ここでのLAGEのアコースティックなギターソロはいいね。このアルバムのベストかな?
⑤"ONCE UPON A SUMMERTIME" ジャズ風ド演歌。
⑥"SUNDAY'S UNCLE" どうして、テーマがこうつまらないのか!?
⑦"REMEMBERING TANO" ド演歌調のタンゴ?
⑧"HELENA"
⑨"LEGACY"
⑩"MONK FISH" 凝ったテーマだけど、アドリブに入ってからが楽しい。
もう1回、46年前の"DUSTER"(JAZZ批評 74.)を引っ張り出すけど、全てにおいて本アルバムを上回っているのではないか。ギターにLARRY CORYELL、ベースにSTEVE SWALLOW、ドラムスにROY
HAYNESは最強のカルテットだったと言えるだろう。美しさと躍動感に溢れ、4人のアンサンブルが素晴らしい。
対して、前々掲のCHRISTIAN McBRIDEの"PEOPLE MUSIC"や本アルバムなどの最新のアメリカのジャズが色気と潤いに欠けて無機質な匂いのするジャズになったのは一体いつからのことだろう?
以下に、このアルバムからベストと思われる④の"JACKALOPE"と、"DUSTER"から2曲の試聴サイトを記しておいた。是非、聴き比べて頂きたいと思う。 (2013.07.05)
試聴サイト : http://www.youtube.com/watch?v=RAjArnnG9RU
参考サイト : http://www.youtube.com/watch?v=7db-EqoG_J0&feature=endscreen&NR=1
http://www.youtube.com/watch?v=v3Wr4iAHtMc
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