DADO MORONI
MORONIのピアノは音数多目で絶え間なく鍵盤を叩くタイプだ
"LIVE IN BEVERLY HILLS"
DADO MORONI(p), MARCO PANASCIA(b), PETER ERSKINE(ds)
2010年4月 スタジオ録音 (RESONANCE : RCD-1012)
DADO MORONIのアルバムはTOM HARRELL(tp)とのデュオ・アルバム"HUMANITY"(JAZZ批評 546.)を紹介しているが、MORONIのピアノは、ある時はしっとりと、ある時はガツンとメリハリの効いたプレイが記憶に残っている。
PETER ERSKINEのアルバムでは、JOHN FREMGEN(b)名義でピアノにSHELLY BERGが参加した"PIECES
OF STRING"(JAZZ批評 349.)が印象深い。ERSKINEは味のある4ビート・プレイを聴かせてくれた。スタジオ録音にもかかわらずノリ的にはライヴ感覚のリラックスした演奏だった。この2枚、いずれ劣らぬ好演盤で5つ星を献上している。
ベースのMARCO PANASCIAは初めてかと思ったのだが、デスクトップ検索で調べてみたら白崎彩子の"EXISTENCE"(JAZZ批評 150.)やTAMIR HENDELMANの"DESTINATIONS"(JAZZ批評 648.)に参加していたが、いまいち、印象に残っていない。対して、このアルバムではライヴならではの伸び伸びとしたプレイを披露しており、強く印象に残った。
@"GHANIAN VILLAGE" のっけからライヴ特有のハイ・テンションなプレイが炸裂する。ERSKINEの長めのソロが用意されているが、切れのある分かりやすいドラミングが好感を持てる。
A"DJANGO" J. LEWISの名曲をピアノのフリーなイントロでスタートし、イン・テンポに入るとミディアム・テンポの軽快な演奏にシフトする。MORONIのピアノは音数多目で弾き倒すタイプだ。
B"WHERE IS LOVE" 可憐なテーマ。どうもMORONIのイメージにそぐわない。ここではPANASCIAのよく歌うベース・ソロが聴ける。
C"I HEAR A RHAPSODY" 安定したERSKINEのスティック捌きとPANASCIAの4−ビートに乗ってMORONIのピアノが気持ちよさそうに弾む。続くPANASCIAのソロは伸び伸びと楽しそう。11分を超える長尺だが、ライヴの楽しさが満喫できる。オーディエンスの盛り上がりを聞けば、納得がいくだろう。
D"EINBAHNSTRASSE" アップ・テンポの4ビートを刻んで進む。MORONIは速いパッセージも難なく弾きこなしている。兎に角、休みなく鍵盤を叩くタイプではあるね。
E"VITTI NA CROZZA" ネットで調べてみたら、この曲はイタリア・シチリア地方の民謡だそうだ。確かに、"TRADITIONAL"という曲想だ。
F"NOSE OFF" ミディアム・テンポの4ビートを刻むグルーヴィなMORONIのオリジナル。このアルバムの中では一番好きかな?この曲ではPANASCIAのご機嫌なベース・ソロが聴ける。
G"JAMAL" @Fに続いてMORONIのオリジナル3曲目。このピアニスト、なかなかいい曲書くね。軽快なERSKINEのブラシとスティックに乗って心地よいスイング感が満ちている。
収録曲数は8曲と少なめだが、ライヴらしく1曲の演奏時間が長め。全部で72分余りある。ライヴならではの楽しさが凝縮している。MORONIのピアノは音数多目で絶え間なく鍵盤を叩くタイプだ。今回の拾いものはベースのMARCO
PANASCIAだ。今までとちょっと違って、よく目立っている。
付属のDVDには、さらに2曲が追加され、全部で10曲が収録されている。
余談だが、このアルバムのCDがきちんと再生されない。アナログ時代の針飛びのような現象を呈してしまう。試しに、このCDをPCでコピーして、そのコピーCDをトレイに載せると問題なく再生することが出来た。これは一体どういうわけだろう? (2011/05/24)
試聴サイト : http://www.resonancerecords.org/release.php?cat=RCD-1012
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=OvCwBNbEzVY#at=16
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