独断的JAZZ批評 349.




JOHN FREMGEN
このVIEWPOINTというレーベルはマイナー・レーベルだというが、なかなか目の付け所がシャープだ
"PIECES OF STRING"
SHELLY BERG(p), JOHN FREMGEN(b), PETER ERSKINE(ds)
2002年 スタジオ録音 (VIEWPOINT RECORDS VPOO11)

ネットで試聴して、購入チェックしていたアルバム
御茶ノ水のDISK UNIONに寄ったら、なんと置いてあった!
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最近は便利になったもので、新譜も努力を惜しまないで一生懸命探すと試聴できるサイトが結構見つかるものだ。このアルバムもそのひとつ。試聴した段階で、これは「買い」だと思ったので、メモっておいた。事のついでに寄った御茶ノ水のDISK UNIONに行ったら、このアルバムが何枚か置いてあった。「ラッキー!」とつぶやいたかどうかは忘れたが、即、ゲット。
手にとってアルバムを見ていたら、2つの発見があった。ひとつが、ドラマーがPETER ERSKINE!ERSKINEと言えば、条件反射で"WEATHER REPORT"と"JACO PASTORIUS"と僕らの年齢はなってしまうのだ。
もうひとつが2曲目に入っている"A NIGHTINGALE SANG IN BERKELLEY SQUARE"。この曲は、昨年のCARSTEN DAHLの武蔵野スイングホールでのコンサートのアンコールで演奏された曲だ。この時のレビュー(JAZZ批評 294.)に曲名が分からず、名無しで掲載したらHPの訪問者からこの曲名を教えていただいた記憶がある。良い曲だったので、印象に残った。ライヴだったのでそのメロディはとっくに忘れていたが、改めて聴くことが出来て、これは嬉しかった。

リーダーはベースのJOHN FREMGENだが、決してベース・トリオにはなっていない。3者が程よく鼎立している感じ。ただし、一体感も緊密感もある。
ピアノはSHELLY BERG。名前は聞いたことがあるが、初めて聴くピアニスト。グルーヴィさと洒落っ気を兼ね備えたピアニストという印象を持った。このピアニスト、不協和音と協和音の使い方が実に巧みで僕の好みである。
意外だったのはERSKINEのドラム。フュージョン系かと思っていたが、何のことはない。正真正銘の4ビートジャズ。実に味のあるドラミングで、4ビートも素晴らしい!このドラミング聴くだけでも価値あり!勿論、FREMGENのヘヴィなベース・ワークも素晴らしいので、これはやっぱり「買い」でしょう。
BとEがFREMGENのオリジナル。

@"LITTLE ROOTIE TOOTIE" T.MONKの曲で「如何にも!」という感じ。これが実に嵌っているのだ。ビシビシいうシンバリングもいいね。ベースが唸り、ピアノが歌う、ご機嫌な一発。
A"A NIGHTINGALE SANG IN BERKELEY SQUARE" 
ベースの定型パターンで始まるが、その後に続くテーマが美しい。良い曲だなあ。アドリブではミディアム・テンポの4ビートを刻む。よく歌うベース・ソロも披露される。BERGのピアノもERSKINEのドラミングも素晴らしいの一言。「うっとり!」

B
"FOR A BETTER DAY" FREMGENのオリジナル。このベーシスト、コンポーザーとしてもいけるみたい。
C"IF I WERE A BELL" 
この曲も聴いてみたかったひとつ。この曲名をみると僕はM.DAVISの"RELAXIN'"を思い出してしまう。
D"THREE IN ONE" 
THAD JONESの書いた曲で、グルーヴィな演奏。ノリノリでご機嫌な演奏をたっぷりと楽しんでもらいたい。
E
"STANDING ON CEREMONY" 一転してボサノバ調。
F"SOUL EYES" 
言わずと知れたMAL WALDRE.Nの名曲。ERSKINEの力強いソロで始まる。しっとり系をやらせてもなかなかいいではないですか!甘いだけではありません。芯の通ったガッツがあります。
G"RED ROCKS, TALL CACTUS" 

スタジオ録音にも拘わらず、ノリ的にはライヴ。リラックスした演奏が聴ける。3者の力量も申し分ないし、切れが良い。これは「楽しめる」ピアノ・トリオだ。このVIEWPOINTというレーベルはマイナー・レーベルだというが、なかなか目の付け所がシャープだ。アメリカン・テイストのご機嫌な演奏を堪能いただけたら幸いだ。アメリカン・ジャズの底力を感じながら 「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2006.06.29)