MADS VINDING
そもそもベースはテーマを執るような楽器じゃあない
"BUBBLES & BALLADS"
JACOB KARLZON(p), MADS VINDING(b), MORTEN LUND(ds)
2008?年??月 スタジオ録音 (BRO RECORDINGS : BRO 002)


このBRO RECORDINGSというのはデンマークの新興レーベルだという。そして、このCDは2枚目のアルバムらしい。このCDには決定的な欠点がある。何と、録音年月日が記載されていないのだ。恐らく、2008年の録音と思われるが、こういうCD作りは画竜点睛を欠くというものだ。
MADS VINDINGといえば、今やベテランの域。DUKE JORDANの"FLY TO DENMARK"(JAZZ批評 48.)でやっていた頃はナイーブな美少年だった。そのVINDINGも今年、61歳になるという。
VINDINGは自身がリーダーとなってピアノ・トリオ・アルバムを提供してきた。ENRICO PIERANUNZIと組んだ"THE KINGDOM"(JAZZ批評 327.)やCARSTEN DAHLと組んだ"SIX HANDS THREE MINDS ONE HEART"(JAZZ批評 322.)は記憶に新しい。しかも、後者と同じメンバーでライヴ録音された"IN OUR OWN SWEET WAY"が1ヵ月後には発売されるという。勿論、間髪をいれず予約注文を入れた。"SIX HANDS THREE MINDS・・・・・・・"という大傑作があるだけに発売が待ち遠しい。

閑話休題。今回のトリオのピアニストはJACOB KARLZONが参加している。かつて、この人の"TODAY"(JAZZ批評 276.)というアルバムを紹介しているが、僕の評価はもうひとつだった。そのときの評に「ストレートなダイナミズムに欠ける」と書いている。

@"NEFERTITI" 
A"YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS" 
テーマ崩しというほど崩れていないのだけど、ストレートではない。その後に続くVINDINGのベース・ソロはグルーヴィで丸。
B"ALL THE THINGS YOU ARE" 
KARLZONのピアノは一時の時間をも惜しむように引き続けるピアノだ。これを饒舌多弁と言わずに何と言おう。「間」のないピアニストだ。これは好き嫌いかもしれないけど、僕のタイプではない。
C"THE SUMMER KNOWS" 
ベースがリーダーだと当然のようにベースがテーマを執ったりするが、これは余計なことだと思う。特に、高音部は音程を確保するのが難しいしね。そもそもベースはテーマを執るような楽器じゃあない。あくまでも裏方の楽器なのだ。せいぜいアドリブでソロを数コーラスやるに留めておいて欲しいものだ。テーマを執るならピアノの方が100倍も表現力があるだろう。
D"BUBBLES" 
KARLZONの提供した佳曲。
E"FOOTPRINTS" 
WAYNE SHORTERの書いた曲を訳の分からない変拍子で。3拍子?それとも6拍子?彼らには訳が分かっているのだろうからプロというのは凄い。
F"MISTY" 
最初の16小節をピアノがテーマを執り、サビからベースがソロを執る。高音部の難しいサビをあえてベースが執る必要があったのか?そういう疑問が僕にはある。
G"FLAT BLUES" 
ぱっとしないブルースだ。KARLZONみたいなタイプのピアニストはブルースには不向きかも。
H"CESTERBAL" 
I"YESTERDAYS" 
ベースが低音部でテーマを執るが、これなら安心して聴いていられる。
J"ON GREEN DOLPHIN STREET"
 最後になって、心地よいスイング感に浸れる。こういうスタイルを貫いてくれれば一番良かったと思うのだが、プロの意地はそれを許さないのだろうね。

最後の1曲は良かった。こういう姿勢が貫かれていればこのアルバムは大推薦になったはずだ。KARLZONのピアノがそうさせるのか、リーダーのVINDINGの意思なのかは分からないが、やはり「ストレートなダイナミズム」に欠けている。
リーダーがベーシストにもかかわらず、ベースがしゃしゃり出てくるところも比較的少ない。VINDINGのアルバムでは先に書いた"SIX HANDS THREE MINDS・・・・・・・"という大傑作があるので、それと比較されるのは致し方ないことだ。それに比べると、やはり、ピアノが弱いかな。   (2009.03.28)

試聴サイト : http://www.myspace.com/madsvinding



独断的JAZZ批評 547.