RAINER BOHM /ARNE HUBER / MATTHIAS DANECK
それほど"OUT"しているという印象でもない
"OUT OF STANDARDS"
RAINER BOHM(p), ARNE HUBER(b), MATTHIAS DANECK(ds)
2006年 スタジオ録音 (JAZZ4EVER : J4E 4786)

ネット注文に出す前に曲目を確認したら、GのBILLY STRAYHORNの書いた"ISFAHAN"以外は、「本当に聞き古された」と言いたくなるようなスタンダード・ナンバーばかりがズラリと並んでいた。で、このグループがどんな風にスタンダード・ナンバーを料理してくれたか興味津々であった。"OUT OF STANDARDS"と名付けたとおり、「スタンダードを外した演奏」とはどんなものだろうか?
RAINER BOHMはドイツやオランダを拠点として活躍しているらしい。ドイツのジャズというとゲルマン魂というのか、きちっとしていて硬派のジャズを想像する。ドイツの代表的なピアノ・プレイヤーとしてはJOERG REITER(JAZZ批評 66.)を思い浮かべてしまう。ドラムスではKAI BUSSENIUS(JAZZ批評 240.)というプレイヤーも過去には紹介している。


@"IN YOUR OWN SWEET WAY"
 DAVE BRUBECKの書いた名曲。過去にはKENNY DREWとNIELS-HENNING ORSTED PEDERSENとのデュオ・アルバム"DUO LIVE IN CONCERT"(JAZZ批評 292.)の冒頭に配置された演奏が印象深い。こちらも是非、一度聴いていただきたい。さて、本題であるが、この演奏は灰汁もガッツもあってなかなか面白い。期待に違わずである。
A"WHISPER NOT"
 今度はBENNY GOLSONの名曲だ。あたかもピアノを打楽器のように鍵盤を叩くそのスタイルに持ち味がある。かといって、フリーぽくもないし、アヴァンギャルドでもない。根底にはメロディ・ラインとコード・チェンジがある。なんか変だなあ、何か違和感があるなあと思っていたら3拍子で演奏されているんだね、これが。
B"SKYLARK"
 一転して、美しいテーマに「ほっと」一息つく。上手くつぼを押さえているね。3者の連携も良いし、ベース・ソロも歌っていてグッド。
C"INVITATION"
 こいつぁ、アウトしているね!超・高速で進むドラムスとベースの合間をピアノが気が抜けたようなテンポでテーマを執る。暫く進むと、怒涛のようなプレイに乗って、ピアノがガツンガツン吼える。グルーヴ感満載だがアヴァンギャルドではない!

D"ON GREEN DOLPHIN STREET"
 ブラッシュが面白いリズムを刻んでいくが、比較的オーソドックス。この曲あたりから多分に「標準化」してきた。
E"HOW DEEP IS THE OCEAN"
 これもあまり"OUT"していない。ごく普通に聴けるが、これだとあまり面白くないなあ。もっと躍動感がほしい。
F"MY FOOLISH HEART" 
オーソドックスな演奏で切ない。Bの"SKYLARK"もそうだけどスロー・バラードの演奏は正統派でリリカルな演奏だ。
G"ISFAHAN"
" あまり馴染みがないがBILLY STRAYHORNの書いた曲。ABAB'形式の32小節の歌モノ。テーマの後にベースのソロが1コーラス。次にピアノが心地良い4ビートのシンバリングに乗ってアドリブを執る。

全8曲を聴き終わった感想としてはそれほど"OUT"しているという印象でもない。結構、真っ当だ。グループ全体というよりもピアノのRAINER BOHMの個性ともいえる範疇だ。
中では、1曲目の"IN YOUR OWN SWEET WAY"とCの"INVITATION"がグルーヴ感もあり刺激的だ。   (2007.12.11)



独断的JAZZ批評 451.