"ELEGIAC CYCLE" BRAD MEHLDAU(p) 1999年2月録音
今、話題のピアニストと言えば、このブラッド・メルド−をおいていない。
とにかく凄い!出すCD、全てが素晴らしい。中でも、この"elegiac cycle"は、ソロピアノながら聴く者を終始圧倒し、息つく間も与えないほどの秀逸な出来映えとなっている。
"vol.1"から始まって次々出すCDはどれも素晴らしく「1〜2食抜いても買う価値のある」作品ばかりである。TRIO演奏も素晴らしいが、このソロピアノは溢れる情感と歌心で奥深い作品に仕上がっている。
メルドーの作品に共通して言えるのは、聴くほどに、聴き込むほどにその良さが溢れ出てくることだ。
何回も何回も聴き込んで欲しい作品だ。
中でも、2曲目の"Resignation",7曲目の"Goodbye Storyteller"などがGood!
メルドーのピアノは右手と同時に左手も縦横無尽に鍵盤上を行き来し、それでも音符過剰に陥ることなく、トータルコンセプトとしての完成度をもっている。
今までのピアノスタイルにある、右手はメロディ、左手はバッキングという型にとらわれず、両手が自由奔放に鍵盤上を駆け巡り、ある時は激しく、ある時は緩やかに、静と動、緩急、を織り成していく。
"THE ART OF THE TRIO VOLUME THREE"
BRAD MEHLDAU(p),LARRY GRENADIER(b),JORGE ROSSY(ds) 1998年5月録音
ピアノトリオよる演奏。ベースがLARRY GRENADIER、ドラムがJORGE ROSSYというオリジナル・トリオによる名演。しっとりとした曲想が多く、比較的日本人好みに仕上がっている。
全編を通して、抑制の効いた緊迫感の中で湧き上がる高揚感がJAZZの醍醐味を教えてくれる。どの曲も非常に素晴らしい演奏となっている。買って損はない優れもののCDと言える。
多分、このCDのほうが前述のソロピアノより一般受けはするだろう。
1曲目 "SONG-SONG" 哀愁を帯びたイントロから展開されるMEHLDAUワールド。たっぷりとその素晴らしさに首まで漬かってもらいたい。
3曲目"BEWITCHED, BOTHERED AND BEWILDERED" もう最初の1小節が最高なのだ!全てはこの1小節にあり。全てがこの1小節に凝縮していると思う。
4曲目の "EXIT MUSIC" はテンションが徐々に高まっていく高揚感がたまらない。
7曲目の"FOR ALL WE KNOW"は目を瞑ってジックリとこの音に耳を澄まして欲しい。この若さでこれだけの歌心を表せるピアニストっていないなあ。
8曲目の "RIVER MAN" は、メルドーお得意の5/4の変拍子だが、全く違和感のない演奏だし、メルヘンチックな9曲目
"YOUNG AT HEART" といつまでも聴く者を飽きさせない。
ベースのグラナディアは野太い音と正確な音程で堅実な演奏をする。派手さはないが玄人好みの渋いベーシストである。最近、この手のベーシストが見直されてきたのは良い傾向だ。スタンダーズのゲイリー・ピーコックやチャーリー・ヘイデンなどもその一群に位置されるだろう。
「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。