全編に溢れる躍動感
ハード・ドライブからしっとりバラードまで、硬軟両様
理屈抜きに楽しめれば、それがベスト
"THE BEST THINGS HAPPEN..."
TAMIR HENDELMAN(p), CHRISTOPH LUTY(b), JEFF HAMILTON(ds)
2004年 スタジオ録音 (AZICA AJD72225) 

JEFF HAMILTONといえばブラッシュの名手というのが定評だ。そのHAMILTONがリーダーとなったピアノ・トリオのアルバム。世にドラムスがリーダーのピアノ・トリオ・アルバムというとドラムスばかりが前にしゃしゃり出てうるさいことしきりだが、このアルバムに限って言えば、非常にバランスが良く、3者が対等の立場で演奏をしている。
JEFF HAMILTONは、JAZZ批評 182.でも抜群のブラッシュ・ワークとスティック・ワークをみせてくれたが、このアルバムでもそれに勝るとも劣らないドラミングをみせてくれた。メンバーにはHAMILTON学校の門下生・CHRISTOPH LUTYとライブでピックアップしたピアニスト・TAMIR HENDELMANが参加している。二人ともなかなかの実力者で基本がしっかりしているという印象を受けた。                     

@"I LOVE BEING HERE WITH YOU" いきなりガツンと一発!心も躍るヘヴィー級4ビート。
A"I CONCENTRATE ON YOU" アレンジにちょっと凝ってみた。その後に待ち構える躍動感。
B"WE'LL BE TOGETHER AGAIN" 一転してしっとりバラード。
C"I DIDN'T KNOW WHAT TIME IT WAS" これもアレンジに凝っているが嫌味にはなっていない。アドリブに入るとご機嫌な4ビートを刻む。楽しい!

D"LIKE A LOVER" ボサノバ調の美しい曲。
E"POINCIANA" 陽気なラテン・リズムに乗ってスウィング。
F"BENNISSIMO" ピアニスト・TAMIR HENDELMANの書いたブルース・フィーリングを持った歌物。
G"THE BEST THINGS HAPPEN WHILE YOU'RE DANCING" サクサクと刻むブラッシュ・ワークに乗ってピアノとベースがおおらかに歌う。

H"SKYLARK" バラード。名曲も、また、楽し!
I"MOONBIRD" 
J"C JAM BLUES" この曲はJAZZ批評 25.のRED GARLANDの演奏があまりにも有名で、ブルースの手本みたいになっている。ここでは超スローで演奏。曲名を見るまではその曲と分からない。
HAMILTONのブラッシュによるソロを経、一呼吸置いて、ブルース・フィーリングたっぷりの4ビートの演奏になる。これがすこぶるグルーヴィで楽しい。超スローにおけるHAMILTONのドラミングの技にも注目!
K"L'IL OLD LADY" アップテンポのスウィンギーな曲。躍動感溢れる4ビートがグイグイ突っ走る。

若手のピアニスト・
TAMIR HENDELMANもベーシスト・CHRISTOPH LUTYも粒立ちのハッキリした音を持っており、そのうち名を馳せてくるだろう。期待感溢れる新人だ。
全編に溢れる躍動感。ハード・ドライブからしっとりバラードまで、硬軟両様。理屈抜きに楽しめれば、それがベスト。ほんの少しのアルコールでもあれば相乗効果間違いなし。楽しさに乾杯!JAZZは楽しいと感じさせる1枚。「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。たまにはこういう楽しいアルバムもピックアップしないと片手落ちというもんだ。   (2004.08.15)



JEFF HAMILTON

独断的JAZZ批評 214.