"NY-1"
MARTIAL SOLAL(p), FRANCOIS MOUTIN(b), BILL STEWART(ds)
2001年 VILLAGE VANGUARDにてライヴ録音(BLUE NOTE 7243 5 84391 2 0)
SOLALは御歳、75歳になるという。30年以上も前、ヨーロッパのジャズといえばこのピアニストとかドラムスのDANIEL
HUMAIRが代表格だった。75歳にしてこの演奏!かくしゃくとしたものだ。頑固なまでの自分のスタイルがある。これが受け入れられるか否か。
メンバーには今や押しも押されぬ第1人者になったドラマー、BILL STEWARTが入っているのが嬉しい。何かを予感させてくれるメンバーだ。STEWARTのドラムスは良く歌う。特に、4ビートを刻ませるとなんともノリの良いドラミングを展開する。PAT
METHENYとの競演盤"TRIO→LIVE"や"TRIO 99→00"
(JAZZ批評 8.)ではベースのLARRY GRENADIERとともに軽快なサポートを展開しているし、最近ではAKIKO GRACEのトリオ"MANHATTAN STORY"
(JAZZ批評 101.)や"FROM NEW YORK"
(JAZZ批評 125.)でも聞くことが出来る。
このアルバムでも期待に違わぬ躍動感溢れる、そして、メロディ楽器の如く歌っているドラミングを堪能することが出来る。
ベースのMOUTINはハイ・トーンを効果的に使っているが、増幅が大きすぎて低音部がダボつき気味なのが残念だ。これは、単にベースの問題というよりは音響設備の問題かもしれない。なにせ、このVILLAGE
VANGUARDの録音の悪さといったら折り紙付きなのだから。
@"NY-1" これが75歳の爺さんの弾くピアノ?難解でありながらスリリング!
STEWARTのブラッシュワークが素晴らしい!こんなブラッシュを叩けるドラマーはそうはいない!3者の絶妙のインタープレイがスリルと緊迫感を否応もなしに高めてくれる。
A"WHAT IS THIS THING CALLED LOVE" イン・テンポになってからのシンバリングが絶妙。強烈な躍動感が魂を抉ってくる。STEWARTのドラミングは超一流の証でもある。
B"SUSPECT RHYTHM" 難解なテーマだが、躍動感と緊迫感がぎゅっと詰まっている。
C"BODY & SOUL" フリーなピアノのソロで始まり、やがて、3者の渾然一体となったインタープレイに移行し、更に、スローなイン・テンポとなる。スローにあっても躍動感を失わないところが流石。
D"ZIG ZAG" 4分過ぎからの4ビートではSTEWARTのドラムが躍動する。BRAVO!
E"SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE" 言わずと知れたスタンダード・ナンバー。もう、何も言わずこの感動を満喫すべし。
F"LOMBARDY" 超アップ・テンポのドライブ感溢れる曲。このピアノを聴け!このベースを聴け!このドラミングを聴け!
スタンダード・ナンバー以外のテーマは若干、難解ではある。硬派のジャズだ。だから、誰にでもお奨めとはいかない。しかしながら、上質な躍動感と緊迫感が魂を抉る。さあ、どっちを選ぶかはあなた次第。
僕にとっては文句なしの5つ★。こんなに活きが良くて躍動感と緊迫感満載の演奏は久しぶりだ。ジャズに年齢は関係ないと納得する1枚。
「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。 (2003.06.24)