VITOUS のベースに触発されたKUHNのピアノが聴きたくなる
極めつけは4曲目の"DO"
何回聴いてもこの美しい曲とベース・ソロは素敵だ!
"OCEANS IN THE SKY"
STEVE KUHN(p), MIROSLAV VITOUS(b), ALDO ROMANO(ds)
1989年スタジオ録音(OWL 013 428 2)

このCDを購入するにあたって、HMVでキャンペーン対象CDを2枚購入した。2枚で¥2800弱と買い得だった。1枚当り¥1390というのは魅力だ。常にこのくらいの値段で購入できるとあり難い。理想的には¥1000を切って欲しいが。
DVDに比べると1枚の情報量ははるかに少ないが、哀しいかな売れる量が少なすぎるのだろう。どうしても割高になってしまうのは理解できる。が、納得はしたくない。
気に入ったCDを安く購入できると、これは嬉しいものだ。
初めて購入した STEVE KUHN のCDである。最近の KUHN のCDをHMVで立ち聴きはするけど、購入までは触手が伸びない。今回はベースが MIROSLAV VITOUS だったので買ってみようという気になった。VITOUS といえばJAZZ批評 1.の CHICK COREA の作品が想起される。ちょっとダボつき気味の音色だが、ドライブ感とスピード感があった。今回もそれを期待していた。

1曲目の"THE ISLAND" がいい!
テーマでの VITOUS と KUHN の絡み方がいい。続く4ビートのアドリブでのぐいぐい引っ張り込むような躍動感が好きだ。思わず指を鳴らしたくなるのだ。
2曲目の"LOTUS BLOSSOM" はKENNY DORHAM の手による佳曲。アップ・テンポのスウィンギーな演奏に終始している。ここでも VITOUS のドライブ感溢れるウォーキングが聴ける。KUHN のピアノも滑らかなリラックスした演奏だ。

4曲目"DO" はドラムスの ALDO ROMANO の美しいバラード。ここでは VITOUS のベースが大きくフィーチャーされている。心を掻き乱すような切ないベース・ソロが印象的だ。このベース・ソロは凄い!!!

7曲目が A..C.JOBIN のボサノバ "ANGELA"。この曲はもうひとつだ。ボサノバ特有の浮き立つようなスィング感がないのが残念。
9曲目は KUHN の美しいオリジナル・ワルツ。

全体を通して比較的緩やかなしっとりした演奏が多く、反面、少し食い足りない面も否めない。やはり「毒がない」のだ。そんな中で VITOUS のベースは曲者だと思う。4曲目のべ-スソロは聴きものだ。                             (2002.07.17.)


<UPDATE>
最近、繰り返し良く聴くCDだ。VITOUSのドライブ感に触発されたKUHNのピアノが聴きたくなる。特に1〜4曲目までが好きだ。極めつけは何と言っても4曲目の"DO"。何回聴いてもこの美しい曲とベース・ソロが素敵だ。
9曲目のKUHNのオリジナル・バラード"ULLA"も美しい曲。泣かせるなあ。
manaの厳選 "PIANO TRIO & α"に追加した。   (2002.08.24.)


<UPDATE>
"DADICATION"(JAZZ批評 304.)を掲載するにあたってこのアルバムと聴き比べをしてみた。このアルバムのVITOUS、ROMANOのリズム陣が素晴らしい。アコースティックな音色、切れと躍動感のあるサポートは超一級品だ!

@"THE ISLAND"
A"LOTUS BLOSSOM"
B"LA PLUS QUE LENTE/PASSION FLOWER"
C"DO"
D"OCEANS IN THE SKY"
E"THEME FOR ERNIE"
F"ANGELA"
G"IN YOUR OWN SWEET WAY"
DAVE BRUBECKの曲。指でも鳴らしながらゆったりとお聴きください。
H"ULLA"
I"THE MUSIC THAT MAKES ME DANCE"
JULE STYNE の書いた佳曲。KUHNのピアノ・ソロがまた良い!心に沁みるなあ。  (2005.11.01)



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STEVE KUHN

独断的JAZZ批評 82.