ROY ASSAF TRIO
アルバムとしてはまとまっていて、なかなか知恵を絞ったアルバム構成になっている
3者のバランスも良くてアンサンブルもグッドだ
"SECOND ROW BEHIND THE PAINTER"
ROY ASSAF(p), RAVIV MARKOVITZ(b), JAKE GOLDBAS(ds)
2013年9月 スタジオ録音 (55 RECORDS : FNCJ-5559)
イスラエルのピアニストである。最近はイスラエルのピアニストの活躍も顕著でYARON HERMAN(JAZZ批評 670.& 665.)、SHAI MASTRO(JAZZ批評 763. & 815.)、NITAI HERSHKOVITS(JAZZ批評 766.)、OFIR SHWARTZ(JAZZ批評 843. & 847.)など、枚挙に暇がない。イスラエル出身のベーシスト・AVISHAI COHENに見出されたピアニストも多い。
ROY ASSAFは1982年生まれというから、録音時には31歳ということになる。僕は過去に沢山の賞をもらったとか、誰に師事したとかに興味はない。ミュージシャンの評価って、今ある音楽が良いか悪いかしかないと思っている。どんなに過去の栄光があろうと今流れ出てくる音楽が良くなければ評価が下がっても仕方のないことだろう。逆に、若手でも、過去の実績がなくても、今の演奏が良ければ評価したいと思っている。
@"SECOND ROW BEHIND THE PAINTER" 哀しみを湛えたテーマ。3者のアンサンブルも素晴らしい!
A"BABEL" 哀愁を帯びたASSAFのオリジナル。途中、ASSAFはキーボードも駆使しているが、違和感はない。3者のバランスがとれた、とても良い演奏だ。僕はこういうベーシストが好きだ。良く歌い、力強いビートを持っている。RAVIV
MARKOVITZの名前を記憶に留めよう!
B"NEVER WILL MARRY" 美しいテーマだ。MARKOVITZのベース・ソロも素敵だ!息の合ったアンサンブルで非常に心地よい。
C"IT'S A DANCE" 今は亡きMICHEL PETRUCCIANIの曲らしい。これも美しい曲だ。MARKOVITZのベースはJULIAN WATERFALL POLLACK
TRIOのNOAH GARABEDIANを彷彿とさせて、またまたアメリカには良いベーシストが現れたなあ!とアメリカの底力を感じずにはいられない。
D"INTERLUDE #1" 激しい曲想の間奏曲。後半のベースの4ビートが逞しい。いい音色だ。フェードアウトしてしまうのが惜しい。
E"IGOT IT BAD" DUKE ELLINGTONの曲。スローテンポだが無駄な音がない。素晴らしいアンサンブル。いいねえ!いつまでも聴いていたい!
F"INTERLUDE #2" 1分と少しの間奏曲であるが存在感がある。これもフェードアウト。
G"INTERLUDE #3" これも1分半弱なのだが十分に主張している。
H"CON GREW" 昨年、急逝した黒人ピアニストのMULGREW MILLERへの追悼曲。ここではキーボードを使用している。
I"FOLK-LORE" ベースとドラムスのデュオで始まる。野太いベースの音色がいいね。その後、キーボードが合流して、ピアノとは違う色彩を添えている。そしてピアノに戻る。
J"KVAR ACHAREI CHATZOT" 牧歌的な曲想とパーカッションで独特の雰囲気を醸し出している。これも良い演奏だ。
K"BUDVA" 少々大げさで重厚、激烈な演奏でスタートする。その後のピアノとベース、ドラムスの絡みが素晴らしい。躍動感に溢れ、アンサンブルも素晴らしい。
先に紹介したイスラエルの4人のピアニストとは趣を異にする。電子楽器を駆使した演奏も何曲かあるし、インタールードの短い間奏曲も数曲ある。が、アルバムとしてはまとまっていて、なかなか知恵を絞ったアルバム構成になっている。3者のバランスも良くてアンサンブルもグッドだ。
今年一番のアルバムと思っているJULIAN WATERFALL POLLACKの"WAVES OF ALBION"(JAZZ批評 861.)をも彷彿とさせるアルバムということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。
余談だが、ベースのMARKOVITZはピアノも弾いてしまうらしい。このベーシストは要チェックだ。ROY ASSAF TRIOが9月に来日するらしいがベーシストがこのMARKOVITZ出ないのでライヴに行くのは止めにした。代わりに、同じイスラエルのピアニスト・YARON
HERMANのライヴを予約した。 (2014.08.16)
試聴サイト : http://www.royassaf.com/music/
.