独断的JAZZ批評 843.

OFIR SHWARTZ TRIO
所謂、ヨーロッパ系とは一味違う味付けだ
丁度、哀愁というスパイスを振り掛けたような・・・
"SHADES OF FISH"
OFIR SHWARTZ(p), GAL SHAYA(b), GASPER BERTONCELJ(ds)
2013年2月 スタジオ録音 (HEVHETIA : HV 0075-2-331)


OFIR SHWARTZは1979年のイスラエル生まれで、本アルバムが2枚目のリーダー作だという。
イスラエルというと真っ先に浮かぶのがYARON HERMAN(JAZZ批評 665.)だが、最近ではSHAI MAESTRO(JAZZ批評 763.)というピアニストも出てきた。ベースのAVISHAI COHEN(JAZZ批評 543.)もイスラエルの出身だ。いずれも個性的なミュージシャンだ。
本アルバムの全曲がピアニスト、OFIR SHWARTZのオリジナルだ。どの曲も個性的であり、哀愁というスパイスが良い塩梅に加味されている。

@"CAELUM" 太いベースのイントロで始まるが、これが5拍子、もしくは、変拍子。複雑なリズムで始まるので、これは難儀なアルバムだなあと思ったが・・・。
A"CHICKO" 
一転して、軽快で爽やかな印象のプレイに変化する。
B"WHEN IT ENDS" 
今度はピアノとベースがユニゾンでテーマを奏でる。心地よい躍動感と軽やかなタッチはついつい眠気を誘う。睡眠時のバック・グランド・ミュージックとしてもいける。ベースのSHAYAがとてもいい味出している。太い音色とよく歌うベース・ワークは聴きものだ。
C"GERMANY" 
ちょっと剽軽なテーマで個性的。調子の良い曲で、ミディアム・ファーストの軽快な演奏だ。
D"FOLK SONG" 
イスラエルの民謡だろうか?少ない音数で心に沁みる。左手のバッキングも少なめで、右手のシングル・トーンだけで歌心溢れる演奏を披露している。3者のアンサンブルも素晴らしい!リリカルだけど熱く躍動しているのがいい。
E"INDUSTRIAL CITY" 
一転して、8ビートのロック・テイスト。この演奏なんかはYARON HERMANを彷彿とさせる。少なからず影響は受けているのだろう。
F"SHADES OF FISH" 
ブラシの爽やかなタッチが効いているね。3人のアンサンブルを大事にしたプレイに好感が持てる。
G"IT'S WET OUTSIDE" 
H"LAST JOURNEY" 
静謐なバラード。アルコが美しい。ピチカートに移ると徐々に高揚感が増していくる、そのアンサンブルが絶妙!
I"INDUSTRIAL CITY, VOL 2"  
このトラックが終了した1分半後に"POSTLUDE"というトラックに入る。ライナーノーツに記載はない。隠しトラックというやつだ。演奏時間はピアノ・ソロで1分半。何故、こんな手の込んだことをするのだろう?

本アルバムはOFIR SHWARTZの2枚目のリーダー・アルバムということだが、3者のアンサンブルが美しい。所謂、ヨーロッパ系とは一味違う味付けだ。丁度、哀愁というスパイスを振り掛けたような・・・。
特に、Dの"FOLK SONG"は一聴の価値あり。その他のトラックもとても聴き易いので、BGMとしても良し、全霊を注いで聴き込んでも良し。
新年早々、注目すべきグループが一つ増えた。
SHWARTZのファースト・アルバムも聴いてみたいと思い、探したが、今では入手困難のようだ。中古盤のオーダーを入れたが、果たして入手できるかクエスチョン・マークだ?
ともあれ、本アルバムは色々な味付けを楽しませてくれるアルバムということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2014.01.11)

試聴サイト : http://www.youtube.com/watch?v=FJcmHbucphs
          http://www.youtube.com/watch?v=-T5KJkdxjc4



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