ホームニュース一覧2020

米軍基地内の感染情報の開示を迫れ

佐世保平和委員会が市に申し入れ

 5月1日、佐世保平和委員会は佐世保市長に対して「在日米軍内での新型コロナウィルス感染に関する情報開示を求める申し入れ」を行いました。

 米国防総省は3月30日、新型コロナウイルスの米軍内における基地や部隊別の米軍関係者の感染状況を公表しない方針を決めました。そんな中、米海軍佐世保基地では例外的に4月3日に感染者1人が出たことだけを明らかにしました。感染経路や市民との接触はなかったのかどうか、市民にとって知りたい情報は出てきません。

 情報を公開しないのも日米地位協定があるためです。米軍関係者は入管法の適用から除外され、入国の際にどのような検疫がなされているか、その有無も含めても日本側は把握できていません。また入国拒否をすることもできません。さらに米軍基地の「排他的管理権」があるために、日本側が感染症の調査をすることができないのです。

 この間、佐世保市内では新型コロナウイルスの陽性者が6件出ていることもあって、申し入れを受けるが来庁者を1人にと限定してきました。

 結局、橋渡しをした、平和委員会会員でもある小田徳顕議員が1人で文書を手渡すことになり、次の2点を申し入れました。

(1)基地ごとの感染状況、感染ルートなどの詳細を公表するように、政府、米軍に働きかけること。
(2)全国知事会も要求しているように、地位協定の抜本改定を要求されること。

 市側は基地政策局の北村敬男局長が対応。その後の基地内の発症数などは把握していないと述べるに留まりました。

 基地ごとの感染者の発生状況は、そこで働く日本人従業員や周辺住民をはじめ、国民の安全に不可欠な基本情報です。佐世保基地には、軍人3,435人、軍属425人、家族3,514人、日本人従業員1,747人がいます(19年4月)。

 基地の外に居住する米兵も増加しています。在日米軍内で感染が確認された際に情報が公開されない中では、住民は感染予防の正しい行動をとることができない等、不安が増すばかりです。

 沖縄タイムスの記事によると米国防総省が5月8日時点の米軍関係者の感染状況を公表。総数は11,009人に達し、死者数は27人、回復者数は3,156人。療養中の感染者数は5,053人で、最多はやはり海軍で2,141人。次いで陸軍1,087人、州兵967人、空軍409人、海兵隊449人。

 クルーズ船もそうでしたが密閉空間の艦艇は感染が起きたら重大事態になりかねません。強襲揚陸艦アメリカは、沖縄に寄港後、5月4日には佐世保に帰港しました。住民の命と健康を守るためにも日米地位協定の抜本的な改定が急務です。

(2020年5月10日)