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LCAC夜間訓練の背景は基地機能強化

米軍は四半期ごとの「事前通告」へ方針転換

 米軍が無通告でLCACの夜間航行訓練を開始したことで西海市は一番影響を受ける寄船地区に委託して、3月1日から監視体制を取っている。月−金曜の午後3時~8時の間、地域移住民が警戒に当たり、LCACの出港を確認した場合は市に連絡する。市は防災行政無線で注意を呼び掛け、地区に職員を派遣するというもの。

 そんな中、3月22日に28年ぶりに開催された佐世保港運営委員会の会合で米軍は西海市にLCACの夜間航行訓練を4月2~6日と、5月9~15日のうちのそれぞれ2、3日、日没後1時間程度実施すると「事前連絡」を行った。そして実際に4月2~4日に、3晩連続で各2隻が夜間航行訓練を行った。

 マスコミの取材に対して米軍佐世保基地は「夜間航行訓練を事前に連絡する義務はないが、地元の懸念に配慮し、市民の理解を得るため、四半期ごとに、訓練を行う期間を自治体に提供することにした」と方針転換をしたことを明らかにした。これは地元との決定的な決裂を避けるための措置と思われる。

 事前通告を行ったとしても協定書を反故にした夜間航行訓練そのものは強行される。さらに今後、訓練回数の増加や深夜の航行訓練なども懸念される。西海市は引き続き中止を求めるとともに、監視態勢を維持している。

 佐世保基地のLCAC部隊は元々、米ペンドルトン海兵隊基地の第5強襲揚陸艇部隊の分遣隊であった。しかし12年8月に太平洋艦隊の第7海軍ビーチ部隊(Naval Beach Unit 7)として独立したことで、独自に夜間航行訓練を行う必要性が生じたとみられる。その後、洋上で夜間航行訓練を行ってきたが、所要の時間分に満たないということで、佐世保港での夜間航行訓練を強行するようになったのである。

 やむなく米軍施設を受け入れた自治体が、基地機能強化の下で自ら監視体制を強化しなければならない異常な事態となっている。

(2018年4月7日)