ホームニュース一覧2017

原発に事故の危険性 再生エネに重点を

日本学術会議が原発のあり方について提言

 9月12日、日本学術会議は東電福島第一原発事故を踏まえ、「我が国の原子力発電のあり方について」という7項目にわたる提言を発表しました。提言書は事故の原因を「自然現象に関する想定や人工物側の事故予防策の甘さ等の人為的な過誤が重なって重大事故に至った」と総括。「廃炉、汚染物質の中間貯蔵と最終処分等の十分に解決されていない問題」があり、また「使用済み核燃料と高レベル放射性廃棄物の処分」の問題を指摘。さらに再生可能エネルギーの「研究開発をすすめ、その実現を図ることは喫緊の課題」としています。

提言1 被災地の除染による環境回復、事故原発の安全管理と廃炉、汚染物質の中間貯蔵と最終処分等は十分に解決されていない。東京電力と国は、被災者の健康管理と生活再建、被災地の復興を最重要の課題として認識し、そのための取組みを継続するべき。

提言2 国と原子力発電事業者は、原発が様々な事故の危険を内包していることを理解し、その安全性を向上させる努力を継続させ、常にすべての原発に最高レベルの安全対策を維持すべき。事故時の住民等の避難の安全確保も重要事項。安全性の追求に要する費用は原発稼働に不可避の費用とみなすべきで、発電で得られる収益をもとに、安全向上のために投入可能な費用を判断するべきではない。

提言3 大規模自然災害、テロ、サイバーテロや犯罪から原発が安全かという問題も検討課題。また我が国が地震多発地帯で、地球の地殻変動の影響を被りやすい地学的条件にあることを認識すべき。

提言4 使用済み核燃料と高レベル放射性廃棄物の適切な処分方法に関する技術革新を進め、将来の世代に残す負の遺産を減少させるための措置をとることが重要。プルトニウムの安全確保、量の減少に努めることが重要。

提言5 エネルギー供給の転換を図ることは喫緊の課題。経済効率的な電力供給や公共目的の実現のために的確な研究成果が求められる。特に再生可能エネルギーの低コスト化、安定供給化に向けた研究開発は最重要課題。

提言6 長期に続く福島事故への対応、他の原発の廃炉、使用済み核燃料や高レベル放射性廃棄物の処分等の事業に携わる専門的人材育成を国として継続的に取り組むべき。エネルギー問題全般、安全や安心、社会との対話や社会における合意形成等に関わる幅広い知識を習得した人材の育成を図るべき。

提言7 日本学術会議は、原子力利用の安全管理の観点から検討を行い、科学的見地からの提言等を発し続けることが必要。海外の研究者との連携を図る。また、原子力関係の専門家は、他分野の研究者や市民社会との相互的な関係構築に努めるべきである。

(2017年9月15日)