_ 新聞広告でおやと目を惹くものがあった。光文社から新しく出た古典新訳文庫シリーズ。「いま、息をしている言葉で、もういちど古典を」というのが謳い文句。第一弾のラインナップが『リア王』(Shakespeare)、『初恋』(Тургенев)、『ちいさな王子』(Saint-Exupéry、即ち従来『星の王子さま』と訳されてきた《Le Petit Prince》だ)、『マダム・エドワルダ/目玉の話』(Bataille、後者はもちろん『眼球譚』だ)、『飛ぶ教室』(Kästner)、『カラマーゾフの兄弟』(Достоевский)、『猫とともに去りぬ』(Rodari)、『永遠平和のために/啓蒙とは何か』他3編(Kant)である。
Batailleももう古典かと思いつつ購入。当然生田耕作訳は(角川文庫版と河出文庫版で)持っているので、読み比べの意味でも。訳者は筆者同様中学時代にBatailleを初めて読んだという中条省平氏。生田訳への挑戦を意図したという。あとがきにおいて訳者が指摘した生田訳の難点は興味深い。
そしてまた光文社のこうした試みにも快哉を唱えたい。古典を継承しくことに挑戦する出版社が今日どれだけあることか。