萩谷由喜子の著書 11

目次) 3月刊行 プロローグ  3月6日お墓参り  読者の皆様からの感想  金沢蓄音器館に展示  読売新聞3月26日号記事  「蝙蝠」氏の書評  4月21日朝日新聞出久根達郎先生の書評  六条亭氏の読書レビュー  音楽雑誌に書評続々(音楽の友5月号那須田務先生 モストリークラシック6月号 ショパン5月号 音楽現代5月号富永壮彦先生)  5月27日再び朝日新聞記事  6月5日再々度、朝日新聞に諏訪根自子の記事  週刊朝日(6月28日号)根井雅弘教授の書評


『諏訪根自子 美貌のヴァイオリニスト その劇的生涯』 萩谷由喜子 著

2013年3月 潟Aルファベータより 刊行 税込2520円

●プロローグ

 さて、昨年は、雑誌『アエラ』(朝日新聞出版)2012年11月12日号に、『諏訪根自子の秘密〜絶頂期の引退の真相』なる、いかにも新聞風、ちょっと煽情的な見出しの記事を書きました。(右は初稿のゲラ。最終稿はこれと少し異なります。)
 編集部がつけてくださったリードには「“半年遅れの訃報”が記憶の彼方から呼び覚ました、ある美貌のヴァイオリニストの波瀾の生涯。晩年に取材した音楽評論家が、ベールに包まれていた素顔を明かす。」とあります。
 本文は「筆者が諏訪根自子のインタビューを思い立ったのは、1981年11月に発売された『バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全曲』のレコードを聴いたときだった。」と始まり、諏訪根自子の劇的生涯と業績、取材の概略等を記述した最後を、「近く、評伝を刊行する。」と結んでおります。
 さっそく、読者の方々から、評伝刊行の詳細について何件かお問い合わせをいただきましたが、いよいよ このたび、潟Aルファベータ(中川右介編集長)より上梓の運びとなりました。
 この本は、断続的ではありますが、かつてなく長期間にわたった取材、関係者発掘、資料収集、精査、書いては破りの日々を経て、ようやく出版に漕ぎ着けた1冊です。
 途中、いくつもの壁に突きあたり、苦い涙も味わい、挫ける一歩手前までいっては涙を払って這い上がり、なんとしても諏訪根自子の業績と人となり、そして、日本のヴァイオリン音楽史上における位置づけを世に伝えたい一念で、ここまで進めてまいりました。
この間、多くの方の温かいご協力、資料提供をいただきましたことを、ここに心より御礼申し上げます。もう駄目か、この本は出せないのではないか、と苦しんだとき、ご助力くださった皆様ひとりひとりのお顔が浮かび、そうだ、ここであきらめてはいけなかった、と自らを叱咤してきました。
 ところで、いまだにある観点から、諏訪根自子は国際的注視を浴びています。
 詳しくは本の「あとがき」で触れましたが、このあまりにも数奇な問題についても、最終的に、ひとつの驚くべき答えを得るところまで行き着くことができました。
 どうぞ、このたび潟Aルファベータより刊行の 『 諏訪根自子 美貌のヴァイオリニスト その劇的生涯 』 萩谷由喜子著 をご高覧くださいませ。
 音楽好きな方、ヴァイオリンを愛する方、歴史好きな方、女性の生き方に関心のある方、どなたにも、必ずご満足いただける内容と自負しております。
 おひとりでも多くの方に、この大正9年生まれ、昭和に大輪の花を3度咲かせ、平成の世も静かに眺めて昨年3月、92歳の生涯を閉じた、日本最初の天才少女ヴァイオリニストの稀有の生涯とバッハに賭けた思いを知っていただきたく存じます。
 ご高覧、なにとぞ、よろしくお願いいたします。

公明新聞
1月29日付、公明新聞文化欄に、こんな記事を書きました。 3月6日の一周忌を機に、拙著だけではなく、日本コロムビアから少女時代の小品が、キングレコードから、60代で録音したベートーヴェンのソナタ2曲と小品類が、CD復刻されることをお知らせした記事です。
「本日の帯留め」   右は、諏訪根自子を讃えて! ヴァイオリンの帯留めです。


3月6日 お墓参り
 この一周忌の日はよく晴れて気温も上がり、春を感じさせる気持ちのよいお日和でした。午前中は小平楽友サークルで、この日から始まった新シリーズ『華麗なるオペラの年・ヴェルディ・オペラへの招待』の第1回『ジュゼッペ・ヴェルディの生涯と26作のオペラ』のお話をして、そのあと根自子さんのお墓参りにいきました。
 拙著の中で根自子さんを「日本のヴァイオリン音楽史上に凛と咲いた白百合」に喩えさせていただきましたので、お花屋さんでカサブランカを求め、お墓の清掃ののちに墓前に供え、泉下の根自子さんに無事発刊のご報告をさせていただいてきました。
 どうぞ、やすらかに、最愛のご主人といつまでも仲良く、お眠りくださいませ。


『諏訪根自子 美貌のヴァイオリニスト その劇的生涯』にいただいた ご感想
さっそく、『根自子』読了。ブラヴォーを千回贈ります。リクエストした甲斐があったと大満足です。いつものように細部にわたる調査、文章のウマサに全裸で土下座しますよ。良い仕事をありがとう。(男性・音楽愛好家様)
この週末に一気に隅々まで熟読しました。諏訪根自子さんの人となり、だけでなく、今、歴史に残る日本の音楽界の最前線で活躍している音楽家の方々が、どのように日本で道筋をつけてきたか、ということが、とてもよくわかりました。(女性・ホールディレクター様)
圧倒されました。あまりの思いに今は、言葉になりません。ただ、諏訪先生への尊敬の念がいっそう強くなりました。(女性・ピアニスト様)
心血を注いで取材された評伝がこのような素晴らしい形で上梓され、うれしく拝見しました。冒頭のエピソードから引き込まれ、緻密な取材に圧倒され、思いがけないエンディングに嘆息しました。あの時代に、これほどの美貌と才能を持って生まれた女性の、背負ったものの重さが胸に迫ります。(女性・編集記者様)
音楽家としての諏訪根自子を、巌本真理との関係、晩年の演奏会や録音の充実した記述を交えて書き込んでいることに感銘を受けました。バッハの無伴奏ソナタ・パルティータの録音に向けて収斂していく流れも素晴らしく、冒頭の小野アンナの演奏会のエピソードとも呼応して、見事な構成になっています。(男性・国家公務員様)
傑作ですね!「田中希代子」が美しい叙情詩だとしたら、これは壮大な叙事詩。またピアノソナタであったとすれば、これは協奏曲やシンフォニー、更に言えば、まさしくヴァイオリンのパルティータですね。(男性・編集長様)
今では 誰も知らないような、彼女の渡欧の経緯や、彼の地での目覚ましい活躍ぶり、戦争によって齎された過酷な運命、長い沈黙の謎などの貴重な情報が満載の御本で、昭和初期の日本の音楽事情も克明に描かれており、音楽に携わる人達全てに読んで欲しい素晴らしい御本ですね!!(男性・指揮者様)
立派なご本ができましたね。「おめでとうございます」というより、「有難うございます」という心境です。編集も製本も一級の出来です。実によく調べておられますね。お見事です。(男性・音楽プロデューサー様)
先日、御茶ノ水ディスクユニオンにて先生のお書きになられました諏訪根自子さんの劇的生涯を買わさせていただきました。就寝前に軽く読まさせて頂こうと気付いたら朝5時でイッキでした。小生のようなシロウトで知識がないものでも非常にわかりやすくその時代にトリップを体験でき歴史の勉強にもなった本当に素晴らしい感動的な作品でした。また今後とも先生がお書きになられる作品を楽しみにしております。突然の不躾なメールをお許しください。(みっく/50才サラリーマン様)
新しいご著書「諏訪根自子」一気に読みました! 貴重な情報が織り込まれた、美しいドキュメンタリー映画を観たような感動を味わいました。まるで萩谷さんご自身が、諏訪根自子女史や、つながりのあった皆様の傍らにいらして見聞きなさったような臨場感!! 生き証人ですね。後書きにまた胸を打たれ、涙しました。(女性・音楽愛好家様)
全部読ませていただきました。よくぞここまでのすごい労作ですね。霧のヴェールに覆われていた諏訪根自子がモノクロではっきり姿を現したといった感じです。(女性・雑誌社専務様)
みなさま、本当にありがとうございます!!
 おひとりでも多くの方に、諏訪根自子の稀有なる歩みを通じて日本のヴァイオリン音楽史の一端を知っていただたい、そしてまた逆に、その中の諏訪根自子というひとりのヴァイオリニストの真摯な生き方に思いを寄せていただけたら嬉しいと思っております。
 全国書店、またネットショップでも送料無料でお求めいただけます。
 価格は、税込2520円。
 講座等では、サイン入り、割引価格でお求めいただいております。
 ご関心のある方はメールでご連絡いただければ、コンサートでお手渡しも可能です。
 どうぞ、よろしくお願いいたします。

金沢蓄音器館に展示♪

 金沢蓄音器館において、根自子さんの昔の録音を今、特集で蓄音器で聴く企画があり、そこに、『諏訪根自子』を展示していただいています。
以下は、館長さんからのメール。
 「お送りいただいた書籍を添付の写真のように陳列しました。お陰で一層見栄えがします。
 ありがとうございます。
1日3回(11,14,16時)からある当館で最も人気のある「聴き比べ」で、諏訪根自子さんのSPレコードを必ずかけています。来館者の皆様は一様に感動されています。
20日に発売になったCDも良く売れております。書籍についての問い合わせも多くあります。
東京は桜真っ盛りだそうですね。まだ寒さが残ります。体調にご留意ください。」

読売新聞にも取り上げられました♪

読売新聞2013年3月26日号の夕刊に、同紙 松本良一記者 による
「 諏訪根自子 足跡に再注目  没後1年 CD、評伝発売相次ぐ 」 との見出しの記事が掲載されました。
「 初の本格的評伝」として、拙著が取り上げられ、「 生い立ちからデビュー、戦時中の活動、引退に迫った。 」 と解説されています。

神戸の[ギャラリー島田&アートサポートセンター神戸メールマガジン第 834号]に「凜として清冽」の見出しで、コラムニスト「蝙蝠」氏による書評が出ました。♪
 著者が音楽ファンのみなさまにぜひともお伝えしたかった種々の秘話と、それらを通じて浮かび上がる「根自子像」をいささかのブレもなく、しかも、イメージゆたかに受け止めてくださり、蝙蝠さま、まことにありがとうございました。書き手冥利に尽きます。
   全文をご紹介させていただきます。
蝙蝠日記  諏訪根自子と巌本真理
10代からのクラシック音楽のファンとして、美貌のヴァイオリニスト諏訪根自子と巌本真理は憧れの伝説的な存在でした。
 しかし実際の演奏を聴いたのは巌本真理弦楽四重奏団によるベートーヴェンプロの一回しかありません。
 諏訪さんが昨年、92才で亡くなられたなどとは全く知らなかった、ずっと過去の方だと思っていた。
 萩谷由喜子(音楽評論家)さんが「美貌のヴァイオリニスト 諏訪根自子 その劇的生涯 1920−2012」を出されたことを知り、書店に取り寄せを頼んだ。長く待ち、入手したときには超多忙期に突入していた。でも多忙を押しのけて読む面白さがあった。
 天才少女として注目され、「戦争に会いにい行くようにヨーロッパへ留学(1936年16歳)、大戦に翻弄されながらゲッペルスからストラディヴァリウスを贈呈され、戦後は日本各地で演奏するも、やがて沈黙。20年の空白の後、バッハの無伴奏で復活を果たした。その伝説の生涯は、日本での洋楽受容の揺籃期と、ナチスの台頭、世界大戦に向かう激動の時代の証言でもあり、極めて興味深い。
 根自子という風変わりな名は「根を養えば木は自(おの)ずから育つ」からきているそうだ。
 諏訪は4才のときに小野アンナに入門する。オノ・ヨーコの義理の叔母にあたるそうです。
 とても紹介できないくらい、それぞれのエピソードが劇的なのは、時代がそうであったことと、その時代が鍛え上げた魅力ある人物が連なっていたのですね。
 ピアニスト内田光子の若き日、ライバルと目された巌本真理との友情。綺羅星のごとく諏訪のまわりに現れる私の良く知る音楽家たちのエピソードに懐かしさと驚きに本を閉じることを、しばしためらいました。(寝不足の一因でした)
◇ 3月29日。32年前(1981)の明日。諏訪根自子は、神戸文化ホールの舞台に立っていました。(聴かれたかたはいらっしゃいますか?)
 デュオのピアニストが伊藤ルミさんなのですね。新進ピアニストとして活躍していた時代ですね。
 伊藤さんは公益財団法人「神戸文化支援基金」の理事でもありますが、諏訪根自子さんと、神戸・風月堂ホールがオープンしたころ(1979)に共演されたことは聞いていましたが、この本でその経緯やエピソードなどを始めて知りました。P228-230 諏訪根自子はバッハの無伴奏ソナタの録音に取り組んでいた時期に重なるので、諏訪、伊藤の神戸でのコンサートを聴かれた方は至福であったと思います。
 3月29日のコンサートは超満員(中ホール)「出会いから三年目、いよいよ息の合ってきたふたりの演奏は、満員の聴衆を忘我の境地に誘った」とあり、そのあとのエピソードも面白い。P236−238
◇ 諏訪根自子さんは48才で長く秘められた恋を実らせて大賀小四郎さんと結婚。夫人としての生活を大切にしていく。あとで紹介するチェリスト、クリスティーヌ・ワレフスカの生き方とも重なり、人としてあるべきことを考えさせられますね。
◇ 最晩年の諏訪根自子、静かに羽根を休めて、平成24年(2012年)3月6日午後7時30分静かに92歳の生涯を終えた。その生涯は凜として清冽。美貌だけではなく、人としての佇まいが美しい。
◇◇◇◇◇ 萩谷由喜子「美貌のヴァイオリニスト 諏訪根自子 その劇的生涯」潟Aルファベータ (以下、略)


拙著 『 諏訪根自子 美貌のヴァイオリニスト その劇的生涯 』
★ 朝日新聞(読書欄)に 出久根達郎先生 の書評 掲載!
2013年4月21日
 本日、朝日新聞2013年4月21日号(日曜版)13頁(読書欄)において、
拙著 『 諏訪根自子 美貌のヴァイオリニスト その劇的生涯 』 について、
作家 出久根達郎先生 の書評が掲載されました。
 これを機に、より多くの方々に本書をお読みいただければ、著者としてこれに勝る喜びはありません。

六条亭さんの読書レビュー
 偶然ですが、「六条亭の東屋」(ブログ) 中に、『 諏訪根自子 』に対する 読書レビュー が掲載されているのを発見しました。著者が読者にお伝えしたかった種々の歴史情報、その中での根自子の位置づけ、人物、業績等々を明確に読み解いていただいた素晴らしい内容の読書レビューで、著者として感に堪えない心地です。
 六条亭さんのご了解を得て、リンクさせていただきます。 上記読書レビュー以外にも、歌舞伎評等、楽しい記事が満載です。 「六条亭雑記」(ホームページ)もあわせ、是非ご覧くださいませ。

★ 音楽雑誌に書評も続々!
左端:音楽の友2013年5月号(音楽評論家 那須田務先生) その右:モストリークラシック2013年6月号  右上:ショパン5月号  右下:音楽現代5月号(音楽評論家 富永壮彦先生)




拙著 『 諏訪根自子 美貌のヴァイオリニスト その劇的生涯 』
★ 再び、朝日新聞(2013年5月27日 夕刊 文化欄)に取り上げられました!


諏訪根自子ブーム再来か!
★ 諏訪根自子、再々度、朝日新聞(2013年6月5日 夕刊)に!


拙著 『 諏訪根自子 美貌のヴァイオリニスト その劇的生涯 』 好評発売中!(早くも3刷)
★ 『諏訪根自子』 週刊朝日に 根井雅弘教授の書評
 現在発売中の週刊朝日6月28日号「週刊図書館」の書評欄に、京都大学大学院教授 根井雅弘教授の書評が掲載されました。
 根井教授は、「 根自子の生涯は、戦争に翻弄されながらも、一流のヴァイオリニストを目指して必死に研鑽を積んだ『 求道者 』の物語である 」 と端的に位置づけられ、「神秘のヴェールにつつまれた根自子の生涯を描き切った著者の力量にも賛辞をおくりたい」 と温かいお言葉で、1頁4段にわたる書評を結ばれました。
 歴史の宿命を背負ったヴァイオリニストとして、またひとりの真摯な女性としての諏訪根自子の生き方に共感をお寄せいただけましたことは、著者としてこの上ない喜びです。
ありがとうございました。


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