集合間の全単射


『無限個の部屋をもつホテルがありました。ある日、ホテルは満室でしたが、無限個の人数の団体客が来て、宿泊を依頼しました。 驚いたことに、その団体客は、無事に宿泊できました。満室なのに、何故、宿泊できたのでしょうか?』

これは『ヒルベルトのホテル』として有名な問題ですが、これを少し発展させた問題とその解答を考えてみましたので、 以下、ご紹介いたします。


【 問題 】
球体Dの内側にある可付番無限個の点{P, P,・・・,P,・・・}を除いた球体D内の 全ての点の集合を集合Aとし、球体Dに含まれる全ての点の集合を集合Bとします。このとき、集合Aから集合Bへの全単射写像は 存在するか? もし、存在するなら、そのような写像の一例を示して下さい。


【 解答 】

問題文の内容を上図で表します。集合Aは、黒色の点P, P,・・・,P,・・・(ただし、 n=1,2,3,・・・)を除いた球体D内の全ての点の集合とします。一方、集合Bは、球体D内の全ての点の集合とします。ここで、 下図に示した様に、集合Aの内部に存在する赤色の点Q, Q,・・・,Q,・・・(ただし、 n=1,2,3,・・・)に着目することにします。また、⇔ は全単射写像を表すことにします。そして、

  ・A内のQ2n ⇔ B内のQ
  ・A内のQ2n−1 ⇔ B内のP
  ・A内のQを除く各点 ⇔ B内のPとQを除く各点
   (ただし、この ⇔ は、点の座標(位置)を球体Dの中心を原点とする xyz座標系で表したとき、同一座標となる点どうしを対応させる写像)

x と言う写像(ただし、n=1,2,3,・・・)を考えることにします。

すると、この写像は、明らかに集合Aから集合Bへの全単射写像となります。すなわち、本問題の解答は、「題意の全単射写像は存在し、 その様な写像の一例は上記の通り」となります。

以上のことからも、連続体の濃度は、可付番無限個の濃度より遥かに大きい(無限に大きい)ことが理解できます。


つぎに、実数と分数の個数を比べてみましょう。

まず、0≦x<1の範囲に存在する任意の実数xを二進数で表すと、x=0.x1x2-----xn-----(ただし、 n=1,2,3,・・・に対して xn=0 or 1 )となります。一方、0と1の間にある可付番無限個の分数で ym=1/2m (ただし、m=1,2,3,・・・)と言う形の分数を考え、それを二進数で表すと、y1=0.100--- , y2=0.0100--- , y3=0.00100--- , ・・・, ym=0.00---0100--- , ・・・(すなわち、ym は少数第m位の桁のみ1で他の桁は全て0 となる様な数)となります。すると、明らかに、任意の分数 ym に対して ym=x を満たす実数xは必ず存在しますが、任意の 実数 xに対して x=ym を満たす様な分数 ym は必ずしも存在しません(より正確に言うと、極めて稀にしか存在しません)。 すなわち、実数の集合 {x} と可付番無限個の分数の集合 {ym} の間に、全単射写像は存在しないことがわかります。

このことからも、連続体の濃度は、可付番無限個の濃度より無限に大きいことがわかります。


参考資料 : Wikipedia 『ヒルベルトの無限ホテルのパラドックス』、『全単射』

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