1.自然に親しむ
宮城県は四季の移り変わりが美しい。奥羽山脈とリアス式海岸に囲まれ、変化に富む自然。ここに住む私たちだから、自分の足でその素晴らしさを確かめてみたい。
2.新しいスポーツ
急激な経済成長により日本人の”働き過ぎ”が国際問題化してきた。ここにきて徐々にではあるが余暇時間が増え、私たちの意識も変化してきている。このような社会状況の中で、「人類は新しいスポーツをさがしあてた」(某靴メーカーの宣伝コピー)のである。それは歩くことだ。この本を片手に山野を歩いてみたい。そんなあなたに若干のアドバイスを試みよう。
3.どこに行くか
この本には県内の代表的なハイキングコースが紹介されている。気の向くままにいくつかトライしてみよう。慣れてきたらその回りに足を広げたい。どこに行くかはその時のメンバーで考える。この本のコースの大部分は小学生以上の子供なら歩ける。
次に目的だ。歴史探訪にするか、自然観察か、自然は植物か鳥か、季節のことも考えよう。冬だから暖かい南へ、反対に冬だからこそ白鳥を見よう・・・。とにかく目的ははっきりしていた方がよい。
4.服装
歩くと足が膨張するから靴は少し大きめに。底が厚く、作りがしっかりして、防水の運動靴。自分の足に合わせて選ぶ。
服装はスラックス。ただし歩いている時は暑く、止まると冷えるので重ね着で対応してかぜなどをひかないように。帽子も必要。
荷物は背負い、必ず両手を空けること。水筒1つといえども肩から下げない。試しに1度ショルダーバッグで歩いてみるとよい。大変疲れるし、安全上問題がある。
5.持ち物
昼食、水筒、雨具はハイキングの3種の神器。昼食はちょっとおなかがすいた時にも食べられるようにおにぎりかサンドイッチがよい。水筒は魔法瓶にお湯や氷水を入れてもよい。なお、仲間とはぐれた時にも大丈夫なように、自分の分の昼食は自分で持とう。
雨具は、風に備え折りたたみがさのほかに合羽が必要。
その他、敷物、果物、菓子、タオル、ティッシュ、ナイフ、缶切り、軍手、救急薬品、ゴミ袋、カメラ、地図、コンパス、図鑑、歩数計、懐中電灯など。「3種の神器」以外は状況に応じて取捨選択を。
6.歩き方
スタート地点に立ったら、まず準備運動をしよう。特に足首とひざ。道路のちょっとした段差でひねったり、ねんざをする人が最近多い。歩き始めは、その日の体調をみる意味でゆっくりと。20分歩いたら休息し、靴や服の具合を調整する。歩くペースは大人なら時速4〜5km。話しながら楽に歩けるペースで。
他人任せでなく、自分で地図を見ながら歩こう。これにより自然に対する勘が養われる。
7.事故防止と自然保護
ハイキングは無理をしないことが大切だ。歩く人の無理、自然への無理、どちらも禁物。スケジュールに余裕はあるか?早立ち、早帰りを原則に、午前中に予定の大半を済まそう。特に山間部では午後から天気が崩れることが多い。無理して遠くに行くより、近くでゆっくりした方がリフレッシュになる。
本書に載せたコースは車の通る道がほとんど。交通事故に注意して歩道や道路の右側を歩こう。
自然保護も大切だ。動植物をとったり、傷つけるのは止めよう。
たき火は厳禁。歩行禁煙も守ろう。ごみは必ず持ち帰る。
8.楽しく歩く
計画、準備、ハイキングと済んだら、パンフレットや写真を見て、また次のハイキングを考える。今度は別の仲間も誘ってみよう。家庭、職場、地域にハイキングの輪を広げ、みんなで楽しく歩こう。
「宮城のハイキングコース」河北新報社、1989年初版より
(c)グループわらじ
グループわらじは次の2冊を取材・執筆しております。(ともに絶版)
「宮城のハイキングコース」河北新報社、1989年初版
「続・宮城のハイキングコース」河北新報社、1992年初版