●被検者:全日本実業団1位チームの女子選手8名
●最大運動測定:最大酸素摂取量,最高心拍数,最大血中乳酸値
●試合時測定:肩掛け式ダグラスバッグ法による酸素摂取量,テレメトリー法による心拍数,各ゲーム終了直後の血中乳酸値,タイムスタディー(作業/休息時間),ストローク数
要約
本研究は,バドミントン競技において日本を代表する女子一流競技者を被検者とし,試合時(シングルスゲーム)の運動強度を酸素摂取量,心拍数,血中乳酸値を指標として検討を行った.
最大酸素摂取量の平均値は55.3 ml/kg/min,最高心拍数の平均値は191 beats/min,疲労困憊直後の血中乳酸値の平均値は101.2 mg/dl (9.17 mmol/l)であった.
試合時における作業期と休息期について,全試合の平均時間はそれぞれ5.9 secと10.7 secとなり,休息期は作業期のおよそ1.8倍であった.
試合時において,全試合の心拍数の平均は174 beats/minで最高心拍数のおよそ87%を示した.酸素摂取量33.13 ml/kg/minで最大酸素摂取量のおよそ56%に相当した.また,血中乳酸値の平均は23.3 mg/dlで最大運動直後の値のおよそ23%を示した.
以上のことから,バドミントン競技の運動強度を心拍数を指標としてみると循環器系に大きな負荷を与えるが,酸素摂取量や血中乳酸値からみると強度は低い.これは間欠的運動という特性を反映しているものと思われる.
専門用語の説明
●運動強度:その運動の生理的なしんどさ
●最大酸素摂取量:1分間にどれだけたくさんの酸素をからだの中に取り込めるか,全身持久力の指標
●血中乳酸:疲労の指標とされる