戸田和光 編
これまでリスト化した作家に比べれば、私はそれなりに蒼社作品を呼んでいる方ではないかと思う。もちろん、蒼社に関心のある読者の方が少ないだろうから、相対的に数も読んだ、というに過ぎず、全く自慢は出来ないし、作品の把握もどこまで出来ているか、分かっていないけれど――。
以前、依頼を受けて『殺人交響曲』(戎光祥出版)の月報に寄稿した際、“蒼社は100編を越える短編を書いている”と書いたことがある。当時の調査状況を踏まえて書いたものだけれど、それに対して“蒼社には多くの短篇があると云うので『探偵雑誌目次総覧』の蒼社の項で「戦艦金剛」以外の小説を数えてみると6編しかない。彼が小説を書き飛ばしたのはきっと怪しげなマイナー雑誌が多いのだろう”――といった内容の文章が書かれたことがあった。……マイナー雑誌の定義は人それぞれだから、その内容を否定する気はないけれど、さすがにこの見解が独り歩きしてしまうと、何より蒼社に申し訳ない気がしてくる。私の感覚では、ふつうの小説雑誌がその大半を占めるからだ。いつか、整理して形にしようと思っていたけれど、さすがにキリがないので、現時点で一度まとめておくことにしたものである。ご理解いただきたい。
私自身で確認したものも多いが、基本はこれまでと同様に、様々な資料を継ぎ接ぎしているだけのものに過ぎないが、御理解いただきたい。
気がついたことがあれば、下記のアドレス宛てにご指摘くだされば幸いです。
gokusiteki.shuuishu@gmail.com (@を半角に修正してください)
| 作品名 | 収録誌紙 | 掲載年月日 | 収録短編集 | 備考 |
| 春のゆくえ | 別冊読切傑作集 | 昭和32年10月 | 柳瀬廉名義 | |
| 毒花 | 小説倶楽部 | 昭和33年4月 | 柳瀬廉名義 | |
| 地底を歩く女たち | 小説倶楽部 | 昭和33年11月 | 柳瀬廉名義 | |
| 闘 | 面白倶楽部 | 昭和33年11月 | 柳瀬廉名義 | |
| 彈倉 | 小説倶楽部増刊 | 昭和34年3月 | 柳瀬廉名義 | |
| 地の底に埋めろ | 別冊読切傑作集 | 昭和34年4月 | 柳瀬廉名義 | |
| 水妖傅 | 小説倶楽部 | 昭和34年7月 | 柳瀬廉名義 | |
| 海の墓場 | 小説倶楽部 | 昭和34年10月 | 柳瀬廉名義 | |
| 劫火 | 小説倶楽部増刊 | 昭和34年11月 | 柳瀬廉名義 | |
| 海の恋太刀 | 別冊読切傑作集 | 昭和34年12月 | 柳瀬廉名義 | |
| 忍者の掟 | 読切傑作集 | 昭和35年3月 | 柳瀬廉名義 | |
| 鬼女の肌 | 別冊読切傑作集 | 昭和35年3月 | 柳瀬廉名義 | |
| 緑の血 | 読切雑誌 | 昭和35年4月 | 柳瀬廉名義 | |
| 二人伝兵衛 | 剣豪列伝集増刊 | 昭和35年5月 | 柳瀬廉名義 | |
| 卵を産んだ女 | 特集読切雑誌 | 昭和35年5月 | 柳瀬廉名義 | |
| 妖剣女地獄 | 小説倶楽部増刊 | 昭和35年5月 | 柳瀬廉名義 | |
| 死者の歩く時 | 小説倶楽部 | 昭和35年6月 | 柳瀬廉名義 | |
| 無頼の砦 | 別冊読切傑作集 | 昭和35年7月 | 柳瀬廉名義 | |
| 洟垂土罐子 | 剣豪列伝集 | 昭和35年7月 | 柳瀬廉名義 | |
| 地球は盗まれていた! | 別冊読切雑誌 | 昭和35年8月 | 柳瀬廉名義 | |
| 夜眠る奴は死ぬ | 小説倶楽部 | 昭和35年8月 | 柳瀬廉名義 | |
| 獣を乘せて走れ | 小説倶楽部増刊 | 昭和35年8月 | 柳瀬廉名義 | |
| 地底に笑う女 | オール読切 | 昭和35年8月 | 柳瀬廉名義 | |
| 都会の野獣 | 大衆小説読本増刊 | 昭和35年8月 | 柳瀬廉名義 | |
| 盥の首 | 大衆小説読本 | 昭和35年10月 | 柳瀬廉名義 | |
| 千早姫の復讐 | 読切時代小説 | 昭和35年10月 | 柳瀬廉名義 | |
| 飢渇の剣 | 小説倶楽部 | 昭和35年11月 | 柳瀬廉名義 | |
| 闇姫無惨秘帖 | 大衆読切 | 昭和35年11月 | 柳瀬廉名義 | |
| 円盤処女を襲撃す | 読切雑誌 | 昭和35年12月 | 柳瀬廉名義 | |
| 海賊代将軍 | 別冊読切傑作集 | 昭和35年12月 | 柳瀬廉名義 | |
| 盗人飛脚 | 読切傑作集 | 昭和35年12月 | 柳瀬廉名義 | |
| 眞夜中は俺のものだ | 小説倶楽部 | 昭和36年1月 | 柳瀬廉名義 | |
| 屍衛兵 | 増刊宝石 | 昭和36年2月 | 『軍隊ミステリ集』 | |
| 脱獄請負業 | 読切時代小説 | 昭和36年3月 | 柳瀬廉名義 | |
| 海の毒矢 | 読切傑作集 | 昭和36年3月 | 柳瀬廉名義 | |
| 四次元の男 | 小説の泉 | 昭和36年5月 | 柳瀬廉名義 | |
| 黒蝶部隊 | 別冊読切雑誌 | 昭和36年6月 | 柳瀬廉名義 | |
| 地球が冷える | 読切雑誌 | 昭和36年6月 | 『殺人交響曲』 | |
| 砂漠地帯 | 宝石 | 昭和36年7月 | ||
| 戦慄の波止場 | 読切傑作集 | 昭和36年7月 | ||
| 煙突の中 | 大衆小説 | 昭和36年8月 | ||
| 海が見ていた | 別冊週刊大衆 | 昭和36年8月 | ||
| 宇宙第四帝国 | 小説の泉 | 昭和36年9月 | 柳瀬廉名義 | |
| 鍵を探ぐれ | 別冊読切雑誌 | 昭和36年10月 | ||
| 泣くな拳銃よ | 読切傑作集 | 昭和36年11月 | ||
| 夜霧の追跡者 | オール読切 | 昭和36年12月 | ||
| 大氷河時代 | 読切特選集 | 昭和37年1月 | 『殺人交響曲』 | |
| 悪だくみ | 小説倶楽部 | 昭和37年1月 | ||
| 海の底で哭け | 推理ストーリー | 昭和37年1月 | ||
| 誤算 | 電信電話 | 昭和37年2月 | ||
| 幻の恋人 | 小説倶楽部増刊 | 昭和37年3月 | ||
| くわせ者 | スリラー街 | 昭和37年3月15日 | 嬌声犯罪学 | |
| 銀座の殿様 | 読切時代小説 | 昭和37年4月 | ||
| 電話でキッス | スリラー街 | 昭和37年4月19日 | 嬌声犯罪学 | |
| 黄金分割 | 小説倶楽部 | 昭和37年5月 | ||
| 天使も拳銃を持っている | オール読切 | 昭和37年5月 | ||
| 或る失踪 | 増刊大衆小説 | 昭和37年5月 | ||
| 処女証明書 | スリラー街 | 昭和37年5月3日 | 嬌声犯罪学 | |
| 新婚がいっぱい | スリラー街 | 昭和37年5月17日 | 嬌声犯罪学 | |
| 東京湾東京の空 | 小説倶楽部増刊 | 昭和37年6月 | ||
| 地球よ停れ | 大衆小説 | 昭和37年6月 | 『殺人交響曲』 | |
| 火星への誘惑 | スリラー街 | 昭和37年6月7日 | 嬌声犯罪学 | |
| 闇を泳ぐ女 | オール読切 | 昭和37年10月 | ||
| 動機か機会か! | 小説倶楽部増刊 | 昭和37年10月 | ||
| 太平洋に陽が沈む | 宝石 | 昭和37年11月 | 『軍隊ミステリ集』 | |
| もずが枯木で鳴いている | 宝石 | 昭和38年4月 | 『軍隊ミステリ集』 | |
| 二つの世界の男 | 読切特選集 | 昭和38年7月 | 未来都市 | |
| 墜落死体 | 漫画ストーリー | 昭和38年7月27日 | ||
| 完全犯罪 | 読切特選集 | 昭和38年8月 | 未来都市 | |
| 単冠湾 | 推理ストーリー | 昭和38年8月 | ||
| 戦艦金剛 | 宝石 | 昭和38年8月 | ||
| 犯罪への道 | 読切特選集 | 昭和38年9月 | 未来都市 | |
| 核弾頭 | 読切特選集 | 昭和38年10月 | 未来都市 | |
| 百年前の文明 | 読切特選集 | 昭和38年11月 | 未来都市 | |
| 人間の未来像 | 読切特選集 | 昭和38年12月 | 未来都市 | |
| スターリン・グラード | 別冊宝石 | 昭和38年12月 | ||
| Uボート | 宝石 | 昭和39年1月 | 『軍隊ミステリ集』 | |
| 酸素魚雷 | オール読物 | 昭和39年3月 | 『軍隊ミステリ集』 | |
| 進化論 | 小説倶楽部 | 昭和39年4月 | ||
| 零 | 推理ストーリー | 昭和39年5月 | ||
| 宇宙人の失敗 | 増刊大衆小説 | 昭和39年7月 | 『殺人交響曲』 | |
| 草原に死す | オール読物 | 昭和39年7月 | 『軍隊ミステリ集』 | |
| 死人も楽ではない | 漫画読本 | 昭和39年8月 | ||
| 赤い凶器 | 推理ストーリー | 昭和39年9月 | ||
| 消えた兵隊 | 小説倶楽部 | 昭和39年9月 | 『軍隊ミステリ集』 | |
| 参謀肩章 | 小説倶楽部 | 昭和39年11月 | ||
| 二十年の殺意 | 週刊実話 | 昭和39年11月2日 | ||
| 夜の道 | 小説倶楽部 | 昭和39年12月 | ||
| 草原に夜が来た | 推理ストーリー | 昭和39年12月 | ||
| インパール作戦 | 小説倶楽部 | 昭和40年2月 | ||
| 日曜は殺しの日 | 推理ストーリー | 昭和40年3月 | ||
| ガ島に死す | 小説倶楽部 | 昭和40年4月 | 『軍隊ミステリ集』 | |
| 環状線の女 | 週刊実話 | 昭和40年4月12日 | ||
| 悪僧二代 | 推理ストーリー | 昭和40年7月 | ||
| 逆臣 | 剣豪列伝集 | 昭和40年8月 | ||
| 異説静御前 | 読切文庫 | 昭和40年9月 | ||
| 蛮族の女 | 読切文庫 | 昭和40年10月 | ||
| 癌 | 日本推理作家協会会報 | 昭和40年11月 | ||
| 炎を彫る | 剣豪列伝集 | 昭和40年11月 | ||
| 出稼ぎ妻 | 小説倶楽部 | 昭和40年12月 | ||
| 七人の日本兵 | 小説倶楽部 | 昭和41年2月 | ||
| 妻だけが知っていた | 小説倶楽部 | 昭和41年2月 | 柳瀬廉名義 | |
| 水野十郎左衛門 | 剣豪列伝集 | 昭和41年2月 | ||
| 鶴の首 | 読切文庫 | 昭和41年2月 | ||
| 冷凍作戦 | 推理ストーリー | 昭和41年3月 | ||
| 妖女の砦 | 剣豪列伝集 | 昭和41年7月 | ||
| ゆがんだ裸形 | 読切文庫 | 昭和41年8月 | ||
| 警察愚連隊 | 小説倶楽部 | 昭和41年8月 | ||
| 国道一号線 | 日刊観光 | 昭和41年8月3日-12日 | ||
| 間違い人生 | 小説倶楽部 | 昭和41年11月 | ||
| 夜光虫 | 剣豪列伝集 | 昭和41年11月 | ||
| 男殺しのブルース | 大衆小説 | 昭和42年2月 | ||
| 雲の砦 | 剣豪列伝集 | 昭和42年2月 | ||
| 逃亡者 | 推理ストーリー | 昭和42年5月 | ||
| 海は知っていた | 大衆小説 | 昭和42年5月 | ||
| 夜を配る女 | 小説倶楽部 | 昭和42年6月 | ||
| 刑務所襲撃作戦 | 漫画と小説 | 昭和42年7月 | ||
| 興安嶺の女 | 大衆小説 | 昭和42年10月 | ||
| 過去が重い | 漫画と小説 | 昭和43年3月 | ||
| 悪い奴が多すぎる | 傑作倶楽部 | 昭和43年8月 | ||
| 十六人目の殺し屋 | ニュース特報 | 昭和43年8月14日 | ||
| 一発で殺せ | 小説club | 昭和44年1月 | ||
| 弾痕 | 小説club | 昭和44年3月 | ||
| 零戦はみだし隊 | 推理ストーリー | 昭和44年7月 | ||
| 華麗なる殺人 | 小説劇場 | 昭和44年8月 | ||
| さようなら、坊や | 推理 | 昭和44年9月 | ||
| 白狼 | 小説club | 昭和44年9月 | ||
| ザ・ライフル | 小説劇場 | 昭和44年10月 | ||
| 毒喰わば皿まで | 小説club | 昭和44年11月 | ||
| 罠に落ちた女 | 小説劇場 | 昭和44年12月 | ||
| 眼には眼を | 小説劇場 | 昭和45年5月 | ||
| 地獄で待ってろ | 小説劇場 | 昭和45年8月 | ||
| 五十万年のベール | 読切特選集 | 昭和46年5月 |
後に長編化された「戦艦金剛」ははずしている。
あくまで個人的な感覚だが、これで蒼社の作品の90〜95%くらいはリスト化出来たのではないか。当然、100編を越す、としたことは認めてもらえるだろうし、マイナー雑誌に書き飛ばした、という言葉を否定したかった点も、うっすらながらであれ分かってもらえると思いたい。
見れば分かるように、特に初期については様々なジャンルを手掛けていて、戦争小説もあれば、スリラー、時代小説、空想科学小説、一般小説などが雑然と並んでいるが、その注記は今回はしていない。より完全なリストに辿り着けたと思ったら、補足してもと思うが、今回は、連作として書かれたものの連作タイトルのみを書き加えるだけにした。
念のために補足しておくと、「春のゆくえ」は《別冊読切傑作集》が実施していた��貴方の小説�≠フ第5回入選作。「毒花」は��小説倶楽部新人賞�≠フ第9回入選作、そして「屍衛兵」が��宝石賞�≠フ第14回入選作である。蒼社も、昭和30年代前半にさまざまな懸賞小説に投じ、佳作入選などもしていたが、作品が載ったのは、この3編かと思われる。言い換えれば、蒼社は��双葉新人賞�≠ヘ受賞していないのだが、双葉社の倶楽部雑誌に数多くの作品が載っているのは、��貴方の小説�≠フ入選がその代わりにあたっているのかも知れない。
定例に従い補足しておくと、《オール読切》は、昭和35年は共栄社発行、昭和36年〜37年は小出書房発行。発行年が続いているので紛らわしいが、巻次がリセットされているので、同じ雑誌の出版社が変わったのではなく、共栄社が廃刊になった数か月後に、新たに創刊されたものだと思っている。この辺り、詳しい人がいれば、ご教示いただきたい。
こんなリストでも、多少は何らかの参考になると信じて、とりあえず、上げるだけあげました。指摘があれば、随時直して行きます。
戸田和光