日本のすまいの特徴と問題点 | |
段差が多い | 玄関の敷居、上がり框、廊下と敷居、脱衣室と浴室など段差が多く、事故が起こりやすい。 |
幅員が狭い | 廊下、階段、扉の開口部などの幅が狭く、特に要介護高齢者はいどうがしづらい(福祉用具などが使いづらい)。 |
和式の生活様式 | 床座の生活、和式浴槽をまたいで入る、トイレでしゃがむといった生活様式は、高齢者の身体機能の面からは適切でない。 |
温度差が激しい | 居室と廊下・トイレ・脱衣室と浴室など室内の温度差が激しく、高齢者の健康に悪影響をおぼしやすい。 |
住宅の問題点と解消
A 床面の段差
・廊下と部屋の間、和室と洋室の間、浴室等の出入口等の段差
高齢者の場合は、つまづき、転倒して骨折の原因になり、寝たきりになることもあり
ますので段差は解消しましょう。
B 手摺の設置
・住宅改修の基本
手摺の設置が歩行支援になり、安定した姿勢を保ち自立を可能にして介護する人の
負担を軽くします。廊下、階段、トイレ、特に滑りやすい浴室への配慮大事です。
C 幅員が狭い
・廊下、階段の幅員。トイレ、洗面所、浴室等の出入口の開口部幅員が狭い
手摺を設置した場合も余裕を持って通れる。介助者が体を支えたり、車椅子を使用
する場合を想定したスペースの確保が必要です。
D 部屋のスペース
・トイレ、浴室等の部屋面積が狭い
介助者が体を支えたり、車椅子を使用する場合を想定したスペースが必要です。
E 寝室からの移動
・寝室からトイレ、浴室への移動が遠い
利用回数が多い高齢者にとって、トイレが寝室に隣接又は近くにあれば移動が楽です。
特にトイレは住まいに1ヶ所でなく、本人専用トイレ設置が必要な場合もあります。
F 和式の生活様式
・和式便器を腰掛式に変えたい
・和式(座式)の生活様式は立ち上がりの動作負担が大きく大変
高齢者や障害者にとってトイレの腰掛式、寝室のベット採用などは本人はもとより介助者
への負担、動線が大変楽になります。
トイレや寝室は失禁等で汚れる可能性があります。特に床材は掃除しやすく、汚れにくい
材料を選定することが必要です。
G 操作器具の配慮
・水栓金具、ドア取手等の操作。スイッチ、コンセント等位置と選定
高齢者や障害者がシンプルで操作しやすいもの、表示文字やボタン等が大きいもの、
特に設備・衛生機器等は高性能のものより操作の簡単なものを選定したい。
2) 日常災害事故の多さ
急速に進行する高齢化のなかで、高齢者や障害者が生活している住宅は深刻です。
住宅改修による安心・安全な居住環境整備の役割は大いに期待されています。
A 家庭内事故死者(厚生労働省2000年人口動態統計)
□ 家庭内における不慮の事故死亡者(45歳以上)
・全体 10184人
・65歳以上の家庭内事故死者 8378人(全体の83%)
□ 住宅関連事故死の原因別(65歳以上)
1位 溺死・溺水 (2828人)浴槽が90%
2位 転倒・転落 (1568人)「寝たきり」になった原因の12%が骨折・転倒
3位 火災・火事 ( 685人)
B 家庭内事故と「要介護」「寝たきり」の発生との関連(国民生活センター)
□ 50歳以上の家庭内事故によるケガの程度別件数
・全体 6734件
1位 軽症 5397件
(80%)
2位 中等症 1146件
(17%)
3位 重症 137件 (2%)
4位 死亡
25件 (1%)
5位 重篤症
19件 (0%)
全国で在宅の「要介護者」は約124万人「寝たきり」は約35万人いるとされているが、
このうち相当数が家庭内事故により「要介護」「寝たきり」になっていると思われる。