(2011年6月12日) アインシュタインの相対性理論は時間についても常識を覆すものであった。時間はどこでも同じように経過するという常識に対し、運動をしている物体の時間は遅れるというものである。 ロケットに搭載した時計を外から見ていると、ロケットの速度が大きければ大きいほど遅れることに気がつく。ただし、人類が達成できた速度では光速に比べて非常に小さいから、時間の遅れは極めてわずかで、通常は無視できる。そして、ロケットに乗っている人はロケットの速度がどれだけ早いものであっても、自分の時間が遅れていることには気がつかない。 等速直線運動をしている物体の時間が遅れることは特殊相対論効果と呼ばれ、このこと自体はローレンツ変換で直ちに導かれる疑いの余地のない論理的帰結である。 (パラドックス1) (解決)これは兄と弟の両方の言い分が正しい。兄弟は離れていくばかりで決して会うことはないので矛盾しているのではない。お互いに相手の時計が遅れていると認識するだけである。 時間については一般相対性効果というものがある。これは加速度運動をしている物体の時計は遅れるというものである。もし、双子の兄がロケットに乗り遠くまで行った後、Uターンして地球に戻ってきて弟に会うと、弟の時計は兄より進んでいる。弟は白髪の老人になっている。これは一般相対性理論による浦島効果と呼ばれているものである。 (パラドックス2) (解決) 現代の物理学者が一般の人に説明する双子のパラドックスの解決は概ね上述のようになっている。例えば次の本がある。 パラドックス1の解決には誰もが「そういうことか」と納得できることであろう。ところがパラドックス2については猛然と噛み付いた人がいる。 哲学者である千代島氏の論点を要約すると、「加速度運動と言えども兄と弟は両方が相対的に運動をしている。物理学者の解決では、頭から兄が加速運動をしたということを前提にしているから解決になっていない。兄から見たら弟が加速運動をしていると見える筈だ。」というものである。さすがに鋭い指摘である。 千代島氏による解決は、用心深い考察からは信じられない意外な結論で、ここで紹介する気になれない。哲学者である看板を裏切っている。まず、物理学者は合意しないであろう。 (私の解決) 物理学者の一般向け解決は簡単に表現したもので、千代島氏の指摘は正しいと思われる。一方、物体が重力に逆らわない時、その物体内では重力が消えているのである。Uターンの方法が遠くの星に近づいてのフライバイによるものであったら加速度も受けずに戻って来れる。このとき、浦島効果は見られるのだろうか。 (了)
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