レット・イット・ビー・ネイキッド(Let It Be... Naked)|Let It Beとの違いを聴き比べる
『Let It Be…Naked』は、ビートルズの名盤『Let It Be』を“裸”の状態に戻そうとした試みだ。
フィル・スペクターによる重厚なアレンジを排し、できるだけシンプルで生々しい音にまとめ直されている。
解散直前の混乱の中で完成しなかった理想の姿を、後年あらためて想像し編集されたこのアルバムは、オリジナルとは違う角度からビートルズの本質を浮かび上がらせてくれる。
LET IT BE... NAKED
- ゲット・バック
- ディグ・ア・ポニー
- フォー・ユー・ブルー
- ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード
- トゥ・オブ・アス
- アイヴ・ガッタ・フィーリング
- ワン・アフター・909
- ドント・レット・ミー・ダウン
- アイ・ミー・マイン
- アクロス・ザ・ユニバース
- レット・イット・ビー
-
Additional Disc
- フライ・オン・ザ・ウォール
ビートルズの名盤「レット・イット・ビー」の改変? なんていうか・・。
今まで知られているレット・イット・ビーの曲順は・・・・
- トゥ・オブ・アス
- ディグ・ア・ポニー
- アクロス・ザ・ユニバース
- アイ・ミー・マイン
- ディグ・イット
- レット・イット・ビー
- マギー・メイ
- アイヴ・ガッタ・フィーリング
- ワン・アフター・909
- ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード
- フォー・ユー・ブルー
- ゲット・バック
と、いう感じ。 若干変更曲があるのがわかると思います。 一番変わっているのは、そのアレンジで、 フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンズではなく、 ほとんど味付けのないリアルな音に仕上げらています。
オリジナルの方のレット・イット・ビーは ビートルズが解散目前の不協和音の中、バラバラになった楽曲を繋ぎ合わせ、スタッフ側がやっと発売したものでした。 そして、 ネイキッドの方はやっぱりスタッフがまとめたものですが、あの時のビートルズはこうしたかったんじゃないだろうかと想像されて編集されたアルバム。 それが正解なのかは、あの時完成しなかった今ではわからないことですが・・・。
レット・イット・ビーはビートルズが初期の頃のように シンプルに作ろうとしていた作品ですが、ポールが提案したアルバム製作を全部収めようという、映画の同時撮影が悲惨な結末をもたらしました。 同時撮影されたレット・イット・ビーは今では中々見れませんが、有名なアップルの屋上での演奏シーンがハイライトでしょうか? あとは仲たがいなどの現実を映し出してしまっているようです。
映画のサントラとしてのレット・イット・ビーなのですが、映画の方はブートなどでないとお目にかかりません。なので普通のアルバムと認識されがちですが本当はサントラ・アルバムなんです。
でもそんな悪い状況でもこれだけのアルバムを作るのはさすがとしかいえません。 自分の中ではビートルズのアルバムの中で、上位に入ります。
「Let It Be」と「Let It Be... Naked」は何が違う?
「Let It Be... Naked」を初めて聴く人が一番気になるのは、結局のところ「普通のレット・イット・ビーと何が違うのか」ということだと思う。
簡単に言えば、同じ1969年頃の録音を材料にしながら、完成させる際の考え方が違う。
1970年に発売された「Let It Be」には、フィル・スペクターによるオーケストラやコーラスなどのオーバーダビングが加えられている。一方、「Let It Be... Naked」では、そうした追加要素を取り除き、ビートルズの演奏そのものを中心にしたミックスになっている。
そのため、同じ曲でも楽器の聞こえ方がかなり違う。特に「The Long And Winding Road」や「Across The Universe」などは、両方を続けて聴いてみると違いが分かりやすい。
ただし、「Naked」は単純にオリジナルから余計な音を消しただけのアルバムではない。
曲順も変更され、「Dig It」と「Maggie Mae」は収録されていない。その代わりに、シングル盤では「Get Back」のB面だった「Don't Let Me Down」が収録されている。
つまり「Let It Be... Naked」は、1970年のアルバムをそのまま作り直したというより、当時の録音素材を使って別の完成形を作ったアルバムと考えた方が分かりやすい。
なぜ「Let It Be... Naked」が作られたのか
「Let It Be... Naked」が発売されたのは2003年。1969年の録音から考えると、実に30年以上が経ってから登場したアルバムだった。
そもそも1969年に始まった「Get Back」プロジェクトでは、ビートルズがスタジオで演奏している姿をそのまま記録し、できるだけ余計な加工を加えない形で作品にすることが考えられていた。
ところが、最終的に1970年に発売された「Let It Be」では、フィル・スペクターが録音を再構成している。代表的なのが「The Long And Winding Road」で、オーケストラやコーラスが加えられた。
その結果、もともと考えられていた「バンドの演奏をそのまま聴かせる」という方向とは違ったアルバムになった。
そこで2003年になって登場したのが「Let It Be... Naked」だった。
これは新しく録音し直したアルバムではない。1969年に残された録音をあらためてミックスし、当初目指していた「4人の演奏を中心にした音」に近づけようとしたものだ。
だから「Naked」というタイトルも分かりやすい。余計な装飾を外して、ビートルズの演奏を裸に近い状態で聴かせる、という意味合いを持っている。
面白いのは、これが単なる未発表音源集ではないことだ。
同じセッションから生まれた音源を使いながら、1970年の「Let It Be」と2003年の「Let It Be... Naked」で、完成したアルバムの印象が変わっている。
つまり「Let It Be」と「Naked」は、同じ録音を材料にした二つの完成形として聴き比べることができる。
3曲を聴き比べてみる
「Let It Be」と「Let It Be... Naked」の違いは、実際に同じ曲を続けて聴いてみると分かりやすい。
ここでは特に違いを感じやすい3曲を選んでみたい。
The Long And Winding Road
まず聴いてみたいのが「The Long And Winding Road」。
1970年の「Let It Be」に収録されたバージョンでは、フィル・スペクターによるオーケストラとコーラスが加えられている。この曲は「Let It Be」を語るときに、この違いを避けて通れない代表的な曲だ。
一方、「Let It Be... Naked」では、その大きく広がったオーケストラの響きがなくなり、ピアノを中心とした演奏とポールの歌が前に出てくる。
同じ曲なのに、かなり印象が違う。
「Let It Be」では大きなスケールのバラードとして聴こえるのに対して、「Naked」ではビートルズがスタジオで演奏している感覚が強くなる。
この曲を両方聴くだけでも、「Naked」が何を目指したアルバムなのかがかなり分かりやすいと思う。
Across The Universe
次に「Across The Universe」。
この曲も、両方のバージョンを聴いてみると音の雰囲気の違いが分かる。
「Let It Be」では、エコーや追加されたサウンドによって、少し遠くへ広がっていくような印象がある。
「Naked」では、その装飾的な部分が抑えられ、ジョン・レノンのボーカルやギター、バックの演奏がより近く感じられる。
派手に何かが変わったというより、音の周りにあったものが整理されて、曲そのものに集中しやすくなったという感じだ。
同じ「Across The Universe」でも、どちらを先に聴くかで曲の印象が変わると思う。
Let It Be
そしてアルバムのタイトル曲「Let It Be」。
この曲は少し面白い。一般的に知られているシングル・バージョンとアルバム版にも違いがあり、さらに「Naked」では別のミックスを聴くことになる。
「Naked」では、ボーカルとバンドの演奏がより素直に聞こえる。特にピアノやドラム、ギターなど、それぞれの楽器を追いながら聴いてみると面白い。
一方で、1970年の「Let It Be」には、フィル・スペクターによる仕上げが加わっている。
同じ曲を3つのバージョンで聴いてみると、単に「音が良くなった」「悪くなった」という話ではなく、ミックスによって曲の見え方そのものが変わることが分かる。
この3曲を聴き比べるなら、最初に「Let It Be」を聴き、その後に「Let It Be... Naked」を聴いてみるのがおすすめだ。
特に「The Long And Winding Road」は違いが大きいので、最初の1曲として聴くには分かりやすい。
今から聴くなら「Let It Be」と「Naked」のどちら?
これから初めて「Let It Be」を聴く人なら、どちらを選べばいいのか迷うかもしれない。
二つのアルバムは同じ録音をもとにしているが、完成した音の印象はかなり違う。
1970年の「Let It Be」は、ビートルズ最後期の作品として長く聴かれてきたアルバムだ。フィル・スペクターによって仕上げられたサウンドも、このアルバムの歴史の一部になっている。
だから、ビートルズのオリジナル・アルバムを年代順に聴いていくなら、まず1970年の「Let It Be」を聴いて、その後に「Let It Be... Naked」を聴いてみると違いが分かりやすい。
一方で、ビートルズ4人の演奏をできるだけ近く感じたい人なら、「Naked」から聴いてみる方法もある。
特に「The Long And Winding Road」のように、オーケストラの有無で印象が大きく変わる曲では、「Naked」のほうがバンドの演奏に意識を向けやすい。
つまり、どちらか一枚だけを選んで終わりにする必要はない。
「Let It Be」を聴いたあとに「Naked」を聴く。あるいは「Naked」を聴いてから、オリジナルの「Let It Be」に戻ってみる。
同じ録音を別の形で完成させた二つのアルバムだからこそ、この順番で聴いてみると面白い。
「Naked」はビートルズ最後期をもう一度聴くためのアルバム
「Let It Be... Naked」は、単に「音をきれいにした再発盤」と考えると少し違う。
1969年のセッションから生まれた音源を、別の考え方でまとめ直したアルバムだからだ。
そのため、1970年の「Let It Be」をすでに何度も聴いてきた人でも、新しい発見がある。
逆に、これまで「Let It Be」をあまり聴いてこなかった人にとっては、二つのバージョンを聴き比べることで、ビートルズのレコーディングそのものに興味を持つきっかけにもなる。
「Let It Be」と「Let It Be... Naked」は、どちらか一方だけを選ぶというより、二枚を並べて聴いてみることで面白さが増す作品だと思う。
「Let It Be」を聴き比べてみる
「Let It Be」と「Let It Be... Naked」の違いが気になったら、実際に二つのアルバムを聴き比べてみるのが一番分かりやすい。
1970年の「Let It Be」をまだ持っていないなら、まずはこちらから。ビートルズ最後のオリジナル・アルバムとして長く聴かれてきた作品だ。
そして、今回の記事で紹介した「Naked」。
同じ録音を別の方向から聴いてみることで、「Let It Be」との違いがよりはっきりする。
この2枚を続けて聴けば、同じ録音から作られたアルバムでも、ミックスやアレンジによってこれだけ印象が変わるのか、と感じられると思う。
おすすめリンク
アルバム『レット・イット・ビー』のオリジナル・ヴァージョンが30年以上の時を越え、ついに登場。フィル・スペクターの手によるオーケストラ、コーラスや、サウンド・エフェクトなどをそぎ落とし、ビートルズの演奏の部分だけを残しリミックスされている。これによって、ザ・ビートルズがいかに素晴らしい演奏をしていたかが再確認できる。 メンバーの会話、「ディグ・イット」「マギー・メイ」をカットし、「ドント・レット・ミー・ダウン」を新たに収録。1970年にリリースされた『レット・イット・ビー』とは異なる内容の全11曲を収録。
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