戦略労務第389号(2025/10)
イントロダクション
10月も半ばになって急に涼しいというより朝晩は冷える感じになってきました。ようやく夏の疲れも取れて動いても汗が出ないような過ごしやすい日々になりました。アウトドアスポーツなどに精を出したいと考えています。「戦略労務」第389号をお届けします。
★労基署の調査について
労基が調査に来る場合のパターン
労基による調査には、主に以下の3つのパターンがあります。
①定期監督
無作為に選ばれた事業所を対象に行われる調査で、特に違反の疑いがあるわけではなく、労働法令の順守状況を確認する目的があります。
→こちらの場合が一般的です。
定期監督の結果、是正勧告や指導があった場合にはその後の確認を兼ねて再度調査が行われる可能性があります。
②災害時監督
労働災害が発生した際に、その原因や再発防止策の確認を行うための調査です。
③申告監督
労働者から「違法な残業をさせられている」などの申告があった場合に行われる調査です。法令違反の申告があって調査がされているので、企業側としては慎重な対応が求められます。
調査の後はどうなる?
調査の結果、労働基準法違反が認められると、例えば以下のような行政指導が行われます。
・違法な残業についての是正勧告
・賃金未払いの支払い指導
これらの指導や是正勧告は、あくまで「是正を促す」ものであり、強制力はありません。
したがって、裁判所の判決のような法的拘束力はなく、労働者が強制的に権利を主張するには民事訴訟が必要です。民事訴訟では労基の判断と異なる結論が出る可能性もあります。
ポイントとしては、事業所にとって労基の調査の結果が直ちに重大な影響を与えるものではなく、労基の調査に対して敵対的に対応する必要はないということです。
しかし、勧告を無視して労働法違反の状態を放置し続けると、労働基準監督官によって刑事告訴や逮捕・送検の対象となる可能性が高まります。
次号では労基署の調査の流れを確認したいと思います。