図鑑042

● (旧)沖縄県立宮古農林高校 (Okinawa Prefectural MIYAKO NOURIN high school)

【基本データ】

・略称・愛称等:農林

・男女共学

・住 所: 沖縄県宮古島市
・校 種: 全日制
・設置者: 沖縄県
・創立年: 1948年
・校 訓:  知性の育成、勤労愛好、和衷協同、良心の涵養、技能の錬磨

初代制服   Unknown-1996年

2代目制服 1994年-2010年

※掲載は初代制服

冬服/ 白3本線の濃紺のセーラー服 

夏服/ 濃紺の太い濃紺線縁取りのセーラー服 

平成20年に翔南高等学校と統合され、宮古総合実業高等学校となり閉校(2010年)となった高校。

掲載している初代制服の夏服は、首里高校の制服と似ていたとされる。理由は、正式には濃紺の縁取り線だったにも関わらず、黒色を取り入れた制服が流行したためだったらしい。そんな初代制服も、1994年には2代目のブレザータイプが登場したことで、1996年には退役した。

統合前の最後の制服(2代目)は、後日紹介する予定。


★沖縄女子制服ノート第73回は、(旧)宮古農林高校の統合前最後の冬服を紹介。

「事実は小説よりも奇なり」なんて言葉があるけれども、これは沖縄の制服史に残る、まさに奇怪な事実でもある。

前回の(旧)翔南高校の制服のところでも紹介したけれども、(旧)宮古農林高校は、2008年に(旧)翔南高校と統合して、宮古総合実業高校になった。

当時、新聞記事とかでそんな動きは知っていたけれども、統合前後の宮古農林高校の状況については、まったく把握していなかった。

だから、統合後に再度調べ始めたのだけれども、収集された情報を整理していくと大混乱になっちゃった。

理由は、制服が2種類あったから。

学校の記念誌などの公式資料では、下図が正式な女子の2代目制服。

それなのに、ネットなんかにあふれる写真を見ると、別の制服があったんだよね。統合以前の写真でも確認できるので、旧・翔南高校の制服でもないし、宮古総合実業高校の制服でもない。

まさか、3代目の制服? と思ってよく写真を調べていくと、スカートのデザインは同じ。ただし、ブレザーの前合わせが左前になっている! ということは、男子用のブレザー? なんで?・・・・

 

理由は不明だけど、男子用ブレザーを着用している女子の割合は、ほぼ半々だったみたい。だから、統合以前に宮古島を訪れたマニアの中には、だまされた人もいるんじゃないかと思う。

もともと宮古島って、島という閉鎖空間だから、制服のお下がりとか、譲り合うのが割と広まってるのだけれど、農林高校の場合、絶対的に男子より女子の数が少なかったから、女子用ブレザーのお下がりが不足したんだと思う。

んでもって、男子用ブレザーは余っているわけで、都合がつかないときは男子用でもOKにしたんじゃないかと思う。

学校の統合も進む中で、生徒の負担を大きくするわけにもいかなかったと思うし、男子ブレザーをスカートと組み合わせてみても意外と似合うこともあって、承認したんじゃないかと思う。もちろん、これは私の推測にしかすぎないのだけど、時間もたっていて公式な記録、説明もない。

今でも、同校の最後の卒業式の風景写真がネットで確認できるけど、そこにはこの二つのブレザーを着た女子の様子が確認できる。

 

まあ、ランの花のエンブレムデザインが可愛いから、どっちも女子が着て似合うからねぇ。

今はやりのLGBTの先駆けじゃないと思うけど、結果としてブレザーの性差をなくす形にもなってる。(注記/男子が女子のブレザーを着用している例は確認できなかった)

もうすぐ平成も終わり。

年号も変わって、令和の時代がはじまる。

平成の時代に起きた、こんな前代未聞の事実も、もうすぐ記録されることなく、みんなの記憶から消えていくんだろうね。

渚 美鈴/記  NAGISA MISUZU